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 > かたゆき さんの口コミ一覧。40ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1871
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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781.  Mr.&Mrs.フォックス 《ネタバレ》 
マフィアの女ボスのヤバい金をポーカーですっかりスッてしまった詐欺師夫婦。「このままじゃ殺される!」。追い詰められたそんな彼らが思いついた方法。それは、とある映画監督が妻にプレゼントした高価な指輪をこっそりいただいちゃおうというものだった。すぐさま映画監督の家へと乗り込んだ彼らだったが、一癖も二癖もある豪邸の住人達に逆にどんどんと振り回される羽目に……。果たして指輪のゆくえは?おとぼけ詐欺師夫婦が高価な指輪を盗むために悪戦苦闘するする姿をスラップスティックに描いたクライム・コメディ。ユマ・サーマン&ティム・ロスがキャストを務め、そんなダメダメ詐欺師夫婦〝Mr.&Mrs.フォックス〟を演じてるということで今回鑑賞してみました。なんですけど、いやー、これが近年稀に見るダメ映画でしたね。もうほんとつまんない。冒頭からさっぱり笑えないギャグと意味不明な演出が延々と繰り返され、最後まで観るのが拷問に近いくらい辛かったです。どうしてこんなクソ映画にこんな豪華キャストが揃っているのかホント疑問。最初から最後までここまで一ミリたりとも面白くないと、逆にある意味凄い作品なんじゃないかとさえ思っちゃいます(笑)。どうしても自分は時間を無駄にしたいんだ!と言う方以外にはお薦めできません。
[DVD(字幕)] 2点(2020-04-19 17:39:00)
782.  トゥ・ヘル 《ネタバレ》 
数年前に火事で妻と娘を失い、以来酒浸りの日々を送っている冴えないトラック運転手、ジョー。ある日、彼はたまたま立ち寄ったコンビニのトイレで謎の男に首を絞められている女性ジュリーを発見する。咄嗟に男を殴り倒し、彼女を救いだしたジョー。だが、感謝の言葉が聞けると思いきや、ジュリーから出てきたのは驚くべき言葉だった。「余計なことしないで!首を絞めるように頼んだのは私だから」――。なんと彼女は、バイク事故で瀕死の重傷を負った一人娘を助けるために自ら首を絞めてもらったのだと言う。詳しく訊いてみると、実はジュリーは、幼いころの臨死体験が原因で死の淵に立たされると死後の世界に入ることが出来るらしい。半信半疑で一緒に病院へと向かったジョーは、そこで彼女の娘が無事に意識を取り戻したことを知る。行く当てのなかったジョーは、そのまま彼女たち親子と一緒に暮らすことに。だが、ジョーはまだ知らなかった。実はちょっとした手違いから、生き返った娘の身体にはジョーの失った妻の魂が宿ってしまったことを……。毎度おなじみニコラス・ケイジ主演で送る、そんなオカルト・テイストのエロティック・サスペンス・スリラー。ぶっちゃけて言うと、最近のニコケイ・ブランドの映画の中でも一、二を争うくらいの恐ろしく程度の低い作品でしたね、これ。とにかく何もかもが適当すぎ!具体的に述べさせてもらうと、まず基本となる臨死体験のルールが曖昧過ぎて物語としての枠がふわふわし過ぎです。なんで首を絞められたら娘の命を救えるのか理屈が分からない。百歩譲ってそこを良しとしても、何故蘇生した娘の身体に間違ってニコケイの死んだ妻の魂が宿るのか、ほんと意味不明!!挙句、この母親とニコケイが速攻で一線を越えちゃうのはまあ分かるとしても、その後、何故か娘ともがんがんエッチやりまくるってどんなアホ展開?!そこら辺の親子丼ものAVの方がまだ説得力ありますって!最後もよー分からんまま、ニコケイが燃えて終わりってなんじゃそりゃ(笑)。こんなお粗末なもんで観客から金を取ろうなんて、もはや詐欺行為に等しいっすよ!娘とのエッチがバレて情けない顔で言い訳する白ブリーフ姿のニコケイに、母親が言った「早くズボン穿きなさい!」ってのが、この映画の中で唯一共感できるセリフでした(笑)。
[DVD(字幕)] 3点(2020-04-13 21:56:35)
783.  ハングマン(2017) 《ネタバレ》 
ある日、街の学校の敷地内で凄惨な猟奇殺人事件が発生。被害者は庭の大きな木に首を吊るされ、胸にはナイフでえぐられたとみられる「O」の文字。さらに遺体の近くには、絞首刑の絵と空白の文字列を示す白線が。そう、犯人は子供の定番ゲーム〝ハングマン〟をなぞり、警察へと挑戦状を叩きつけてきたのだ――。謎の犯人から警察のバッジ番号で名指しされた殺人課のルイニー刑事は、同じく名指しされたかつての相棒で今は定年退職したアーチャー元刑事とともに捜査に乗り出す。そこに彼らを取材する犯罪ジャーナリストのクリスティも加わり、懸命に捜査を続けるルイニーたち。だが、そんな彼らを嘲笑うかのように第二、第三の首吊り死体が発見される……。古典的な文字当てゲームをなぞり、次々と犯行を繰り返す猟奇殺人犯〝ハングマン〟と刑事たちとの息詰まるような攻防を描いたサイコ・サスペンス。名優アル・パチーノが主演を務めているということで今回鑑賞してみました。冒頭から、この分野の名作『セブン』を髣髴とさせるような(てか、そのまんまとも言えますが笑)重厚でおどろおどろしい世界観に摑みはばっちりでした。欧米では定番の文字当てゲーム〝ハングマン〟に見立てた首吊り殺人も大変グロテスクで、アル・パチーノの渋い魅力とも相俟って、「お、これはなかなか面白くなりそうじゃん!」と僕の期待は高まるばかり。でも…、そんな期待も虚しく中盤からものの見事に失速しちゃいましたね、これ。まさに、「ザ・竜頭蛇尾」。そもそもこんな大事件なのに、捜査してるのはほぼこの刑事二人のみで、しかも片方は定年でリタイアした今や普通の一般人ってのがおかし過ぎます。しかも取材してるだけの女性記者がばんばん犯行現場に付いてくるというのもあり得ません。対する犯人も何故にこんな面倒臭い方法で人を殺すのかも説得力に欠け、しかもわざわざ毎日11時ちょうどに首を吊るすという謎の自分ルール。肝心の犯人の正体なんて、「え、こいつ誰やねん」と思わず突っ込んじゃうほど、唐突感が半端ありません。文字当てゲームの回答も、「ここまで引っ張っといてそれかよ!!」と言うもので全く腑に落ちない。「犯行はまだまだ続く」と言わんばかりの最後のオチに至っては、蛇足以外の何者でもありません。あ、ここで訂正。「竜頭蛇尾」じゃなくて「竜頭蛇尾蛇足」な映画でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2020-04-10 22:18:57)(良:1票)
