Menu
 > レビュワー
 > かたゆき さんの口コミ一覧。47ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1865
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
8182838485868788899091929394
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
8182838485868788899091929394
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
8182838485868788899091929394
>> カレンダー表示
>> 通常表示
921.  フライト・ゲーム 《ネタバレ》 
最愛の娘を病気で亡くし、以来酒浸りのアル中となってしまった航空保安官ビル。その日も、コーヒーに混ぜたウィスキーを呷り、彼は担当するロンドン行きの旅客機へと乗り込むことに。乗員乗客150名と供に今日も平穏なフライトになる予定だった。ビルの携帯端末にそのメールが届くまでは――。「20分以内にこの口座に1億5千万ドルを振り込め。入金が確認できなければ乗客のうちの誰かを殺す」。まるで自分のことを近くから観察しているかのような犯人の脅迫文に、ビルの緊張感は一気に高まるのだった。コカインの密輸に手を染めていた同僚、アラブ系の医師、何故か自分の隣に座りたがった女性、正義感の強いNY市警、急遽乗り合わせることになったCA…。乗客乗員誰もが容疑者となる中、とうとう最初の犠牲者が発生するのだった。決死の覚悟で犯人探しに奔走するビルだったが、入金先の口座が自分名義であることが分かり、疑いの目は自分にまで向けられてしまう……。果たして犯人は誰なのか?ビルは無事にこの150名を乗せた旅客機を地上へと着陸させることが出来るのか?最近、すっかりアクション俳優としての顔が定着してしまったリーアム・ニーソンの新たな主演作は、そんな密閉された空間で序盤からノンストップで展開されるフライト・アクションでした。一言で言ってしまえばワン・シュチュエーションのベタなスリラーなんですが、そこはこれまでエンタメ映画の良品を幾つかものしてきたセラ監督(これはちょっと…ってのも中にはあったけどね笑)、ツボを押さえた演出と練られた脚本、そしてリーアム・ニーソンを初めとする何気に豪華な役者陣競演で最後まで一気に見せる娯楽映画としてなかなか面白かったです。特に、見れば見るほど誰も(主人公含む)が怪しく見えてしまうこのミスリードの巧みさはなかなかのもの。携帯のメール文を画面に映し込む演出もなかなか冴えてました(壊れてしまった画面をそのまま映すとかナイス!)。そして、クライマックスで一気に爆発する畳み掛けるようなアクションシーンにもテンション上がりまくり!まあ、観終わって冷静に思いなおしてみたらけっこう「?」な部分もあったし、強く印象に残るようなシーンなりエピソードなりが乏しいせいで1週間後にはすっかり忘れてしまいそうな内容ではあったけど、ぼちぼち面白かった!6点!!
[DVD(字幕)] 6点(2015-08-07 15:12:30)
922.  余命90分の男 《ネタバレ》 
最愛の息子を事故で亡くしてから、常に怒ってばかりの偏屈オヤジになってしまい誰からも嫌われる孤独な男、ヘンリー。健康診断の結果を聞きに病院へと向かった彼は、そこに現れた代理の若い女性医師シャロンから衝撃の事実を聞かされる。脳動脈瘤。その病名に到底納得できない彼は、そこで彼女と酷い口論となってしまうのだった。一方、唯一の心の慰めであった飼い猫を亡くしたばかりのシャロンは、彼の理不尽な物言いについつい激高して出鱈目な余命を告げてしまう。「そうよ、あなたの余命は90分!せいぜい悔いのないようにね!」――。常に怒ってばかりで家族からも見放された偏屈オヤジは、その短い時間で自分を見つめ直そうとするのだが……。名優ロビン・ウィリアムスの最後の主演作となったのは、そんな終始小気味よく進む軽いタッチのヒューマン・コメディでした。さすがに余命90分というのを簡単に信じ込んじゃう主人公には違和感があるし、なのに映画の上映時間が84分しかないというのもご愛嬌だけど、まあ最後まで軽~い感じで観ていられる娯楽作としてなかなか面白かったです。