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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2374
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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881.  110番街交差点 《ネタバレ》 
なんてたって、タランティーノが『ジャッキー・ブラウン』で使ったボビー・ウーマックが歌う主題歌がメチャカッコよい。もっとも流れたのはタイトル・ロールだけで、タラの方が使い方としてはるかにセンスが良いのは認めざるを得ないでしょう。 この全編にみなぎる緊迫感はただもんじゃありません。マフィアとハーレムを仕切る黒人ギャングそして警察がマフィアのカネを強奪した三人組を追っての三つもどえを繰り広げるスピーディなストーリー。冒頭とラストのシークエンスを除いたほとんどのシーンが夜間撮影なのも雰囲気が出ています。もっとも当時の感度の低いフィルムで野外ロケ撮影ですから、画面が暗すぎて観にくいというのは難点ですけど。老刑事と大学出の若い黒人刑事という警察側の図式はもろ『夜の大捜査線』ですけど、アンソニー・クインの老刑事がハーレム・ギャングから賄賂をもらっていたり、ヤフェット・コット―のエリート刑事に黒人ギャングのボスが賄賂で餌付けを仕掛けたりと、はるかに人間模様がリアルです。アンソニー・フランシオサのイカレたマフィア幹部も味がありましたね。ラストの締め方の感じでは、エリート黒人刑事がこれからハーレム・ギャングとズブズブな関係になってゆくことを暗示しているみたいです。 ブラックスプロイテーション映画というとおバカ映画のイメージがありますけど、本作はそんなジャンルを飛び越した隠れた傑作と呼ぶにふさわしいと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-01-06 23:34:22)
882.  ペーパー・チェイス 《ネタバレ》 
中坊のときこの映画を観て、「大学生ってこんなに勉強しなけりゃいけないんだ」と恐れおののいたものですが、実際に入ってみるとあまりの緩さにびっくりしたもんです。まあ日米の大学教育の質はだいぶ違いますし、同じ学部とはいえ自分が入った某私大とハーヴァードを比べるなんてそりゃおこがましい限りですし、日本だってハードに勉強している大学生は存在していることはもちろん承知しております。でも邦画にはこういう勉強をテーマにして大学生活を描いた映画が皆無(とくに文系)という事実は、ある意味恐るべきことかもしれません。 小説の映像化だそうですが、よく出来た脚本です。ティモシー・ボトムズは決して上手い俳優じゃないですけど、この最後まで名前を教授に覚えてもらえなかったハート君は大好演でした。この映画は言うまでもなく『セッション』とプロットが似ています。『セッション』は教師と教え子の生きるか死ぬかの死闘という感じでしたが、こっちはあくまで人間関係の戦いに終始していますのでよりあり得るお話でリアルと言えます。この鬼教授役がジョン・ハウスマンなのですが、たしかにすごい演技だと思いますけど、劇中これだけ無表情で通してオスカー演技賞をゲットしたというのはある意味で偉業だと思います。残念なのは教授の娘役のキャラに魅力がないことで、最後まで感情移入できない女だと思いました、ハートがこの女に惹かれるのがちっとも理解できないんですから。 自分は初見のときハート君と娘の関係をキングスフィールド教授は気づいていたんじゃないかと思ってましたが、最後の最後になってもハートの名前を認識してなかったことでその回答は得られました。でもそういう疑問を観る者に抱かせるということは、この脚本と演出の巧みなところなんでしょうね。「son of a bitch!」とハート君に罵られて、「君はかなり知的なことを言った」と返す教授は、やはり大人物です(笑)。
[映画館(字幕)] 8点(2017-01-02 23:56:53)(良:1票)