784.  ハッピー・デス・デイ 2U 《ネタバレ》 
謎の殺人鬼に何度も何度も殺されるという悪夢の無限ループへと陥ったビッチな女子大生、ツリー。彼女がその無限ループから抜け出すために、何度も殺されながら真相を探る姿を疾走感あふれる展開で描いた青春ホラー第二弾。前作の低予算ながらポップでキレのいい演出がけっこう面白かったので、続編となる本作も期待して今回鑑賞してみました。前作では謎のままだったタイムループ発生の原因が、本作で明らかにされたのは嬉しい展開。前作ではちょい役だったあの「メス犬とやったのか」でお馴染み(笑)の金髪アジア系男がまさかの張本人だったとは!冒頭、こいつが新たな無限ループに巻き込まれる展開に、「え、もしかして今回はこいつが主人公なん?!」とちょっと不安にもなりましたが、途中でちゃんとツリーの無限ループに戻ったのでホッとしました(彼女にとっては迷惑この上ないでしょうけど笑)。ただ、肝心のことの真相が実は幾つもの現実が併存する多元宇宙(パラレル・ワールド)だったというのは賛否が分かれるところ。僕はどちらかと言うと否の立場かなぁ。話が無駄にややこしくなって前作ほどのカタルシスを得られませんでしたわ。それに前作よりスラッシャー・ホラー要素が薄まったのもちょっと残念。まぁこればっかりは好みの問題なのでしょうけれど。それでも、相変わらず様々な死にざまを身体を張って魅せてくれたツリーの潔い死にっぷりには今回も楽しませてもらいました。ドライヤーで感電死したら次の瞬間髪の毛爆発してたりだとか、スカイダイビングに裸で挑んだりだとか、ゴミ収集車に頭からスライディング・ダイブだとか、前作以上の悪ノリっぷりに終始ニヤニヤが止まんなかったです。最後のオチもけっこう決まってましたしね。というわけで、前作ほどではないですが、今回もなかなか楽しませていただきました。でも、さすがにこれ、もう続編はないよね(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-31 21:50:46)
785.  スウィート17モンスター 《ネタバレ》 
彼女の名は、ネイディーン。何処にも居るような平凡なティーンエイジャーだ。別にクラスの人気者ってわけでもなく、勉強もスポーツも平均以下、憧れの男子にはSNSで友達申請するもずっと音沙汰なし、婚活失敗続きのママはずっとヒステリーを起こしっぱなし。そんな冴えない日々を送っていた彼女に、大事件が発生。なんと自分の兄と、唯一の友達で子供のころからの大親友でもあるクリスタが付き合うことになったのだ。「そんなの絶対あり得ない!」――。色ボケ兄貴も親友だと思っていたクリスタも怒ってばかりのママも分かってくれない学校の先生もクソったれな世界も何より自分のことが大嫌いになったネイディーンは、その日から人生の袋小路へと迷い込むのだった。果たしてお先真っ暗のネイディーンの人生に明日の光は差すのか?そんな八方塞がりのイケてない日々を送る17歳の女の子の日常をポップに描いた青春ドラマ。まあいわゆる今どき“こじらせ女子”の生態をリアルに描いたそんな本作なのですが、何より主役を演じたヘンリー・スタインフェルドの魅力に尽きると思います。最近のクロエ・グレース・モレッツを髣髴とさせる、この絶妙なブ……失礼、個性的なルックスがこの主人公のこじらせ具合にばっちり嵌まってました。ほとんどアドリブなんじゃないの、これ?って思わせるほど人の嫌がることを次から次へと捲し立てる彼女の減らず口には思わずニヤニヤ。うん、居るよね、こんな子。自意識過剰のかまってちゃんで、自分の思い通りにいかないとヒステリーを起こすトラブルメイカー。いやー、客観的に見る分にはすこぶる面白いですわ。まあ当事者になるのは絶対嫌ですけど(笑)。「いいよね、君は私と別れられて。私はこんな自分とは一生別れられないんだよ」。同じくこじらせ女子の生態を描き続けて芥川賞を受賞した日本の小説家に本谷有希子が居ますが、彼女のとある作品の中にあるこんな言葉を思い出しちゃいました。そんな彼女を温かく見守る、ウディ・ハレルソン演じる学校の先生もなかなかいい立ち位置でナイス!ただ、さすがに後半は余りにも迷走しすぎてちょっとしんどくなっちゃいましたので、そこは若干マイナスです。ネイディーン、さすがに男を振り回しすぎでしょ。まあそこらへんは好みの問題だろうけど、ぼちぼち面白かったです。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-31 21:49:31)(良:1票)
786.  記者たち 衝撃と畏怖の真実 《ネタバレ》 