最後のセックスをしようと別居中の嫁の家へと乗り込んじゃう主人公とか、まあアホですよね(笑)。そんな一向に共感できない主人公なのですが、自分のキャリアを潰されまいと彼のことを追いかけて街を駆けずり回る一方の女性主人公シャロンが好対照をなしていて、作品にいいアクセントを与えておりました。うん、気軽に観られるエンタメ映画としては、ぼちぼち面白かったんじゃないでしょうか。以下、個人的な感想。そんな精神的に問題を抱えている主人公を演じた名優ロビン・ウィリアムズ。この映画に主演したのを最後に、彼が長年の闘病生活の果てに自死を選んだことは周知の事実でしょう。結果論とはいえ、このすぐ後に自ら命を絶つことになる人が、これから自殺しようという人間を演じるのはやはり見ていて痛々しいものがあります。映画の中の彼にはちゃんと救ってくれる人がいて助かったのですが、現実での彼にそんな人がいなかったことがつくづく残念でなりません。「ここで死んだらあなたの人生も周りの人々も取り返しがつかなくなる」という劇中でのミラ・クニスの言葉が彼の心に届くことはなかった。遺された僕たちは、哀しいですが、彼のご冥福を祈ることしかできません。
[DVD(字幕)] 6点(2015-08-02 10:15:16)
923.  バッド・エデュケーション(2004) 《ネタバレ》 
1980年、マドリード。スランプを迎えている若き映画監督エンリケの元に、幼馴染みの俳優イグナシオが訪ねてくる。「突然だけど、これは俺が書いた脚本なんだ。是非とも読んでくれ」。16年ぶりに会った、神学校時代のかつての同級生にそう手渡された脚本のタイトルは『訪れ』。戸惑いながらもページを捲ったエンリケは、そこに自分が知らなかった彼の悲惨な過去が書かれていることを知るのだった。これはもしかしたら傑作になるかもしれない――。自分を主役にしてくれというイグナシオの要求を呑み、エンリケは新作映画の撮影を開始する。生粋のゲイでもあるエンリケは、撮影が進むうちにいつしか彼と性的関係を結ぶまでになるのだった。だが、そこから彼らの失われた過去と現在、隠していた嘘と真実、再び芽生えた愛と憎しみがまるでタペストリーの複雑な模様のように交錯していく……。自らゲイであることを公言して止まない、ペドロ・アルモドバル監督が自らの半生を元にして描くそんな半自伝的作品は、とにかく複雑な構造を有した映画でありました。物語は、まずそんなスランプ気味の映画監督の元に売れない俳優が“訪れ”ることから始まります。そこから彼が書いたという自伝的脚本の子供時代の物語へと移行し、そこでは10歳のころに学校の神父によって性的虐待を受けたという彼の衝撃的な過去が明らかとなります。そしてその脚本はまた現在へと戻り、撮影中の映画の中の出来事と監督と脚本を書いた主演俳優という現実の2人の関係がまるで二重写しのように描かれていく。アルモドバルって毎回、お話自体は極めて単純なのにこうした複雑なアプローチでもって意欲的な作品を創る天才だと僕は思っているのですが、残念ながら本作はそんな自らの技巧に溺れてしまったのか、その複雑な構造が作品としていまいち巧く機能していないような印象を持ってしまいました。赤を基調とした情熱的な映像美とこちらにまで汗の匂いが漂ってきそうな俳優陣の肉感的な魅力など、いかにもアルモドバルらしい耽美的な世界観は今回も堪能できましたけれど、彼の幾つもの傑作群に比べるとどうしても若干劣ってしまうかなぁというのが僕の率直な感想です。やっぱりアルモドバルって、男性を撮るより女性を撮った方がその実力を遥かに発揮できるような気がします。
[DVD(字幕)] 6点(2015-07-30 12:49:59)
924.  ザ・ベイ 《ネタバレ》 
2009年、7月4日。穏やかな港湾に面したアメリカの地方都市クラリッジはその日、独立記念日の祭典に沸いていた。花火が打ち上げられ、たくさんの屋台が道路に軒を連ね、海岸ではカニ早食い競争が開催されていた。人々は朝からビールを飲み、そんな平和な夏の休日を満喫していたのだった。だが…、彼らはまだ知らない。海に隣接する大きな養鶏場から連日のように廃棄される鶏の糞には危険な科学物質が大量に含まれていて、さらにはそんな危険物質を含んだ海水が市の“海水淡水化事業”により、人々の飲み水として大量に供給されていたことを――。化学物質の影響で突然変異を起こした恐ろしい寄生虫によって、突如として阿鼻叫喚の地獄絵図へと変貌してしまった港湾都市の悲劇を、遺された大量の映像で再構築して見せるモンスター・パニック作品。