883.  パワープレイ
“クーデターってやつはこうやって計画し実行するんだ”という事例を、まるでその手引書みたいにバッチリと見せていただけます。ドナルド・プレザンスといいピーター・オトゥールにしても、もうピッタリのキャスティングで文句なしです。でもある意味とてもリアルなキャラだったのはデヴィッド・ヘミングスだと感じます。始めは「誰も殺さない」なんて綺麗ごと唱えていても、実行されると敵味方に死者が続出、それでも「まあ、しゃあないか」と無関心。乗り気じゃなかったはずなのに大統領の席に座るともうにんまりと満面の笑み、こういう人って世間にゴロゴロいますから切れ者と見せておいての凡人感が半端ないです。静というかもたつき気味の前半と、打って変わってスリリングなクーデターが始まってからの後半パートのメリハリもイイ感じですね。 グラサンかけて砲塔ハッチに横座りして煙草をふかすピーター・オトゥールの姿は、ため息が出るほどカッコよかったです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-30 23:10:35)
884.  殺し屋チャーリーと6人の悪党 《ネタバレ》 
何と言いますか、邦題には勘違いなのか確信犯なのかは謎ですが、ひっかけがいっぱいです。まず「殺し屋」なんですが、このチャーリー・ウルフというキャラは殺しも営業範囲の便利屋というのが正解でしょう。ムダにカッコよい狙撃ライフルを持ってますけど、だいたい浮気妻の尾行・張り込みをする殺し屋なんて初めて観ました(笑)。自分が手を下さなくて済んだといっても、ターゲットの生死を確認しないとは杜撰極まりない。そんなお惚けサイモン・ペッグですけど、劇中では無慈悲にバシバシと人を殺すからちょっと奇妙な味わいがある物語に仕上がっています。そして「6人の悪党」ですけが、これ6人全員を悪党と言い切るのはかなり無理があるんじゃないでしょうか、とくにムキムキ・マッチョのガソリンスタンド屋くんなんかはね。この6人の中で私にツボだったのはギャンブル中毒の歯医者さんで、『ハング・オーヴァー』シリーズの歯医者のスチュを彷彿させてくれて傑作でした。なんか欧米の映画では歯医者がコケにされることが多いんじゃないかと思うけど、気のせいかな(笑)。 総括しますと『ファーゴ』のようないわゆるスモールタウンものということになりますが、ちょっとオフビートさが足りなかったところは失敗でした。でもオーストラリアのピーカン天気の中で繰り広げられるドロドロな人間模様というのも、ちょっと珍しいかなと思いますよ。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-12-27 20:12:22)
885.  処刑遊戯 《ネタバレ》 
前二作とは180度違う超ハードボイルド・タッチです。始めの方で前作のラストの銃撃戦のことがちょっと出てくるので、一応は『処刑遊戯』の後日談という体裁にはなっています。謎の女りりィ(そういえばこの人先日亡くなりましたね)が実は意外な役どころだったという展開は面白いし、シリーズでは唯一まともな脚本で撮られたといえます。多少はセリフの臭みが鼻につきますけど、本作の松田優作は彼のフィルモグラフィの中でも頂点といってよいほどのカッコよさじゃないでしょうか。反対にどうも生理的にムズムズしてしょうがなかったのが優作に殺される青木義朗の殺し屋で、優作なら許せますけど同じように臭いセリフをこの人が言ってもねえ。前作までの撮り方ならばりりィはベッドシーンで脱ぎまくってたはずなのにシーツを身体に巻いて不自然なまでの隠し様、これならもっと潔く脱ぐ女優を使った方が良かったんじゃないかと思いますが、捨て難い存在感を彼女が持っていたことは否定できません。ラストはお約束の大銃撃戦ですが、なぜか各部屋に一人ずつ敵キャラがいてこれまた一人ずつ優作に撃ち殺されていきます、これじゃあまるで最近の主観モードのシューティングゲームですよ(笑)。 そういえば森下愛子も出てましたよね、彼女の使い方はなかなかシャレていたと思いました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-12-25 22:00:09)