イラクに大量破壊兵器は存在するのか――。2002年、911同時多発テロによって始まったアメリカの対テロ戦争は、アフガニスタンを制圧するといつしかイラクへとその照準を向け始めていた。作戦を主導するのは、当時政権の中枢にいたブッシュ大統領をはじめとするアメリカのネオコンたち。大義名分となったのは、彼らが主張する、サダム・フセインによる大量破壊兵器開発疑惑だ。NYタイムズやワシントン・ポストといったアメリカの主要メディアも政権側の主張を鵜呑みにし、イラク攻撃もやむなしという論調へと傾く中、とある小さな新聞社が疑問を抱く。ナイト・リッダー社のベテラン、ジョナサン・ランデーを中心とする〝記者たち〟は地道で綿密な取材を重ね、やがて独自の結論を導き出すのだった。政権側は重大な嘘をついている――。だが、愛国心が最高潮に高まっていた当時のアメリカは、後戻りできないイラク攻撃へと踏み込んでゆく…。時代の空気に左右されず、イラク戦争の裏に隠された真実を地道に追求し続けた記者たちの姿を実話を基に描いた政治サスペンス。監督を務めるのは、ハリウッドの名匠として名高いロブ・ライナー。キャストには前作でもタッグを組んだウディ・ハレルソンを筆頭に、ミラ・ジョボビッチやトミー・リー・ジョーンズと言った有名俳優が名を連ねております。綿密な取材や確かな時代考証に基づいたであろうドラマは手堅く作り込まれており、作品としてある一定の水準には達していたと思います。ともすれば退屈になりかねない題材を、随所にユーモラスな演出を差し挟むことで最後まで観客を引き込む工夫を凝らしていたのも好感持てました。ただ、これはこの監督の持ち味と言ってしまえばそれまでなんですけど、作品に漂う空気はなんとものんびりしております。こういう政治サスペンスにもっとも必要であるはずの、ひりひりとした緊迫感やぐったりするような重厚感と言ったものが欠けていたのが、僕的にはちょっと物足りなかったかな。事実を追うことに拘り過ぎたのか、誰に感情移入して観ればいいのか最後まで分からない作りになっていたのもどうかと思います。結論。知られざる真実に触れるという点においては観て良かったと思うんですけど、映画としては幾分か物足りなさの残る作品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2020-03-31 21:41:11)
787.  0:34 レイジ 34 フン 《ネタバレ》 
いつだって甘いロマンスに目がない今どき女性、ケイト。ハリウッドセレブが多数参加するパーティーへの招待状を貰うため、彼女はなんとしても今日中に友人の家へと行かなければならなかった。急いで近くの地下鉄の駅へとやってきた彼女は、終電間際のホームへと何とか滑り込む。時計を見たら、終電到着まであと8分。安心した彼女はそのままベンチに座り込むと、酒を片手にウトウトしてしまうのだった――。気付いた時にはホームに人の姿はなく、何処をどう捜しても職員すら居なくなっていた。そればかりか入り口は全て施錠され、外に出ることすらままならない。不安にさいなまれるケイト。そんな時、ホームへとやって来た一台の無人の地下鉄。藁にも縋る思いでケイトはその電車へと乗り込んでしまう。だが、彼女は知らなかった。その電車の行き先が、不条理な恐怖が待ち受ける悪夢のような世界だということを……。何処にでもいる平凡な女性が迷い込む、そんな恐怖の一夜を描いたサスペンス・スリラー。明らかに低予算作品、なおかつお話自体もよくあるシュチュエーション・スリラーながら、演出のキレがけっこう良くて僕はぼちぼち楽しめましたね、これ。何がいいって、やぱこの終電以降の地下鉄ホームという舞台設定。酔っ払って終電を逃してしまい何度もホームで途方に暮れた経験のある自分としては、この「始発までどうやって過ごそう……」という絶望感はすんごくよく分かります(笑)。その後も、どでかいドブネズミが大量発生したりとか、無機質な明かりに煌々と照らされた通路にいつの間にか血の跡がついていたりとか、死亡フラグ立ちまくりのジャンキーカップルのお約束の展開とか、ベタながらなかなか面白かったですよ。全体に漂うこの不条理感もけっこう好みだし、映像的にもいいセンスしてたんじゃないですかね。まあ、あのよく分からないモンスター出現以降は急速に失速しちゃいましたけど。それに最後のオチもちょっと投げっ放し過ぎますね。と、中身はほぼないですけど、全体的にはまあまあってとこでした。結論。お酒の飲み過ぎにはくれぐれも注意しましょう(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-30 16:28:59)
788.  スイミング・プール 《ネタバレ》 
最近少しスランプ気味の人気ミステリー作家、サラ。編集者の勧めで彼女はフランスの片田舎にある小さな村の別荘へと趣き、気分転換を図ることに――。訪れた村の閑静な雰囲気と素朴な村人たちに、サラはどんどんと心が癒されていくのだった。心機一転したサラは、新たなアイデアとプロットが次々と浮かび、再開した執筆は順調に進んでゆく。だがしばらくすると、別荘の持ち主である編集者の手違いから、彼の子供であるジュリーという若い娘が転がり込んでくる。礼儀知らずで自由奔放、さらには毎晩違う男を連れ込んでは情事にふける彼女にサラの平穏だった心は掻き乱されるばかり。ところが、そんな彼女にも誰にも言えない心の闇があることを知ったサラは、それをモデルにして新たな小説執筆を図るのだった。そんな折、二人の関係性を決定的に変えてしまうようなある事件が起こる。流された血は、別荘の敷地内にある大きなスイミングプールへと滲んでゆく…。頑固で保守的なイギリスの中年女性と男好きで自由奔放なフランスの若い女、そんな対照的な二人の女性が起こしたある〝事件〟をミステリアスな空気の中に描き出す心理サスペンス。幾つもの知的仕掛けに満ちたそんな本作、ずっと気になっていたので今回鑑賞してみました。なんですけど、うーん、ちょっと僕の期待していたものとは違った印象でしたね、これ。妄想と現実、小説を書く作者の現実と小説内のフィクションの世界、それらが混然一体となり観るものをいつしか深い迷宮へと迷い込ませたところで、ラストに明らかにされる予想外の事実。観客を更なる迷宮へと誘うようなこの世界観は、好きな人には堪らないと思います。でも、僕はこういう思わせぶりで観客に真相を丸投げするような映画は少々苦手なので、本作も見事に嵌まらなかったです。でも、映像や作品の世界観などは雰囲気もあって良かったとは思うんですけどね。要は好みの問題。僕は本作のいい観客とはなれなかったようです。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-30 14:22:43)