こういうジャンルにありがちな所謂フェイク・ドキュメンタリーというスタイルで撮られた作品なのですが、そこはさすがアカデミー賞の栄誉に輝くバリー・レヴィンソン監督。取材していたテレビカメラの映像や、監視カメラ、実家へと帰省する若い夫婦のプライベートビデオ、パトカーの記録映像、当事者によってネットへと投稿された動画などなど、様々なフェイク映像を抜群の編集センスによって繋ぎ合わせることで、この手の作品によくある“視点が最後まで変わらないのでストーリー展開が単調になりがち”という弱点を見事に克服しておりました。最後まで全く緊張感を途切れさせずに見せ切るこのサスペンスフルなストーリーはなかなかのクオリティ。被害者の身体の中や魚の体内に蠢く寄生虫たちの見ているだけで鳥肌立ちまくりの悶絶気持ち悪さといったら、もうトラウマもの!!それに群像劇としてもなかなか良く出来ていたんじゃないでしょうか。ただ、「これからこの超気持ち悪~いこいつらが大量発生して生き残った人々をさらに殺し捲るんだろー。もうヤバいってーー!」とワクワクしながら観ていたのですが、最後はけっこう呆気なく終わっちゃったのが残念!こういうモンスター・パニックもののクライマックスは、やっぱりもっとやり過ぎってくらい無茶苦茶な阿鼻叫喚にしてもらわないと。と、そこだけ残念ではありましたけれど、全体的には気軽に観られるB級パニック映画として、僕は充分楽しめました。ただ、これから食事しようという方(特に魚料理!笑)は観ない方がいいかもね~。確実に食欲がなくなります!!
[DVD(字幕)] 6点(2015-07-13 22:24:33)(良:1票)
925.  ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! 《ネタバレ》 
最近、レビューがどんどんと長文になりがちなので、今回は簡潔に。これまで様々なジャンルをパロディにしたコメディ映画を幾つも作り続けてきたジョー・ライト監督が、いつもの仲間たちとともに新たに挑んだSF酔っ払いコメディ。まあ、個人的な感想を述べるならば『ショーン・オブ・ザ・デッド』未満、『ホットファズ』以上といった感じですかね。つまり、「可もなく不可もなく」という映画でありました(ちなみに、『ショーン・オブ・ザ・デッド』は傑作!)。そこそこ観ていられますが、うーん、特に心に残る部分はなかったかなぁ。後半のぶっ飛んだ怒涛の展開はいつものように楽しかったけど、前半の展開がちょっとかったるかったっすかね。それに、主人公がアル中という設定なので、かつてアル中一歩手前だった僕としてはあのころのどうしようもない自分を思い出してちょっと笑えなかったです。酒のせいで友達全員に嫌われてしまった主人公がもろ昔の自分を見ているようでちと辛い…。って、今回も全然簡潔にならなかったですね(笑)。まあ、酒でも飲みながら、肩肘張らずに観るには充分楽しめる作品であったと思いま~す。皆さん、お酒は飲んでも呑まれないように気をつけよう!
[DVD(字幕)] 6点(2015-06-20 14:28:36)
926.  ウォールフラワー 《ネタバレ》 
なあ、みんな、聞いてくれ。今日はチャーリーに乾杯しようと思う。理由はいい。君に乾杯したいんだ、新しい友人に。君はいつも壁際でみんなを観察して見守る。そう、“ウォールフラワー(壁の花)”だ――。地味で人付き合いが苦手な大人しい青年、チャーリー。仲の良かった親友を自殺でなくし、精神的に不安定だった彼は、新しく入学した高校でもみんなから無視される孤独な日々を過ごしていた。ところがある日、チャーリーは自由奔放に生きる兄妹パトリックとサムに出会うのだった。兄であるパトリックは面倒見のいいゲイ、妹のサムはよからぬ噂が付き纏うもののその心には芯の強い純粋さを隠し持っている魅力的な女の子。社会のはみ出し者を自認する彼らやその仲間たちと共に過ごしていくうちに、チャーリーはその硬い石の花のようだった心を、少しずつ開花させてゆく…。アメリカでベストセラーとなった青春小説を基に、原作者自身がメガホンを取って瑞々しく描き出す青春ラブ・ストーリー。美しい映像やセンス溢れる音楽、そして主人公を優しく導いていく魅力的なキャラクターとで、こういう鬱屈した想いを心に抱えた青年の成長物語をスタイリッシュに描いた作品ってけっこう僕の好みなんだけど、うーん、確かに頑張っているのは分かるのだけど、映画製作に関してはずぶの素人に過ぎない原作者自身が監督を務めたのはちょっと無理があったのでは。