886.  殺人遊戯 《ネタバレ》 
村川透も二作目の監督とあって、前作よりは多少こなれてきた感もあります。『遊戯』シリーズの鳴海は名前と松田優作が演じるというだけが共通でそれぞれが別キャラみたいなもんですが、たしかに本作では『探偵物語』の工藤そのまんまというイメージが濃いですね。鳴海が使うマグナムは発砲音が『ダーティハリー』なみにグレードアップしてきましたが、他の拳銃は相変わらずショボい音です。まあとにかく鳴海はこの映画でも人を殺しまくりますけど、殺される雑魚キャラたちがひどい。さすが東映だけあって、撃たれたリアクションが大昔の時代劇の斬られ役みたいなオーバーアクションの連続で失笑させられます。さすがに佐藤慶や中島ゆたかの殺され方は堂に入っていましたが、そのあたりで使われるスローモーションはあんまり意味がないような気がします、単に尺を稼ぐためだったんでしょうかね。 前作に続いて鳴海の行動原理は理解不能で、何を考えているのか全然伝わってきません。もっともあまり深く考えて書かれた脚本じゃないのは見え見えなので、そんなこと突っ込んでもしょうがないですね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-12-22 23:50:58)
887.  ビリー・ザ・キッド/21才の生涯 《ネタバレ》 
ビリー・ザ・キッドがパット・ギャレットに射殺されるまでの短期間の物語なんですけど、まるで何も起こっていないかのような淡々とした語り口がもう渋すぎです。冒頭のパット・ギャレット射殺シーンをはじめ銃撃戦の描写は、ペキンパーお得意のスローモーションを駆使して迫力は満点です。キッドとギャレットの追跡劇をそれぞれの視点で平行して描く構成も、ペキンパーの円熟した技量の冴えを感じさせてくれます。とくにジェームズ・コバーンのギャレットが、渋さが爆発でもうカッコよいというしか言葉がありません。この人は本当に西部劇では輝く俳優だとしみじみ思いました。いま話題のボブ・ディランですが、俳優としては素人の彼に合わせたキャラクターなので、違和感なく物語に溶け込んでいます。脇を固める助演陣も、いつものペキンパー組に加えて何気に渋くて豪華な面々がそろっています。 これぞペキンパー西部劇の到達点で、その詩情はジョン・フォードを超えたといっても過言じゃないでしょう。
[ビデオ(字幕)] 9点(2016-12-19 21:28:24)
888.  ガガーリン 世界を変えた108分 《ネタバレ》 
ストーリーテリングは伝記映画としては王道というか極めてオーソドックスです。感じとしてはソ連版『ライトスタッフ』という雰囲気もあります。でもその視点にはまるで旧ソ連の時代の映画のようなところもあり、西側を「敵」と呼んだりボストークの成功を喜ぶ市民の描き方がとっても臭かったリします。あといろいろと初めて聞くような事実も盛り込まれていて、もし西側に着陸した場合に「敵」の手に渡らないようにボストークには爆薬が仕掛けられていたなんてびっくりです。でもガガーリンの帰還方法はマジで驚愕ものです。大気圏突入後に射出座席で脱出してパラシュート降下していたなんて初めて知りました。これって、もし水面に着水しちゃったらどうするつもりだったんでしょうかね、たぶん溺死でしょう。たしか私の子供ころはカプセルとともに着地したってことになってましたけど、調べてみるとそれはソ連が発表したウソだったそうです。 ガガーリンは史上初めて地球を宇宙から観た人類なんですから、その体験の意義をもう少し突っ込んで描いても良かったと思います。たとえ「そこに神はいなかった」が本当の感想だったとしてもね(“地球は青かった”という有名な言葉はジャーナリズムがこれまたでっち上げたものらしいです)。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-12-16 22:35:33)(良:1票)
889.  エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略 《ネタバレ》 