789.  インサイド(2016)(レイチェル・ニコルズ主演) 《ネタバレ》 
私が手伝ってあげるわ、あなたが赤ちゃんを産むのを――。不幸な事故により、聴力と最愛の夫を失ってしまった妊娠中の女性サラ。高性能の補聴器を頼りに、遺された一軒家で独り暮らす彼女にとって、何とか無事に育ってくれたお腹の赤ちゃんだけが希望の光だった。だが、辛い思い出が残るこの家を手放し新たな地で再起を図ろうとした矢先、その“女”がやってくる――。雨が降り続く人通りの少ない夜、サラは突然家に押し入ってきた見知らぬ女によって恐怖のどん底へと叩き落されてしまうことに。何とかバスルームへと逃げ込んだものの、頼みの綱である補聴器は壊れて役に立たなくなってしまう。しかも、サラは女によって出産を促す薬を投薬され今にも陣痛が始まりそうになっていた。果たしてこの女は何者なのか?女の真の目的とは?そして、サラは女の魔の手から抜け出し、無事に赤ちゃんを出産することが出来るのか?謎の女に追い詰められ、恐怖の一夜を過ごすことになった女性を描いた不条理系サスペンス・スリラー。明らかに低予算で撮られたであろう、そんなよくあるワンアイデア・ワンシュチュエーションのB級作品なのですが、これがまあ設定に無理がありまくりで僕は全く物語に入り込めませんでした。だいたい一軒家に自分一人しか居ないのに、家のポストに鍵を入れて寝るというこの妻の神経がおかしすぎます。百歩譲ってそういう詰めの甘い女性だったとしても、一度不審者が現れて警察まで呼んだのなら、さすがに鍵は回収しましょうよ。また、途中で何度も警察が現れるのですが、こいつら揃いも揃って無能すぎ!女一人に簡単に騙され、しかもわざわざ殺されるために一人になるというぼんくら具合。無線で助けを呼んだのに、警察の応援がいつまで経っても一向に駆けつけてこないというのもおかしすぎます。途中、主人公が間違って自分の親を殺してしまうというシーンも胸糞悪いだけで物語上何の意味もないですし。そして、最後は無事に赤ちゃんを産んでめでたしめでたし……。何?この取って付けたような薄っぺらいハッピー・エンド。うーん、正直観る価値はなかったですね。
[DVD(字幕)] 4点(2020-03-30 14:07:11)(良:1票)
790.  サマー・オブ・84 《ネタバレ》 
連続殺人鬼も誰かの隣人だ――。1984年、6月。オレゴン州の小さな田舎町で暮らす15歳のデイビーは、何処にでも居るような平凡な男の子。仲の良いクラスメートとはくだらないエロ話で盛り上がってばかり、ジャーナリストの父との関係も普通、大した夢があるわけでもなく、憧れの幼馴染の女の子には声をかける勇気もない。そんな冴えない日々を過ごしていたある日、彼はとある重要な事実に気付いてしまうのだった。隣人で広い一軒家に一人暮らししている警察官。彼こそ、最近世間を騒がせている幼い少年ばかりを狙った連続殺人事件の真犯人なのではないか――。自分なりに観察すればするほど確信を深めていくデイビー。いてもたってもいられなくなった彼は、いつもつるんでいる仲間たちと本格的に調査を開始するのだった。果たして隣人は本当に連続殺人鬼なのか?デイビーたちの一生忘れられない夏が今、幕を開ける……。80年代を代表する数々の映画作品にオマージュを捧げた、そんなノスタルジックな雰囲気が横溢する青春スリラー。とまあ、ノリはもう完全に『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』で、他にも『グレムリン』や『E.T』などと言った有名映画への愛が溢れ出ている昔懐かしい雰囲気の作品でしたね、これ。主人公の仲間となる少年たちも、キザな不良、頭脳派の眼鏡、とろいおデブ、そして憧れの美少女と物凄くベタなんですけど、一周廻って逆に新鮮でした。それに全編を彩るテクノサウンドもホント懐かしい!肝心の隣人の警察官も最初は怪しさ爆発、でも中盤で実際は主人公の勘違いでしたと思わせといて、実は……、と言うのもベタながらアリ。警官宅に忍び込むシーンなど、不穏な音楽で「来るぞ、来るぞ」と観客の不安を煽っといて急に大きな音を出して驚かすという手法も懐かしい(若干腹立つけど!笑)。この古き良き80年代を懐かしむという点ではなかなか良かったと思います。ただちょっと残念だったのは、前半のストーリー展開が若干もたもたしてるうえにいまいち分かりづらいところかな。もう少し丁寧な演出を心掛けて欲しかったですね。そして、最後の驚きの展開は賛否が分かれるところ。でも僕はなんとなくスティーヴン・キングの『IT』っぽくてけっこう好きかも。ま、こういう作品なんで新しい部分は一切ありませんが、僕はぼちぼち楽しめました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-30 12:00:23)
791.  母なる証明 《ネタバレ》 
知的障害を持つ我が息子がある日、女子高生を殺害した罪で逮捕された。かなり深酒した息子が、夜道を歩いていた見ず知らずの少女を廃屋へと引きずり込み、暴行を加えようとしたが反撃された末の犯行だという。「こんなことあり得ない。あの子は虫も殺せないような優しい子なのよ」――。息子の潔白を信じて疑わない母親は、無罪を求めてそう世間に訴えかける。だが、出てくるのは息子に不利な証拠ばかり。警察も弁護士もマスコミもほとほと役に立たない。追い詰められた母親は、独自に調査を開始するのだった。泥酔しその夜の記憶が曖昧な息子、息子とは腐れ縁の地元のチンピラ、奔放な生活を送っていた被害少女、そして少女に弱みを握られていたという地元の有力者たち。少女を殺したのは、果たして誰なのか?事件に隠された深い闇へと踏み込んでいった母親は、やがて衝撃の真実を知ることに……。外国語映画として初めてアカデミー作品賞を受賞し今、ノリにノッているポン・ジュノ監督の代表作と言えるそんな本作、今更ながら今回鑑賞してみました。