原作となった小説は読んでいないのでなんとも言えないのですが、ちょっと映画としてはエピソードを盛り込みすぎて何を一番メインに描きたかったのかがいまいち分かり辛いという印象を僕は持ってしまいました。主人公チャーリーを取り巻く仲間たちとのエピソードと、最後に明かされる彼のトラウマ克服の物語がいまいち上手く絡み合っていないような気がします。それに、肝心の主人公を表す“ウォールフラワー”という比喩も残念ながら僕は最後までピンとこなかったです。ここはやっぱり青春映画の名手であるラッセ・ハルストレムやガス・ヴァン・サントとかに任せた方が良かったような…。とはいえ、主役を演じた俳優陣のナチュラルな演技は充分見応えあったし(特にエマ・ワトソンのコケティッシュな魅力は、『ギルバート・グレイプ』のころのジュリエット・ルイスを髣髴させました)、デビッド・ボウイの名曲「ヒーローズ」の扱いも良かったしで、普通に青春映画としてけっこう頑張っていたと思います。うん、一見の価値はあるよん。
[DVD(字幕)] 6点(2015-06-05 00:18:49)(良:1票)
927.  複製された男 《ネタバレ》 
大学で教鞭をとる歴史学者アダム。素敵な恋人にも恵まれ、なんとなく物足りないものを感じながらもそれなりに幸せな日々を過ごしている。ところがある日、彼はある映画の端役に自分と瓜二つの男が主演しているのを発見するのだった。役者の名はアンソニー、妊娠中の妻と過ごす売れない三流俳優だった。なんとかしてそんなアンソニーとコンタクトを取ることに成功したアダム。恐る恐る彼と会ってみると信じられないくらい自分と瓜二つであることが分かるのだった。そう、まるで最新鋭の技術で複製されたかのように……。冒頭から、くすんだイエローを基調としたダークで美しい映像と不安感をひたすら煽る音楽とでそんなミステリアスな世界へと観客を惹き込んでゆきます。胸の古傷までそっくりの二人の男、「きっとこれは、そんな複製された男たちのアイデンティティを巡る戦いを描いた前衛的な芸術作品なんだろう」と、さすがノーベル賞作家の原作を映画化しただけのことはあるなあと、そんなデビット・リンチをも髣髴とさせる淫靡でダークな世界観に素直に酔いしれていました。ですが中盤辺りから、巨大蜘蛛やら裸のねーちゃんやら意味があるのかないのかさっっっぱり分からない映像が延々と差し挟まれ、挙句終盤に至ってはこの二人が互いの妻と恋人を交換してセックスしようと頑張っちゃうという下世話なスワッピング展開になってしまって、僕はどうにも肩透かし感が否めませんでした。まあ、いろいろと考えていけばちゃんと深い意味があるんでしょうけど、僕は本作にそこまでの価値があるとは思えません。なんだか、これって全体的に中途半端じゃありません?後半とか、もっと常人では到底考え付かないような徹底的にシュールな展開にしてくれんと目の肥えた観客のハードルは超えれないですよ。こういうのを観ると、やっぱりデビット・リンチは偉大だなぁとあらためて再確認させられますね。それでも、全体を覆う濃厚な雰囲気は良かったので6点で。
[DVD(字幕)] 6点(2015-05-01 22:56:43)
928.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
謎の地球外生命体“ギタイ”の襲撃により、突如として滅亡の危機へと陥ってしまった未来の地球。入隊したばかりのケイジ二等兵は、上司の命令により、いきなり戦いの最前線へと送り込まれてしまう。戦場など初めての彼は当然、そんな凶悪な敵にあっという間に殺されてしまうのだった――。だが、次の瞬間、ケイジはその前日の朝へと舞い戻ってしまう。「これはいったいどういう事だ?」と当然のように戸惑うケイジ。そこから、同じ時間が延々と繰り返される地獄のような無限ループの日々が始まるのだった……。日本のライトノベルが原作ということで、そんないかにもな内容に、子供のころから「スーパーマリオ」や「悪魔城ドラキュラ」、最近だと「ダークソウル」系のいわゆる死にゲー、そんなアクションゲームにがっつり嵌ってきた僕としては、その死んだら最初からやり直し、もっと長く生き残りたかったらここでジャンプしてこの敵をかわしタイミングよくこのアイテムを使って…みたいな内容に否が応にもテンション上がっちゃいました。