デンマークは実はヒトラーが第二次大戦で侵略した中で最短で降伏した国ということになります。1940年4月9日真夜中に侵攻が始まり半日余りで政府は降伏しドイツに占領されましたが、そりゃ第一次大戦も中立で参加していない小国ですから、ドイツと戦って国土を守れるわけがありません。同じような立場だったオランダが激しくドイツに攻められてロッテルダムまで爆撃されて大被害を受けたことを考えると、賢明な選択だったようにも思えます。でも降伏の情報を知らなかったといえドイツ軍と戦闘した部隊が存在したということは、国際政治では重要なんです。侵略に対してたとえどんな形であろうと反撃できない国家は、長い目で見れば他国から軽んじられることになるでしょう。同じゲルマン系という誼か政府は存続を許されましたが、東部戦線に義勇軍を派遣したりとドイツに協力させられました。でも老齢の国王は飛びぬけて反独で、ヒトラーからの長文の誕生祝の電報に「ありがとう」と一言だけ返信してヒトラーを激怒させたというエピソードが伝わっています。 というたった半日の戦争をデンマーク軍の側から描いた、これはデンマークじゃなきゃ撮られない貴重な映画だとおもいます。戦車や装甲車で攻めてくるドイツ軍に対して、デンマーク軍は歩兵だけで自転車で移動するというところが対照的です。この映画は彼らデンマーク兵たちが緊急招集されて訓練され、戦闘に巻き込まれて行くまでの過程をけっこう丁寧に描いていて好感が持てます。半日で終わってしまった戦争ですから壮絶に戦って全滅するなんてことはなく、最後は弾薬が尽きて降伏という淡々とした結末でデンマーク兵にもさほど戦死者は出ません。でも何が起こっているのかわからず路上に出てきた市民が戦闘に巻き込まれ、少年が射殺されるシーンはちょっとショッキングでした。 もうすっかり歴史の渦の中で忘れられた挿話なんですけど、こうやってきっちりと映像に残しておくという姿勢は大事なんですよね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-12-11 23:42:02)
890.  赤裸々な事実 《ネタバレ》 
スキャンダル雑誌の編集者にネタをつかまれて脅迫された名士たちが被害者同盟を組んで編集者を殺そうとするけど、なかなかこの男がしぶといというか名士たちがかなりのドジ揃いでちっとも上手くゆかないというお話。ネタを掴まれた4人は人気芸人・保険会社社長・女流推理作家・モデルといった顔ぶれですが、はじめは4人とも互いを知らずバラバラに動きます。また編集者を殺そうとするのはそのうちの芸人と推理作家で、社長とモデルはただあたふたしてるだけ。という接点のない4人がついにグループを結成して奇想天外な行動に出るまでの過程がなかなか可笑しいです。ピーター・セラーズは芸人役でお得意の変装芸を駆使して笑いをとりますが、変装と言っても後年の破天荒なやつとは違って髭をつけて老けるぐらいのものです。そのセラーズを意外なことに喰ってしまったのが保険会社社長のテリー・トーマスで、正直彼の方が面白かったといえます。 ラストに仕掛ける大作戦がちょっと奇抜でそこからの展開だけはスピーディなんですけど、中盤までがかなりもったりし過ぎていたのは良くなかったですね。そして期待していたブラック風味もかなり薄味だったところもマイナスだったと思います。
[DVD(字幕)] 5点(2016-12-09 23:47:58)
891.  最も危険な遊戯 《ネタバレ》 
初期の松田優作といえばなんといっても『遊戯』三部作ということになりますが、思うに『最も危険な遊戯』というタイトルは邦画史に残るカッコよさでしょう。たぶん邦画で初めて44.マグナムを使ったアクションだと思います。当時流行っていたモデルガンをそのまま使っていたんだと思いますが、あの発砲音のチープなところは何とかしてほしかったところです。マグナムだけじゃなく時おり出てくる自虐的なセリフやラストの鉄板腹巻きを観ても、松田優作はこの映画でハリー・キャラハンというかイーストウッドを目指していた感じがします。でもイーストウッドを遥かに凌ぐ身体能力があるので、彼独自のアクション世界が構築されていると思います。