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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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821.  紅いコーリャン
全編にわたって強烈な色彩感覚の映像で、赤いというか紅い映像が強く印象に残っているけど、よく考えるとそんなシーンはそれほど多いわけではなかったです。でもチャン・イーモウには“コン・リーのイメージカラーは紅”という拘りがあったんでしょう。『初恋のきた道』ではイエローがやはり印象に残ってますし、チャン・イーモウはチャン・ツィイーとコン・リーという彼の二大ミューズを撮るときにはイメージカラーを意識していたんでしょうね。 原作はノーベル賞を貰った“中国のガルシア=マルケス”モー・イェンの小説ですから、いわゆるマジックリアリズムの世界が爆発したような映画だと言えます。だから後半に登場する日本軍は、モー・イェンのファンタジーには必須の要素だったと言えます。モー・イェンもチャン・イーモウも共産党には従順ですから、党が期待する抗日要素をぬかりなく盛り込みました、って感じです。ですからこの映画での日本軍の描かれ方については、そんなに肩に力を入れて観ることはないと思います。歴史をネタにファンタジー映画を撮ったくせに、それがノンフィクションだと観客が誤解することを期待するようなどこかのお国の大作とは、本作はレベルが違うんですよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-30 21:10:08)
822.  月世界旅行 《ネタバレ》 
世界初(?) のSF映画としてあまりにも有名。まあこの映画を観るということは、どちらかと言うと文化財を鑑賞するみたいな感じです。ルミエール兄弟は「私たちは映画の父だけど、ジョルジュ・メリエスは映画創造の父である」と言っていたそうですが、まさにメリエスの持つすべてのテクニックの集大成であると言えるでしょう。それでもいろいろと面白いことが、このわずか17分間から見えてきます。この映画はジュール・ヴェルヌが原作と言われていますが、実はその小説の挿し絵を映像化したと言った方が正しいみたいです。月面の崖から落下したら地球まで落っこちてゆくという奇想天外なシーンも、原作の挿画通りなんです。メリエスも当然男性観客のウケを狙っているわけですが、なぜかブルマみたいなものを着用しておみ足を見せびらかしている淑女たちが地球のシーンでは大勢登場するのがウケます。この時代にしては、かなり大胆な露出じゃないですか。半魚人にしか見えない月面人が、なぜか一人だけ一緒に地球までついてきちゃってるのも、まるでドリフのコントみたいで笑っちゃいました。 この映画は正直点数をつける対象なのかは微妙ですが(悪い意味じゃありません)、やはり死ぬまでに一度は観ておくべきですね。
[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2017-08-22 23:34:00)
823.  ベルファスト71 《ネタバレ》 
これはもう、『エネミー・ライン』の北アイルランド版としか言いようがないプロットです。ハリウッドのプロデューサーだったら絶対に派手なアクションをぶち込んだストーリーテリングにすること間違いなしですけど、そこは英国映画ですからとっても地味です。でもアクションじゃなくてサスペンスで勝負、といった心意気はひしひしと伝わってきます。 この映画の主人公フック二等兵が酷い目に遭わされたのも、ひとえに隊長の無能がなせる業としか言いようがないですね。いくら何でも、員数を確認せずにあんなに慌てて撤退しますかね。でも指揮官が経験不足なら、こういうことは実戦でも十分に起こりうることでしょうからリアルです。この映画の怖いところは、ただの住民の抗議行動と思っていたら、いきなり兵士が射殺されちゃうところです、それも顔に弾をぶち込むんですからもう処刑です。これで観客は「この街はとんでもない場所だ」という現実に否応もなく直面させられるわけです。