うん、やった、やった、こういうこと(笑)。超受身のヘタレ男だった主人公が、超活発で強いヒロインの女の子の強引な導きにより強くなって、いつしか立場が逆転してツンデレ状態に…な~んて、いかにも日本の男子中高生が好きそうなライトノベル的ストーリーがアメリカで、しかもトム・クルーズ主演で製作されたってのもなかなか感慨深いものがあります。ただ…、本作はそーゆーライトノベル、もしくは死にゲー的な内容のなさが最後まで付き纏うのが賛否が分かれるところかな。これで、ストーリーや映像に革新的なものがあれば傑作にもなりえただろうに、残念ながら本作は「プライベートライアン」や「スターシップ・トゥルーパーズ」「マトリックス」という有名映画の良いとこ取りをしているだけでそんな傑出した部分がほとんどありませんでした。という訳で、確かに娯楽映画としてはぼちぼち楽しめましたけど、僕の中では「宇宙戦争」や「オブリビオン」と言ったトム・クルーズ主演の過去のSF娯楽映画の一つとして一纏めにくくられそうな、そこそこレベルの作品でございました。でも、お酒のおともに最適ではあるよん。
[DVD(字幕)] 6点(2015-04-26 11:31:58)
929.  ハリケーンアワー 《ネタバレ》 
2005年、8月29日、ニューオーリンズに巨大なハリケーン“カトリーナ”が襲来。広範囲にわたって暴風と洪水が巻き起こり、一帯に甚大なる被害をもたらしたのだった――。運悪く、そんな日に妻が急に産気づき、救急車で病院へと駆けつけたノーラン。だが、出産予定日を5週間も先に控えていた妻は、急なお産に耐え切れず呆気なくこの世を去ってしまう。突然のことに悲しみのどん底へとうちひしがれるノーラン。ところが神の思し召しか、彼女のお腹の中から小さな女の子が遺されるのだった。未熟児として人工呼吸器が手放せないそんな新たな命に希望を繋ぐ彼に、自然の猛威は容赦なく襲い掛かってくる。全館が停電し、医者も看護師も全員が避難する中、ノーランは旧式で3分間しか充電出来ない発電機だけを手にたった一人で病院へと残ることに。そこから、彼の娘の命を守るための孤高の戦いが始まるのだった……。アメリカで実際に起きた自然災害を背景に描かれるそんなシリアスな内容に、きっとこれは事実を基にした物語なのだろうと勝手に思い込んでこの度鑑賞してみました。けれど観終わって調べてみたらどうやらそうではないみたいですね。「これが事実なら、凄いことだ。娘のためなら父親とはかくも強くなれるものなのか…」という僕の本作への印象は、これが完全フィクションだと分かると微妙に変わってしまいました。これって所謂ソリッドシュチュエーションスリラーの一亜流と呼んでもいいのでしょう。そうなると、さすがにこのネタだけで90分超引っ張るのは無理があったんじゃ……。ずっと画がほとんど変わらないし基本的なストーリーは同じことの繰り返しなので、中盤辺り、ちょっぴり間延びしちゃってます。亡き妻との思い出を回想シーンで差し挟んでみるという工夫がなされているものの、いまいち上手く効果を発揮しているとは言いがたい。とはいえ、親子の絆をド直球に描きたいというスタッフたちの情熱は好感が持てるし、P・ウォーカーの男臭い一人芝居もなかなか見応えあったし、何より自然の猛威に立ち向かう一人の男という本作のテーマは素直に観て良かったと思います。P・ウォーカーさんに関しては、個人的にあまりよく知らなかったですが、なかなか無骨な華のある役者さんだったのですね。今回の事故死はつくづく残念でなりません。
[DVD(字幕)] 6点(2015-04-03 22:34:27)
930.  アイ・アム・ニューマン 新しい人生の見つけ方 《ネタバレ》 
「忘れたのかい、僕の名前はアーサー・ニューマン。昨日、君の命を救った男さ。薬で死にそうになってたのを僕が病院に担ぎ込んだんだ。ちなみに僕の職業はプロゴルファー。これからコーチとして働くためにテレホートに向かうんだ。君さえよかったら一緒に来ないか」――。ウォレス・エイヴリー、小さな会社で地味で平凡な中間管理職として働く彼は、数年前に妻と離婚し、13歳の一人息子からも嫌われている冴えない中年男。そんな自分の人生にほとほと嫌気が差した彼はある日、とある決心をするのだった。それは、これまでの自分の人生を全て捨てて、プロゴルファー・ニューマンとなって新たな充実した人生を歩むこと。自らが創造した架空の人物に成り替わろうというのだ。