彼が病院に忍び込むシークエンスで、見張りの背後の塀に猫みたいに上ってくるシーンがありますが、普通に考えれば音や気配で気づくでしょうが優作ならあり得るんじゃないかと思わせる説得力があります。あと車を延々と走って追いかけるところも、彼なら許されるんじゃないですか。 ストーリーも粗削りというか雑の一言ですが、やっぱ見どころは田坂圭子でしょう。東映の悪いところで女性の描き方はこれまた雑なんですけど、彼女のヌードは眼福でした。本作だけで女優をやめてしまったそうで、調べてみるとその理由については真偽不明の噂がありますが、これだけってのはちょっと残念ですね。
[映画館(邦画)] 5点(2016-12-07 18:11:34)
892.  不思議な世界・未来戦争の恐怖 《ネタバレ》 
リチャード・レスターといえばケン・ラッセルといい勝負ができる英国映画界の鬼才ですが(もっともレスターは米国人ですけど)、そのフィルモグラフィの中でももっともカルトで奇天烈なのが本作でしょう。自分もいろいろと映画を観てきましたが、本作はその奇妙さではベスト5にランクインできる珍作です。 なぜか核戦争が起こってしまってロンドンは核ミサイル直撃されて文字通り蒸発、まあ世界大戦じたいは2分30秒で終結してしまったそうですが。そういう設定なので壊滅後のロンドンは地表には車の残骸や食器が散乱するほとんどなんもない荒地で、どっかのゴミ捨て場みたいなところロケしたみたいです。映画の雰囲気はそういえば『不思議惑星キンザザ』に似ているとも言えますけど、登場人物の奇天烈さと薄汚さははるかに凌駕してます。もう出てくる連中がヘンな奴ばっかり、そして見せられるギャグは下らないを通り越してシュール過ぎ、さすがに訳が判らず全然笑えません(でもBBCニュースのキャスターのくだりだけは傑作)。しかし放射能の影響で人間が部屋や家具といった無機物や動物に変化してしまうというのは、なんかカフカ的な不条理が感じられてちょっと面白かったです。登場人物の中でもラルフ・リチャードソンはなぜか“部屋”に変身しちゃいます、それにしてもサーの称号を持つ名優なのにこの人けっこう前衛的というかヘンな映画によく出てますよね。ローレンス・オリヴィエやジョン・ギールグッドに比べるとその傾向は顕著で、けっこう茶目っ気がある人だったのかもしれません。 本作はもちろん本邦未公開、本国でもあわやおクラ入りされかけたといういわくつきで、さすがのリチャード・レスターも好き勝手に撮ることはできなくなって以降は単なる職人監督としてしか映画界で生きることができなくなりました。それを思うと、我が愛するケン・ラッセルは死ぬまで好き勝手し放題できて幸福だったんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 5点(2016-12-03 23:21:15)
893.  俺達に墓はない 《ネタバレ》 
松田優作と岩城滉一がコンビ、この関係は『傷だらけの天使』のショーケンと水谷豊みたいな感じです。岩城滉一がおカマというかバイセクシャルであるという設定も似ていますね。でもこの映画の松田優作はとぼけたセリフ回しはしてますがかなりの悪人です。冒頭からヤクザの事務所を襲撃するのに必要な銃を調達するために爆弾騒ぎを起こしてデパート強盗をやらかします。相棒の岩城滉一がと事務所に突入すると、金庫のやばいお金にに目をつけていた志賀勝に先を越されて2000万円持ってかれてしまいます。これが縁でコンビを組んだ優作と志賀勝とのけ者にされた岩城滉一が、次の6000万円強奪を巡って三つ巴の争いを繰り広げるというわけです。 Vシネマのご先祖にあたる東映セントラルフィルムの作品ですから、緩いところは満載です。志賀勝がヤクザの車から逃げ出すところなんか、「そんな間抜けなヤクザはおらんやろ!」と遠慮なく突っ込ませていただきました。低予算なんでとうぜん街頭ロケ多用なんですが、すれ違った通行人が「今のは松田優作だ」とあきらかに気が付くリアクションまでそのまま使われていて、ほとんどゲリラ撮影だったみたいです。でも当時の東映セントラルの作品には欠かせないカー・アクションだけはなかなか力が入っています。