終始陰鬱で観れば観るほど気が滅入るようなお話ながら、なかなか完成度の高いダークミステリーの逸品に仕上がっていましたね、これ。二転三転するストーリー展開、母親役を演じた女優のナチュラルな演技、回想シーンの中で妖艶な魅力を放つ被害少女と、監督の才気溢れる演出にラストまでまさに一気呵成。中盤以降、もはや誰もが怪しいとしか思えない中、最後に明らかにされる衝撃的な真実。後味は最悪ながら、かなり濃密で充実した映画体験をさせていただきました。自分の子供のために母親が本当になすべきこととは何なのか?貧困の負の連鎖は永遠に続くのか?誰もが何かしら思わずにはいられない極めて深いテーマを扱った、良質の社会派ミステリー。この監督の他の作品も観てみようと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2020-03-27 13:40:19)
792.  エヴァの告白 《ネタバレ》 
1921年、ニューヨーク。戦禍を逃れ、祖国ポーランドから着の身着のままの姿でアメリカへとやって来たエヴァとその妹マグダ。不安を抱えつつも姉妹は新たな地で幸せな生活を夢見て税関に並んでいた。だが、長い劣悪な船旅から妹は深刻な肺病を患い、そのまま施設に半年間の隔離を言い渡されてしまう。そしてエヴァ自身もまた身元引受人の不備から、強制送還を宣告されてしまうのだった。八方塞がりの状況に絶望に暮れるエヴァ。そんな彼女を救ってくれたのは、見ず知らずの紳士、ブルーノだった――。戸惑いながらもエヴァは、ブルーノに言われるまま、彼の職場へとやって来る。そこは彼女のような行き場のない女たちがたむろする怪しげな劇場だった。そう、ブルーノは、表向きは多数の踊り子たちを擁する興行主でありながら、その裏では女を違法に男どもへと斡旋する女衒だったのだ。最初は拒否反応を示すエヴァだったが、行くところもお金もなかった彼女は、妹を救うために仕方なく最初の客を取らされることに。やがて彼女は幾多の男どもを手玉に取る美しき娼婦へと変貌してゆく…。激動の時代に、過酷な運命に翻弄される一人の可憐な女性エヴァの苦難に満ちた人生を描いたラブ・ロマンス。男たちの欲望と愛情を一身に惹き付ける娼婦エヴァ役には、フランスの人気女優マリオン・コティヤール。あくまで商品として女たちを扱いながらもやがてエヴァの魅力に心を掻き乱されてしまう女衒役には、最近ノリにノッている実力派ホアキン・フェニックス。彼とエヴァを取り合う奇術師役として、ジェレミー・レナ―も出演しております。この時代に多くいたであろう、こんな生き方しか出来なかった女性の悲哀は充分描けていたと思います。何よりマリオン・コティヤールの何処か陰のある美貌がこの役にぴったり嵌まっておりました。いやー、男って自分でも馬鹿だなぁと分かっているのですが、こーゆー陰のある可哀そうな女性に否応なく惹かれちゃう生き物なのです。身体だけじゃなく、彼女の心も俺色に染めあげたい――。そんな身勝手な欲望によってどんどんと身を持ち崩してしまうブルーノの心境は、男としてけっこう分かる(笑)。まあ、彼らの三角関係の描き方が浅はかだとか、ラストが幾分か中途半端だという欠点も大いに目に付く作品なのですが、僕はこの時代掛かったメロドラマを充分堪能できました。あと気になったのは、画面が終始セピア調だったこと。この時代の空気を表すためなのだろうけど、ちょっとやり過ぎ感が…。あまりにも画面が黄色過ぎて、全員アジア人に見えたぞ(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-27 13:16:18)
793.  パズル(2017) 《ネタバレ》 
切り裂きキャンプへようこそ――。それはお化け屋敷と謎解きゲームが一体化した体感型アトラクション。参加者は外部との接触を一切禁じられ、何処とも知れぬ暗い森の中に放置される。期限は、36時間。次々と訪れる危機にうまく対処し、無事に謎を解くことが出来れば多額の賞金を得ることが出来るのだ。今回、ゲームに参加するのは6人。破天荒なパンクロッカーカップル、熱心なホラー映画マニアであるデブ、無口な謎の男、介護士の青年とその彼女アレックス。誓約書を書かされ目隠しをされた彼らは、車で人里離れた山奥へと連れてこられる。それぞれ独自のアイテムが与えられ、さっそくゲームが開始されるのだった。次々と訪れる試練に当初はワクワクしながら挑戦していた彼らだったが、徐々に違和感を覚え始める。このゲーム、何かがおかしい――。すると、とうとう最初の犠牲者が!パニックへと陥る残りのメンバー。ヘロイン中毒と言う過去を持つアレックスにもまた、過酷な試練が課されるのだった…。果たして彼らは無事にこの〝殺人パズル〟を解くことが出来るのか?と言う、かつて大ヒットしたソリッド・シュチュエーション・スリラーの某有名作の影響をもろに受けちゃってる本作、違うのは被害者が強制的に参加させられていたあちらとは違い、こちらはあくまでメンバーが自主的に参加しているところ。でも、それが面白さに繋がっているかと言うと特にそんなわけもなく、むしろ設定のムリムリ感がたたってけっこう残念な結果になっちゃってます。それにとにかくテンポが悪い!こういうB級スリラーはもっとテンポよくやってくれないと。中盤、主人公が元カレの命か今カレの命かという究極の選択を迫られるというありがちな展開になるのだけど、これも森の中から海辺へと急に舞台が変わるものだから唐突感が半端ない。挙句、クライマックスはかなりのグダグダ具合でもはや痛々しいレベル。夢オチまがいのラストなんてあまりにもテキトー過ぎて怒りすら湧いてきちゃいました。観るだけ時間の無駄の凡作というほかありません。
[DVD(字幕)] 3点(2020-03-27 12:43:39)
794.  ホワイト・ボーイ・リック 《ネタバレ》 