はっきり言って、カトリックとプロテスタントが憎しみあっている土地だと判っていても、日本人のわたくしには心情的にはさっぱり理解できません。アングロサクソン系とケルト系の抗争だと言われても、白人と黒人の様な見た目の違いがあるわけでもないですからね。そこに加えて英軍内部にも理解不能な動きがあって、複雑すぎます。最後まで説明なしでしたが、あの軍服を着ないで両陣営に出没している軍人たちは何なんですかね?SAS? こうやって観ると、古くは『邪魔者は殺せ』から始まって英国vsIRAをプロットにした映画は多々撮られていますが、どの作品も一筋縄ではいかないクセものぞろいです。「英国vsIRA映画に外れなし」なのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-13 22:34:13)
824.  ゾンビ/ディレクターズカット完全版
名画という尊称を賜るには、①プロット②ストーリー③役者④演出、これらの要素が重要ですけど、この映画ほど①だけが突出しているのは珍しい。はっきり言って、他の部分は下手な監督が撮ったB級映画みたいなものですから。でもショッピング・モールに立て籠もるというアイデアがひらめいた瞬間に、ロメロは歴史に名を刻まれる栄誉が約束されたわけです。ゾンビになっても微かに残った本能がショッピング・モールに足を運ばせるなんて、人間ってなんと哀れな生き物なんでしょうか! まあ本作ほどサブカルと化して深読みされている映画は他にないでしょう、互角の勝負を挑めるのは『ブレードランナー』ぐらいのもんです。自分としては、ゾンビはやはりこれくらいのろまな方が好みです。ショッピング・モールの駐車場でうろついているゾンビたちが絵になるのも、このスローモーな動きがあってのものです。ロメロも晩年は社会批評家みたいに持ち上げられてましたが、このころは間違いなく受けを狙って暗中模索していただけで、別に深い考えはないんです。デビュー作では微かに感じられたゾンビが発生する原因を説明しようとする努力は本作ではきれいさっぱり無くなって、社会の動揺やサバイバルのシミュレーションみたいな撮り方です。いわば『シン・ゴジラ』の撮り方に近い、と言ったら褒めすぎでしょうか。 「世界の人間は二種類に分けられる、『ゾンビ』が好きな人と興味がない人だ」と言っていた人がいましたが、私はどちらかと言うと「興味がない人」に分類される方です。でも、さすがに本作だけは死ぬまでに一度は観ておくべきでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-07 23:51:35)
825.  ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生 《ネタバレ》 
追悼ジョージ・A・ロメロ。天寿を全うしたのかもしれないけれど、もう少し長生きしても良かったのかな。ほんとにメジャーな映画賞とは無縁な人でしたが、あと10年ぐらい生きていればオスカー名誉賞ぐらいは貰えたかもしれなかったのに、ロジャー・コーマンですら与えられてるんですからね。星の数ほどいる映画人の中でも、彼のように若くして一つのジャンルが確立されるような映画を撮って、その後50年近くそのジャンルだけで飯を食ってきたという人は、他に見当たらないです。ゾンビもの以外のロメロ作品はほんと駄作ばっかりですけど。 さてその原点となったのがこの『リビング・デッド』というわけです。正直今の眼で観れば怖いという感じは全然しませんけど、その全編に漂う禍々しさと不条理感は半端じゃないです。登場人物たちはすぐにゾンビたちに囲まれてしまうんですけど、この登場人物たちがみなキャラがえぐいというか鬱陶しいやつばかりです。ヒロインと思った女性は冒頭でゾンビに襲われてからはショックでほとんど痴呆状態、正気に戻ったらあっという間にゾンビたちの餌食。カップルさんはうっかりミスでガソリンをこぼして車ごとまる焼けにされてしまいます。仲の悪い夫婦は、夫はその卑劣な性格がたたって黒人青年に射殺されゾンビ化した娘に妻とともに喰われてしまいます。この人たちが交わす会話は、身の上話や感情的なところはほとんどなく、ただお互いに「上に行け、下に行け」といったセリフばっかりなんですが、聞いているとほんとに鬱陶しい限りです。 本作がその後のゾンビ映画と決定的に違うところは、原因はともかくとしてもほぼ一晩でゾンビたちが制圧されてしまうところです。ゾンビの出現とそれに対する社会の対応は、ロメロにとっては当時の米国の社会問題や人種問題を暗喩する材料だったんですね。ラスト近くで鳥獣よりも簡単に銃で狩られてゆくゾンビたちなんかは、実に象徴的な映像です。風刺の道具だったゾンビが大うけしてジャンルというか記号の様な無敵の存在になるとは、さすがのロメロも予想すらできなかったでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-22 23:39:46)