主役とは言えないにしても、これほど志賀勝が活躍(?)する映画は初めてのような気がします。全体的にハードボイルドというにはちょっと圧が低いような感じですし、あの結末は予想外としか言いようがないもので、ある意味予測不可能なストーリーだったんじゃないでしょうか。 それにしてもあの東映セントラルのマークは久しぶりに観たけど懐かしいですね、場末の便所臭い名画座なんかでこのロゴを何回観たことでしょうか。青春の思い出です。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-12-01 20:08:55)(良:1票)
894.  コードネーム U.N.C.L.E. 《ネタバレ》 
実に手堅いリメイクですが、プロットはかなり再構築されていてシリーズ化する気は満々とお見受けいたしました。ダニエル・クレイグになってからの007シリーズがマッチョでハードボイルド路線になっていますので、この軽いノリで観られるスパイものはけっこう需要があるんじゃないでしょうか。オリジナルのTV版は実は観たことがないんですけど、CIAとKGBのエースがコンビを組むという設定はなかなか面白いと思います。 監督はガイ・リッチーですから、彼にとってはこれぐらいは当たり前という仕上がりです。登場人物の発言をちょっと後で時間をさかのぼって解き明かすという話法が多用されていますけど、これはなかなか新鮮な語り口かと思います。あとスプリット・スクリーンのショットも使われていますが、これはセンスの悪い監督だと無残なことになるのにさすがガイ・リッチーですから効果的ですね。強いて難点を挙げるとすると、悪役夫婦のキャラが弱かったところと、デヴィッド・ベッカムがカメオ出演してるらしいのに「えっ、どこに出てたの?」って感じだったことでしょうか(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-29 16:18:23)
895.  マイ・ファニー・レディ 《ネタバレ》 
『ラスト・ショー』や『ペーパー・ムーン』などの映画史に残る名作を70年代撮ったピーター・ボククダノヴィッチ、いつの間にか名前を聞くことがなくなりましたが、あの頃の勢いを考えるとウディ・アレンと並んで現代アメリカ映画界を代表する名匠になっていてもおかしく無かったんですけどね。彼が失速し始めるのと同時期にアレンの快進撃が始まったという事実も、なんか皮肉なことですけど。 久しぶりに観たボクダノヴィッチ映画はオープニングの雰囲気やスートーリーテリングはウディ・アレンにそっくり、おまけに主役がオーウェン・ウィルソンですから、「なんかどっかで観たような…」とデジャヴ感が満開です。お話しはブロードウェイの舞台製作をめぐるいわゆるシットコムです。演出家のウィルソンが遊んだコール・ガールが女優の卵で舞台のオーディションにやって来て…という展開なんですけど、まずこのコール・ガール役のイモージェン・プーツがなかなかのキュートでよろしい。この娘と演出家を巡って、「おいおい、いくら何でもそこまで世間は狭くないだろ」というほとんどドタバタコメディと言っていいぐらいのお話なんです。冷静に考えると実にくだらないストーリーとも言えますが、ストーリーテリングの軽妙洒脱さと役者たちのそれぞれのツボにはまった演技のおかげで、これはけっこう愉しめました。かつてのボクダノヴィッチ作品のミューズ、シビル・シェパードとテイタム・オニールがちょい役で顔を見せてるのも見逃せません。シビル・シェパードは予想通りの劣化ぶり(演技の方じゃありません)でしたが、ウェイトレス役でちらっと出てくるテイタムちゃんにはびっくりさせられました。そりゃおばさんなのはしょうがないですけど、あんなムッチリでしかも巨乳になっていたとは、ほんと我が眼を疑いました。まさか特殊メイクじゃないでしょうけど(笑)。でも最後の最後で登場するタランティーノの方がやっぱサプライズ度が高いでしょう、こんな使い方ってアリ? 最後にネタバレされますけど、劇中でオーウェン・ウィルソンが使う口説き文句が実はエルンスト・ルビッチの『小間使い』でのシャルル・ボワイエのセリフだったというオチ、こんな洒落はシネフィルであるボクダノヴィッチらしくてほっこりさせてくれる終わり方です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-28 20:21:34)(良:2票)