会社も退職し、免許証も偽造し、3万ドルだけを手にニューマンとしてテレホートへと向かうエイヴリー。ところが、とあるモーテルで薬の過剰摂取で死にそうになっていた若い女性シャーロットと出逢う。彼女もまた自分の人生から必死に逃げ出そうとしていることを知った彼は、共に自由気儘な旅へと旅立つのだった……。社会の何処にも居場所を見つけられなかったそんな男女の行き当たりばったりな旅路を終始ほのぼのとしたタッチで描くロードムービー。最近すっかり冴えない中年男のイメージが定着しつつあるコリン・ファースと盗癖があり精神的にも問題を抱える女性役にぴったりなエミリー・ブラント、本作でのこの2人のどうしようもない駄目な感じ、なかなか良かったですね~。現実的に考えたらけっこう悲惨な状況なのに、それを終始軽~いタッチで描いたこのセンスはなかなか新しいと感じました。まあ、「こんなの冴えない中年男のエロ妄想映画やん」と言われればそれまでだけど(笑)、それでもこの人生に行き詰っていた男女のささやかな逃避行を悲愴感を微塵も感じさせずに描いたところなど観ていて心が癒されました。こんな可愛い女の子と出逢えるなら、僕も何もかも捨てて旅に出ちゃおうかしら?!なーんちって。ただ…、さすがにこのラストはちょっと甘すぎますね。この2人にはやっぱり何らかの形で制裁が与えられないと駄目でしょ。だって、彼らが旅の途上でやってきたことって、れっきとした犯罪ですから。それに、最後に再会した息子がこの親父の数日間の行動を知ったら確実に「人にさんざ心配かけさせといて、テメーは若い女とHしまくってたんかい!どつくぞー!!」ってキレるよね(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2015-04-02 13:52:56)
931.  パッセンジャーズ 《ネタバレ》 
「生存者は5人、皆一様に憔悴しきっている。クレア、すぐに来てくれ。君には全員のカウンセリングをお願いしたい」――。アメリカ郊外の浜辺で大規模な旅客機墜落事故が発生。100人近い“乗客たち(パッセンジャーズ)”のほとんどが死亡する中、奇跡的に数名の生存者が発見されるのだった。彼らの心のケアをして欲しいと、すぐに現場へと呼ばれる精神分析医の卵、クレア。自暴自棄に陥る人、絶望の淵へと追い詰められる人、そして極度の躁状態からクレアを口説こうとしてくる男……。彼らの話を聴くうちに、次第に墜落原因に疑問が浮かび上がってくる。「何かがおかしい…」と独自に墜落の真相を探り始めるクレア。すると、航空会社の人間と思しき謎の男に尾行されるようになり、カウンセリングを受けていた生存者たちも一人また一人と消えていくのだった……。果たして事件の真相とは?そして、生存者たちは無事に社会復帰出来るのか?悲劇的な航空機墜落事故の背後に隠された、そんな巨大な陰謀を巡って展開されるサスペンス・スリラー。と、思わせといて、ストーリーが進行していくうちに何だかどんどんと怪しい感じになっていって、途中から「あぁ、きっとこれはアレ系映画なんやろねんな~」と思わせながらも、そのいかにも謎が謎を呼ぶ展開にどんどんと不安感が増していって、さらにはこの監督らしい美しい映像や音楽、丁寧に創られた怪しげな雰囲気なども相俟って、なかなか惹き込まれていきました。こういう自分を取り巻く世界の根幹がどんどんと揺らいでいくような作品、もろ自分の好みなんすけど!!特にこの出てくる登場人物の誰も彼も信用出来ない感じ、なかなか良いですね~。「これでオチがしっかりしていれば傑作になるぞ!」とワクワクしながら観ていたのですが、最後に明かされるこの真相はさすがにちょっと……。うーん、これやっちゃうと、もうなんでもありですやん(笑)。現実の世界を生きる人からの目線(「シッ〇〇・セ〇〇」におけるあの少年のような)が足りないせいで、なんだか世界観が幾分か曖昧になっちゃった感が否めないですね、これ。それまでの不穏な空気に支配されたミステリアスな雰囲気や華のある役者陣の熱演等々、最後のこの残念なオチ以外は普通に面白かっただけに惜しい作品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2015-03-06 11:02:03)(良:1票)
932.  スティーラーズ(2013) 《ネタバレ》 