826.  家(1976) 《ネタバレ》 
オリヴァー・リードとカレン・ブラックが夫婦でベティ・デイビスが同居の叔母というとてつもなく濃いキャスト、もうこれだけで充分に怖いです(笑)。そこにただニヤついているだけなのにトラウマになるほど不気味な謎のグラサン運転手が登場となると、心底震えます。でもこの謎の男は画面に映るのは全編で3か所だけ、それでこれだけ強烈なインパクトを残しているとは、例の『悪魔のワルツ』の人面犬といい勝負しています。よく観ると低予算を逆手に取ったアイデア勝負じわじわ系のホラーで、感覚的には日本の怪談話に通じる怖がらせ方かと思います。 言ってしまえば『ハウス/HOUSE』を正攻法でホラーにしましたって感じですけど、製作年は『家』の方が先だし大林宣彦は本作をパロッたみたいですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-17 17:53:34)
827.  ランブルフィッシュ 《ネタバレ》 
出演俳優の面々を観ると当時はやっていたいわゆるブラットパックものの亜流かと思いきや、コッポラだけあってその手の安直映画とは明らかに一線を画す出来です。夜はなぜかいたるところで煙がたなびき、昼はやたらと窓に映る雲が流れるカットが多用されるなど、コッポラは映像派だったんだなと再認識させられた次第です。モノクロで撮った理由のひとつに、色覚異常という設定であるミッキー・ロークが見ている世界を表現していることは間違いないでしょう。その中でランブルフィッシュだけが鮮やかな色を放っているという描写は、さすが名脚本家コッポラ!と拍手を送りたいです。音響スタッフに「もっとはっきり喋ってくれ!」とミッキー・ロークは何度も文句を言われたそうですが、この終始ボソボソとセリフを呟く演技は結構よかったですよ。若き日のニコラス・ケイジもシュッとしていて、ニコジーを観て初めて“カッコよい”と思ってしまいました。 コッポラがゾエトロープがガタガタになって苦労していたころの、彼の原点に帰ったような佳作です。映画作家は小品を観るとその人の才能が判るという良い見本です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-09 15:32:38)(良:1票)
828.  1000日のアン 《ネタバレ》 
堂々たる大作ですけど、イングランドのチューダー朝時代のドロドロ劇は観ていて本当に疲れますね。アン・ブーリン役のジュヌヴィエーヴ・ビジョルド(それにしても日本人には発音しにくい名前です)はこれこそ一世一代の熱演でございます。この欧州史を大きく変えてしまった世紀のツンデレぶりをとくとご覧あれ、ですよ。彼女がごねなかったらヘンリー八世がバチカンから破門されることはなかったでしょうし、イングランドがプロテスタント国家にならなかったかもしれません。 アン・ブーリンと言えば『ブーリン家の姉妹』のナタリー・ポートマンが印象に残りますが、ビジョルドとポートマンは雰囲気が似ていますね。この役はやはり演技力だけでなく生来の強気を持った女優じゃないと務まらないじゃないかな。リチャード・バートンはヘンリー八世にしてはこれでもちょっと上品すぎる感じがしてしょうがなく、もしリメイクするならラッセル・クロウが自分のイメージにはピッタリなんです。実はこの作品にはノン・クレジットですけどエリザベス・テイラーがエキストラみたいな役で一瞬だけ登場します。仮面舞踏会の客なんですけど、仮面の隙間からチラッと見える横顔と豊満な乳はまさしくリズでした。 ちょっと冗長な感じもしましたが、この映画を観たら続けてケイト・ブランシェットの『エリザベス』を観ると良いでしょう。いや、その前に『クイーン・メリー/愛と悲しみの生涯』も観ないといけませんね。そういえばこれも監督がチャールズ・ジャレットでした、でも未だソフト化されていないレア作ですからムリです。TSUTAYAの発掘良品に期待するしかないですね…