896.  ナイトクローラー 《ネタバレ》 
観る者を不快にさせる映画としてよく『ファニー・ゲーム』が引き合いにされますけど、私にとっては『ファニー・ゲーム』なんてかわいいものに感じるぐらい、今までに観た今世紀の映画で最悪に不快にさせてもらえた映画でした。この映画のたちの悪いところは『ファニー・ゲーム』の例の巻き戻しシーンと違って決定的に観客が席を立ちたくなるような破断点がないことで、かく言う自分もこのゲス野郎に最後は正義の鉄槌か天罰が下ることを願いながら観続けたのに、まさか最後はサクセスストーリーだったとは…最高に後味悪しです。でも映画としての完成度は高いことは間違いないです。ジェイク・ギレンホールの見事な役作りにも完敗しました。確かに『タクシー・ドライバー』のトラヴィスを彷彿させるところはありますけど、本作のルー・ブルームと決定的に違うところはトラヴィスには他者が見て「善」と感じられなくもないものを心の中に持っているところでしょう。このルーという人間には「心」がないんですよね。劇中ディレクターと助手以外の人間との自分からの接触はほとんど皆無、そしてセミナーなんかでよく使う怪しげな経営理論を妙に落ち着いた口調でまくし立て続けるのもたまらなく不愉快です。レネ・ルッソの演じるディレクターとは肉体関係を持ったことはセリフのやり取りから判りますが、映像としてはいっさい二人の関わりを見せないところなんて実によく練られた脚本だと思います。 よく出来た映画だと思いますが、難点としては「二度と観たくない」と軽いトラウマになってしまうことですね(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-25 20:59:48)
897.  カットバンク 《ネタバレ》 
アメリカ映画の中でもいわゆる“スモール・タウン”ものは最恐のジャンルじゃないかと自分は思っています。本作もその“スモール・タウン”のひとつですが、観てのとおりで『ファーゴ』によく似た物語です。 舞台となるのはカットバンクというスオール・タウンで、売り文句が「全米で一番寒い町」というど田舎ですが、町の入り口に変なモニュメントが建っているところは『ファーゴ』とそっくりです。誘拐と殺人の違いはありますが事件が主人公の狂言であるところは一緒、共犯者がネイティヴ・アメリカンというところも共通です。『ファーゴ』でフランシス・マクドーマンドが演じた役柄に相当するのがジョン・マルコヴィッチのシェリフというわけです。ビリー・ボブ・ソーントンは『ファーゴ』のハーヴ・ブレスネルと似たようなキャラということになりそうです。でも『ファーゴ』と決定的に違うところは、ストーリー・テリングにオフ・ビート感が皆無なところでしょう。その代り狂言が狂い始めてからは、ちょっと予測しがたい展開になってきます。そこに登場してくるのがダービー・ミルトンという不気味なオタクじみた男で、此奴が実に気持ちが悪い。演じるマイケル・スタールバーグは素顔はごく普通のイケメンなんで、これはかなりの演技力の持ち主とお見受けいたします。この男に届くはずだった小包が狂言殺人のせいで行方不明になってしまったのが、主人公の計画が狂い始めるきっかけとなります。 この映画の難点はいろいろとスモール・タウン的な要素をちりばめてはいますが、これが有機的な効果を上げていないところになるでしょう。主人公の植物人間化した父親やガールフレンドのミスコン挑戦など、伏線として使えるプロットなのにどうも上手く生かされていないし、オリヴァー・プラットの郵政監察官なんてひどくストーリーから浮いていた気がします。 ラストは『ファーゴ』と違ってちょっと救いがありますが、これはこれで良かったかなと思います。でも全体的に中途半端な脚本のせいもあり、これだけ芸達者を揃えているのでもう少し何とかならなかったのかと残念です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-11-25 17:55:00)