1984年、長びく不況によりすっかり寂れてしまったアメリカの工業都市、デトロイト。人々の生活は荒み、街の隅々にまで暴力や麻薬が蔓延していた。銃の転売でなんとか生計を立てる15歳の白人少年リックもまた、先の見えない自分の人生に嫌気が差していた。根拠のない大口ばかり叩く父親はろくに働かず、麻薬中毒の姉は売人の彼氏の元へと家出、向かいに住む祖父母は人目もはばからず悪態ばかりつき、そして自分自身もまた学校にも行かず地元のチンピラたちとつるむどうしようもない日々。そんなある日、リックは突然現れたFBIの麻薬捜査官からとある提案を受ける。「今勢力を拡大しつつある黒人ギャング集団の囮捜査に協力してほしい」――。多額の報酬に惹かれ、依頼を引き受けるリック。密売人となった彼は、黒人たちから〝ホワイト・ボーイ・リック〟と呼ばれ徐々に信頼を得ていくのだった。捜査終結とともに彼の役目は終わるはずだった。だが、なんとしても貧困から抜け出したかったリックは、そのまま裏社会へどっぷりと沈み込んでゆく…。17歳にして全米屈指の麻薬王となった少年の栄光と転落の日々を実話を基にして描いたクライム・ドラマ。主役の少年を演じるのは本作がデビュー作となるまだ無名の新人なのですが、彼がほんと何処にでも居るような平凡な若者顔なので物凄くリアルで説得力抜群でした。そう、この時代のこの街にさえ生まれていなければ、彼もまた友達や彼女と平凡な青春を謳歌していただろう普通の若者に過ぎなかったはず。人生の落とし穴は何処にでも転がっているという事実に、改めて恐ろしさを感じました。この後、彼は8キロのヘロイン所持で捕まり、なんと仮釈放なしの終身刑を言い渡されてしまうのですから。情状酌量により仮釈放が認められたのは収監から30年後。人生の大半を刑務所の中で暮らすなんて、考えただけでも恐ろしい。転落のきっかけとなったのが、FBIの囮捜査だというのもなんとも皮肉です。彼の自業自得だと簡単に切り捨てることはさすがに出来ず、なんだかいろいろと考えさせられてしまいました。ちんけなダメ男をナチュラルに演じた、彼の父親役のマシュー・マコノヒーの深い愛情が唯一の救いです。ただ、事実を追うことにこだわり過ぎたのか、ドラマとして幾分か冗長に感じてしまったのが本作の惜しいところ。もう少しドラマティックに演出しても良かったのでは。とはいえ人生のリスクというものを改めて考えさせられる興味深い内容の作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-25 20:38:45)
795.  デスティニー・イン・ザ・ウォー 《ネタバレ》 
1942年、4月。太平洋戦争の真っ只中、それまで劣勢に立たされていたアメリカ軍は一気に反転攻勢へと出るため、東京への空爆を開始する。パイロットとして爆撃作戦に参加したジャックは、与えられた任務をこなし、そのまま中国重慶へと向かっていた。だが、途中で日本軍の反撃に遭い、そのまま爆撃機は中国山中へと墜落してしまう。パラシュートで何とか脱出したジャックだったが、降り立ったのは日本軍の完全なる占領地であった。敵に見つかれば命の保障はない。絶体絶命の危機に陥った彼を助けてくれたのは、村外れで幼い娘と暮らす若い未亡人インズだった――。戦争で夫を亡くしたというインズの家で、密かに暮らし始めたジャック。明日をも知れぬ生活の中で、いつしか二人は惹かれ合っていく。だが、日本軍の捜索の手は次第に迫ってきて……。戦火の中で出会った、アメリカ軍兵士と中国人の若い“寡婦”との悲恋を終始淡々と描いた歴史ラブ・ロマンス。完全中国資本の対日戦争映画ということでけっこう構えて観たのですが、日本軍の残虐描写はそこまで過剰ではなく、わりかし抑制が利いていたと思います。監督が中国人じゃないからってのもあるかもですけどね(ただ、56人のアメリカ軍を助けた報復に日本軍は25万人も中国人を殺したと言う最後のテロップには、同じ日本人として「ちょっと待てやー!」と反論したくなっちゃいましたけど)。肝心の内容の方ですが、確かに描きたいテーマも明確だし演出も細部まで丁寧だし役者陣も静かな熱演で頑張っていたしでとても好感は持てるのですが、いかんせん終始暗いんですよね、これ。内容が内容だけに暗くなっちゃうのは分かるのですが、もう少し明るい部分というか、過酷なドラマの中にも何処かに息抜きが欲しかったところ。アメリカ人を匿う寡婦の女性もなんか暗い家の中でずっと無言で機織りしてて、娘は娘で学校で苛められて泣いてるし、二人で夕飯食べるシーンも全然楽しそうじゃないし、言っちゃ悪いですけどどうにも辛気臭くて仕方ない。音楽がほとんど使われていなかったのも一因かも。とはいえ、こんなに淡々としていながら最後までちゃんと魅せきるこの監督の手腕は確かなものだと思います。要は好みの問題。僕はそこまで嵌まりませんでした。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-18 13:30:44)
796.  TOKYO! 《ネタバレ》 
その都市の名は、東京。世界中の様々な人間たちの夢や希望、憎しみや孤独、愛や欲望を丸ごと呑み込み、今もまだ増殖し続けるエキゾチック・シティだ。この特異な街を舞台に、時代の先端をゆく国際色豊かな3人の監督が独自に紡いだ摩訶不思議な3つの物語。映画監督志望の彼氏とともに、地元から上京してきた女優の卵。お互い才能もプランもないまま、友達の家へと転がり込んだ彼女は、次第に疎外感に苛まされてゆくことに。自分の居場所を求めて東京を彷徨い歩く彼女はやがて、自らに与えられた“役割”に気付いてゆく。――第1話『インテリア・デザイン』。東京の肥溜めのような地下世界からマンホールを通じて現れた隻眼の怪人は、旧日本軍が遺した手榴弾を使い無差別に日本人を殺戮してゆく。警察に捕まり、始まった裁判の中で怪人はまるで大昔の小説の主人公のように不条理な理論を展開するのだった。――第2話『メルド』。10年もの長きにわたって自宅へと引きこもっている中年の男は、土曜日にだけ頼むピザの宅配員の女の子に恋をする。だが、彼がとある“秘密”に気付いたことから彼女はお店を辞めてしまうのだった。