[DVD(字幕)] 7点(2017-07-01 22:05:45)(良:1票)
829.  ゾンゲリア 《ネタバレ》 
実はわたくしもその邦題のおかげで、「どうせB級グロゾンビだろ」とこの歳になるまで敬遠していました。なんせ一時期まで『サンゲリア』と混同していたくらいですからね。ところが観てみてもうビックリ、なかなか上質のホラーじゃないですか。確かにゾンビはたくさん登場しますが、こいつらは由緒正しいブードゥー系ゾンビなのであります。なんでもブードゥー系は生前の記憶がまったくない生きた死者なのだそうで、記憶がないということがラストのオチに綺麗につながってゆくわけです。ネタバレが過ぎてしまうのであんまり詳しくは書けませんが、これはわたくしが大好きな『恐怖の足跡』系列だったというわけです。怖がらせ方もグロだけでなく心理的な見せ方も駆使していて、暗闇を進む人物の懐中電灯を持った腕だけが映ります。その腕は画面右方から伸びているので光は左側だけ放射されています。その腕の奥の暗闇から人影の様なものがぼんやりとしか判らないけど近づいてきますが、主人公は全然気が付きません。このカットには心底ゾッとさせられました。 無名の安い俳優ばかりの中で(ロバート・イングランドやリサ・マリーといったのちに世に知られる人も出ています)、やはりオスカー俳優ジャック・アルバートソンの存在は光っていました。実は9年前の『ポセイドン・アドベンチャー』から本作まで、彼は劇場映画にはまったく出演してなかったんです。そして本作公開の半年後に亡くなってますので、どうやらこれが劇場映画としては遺作みたいです。クレジットに彼担当のダイアローグ・コーチの名前があるくらいですから、撮影当時はもうかなり老化していたんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-06-25 20:08:57)
830.  穴(1957) 《ネタバレ》 
以前のレビュアーの方もおっしゃてるように、私も市川崑は”日本のビリー・ワイルダー“だったんだなと再認識させられました。コメディと言っても、邦画界でこれだけセリフ過剰な映画を上手くコントロールできる監督は稀有な存在でしょう。そしてあの京マチ子がこんなに早口なセリフのオンパレードでコメデイ演技を易々とこなせるとは全く想像を超えていました。彼女を観ていると、『ワン・ツー・スリー/ラブハント作戦』のジェームズ・キャグニ―を思い出してしまいました、そういえばこれも監督はビリー・ワイルダーでしたね。 ミステリーと言ってもこういう緩いお話しなので重箱の隅をほじくるような観方をしてもしょうがないです、でもミステリーとしても良く考え込まれた脚本だと思います。ラストの船越英二の飛び込みはちょっとシュールさすら感じる唐突ぶりですけど、そのために窓に空いた大穴の周りで、死ななかった登場人物たち全員がカーテンコール宜しく勝手なことを言い合っているところなんぞ、市川崑らしいブラックな幕切れだと感じました。 でもいちばん訳が判らなかったのは、石原慎太郎の無意味としか言いようがない出演でしょうね。もう調子に乗ってど下手な歌まで披露しちゃうんだから…
[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-06-16 23:23:15)
831.  人類創世 《ネタバレ》 