898.  赤い天使 《ネタバレ》 
なんでも増村・若尾コンビは全部で20本ああるそうですが、たぶん本作がその最高傑作というか極北に位置することは間違いないでしょう(全部観てるわけでもないのに偉そうですが)。だってほんと凄いんだもの、現役の映画作家ではその描写のエグさ・凄まじさはとうてい真似できないと思います。そりゃエグいスプラッターは日本でも撮られていますが、両腕を切断された兵士の性処理をナースがしてあげる描写なんて、当たり障りのない題材にしか手を出さないを製作委員会方式が幅を利かせている現状では絶対にありえません。まるで魚を捌くように手足を切り落としてゆく野戦病院、そして「俺は人命を救っているんじゃなくて〇〇〇を量産しているようなもんだ」と自嘲する軍医、ここら辺は『ジョニーは戦場に行った』に通じる不条理があって究極の反戦映画とも言えそうです。若尾文子もいい思いをさせてもらった男はみんな黄泉の国へ引っ張って行っちゃう、これじゃまるで“死の天使”ではございませんか。芦田伸介と二人で兵隊コスプレで始まるどう見たっての変態プレイはちょっと異様ですけど必見です。 増村作品の若尾文子はブレるところはあっても一途な女性というパターンが多いけど、それは本作の西さくらが完成形でしょう。ここは好みが分かれるところかもしれませんが、自分は川島雄三作品の若尾文子も捨てがたい魅力があると思ってます。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2016-11-14 23:29:10)
899.  1984(1984)
こんなに有名な原作なのに、いままで映画化されたのは50年代のハリウッド映画と本作だけというのは意外です。でも影響を受けた映画となるともう数知れずで、『未来世紀ブラジル』なんてもう完璧な『1984年』のパロディですからね。 さて『1984年』の唯一の完全映像化作品となる本作ですが、名優リチャード・バートンの遺作でありまたわが国で初めてヘアー解禁された劇場公開映画として知られています。ジョン・ハートにリチャード・バートン、陰鬱なストーリーには持って来いの二人ですからこの映画のキャスティングとしてはハマりすぎです。ヒロインはほとんど無名の地味な女優だし、これじゃ気分が上がる要素は皆無ですね(笑)。また全体主義体制の社会がマジで「こんな世界に生まれていなくてほんとに良かった」と安堵させられる代物で、昔のソ連や東欧諸国ではこんな映画を上映したら処刑か収容所送りは間違いなしでしょう。“ビッグ・ブラザー”はスターリンのカリカチュアとして有名ですけど、物語の中では実在するのか不明な存在として描かれているところはなかなか深いものがある思いました。 でもね、この映画を観て愉しめるかというと、それは全くの別問題。いろいろ考えさせられることも多かったですが、気分が落ち込んでいるときに観てはいけませんよ。
[ビデオ(字幕)] 5点(2016-11-12 22:18:59)(良:1票)
900.  バッド・テイスト
素人感丸出しの俳優たちの下手な演技にまるでカーペンター親父みたいにチープな音楽(でもラストに流れるロックはちょっとカッコよかったな)、おまけに画面には女優が一人も登場しないといういかにもマニアが撮った自主製作映画という風情です。エイリアンもどっかのゆるキャラみたいな不格好さで、後半の救出劇はSWAT対テロリスト、というよりも好きものが集まってサバゲ―をやってる感じでしょうか。でもスプラッター描写だけは半端なくて親玉エイリアンを人間串刺し殺法で始末するところなんかは、こんなこと思いつくなんてやっぱピージャクは頭がおかしいとしか言いようがないです。完全に狂ってるデレクをあんだけ嬉しそうに演じてるのを観ると、これが後年オスカー総なめする大作を撮る人になるとは想像すらできないですよ。やっぱピージャクはオタクの輝ける星です。
[ビデオ(字幕)] 5点(2016-11-08 23:36:50)
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