うだるような熱気に包まれたアメリカ南部のとある田舎町。その片隅にひっそりと佇む質屋には、今日も様々な理由を抱えた“ワケ有り”な客たちが、色んなものを質草に金を求めてやって来るのだった――。ガソリン代欲しさにショットガンを売りに来たケチなチンピラ。ハネムーン中に金銭トラブルに見舞われ婚約指輪を担保に金を借りに来た頭の足りない新婚夫婦。プレスリーの物真似をしながらドサ廻りしている売れない三流芸人……。神の悪戯か、彼らのその後の運命は大きく狂い始め、どんどんとおかしな方向へと転がり込んでゆく。やがて彼らのくだらない物語はもつれた糸のように複雑に絡まり合い、町にとある奇跡をもたらすことに……。なーんて、本作の粗筋をざっと説明してみたのですが、うん、ご想像の通り、タランティーノやロドリゲスの影響をもろに受けちゃってます。てか、身も蓋もない言い方をすれば、これって「パルプ・フィクション」や「シン・シティ」の二番煎じですやん(笑)。さすがにもうちょっとこの作品ならではというオリジナリティが欲しかったですね。本家の人たちがハリウッドでますます意気軒昂に頑張ってらっしゃるせいか、最近こういう映画が本当に多いだけにまずはそう苦言を呈しておきます。さて、肝心の本作ですが、そこいらへんを割り切ってみれば、この愛すべきお馬鹿キャラたちが繰り広げるぶっ飛んだストーリーはけっこう楽しめました。もう余裕で楽しんで演じているだろう、そこそこ豪華な役者陣の怪演もグッド!脳味噌半分腐ってそうなブレンダン・フレイザーの似非プレスリー男っぷりもなかなか気持ち悪くて大変よござんした。イライジャ・ウッドの、「『ロード・オブ・ザ・リング』ファンが観たら泣くで~、これ」って感じのぶっ壊れ具合(登場時、自宅でエロビデオ見ながら一人でハッスルしてます笑)も良かったっす。というわけで、新鮮味はなかったですけど、けっこう面白かったかな~。最後にばっちり決まっちゃうオチも格好良かったしね。あれって、イライジャ・ウッドが超巨根で女たちがメロメロだったってことやんね?うん、最後までほんとアホな映画でした(もちろん、半分褒め言葉!笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2015-03-02 15:28:06)
933.  42~世界を変えた男~ 《ネタバレ》 
背番号『42』――。生涯を懸けて嵐のような人種差別と戦い、全メジャーリーグ球団で唯一の永久欠番となった史上初の黒人メジャーリーガー、ジャッキー・ロビンソン。そんな、文字通り“野球の世界を変えた男”の気骨に満ちた生涯を丹念に描き出す伝記映画作品。もう予告編を見ただけでその内容の98%が予想できる、もう王道中の王道、例えるなら文部科学省推薦作品として体育館に集められて皆で無理やり見させられた挙句、半ば強制的に「差別について」という題で感想文を書かされそうな作品でしたね、これ。確かに、普通の人なら絶対に心が折れそうなほどの苦難な道を歩み続け、後世に多大な貢献を果たした男の生涯をストレートに描いたド直球の伝記映画として素直に良かったとは思うのだけど、うーん、もう少し新しいアプローチが欲しかったですかね。ちょっと、これってあまりにも“優等生”過ぎやしません?たとえば、一度見たら忘れられない強烈なキャラクターを登場させてみるだとか、「え、そんな伏線が隠されていたのか」と唸らされるようなストーリーで魅せるだとか、彼がその生涯を懸けて人種差別と戦い続けたにもかかわらず未だアメリカには根深い差別の病根が残っているという空しい現実を冷徹な視線でもって見つめてみるだとか、現代の映画としてそう言った心に残る新しい演出が欲しかったところ。とはいえ、ハリソン・フォードを初めとする主演俳優陣のナチュラルな演技は見ていて好感が持てるし、全編に漂うノスタルジックな雰囲気も良かったし、何より人種差別と戦い続けた実在の人物の生き様を現代に甦らせた伝記映画として――新鮮味はないとはいえ――普通に良く出来ていたと思います。僕が野球好きなら、もう少し評価は上がったかも知れませんね。
[DVD(字幕)] 6点(2015-02-27 18:56:21)(良:1票)
934.  ブロークンシティ 《ネタバレ》 