自分の世界に閉じこもっていた男は、10年ぶりに外の世界へと出る決心をする。ただ彼女と会うために。――第3話『シェイキング東京』。第1話の監督は『エターナル・サンシャイン』で一躍時代の寵児となったミシェル・ゴンドリー。いかにも彼らしいマジカルな世界観は相変わらず健在で、このダメカップルのどうしようもない日常を気の利いた会話劇で描く前半はなかなか居心地が良かった。と思っていたら後半、彼女がまさかのメタモルフォーゼ。リアル人間椅子となった彼女はちょっぴりエロティック&グロテスクで大変グッド。ただ、いつもの彼らしいカラフルな映像は今回影を潜め、全体的に暗くて湿っぽく日常感に溢れているのは舞台が東京だからか。もっとポップさが欲しかった。6点。第2話の監督は、今回初めて作品を観たレオス・カラックス。正直、何がしたいのかさっぱり理解不能な作品だった。すんごく独り善がりな感じがして、短い作品なのにとても退屈に感じてしまった。また、若干日本人を小馬鹿にしたような表現が散見されるのも観ていて気持ちのいいものではない。4点。第3話の監督は、外国語映画として初めてアカデミー作品賞を受賞し今ノリにノッているポン・ジュノ。三本の中ではコレが一番良かった。太もものガーターのところに何故か電源ボタンが付いているピザのツンデレ配達員を演じた蒼井優がとても魅力的。他にも主人公の引きこもり描写や無人の東京の街並みなど、演出の細部にまで才気が感じられてさすがの貫禄だった。7点。というわけで、全体の平均を取って、総評としては6点。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-13 17:11:51)
797.  オーヴァーロード 《ネタバレ》 
1944年、ナチスドイツとの熾烈な戦闘が繰り返されるヨーロッパ戦線。アメリカの若き空挺部隊の兵士たちは、ドイツ軍の猛攻撃を受けながらも輸送機で目的地上空まで辿り着く。パラシュートで何とかフランスの大地へと降り立った彼らは、郊外の小さな村へと到着するのだった。生き残ったのはボイス二等兵をはじめとする4人の兵士たち。教会にナチスが建てたという電波塔を速やかに破壊せよという命令を果たすため、彼らは偶然知り合った村娘の民家を隠れ家にしてそれぞれ任務遂行への道を探る。だが、目的の教会へと忍び込んだボイス二等兵は、そこで驚くべき光景を目にするのだった――。悪魔のようなナチスの科学者たちは、村人たちを材料に恐るべき実験を繰り返していた。なんと彼らは死人たちを蘇らせ、死をも恐れぬ兵士を創り上げようとしていたのだ!圧倒的に困難な状況の中、甦った死人軍団を相手に何とか任務遂行を目指すボイスたちだったが…。対ナチスの戦争ものとゾンビパニックものの奇跡の融合というアイデア一発勝負のそんな本作、戦争もののグロにゾンビもののグロを掛け合わせるというアイデアはけっこう新鮮で、このグロの相乗効果はなかなか良い感じでした。全体的に演出のキレも良く、特に冒頭ナチスの猛攻を受けながらのパラシュート降下シーンはかなりの迫力で摑みはばっちり。中盤、主人公がナチスのうじゃうじゃ居る教会内へと忍び込むシーンなども緊迫感があって普通に楽しかったですし。ナチスの人体実験と言うよく考えればけっこう不謹慎な内容ながら、これがなかなかゾンビものとよく合う。粘液質な液体からゾンビがぬるぬる出てきたり、首だけの女性がまだ生きていたりと、その手の映画のツボはちゃんと押さえられていたのもポイント高いです。ただ、さすがに後半脚本に突っ込みどころ満載なのが本作の残念なところ。あの村娘の家に囲われていた叔母ゾンビは、いったい何のために出てきたのでしょう?クライマックスは設定のむりむり加減がたたってだいぶ破綻しかけちゃってます。そもそもこの兵士たちが何のために戦ってるのか観ていていまいち分からなくなってくるので、物語としてのカタルシスがかなり弱い。電波塔破壊かゾンビ殲滅か、焦点をどちらか一本に絞るべきでした。とはいえ、エンタメ映画としてはある一定の水準に達しているので何も考えずに観る分にはぼちぼち楽しめると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-13 16:56:32)
798.  ザ・スクエア 思いやりの聖域 《ネタバレ》 
「ザ・スクエア」は信頼と思いやりの聖域です。この中では、誰もが平等の権利と義務を持ちます――。伝統と格式を重んじる美術館でチーフ・キュレーターを務めるクリスティアンは、常に資金繰りと次々と起こる問題に奔走していた。そんなある日、彼は通勤中に掏摸に遭い、財布やスマホ、果ては祖父の形見であるカフスボタンまで盗まれてしまう。GPS機能を使い、犯人のアパートまで特定したクリスティアンは、ちょっとした思い付きから全ての部屋のポストに脅迫文を投函するのだった。「この泥棒め。僕の持ち物を返せ」と。だが、すぐに盗品が返ってくると思いきや、掏摸とは無関係の住民から面倒臭い事態が持ち上がる。そこに新たな展示作品「ザ・スクエア」の宣伝方法を巡り、世間から猛烈な批判を受ける羽目に。さらには、一夜だけの関係だと思っていた女性から責任を求められたり、破天荒な芸術家が過激なパフォーマンスを行ったりと、様々な問題が次から次へと持ち上がるのだった。果たしてクリスティアンは、無事に次の展覧会を開くことは出来るのか?上流階級に暮らすセレブたちの虚飾に塗れた生活をシニカルかつブラックに描いた、カンヌ映画祭パルムドール受賞作。何の予備知識もなく今回鑑賞してみたのですが、いかにもカンヌが好きそうな変な映画でしたね、これ。とにかく映画が終わるまでの二時間半の間、観客の神経を逆撫でするようないや~~~なエピソードをいちいち盛ってくるんですよ。それはもう徹底していて、例えばシーンの合間に必ず路上の物乞いの姿を入れ込んでみたり、トークショーでやたらと下ネタを連呼する神経症の客が居たり、セックスが終わった後に女性がひたすら使用済みのコンドームを欲しがったり、猿真似をする芸術家が暴走して暴力沙汰を起こしているのに誰もが面倒臭がって傍観していたり、極めつけは「ザ・スクエア」の宣伝のために物乞いの少女を爆破させたりと、もう細かなエピソードの一つ一つに至るまで極めて悪趣味で変態的。ここまで徹底していると逆に清々しく感じるくらいです。これらのシニカルなネタの数々を笑い飛ばすことが出来ればきっと楽しめるんでしょうけど、残念ながら僕は全然笑えませんでした。見れば見るほど不快感が高まってきて、最後の方は「もういいから早く終わってくれー」とかなりげんなり。特に暴走猿真似男と、大人に上から目線でぶちギレる子供には不快指数マックスに!ここまで徹頭徹尾人の神経を逆撫でできるのはある意味凄いと思うので、この監督きっと才能は有るんでしょうけど、僕はもういいです。