その発想は、ちょっと他に類を見ないような珍作、「こういう映画を撮ってみたい」と妄想した映画作家は多々いたかもしれませんが、それを実現させるのはある意味で偉業です。 登場する原人は、まるっきり猿人風からネアンデルタール人的な風貌、そしてどう見てもアマゾンの原住民にしか見えないのまで、多種多様です。IMDBで調べると、実はこの映画に登場する原人たちにはみんな名前があり、種族名までちゃんとついていることを知って驚きました。ちょっと首を傾げたくなるところですけど、演出上はやはりそういう配慮が必要だったんでしょうかね。現在の研究では、ホモ・サピエンス以外の人類も同時期に地球上には存在していたことが判明しています。そういうことを考えると、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人が共存している世界は自然なのかもしれません。そして容姿から考えると、ロン・パールマンたちが演じているがネアンデルタール人で、アマゾン原住民風の種族がホモ・サピエンスだと解釈するのが妥当な気がします。ということは、この映画は実はネアンデルタール人を主人公にした稀有な作品なわけです。 当たり前ですけど、誰も見たことがないし証拠もないのでこの映画の世界がリアルなのかは判りませんが、説得力がある映像なのは確かです。そしてホモ・サピエンス風の種族の進化の度合いは、他の種族に較べるとSF映画の高度な文明を持ったエイリアンと地球人ぐらいの差があります。 ラストにはこの異なる種族が交接して互いに夜空に輝くお月様を眺めるわけですが、そこにはやがて滅亡してしまう運命のネアンデルタール人の悲哀が感じられたりします。現在の人類の核遺伝子には、ネアンデルタール人特有の遺伝子が4%前後混入しているそうです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-06-09 22:28:32)
832.  動物と子供たちの詩 《ネタバレ》 
まず語っておきたいのは、オスカー歌曲賞にノミネートされたカーペンターズが歌う主題歌です。意外にもカーペンターズの歌曲がテーマソングに使われたのは、この映画だけなんです。『ふたりの誓い』もあるんじゃね?って思う人もいるかもしれませんが、あの有名な曲は確かにオスカー受賞してますけど、カーペンターズは映画公開後にカヴァーして大ヒットを飛ばしたんですね。本作で歌われた『動物と子供たちの詩』は、シンプルなメロディーラインなんですけどカレンの澄み切った歌声とのコラボレーションが絶妙で、カーペンターズの隠れた名曲だと言えます。 この映画はアメリカ特有の “サマーキャンプもの”に属しますけど、名匠スタンリー・クレイマーが撮るようなジャンルでもなかろう思いましたが、単純なジュブナイル映画とは一線を画す佳作だと思います。このサマーキャンプがまるで戸塚ヨットスクールの米国版みたいなところで、そこの最劣等班の六人の少年が主人公です。少年たちの親は裕福だけど家庭環境や育ちに難がある問題児たちで、牧場のバッファローがハンターたちに娯楽で射殺される光景を観てバッファローを逃がすためにキャンプを脱走します。ここで考えさせられるのは、この映画のプロットは一貫して少年たちの視点で展開するところです。日本でもニホンカモシカが増えすぎて個体調整のために駆除されることがたまにありますよね、ひょっとしたらこの映画でのバッファロー狩りも、そういう意図があるのかもしれません。でも少年たちはバッファローに不遇な自分たちを重ね合わせてしまい、悲劇的な結末まで暴走してしまうんです。大人たちの理屈も「バッファローは役に立たないから殺しても構わない」というかなり乱暴ですけど、この理屈を裏返すと「クジラやイルカは可愛いし知能が高そうだから、狩ってはいけない、食べてはいけない」という欧米人の身勝手な論理になるわけです。 プロット的には『スタンド・バイ・ミ―』が似ているとも言えますが、感傷的な演出を極力排して冷徹な視線で子供の世界を描いている分、本作の方が格段うえだなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-06-08 22:55:43)
833.  裏切りのサーカス 《ネタバレ》 
ゲイリー・オールドマンがまさかジョージ・スマイリー役に抜擢されるとは夢にも思っていなっかったんですけど、これが実際に演らせてみると実に素晴らしい演技です。ル‣カレのいわゆる“スマイリー五部作”で本格的に映画化されたのは本作が初めてで、そう言えば『寒い国から帰ってきたスパイ』にはチラッとスマイリーが登場していた記憶があります。TV版のアレック・ギネスが今まで最高評価だったみたいですけど、これは残念ながら観たことがありません。 確かに難解とまでは言わなくても非常に判りづらいストーリーであることは確かです。でもこれがル‣カレの原作が持つ雰囲気を見事に再現しているんじゃないでしょうか。彼のスパイ小説は、英国情報部のメンバーたちのバックボーンであるオックス・ブリッジとパブリック・スクールの狭い世界を理解していないと、読み通すのはしんどい作業になります。また派手なアクションはほぼ皆無と言って良く、スマイリーたちも拳銃を手にするシーンはありますが、発砲するわけでもない。ソ連側のスパイ・マスターであるカーラも最後まで画面に姿を見せることもなく、下手にラスボスみたいに暴れさせる安易なストーリーじゃないことにしびれますね。また70年代が時代設定とは言っても、まるで倉庫の中にオフィスがあるようなサーカス(英国情報部)の質素ぶりが英国の落ちぶれぶりが感じられていい雰囲気です。そして観てて判ってくるのがサーカスというか英国エスタブリッシュメント層のホモ率の高さじゃないでしょうか。さすがにスマイリーにはそういう趣味がないみたいな描き方ですけど、彼以外のメンバーはみんな“お友達”なんじゃないかと疑いたくなります。本作では真逆な性癖みたいなキャラになっていますけど、べネディクト・カンバーバッチが演じるピーター・ギラムも原作ではゲイだったと思います。 とても万人にはお薦めできませんが、ル‣カレのファンには必見の映画だと思います。そして世界はゲイリー・オールドマンの価値に気づいていなさ過ぎる!
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-05-20 22:18:17)
834.  チャーリー・バブルズ 《ネタバレ》 
チャーリー・バブルズはロンドン在住の若き作家。けっこう売れてて著書は映画化されたり自身でもシナリオを書いたりで有名人、稼ぎも多くてオープントップのロールスロイスを乗り回す生活。二年前に離婚したけど自宅は執事夫婦が切り盛りする豪邸で、なぜか各部屋にモニターカメラが付いていて書斎からすべてを監視できるようになっている。同業者や友人たちからは一目置かれているけど、彼自身はそんな人も羨む境遇にもなぜか馴染めない様子、つまり幸せそうじゃないんだな。そんなチャーリーがレスターに住む別れた女房から息子をサッカーの試合に連れて行けと懇願され、同居しているセクシーな女子大生の秘書と一緒にロールスロイスでレスターへの旅に出る。 英国ニューシネマの輝ける星だったころのアルバート・フィニーが今まで唯一監督した珍品です。もちろん日本未公開、ありとあらゆる映画が載っている(と勝手に自分が思っていた)allcinemaにも登録されていないというからある意味凄い。で、内容はと言いますと、このアルバート・フィニーの演じるチャーリー・バブルスが別れた妻子に会いに行くだけの話で、恐ろしいほど映画的なことは何も起こりません。冒頭で高級レストランで出会った親友とバカをしでかして遊び惚けるところは確かにキャッチ―な撮り方をしているので「おっ」ときますが、あとは基本会話劇みたいな展開です。チャーリーと登場人物たちの他愛もない会話が多いんですけど、このチャーリーが誰に対しても疲れた表情で目を合わさないような感じです。でもなぜかわたくしにはアルバート・フィニーのこの演技には魅了されました。これだけ何もないお話しで共演者も含めて惹きつける演技ができるというのは、フィニーの演出力が非凡であることの証しじゃないでしょうか。なぜか野原に放置されていた熱気球に乗ってチャーリー・バブルスが去ってゆくラストは、いかにもニューシネマらしい終わり方かと思います。 フィニー以外は地味な共演者たちでしたが、なぜかそこにブレイク前のライザ・ミネリがいるところは必見です。彼女にしては珍しいロング・ヘアーで、これもなかなか似合うじゃないかと思ったら、実は設定上はそれはカツラでフィニーとベッドを共にするときは外しちゃってトレードマークのショート・カットに戻ってしまいます。たしかにあれだけ髪が長いと、アレするときに邪魔でしょうがないでしょうけどね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-23 23:39:18)
835.  日本暗殺秘録 《ネタバレ》 