[DVD(字幕)] 5点(2020-03-13 16:33:16)
799.  バグダッド・スキャンダル 《ネタバレ》 
『石油・食糧交換プログラム』――。それはイラク戦争開戦前夜、欧米の経済制裁によって苦しむイラク国民を救うために国連主導で行われた人道援助だ。当時まだ独裁者として同国に君臨していたサダム・フセインによる大量破壊兵器開発を防ぐため、国連が窓口となって豊富な石油資源を市場価格で売却し食料や医薬品と交換してイラクへと還元させる。多くの人命を救うための人道的プログラムのはずだった。だが実際は、フセイン政権による横領や横流しが相次ぎ、さらには先進国の大手企業がその利権を巡って多くの不正行為に手を染めていた。驚くべきことに、監視者であった国連職員にまで汚職が蔓延していたのだ。若き職員マイケル・サリバンはその事実に気付き、すぐさま上司に報告するも実態は公にされることなく握りつぶされてしまう。だが、様々な国の思惑が複雑に交錯する国際情勢の中、やがてそれは国連を大きく揺るがす一大スキャンダルへと繋がっていくのだった……。本作は、200億円にも及ぶ大金が闇に消えたという実話を基にして描かれた硬派なポリティカル・サスペンスだ。主演を務めるのは若手俳優テオ・ジェームズ、他に制作も務めたというベテラン、ベン・キングズレーが名を連ねている。確かな取材や時代考証に基づいたであろう骨太な物語はなかなか見応えがあった。ニューヨークの国連本部から当時混乱を極めたイラクの首都バグダッドにまで拡がるそのスケールの大きさにも圧倒されるものがある。何より、この弱者を救うためのプログラムを利用し甘い蜜を吸い続けた、欧米各国の行き過ぎた資本の論理には戦慄させられる。人間とは、かくも欲深き生き物なのか――。「民主主義に汚職はつきものだ」と言うベン・キングズレーの言葉が重い。そんな醜い国際情勢によって翻弄される、主人公の国連職員とクルド人女性通訳との儚い恋物語は強く印象に残った。丁寧な手腕が光る政治サスペンスの逸品と言っていいだろう。ただ、こういう作品なので仕方ないのだろうが、お話として地味すぎるのが自分には少々退屈に感じてしまった。もう少しドラマティックに脚色しても良かったのではないか。世界の実態を知るという点では充分観る価値はあったが、人間ドラマとしては幾分か物足りなさの残る作品であった。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-07 01:58:19)
800.  魂のゆくえ 《ネタバレ》 
この狂った世界に、子供を生まれさせるのは間違っている――。ニューヨーク郊外に佇む、今年で創建250年を迎えた歴史ある教会「第一改革派教会」。責任者であるトラー牧師は、かつて一人息子をイラク戦争で失くし、以来神の教えに目覚めた敬虔な信者だ。孤独を愛し、ただ神の教えだけを心の糧に生きる彼は、ある日、妊娠中の女性メアリーからとある相談を受ける。環境保護活動に熱心な夫が、自分の子供を堕ろすことを強要してくるというのだ。世界はいま急速に破滅へと向かっている、この世界に子供を送り出すのは悲劇しか生まない、と。実際にトラー牧師が会ってみると、夫はただひたすら利益優先の大企業がいかに地球環境を破壊し続けているかを語り始めるのだった。また会うことを約束しその場は別れたものの、のちにトラー牧師はメアリーから更なる相談を受ける。なんと彼はガレージに自爆ベストを隠し持っているらしい。最悪の事態を想定し、ベストを持ち帰ったトラー牧師。だが、彼自身もまた、この世界に絶望を感じている自分を否定出来ないのだった……。神を信じつつもこの世界に希望を見失いはじめた、ある孤独な牧師の魂の遍歴を淡々と描いた哲学的なヒューマン・ドラマ。そんな信念の危機を迎え孤立を深めていく男を演じるのは人気俳優、イーサン・ホーク。監督は、70年代を代表する問題作『タクシー・ドライバー』の脚本を書いた、ポール・シュレイダー。ドラマティックなストーリー展開とは終始無縁、音楽もほぼ流れず、最後までただ淡々と続く暗い作品ながら、最後まで緊張感を途切れさせずに見せた監督の手腕は大したものだと思います。俳優たちの静かな熱演も素晴らしく、特に愛する者を失いながらそれでも懸命に生きようとする妻を演じたアマンダ・セイフライトは特筆に値します。この狂った世界に生きる価値などないのか――。病的な思考へと傾倒し、やがて過激な行動へと駆り立てられるこの主人公は現代の『タクシー・ドライバー』そのもの。それは間違っていると思いながらも、自爆ベルトへと袖を通す主人公にいつしか共感している自分が居ました。神なき時代を生きる現代人の苦悩に鋭く迫った、社会派の問題作と言っていいでしょう。ただ、残念だったのは後半の展開が幾分か腰砕けになってしまったところ。ここまで主人公の魂の苦悩を深く描いてきたのに、この結論はちょっと物足りない。なんなら絶望のどん底へと観客を徹底的に叩き堕とすくらいの覚悟が欲しかった。この現代に、安易な希望などいらない。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-07 01:30:47)
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