これはもう血盟団事件と小沼正のことを描いた映画だとしか言いようがありませんね。聞くところによると、実際に小沼正のことをテーマにした映画を撮るために中島貞夫と笠原和夫が脚本を書いていたら、社長命令でオールスター方式の通史形式になったんだそうです。まあそこは140分の上映時間のうち100分が血盟団事件に尺をとっていることからもうかがえます。脚本は時代を反映しているというか全共闘世代に媚びているというかアジっているような過激さで、自民党筋から製作中止の圧力がかかったというのも頷けるアナーキーさです。ラストの226事件の首謀将校たちの処刑シーンなどは、ちょっとトラウマになりそうなぐらいです。でも小沼正を演じる千葉真一は彼のフィルモグラフィ中でも屈指の名演を見せてくれます。彼は同時代の黒沢年男みたいな激情的な演技が持ち味だったんですが、本作ではそれなりに抑えた演技を見せてくれて魅力的でした。彼と悲恋の関係になる藤純子も、博徒映画の姐御というイメージを払拭させてくれる好演です。脇を固める片岡千恵蔵の井上日昭もさすが千恵蔵という存在感で、多少セリフ回しに灘がありましたがその怪物的なカリスマは圧倒的な迫力があります。 桜田門外の変から始まって226事件までの暗殺事件を取り上げていますが、犯人が処刑もしくは自害で終わらなかったのは、血盟団事件とその影響を受けたこの映画では取り上げられていない515事件だけなんですね。小沼正にいたってはこの映画の製作時にはまだ存命で撮影を見学したっていうのだから驚きです。やはりこの事件が起きた昭和一桁のころは、日本の社会はテロに甘いというかまだまだ民度が低かったと結論付けるしかないでしょうね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-04-18 20:52:56)
836.  パララックス・ビュー 《ネタバレ》 
結局パララックス社とはどういう背景の組織でなにを目的にしてるのかは判らず仕舞で映画は終わってしまうのですが、そこがいかにも70年代の映画らしくてとても雰囲気がでています。ウォーレン・ビィーティが接触してゆく人物たちも、意図的にその人物の背景を説明しない脚本が巧みで、これが余計に不安な気分にさせてくれます。光と影の陰影を強調した画面構成が素晴らしいなと思ったら、撮影監督はゴードン・ウィリスじゃないですか。あの『ゴッドファーザー』のカメラを回した人ですよ。ラストのテーブルと椅子が規則正しく並べられた体育館での暗殺シークエンスが印象に強く残ります。 監督はアラン・J・パクラですが、直後に撮った『大統領の陰謀』よりも本作の方がずっと面白いというのが正直な感想です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-08 23:29:52)
837.  ゴーストシップ 《ネタバレ》 
ここのレヴュアーの皆さんからの酷評ぶりを読むと自分の感性に自信がなくなっちゃうんですけど、告白しちゃいますと私はこの映画嫌いじゃないです、いや好きかも(笑)。 まあここは誰もが納得すると思いますけど、つかみのワイヤー人体破壊ショーから幽霊船に乗り込むまではなかなかの雰囲気じゃないでしょうか。実際に可能かどうかはともかくとしても、あの胴体真っ二つ斬りは凄すぎます。生き別れした上半身が下半身を探す女性のカットなんて、ちょっとやりすぎだろって叫びたくなります。他にもいろいろとエグい死にざまのてんこ盛りで、あのナイス・バディのフランチェスカの殺され方なんかも、ちょっと痛すぎでしょ。ここはロバート・ゼメキスの残酷趣味がさく裂してますが、スピルバーグとそのお仲間たちはほんと人体破壊がお好きですねえ。 中盤になってくると尺を考えていたのかご都合主義アクションが目立ってきます。ここも誰もが気が付くように、ホラー演出は『シャイニング』の劣化版と言ってしまっても構わないぐらいで、キューブリックが生きていたらきっと激怒して訴訟をかけてきたと思いますよ。でもよく考えてみればもっとえげつなくパクっている元ネタがあるんです、そう『ザ・グリード』なんですよ。いわば『ザ・グリード』のモンスターがあのサタンの手下に置き換えられたようなもので、ラストの客船の爆発カットなんて『ザ・グリード』そっくりの絵面ですからねえ。でもグリード・モンスターと違ってサタンの手下はやっていることが意味不明すぎます。タグボートを爆沈させる魔力があるくせに客船を操ることができない、まあ彼の代弁してあげるとすれば「豪華客船とタグボートじゃ大きさが違いすぎるだろ、しょせんサタンの手下の俺じゃ手に負えないよ」ということでしょうか(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-04-04 21:19:47)
838.  スペル 《ネタバレ》 
まるでサム・ライミが原点回帰したみたいで、嬉しくなってしまいます。やたら口からいろんなものが飛び出してきたリ、逆に口から押し込まれたりヒロインと婆さんの激闘にはもう笑うしかないでしょう。このヒロインがまた上昇志向が強い嫌な女で、途中で悪魔にいたぶられ過ぎてちょっとかわいそうになりますが、反撃に出ると口から出るのが憎々しい悪態でせっかく湧いた同情も消え失せちゃいます。またまるで3D映画みたいな撮り方をした映像で、キッチュなところがいかにもサム・ライミらしくていいですね。でもラストで地獄に連れていかれるヒロインを観て「ざまー見やがれ!」と溜飲を下げる自分がちょっと情けない(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-18 22:32:31)
839.  ミート・ザ・ペアレンツ 《ネタバレ》 
デ・ニーロが主演および製作のもうこれは鉄板としか言いようがないシチュエーション・コメディ。前年の『アナライズ・ミー』が受けたのでこの路線で行こうとの思惑が見え見えなんですが、デ・ニーロがやるんだから面白くないはずはありません。結果的には三作まで撮られる人気シリーズになるんだから、狙いは的確だったと思います。日本人じゃあまりピンときませんけど、脚本はアメリカ人にはかなり際どいネタがてんこ盛りです。だいたいWASPが多いCIA関係者の娘がユダヤ系と結婚するというプロットからして刺激的。おまけにその男のファミリー・ネームが“フォッカー”というから念が入ってます。このベン・スティラーの本名までが奇抜で、続編でも “名前ネタ”として使われるわけですからよく練られた脚本でしょう。男性としてはどうしてもベン・スティラー視線で観てしまいますからどうしようもないんですが、こんな義父だったら悪夢いがいの何者でもありません。まあ恋人のテリー・ポロもよく考えるとかなり嫌な女で、親父さんに似ていると言えます。後半になるにつれてベン・スティラーが巻き込まれるあまりに不条理なトラブルは観ていてしんどくなるほどですが、あのかなり強引なハッピーエンドへの持ち込み方はいかがなものでしょうか。こうなることはそりゃ判っていましたが、ちょっと強引すぎでしょ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-15 21:43:48)
840.  マッドマックス
ピーター・ウィアーやピーター・ジャクソン、そしてジョージ・ミラーといい70年代にデビューしたオーストラリアやニュージーランドの映画監督に共通しているのはぶっ飛んだアナーキーさだと思います。彼らは今じゃそれなりの巨匠となっていますが、その中でもミラーだけはデビュー時の狂気をはらんだアナーキーぶりをまだ濃厚に発散している感じがします。この映画はアメリカじゃヒットしなくて日本でのバカ受けが世界に広まってカルトになったそうですが、考えてみれば本作がなければ偉大なる『マッドマックス2』も生まれなかったし、つまり『北斗の拳』も誕生しなかったしストリートファイターも存在してなかったかもしれないんですよ。 中身は非常に粗削りなB級アクション以外の何者でもないんですが、これほど観る者を虜にするB級映画は滅多にありません。あの衝突シーンはスタントに死者が出たとホラを吹かれてもそりゃ納得しますよ。この映画の素晴らしいところは、広大な地平線とそれに区切られた空が下手な役者以上に演技しているとしか思えないところです。デビュー作でこんな画を見せるなんて、やはりジョージ・ミラーはただものではなかったんです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-04 22:40:04)(良:1票)
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