「皆さん、私が市長になったとき、ここニューヨークは“壊れた街”だった。そう、完全に壊れていた!それを、私が少しずつ直してきた。ええ、もはや安全に生まれ変わりましたとも!だから次の選挙も私、ホステラーへと投票を!!」――。市長選挙に沸く大都会、ニューヨーク。7年前、レイプ殺人犯を正当な手続きを踏まぬまま射殺したとして警察の職を辞したビリーは、以来街の片隅で私立探偵として細々とした生活を強いられていた。それでも女優の卵である彼女と共にそれなりに充実した毎日を過ごしている。ある日、そんなビリーの元に妻の浮気調査という依頼が舞い込んでくる。依頼主は、なんと現職の市長ホステラーだった。「この時期、スキャンダルだけはなんとしても避けたい。くれぐれも内密に頼む」。多額の報酬に引かれてすぐに彼の妻の身辺調査を開始したビリーだったが、そこには市長選を巡る巨大な陰謀が隠されていたのだった…。マーク・ウォールバーグ&ラッセル・クロウという2大人気俳優競演で魅せる、重厚な政治サスペンス。まあ取り立てて新しい部分はなかったですけど、ツボを押さえたミステリアスなストーリー展開と都会の夜の空気を濃厚に漂わせる映像とでなかなか見応えのある作品に仕上がっていたと思います。主演俳優のみならず、脇を固める何気に豪華な役者陣もそれぞれに味があって良かったです。ただ、不満な点も少々。それはやっぱり、主人公の「彼女」の存在でしょう。“女優の卵である彼女に嫉妬したビリーが何年も禁酒していたのに再び酒を手にしてしまう”というエピソードが、途中からどっかに行っちゃったのが残念でした。最後に市長が取り出してきたビデオ、「きっと、ここに拉致監禁されたあの彼女の姿が映ってて…」みたいな展開を想像した僕としては、その予想外の内容に「え、そっち?」と思わずずっこけそうになっちゃいました。そのまま、彼女の存在は最後までずっとほったらかしのまま…(どこ行ってん?笑)。これなら彼女のエピソードはばっさり切って、ロマンスはあの助手の女の子だけに集中した方が良かったと思うんだけど。とはいえ、映画としてぼちぼち面白かったことは確か。監督には、最後にチェーホフのこの有名な言葉を期待を込めて贈りたいと思います、「物語にピストルが登場したなら、それは発射されなければならない」。
[DVD(字幕)] 6点(2015-02-16 19:49:02)(良:2票)
935.  REDリターンズ 《ネタバレ》 
「最近の若い奴らが観る映画は、なんや言うたらCGみたいな小細工に頼り、内容もとても大人の鑑賞に耐えられへんような荒唐無稽のヒーローモンばかり…。それに比べて、昔のアクション映画は良かった。確かにCGちゅうもんに比べたら画がショボいって言われるかも知れへんけど、そこには人間味溢れる温かみみたいなモンがあった。ストーリーかって、なんやダークナイトや言うて暗い小難しい話ばっか創りよってからに…。それに引き換え、昔のアクション映画には夢あり笑いあり涙あり、そしてほんのちょっとお色気もあり(ムフフ♪)でほんま楽しかったのう…」という嘆き節が止まらない定年後のおじいちゃんたちをターゲットに、往年の豪華俳優陣をそろえ、古き良きアクション映画を堪能させてもらえるエンタメ映画としてそこそこ面白かった作品の続編。こういう頭空っぽにして観られる薄味娯楽映画って、確かに面白いのだけど、当然ながらその内容をすぐに忘れちゃうのが短所なのよねー。という訳で、前作の内容はほとんど憶えていない状態で今回鑑賞してみたのだけど、そういう作品の長所は「ストーリーなんてあってもなくても別段問題ナシ!」なので、全く問題なかったです(笑)。ま、頭空っぽにして観るべき薄味エンタメ映画なので明日には速攻で忘れちゃいそうな内容でしたけど、今回も頭空っぽにしてぼちぼち楽しめました。何より、大御所俳優たちが「まだまだ若い奴らには映画界を任せておれん!」とばかりに存分に楽しんで演じているだろうところが画面の端々から感じられて素直に良かった!これから超高齢化社会を迎える日本の爺さんたちには、こういう映画を観てまだまだ現役で頑張ってもらいたいものです。そしたら、メアリー=ルイーズ・パーカーみたいな若くてピチピチした可愛いおねーちゃんがチューしてくれるかもよ?!
[DVD(字幕)] 6点(2015-01-31 22:42:19)
936.  ミッシング・ポイント 《ネタバレ》 
2011年、パキスタン。大学の講師をしていたアメリカ人がイスラム過激派とみられる組織に誘拐される事件が発生。現地で、すぐに捜査を開始したCIAだったが、その捜査線上に上がってきたのは、同じ大学で過激な講義を繰り返してきたチャンゲスという男だった。過激派との繋がりも疑われる彼に、ジャーナリストを装って近付くCIA職員、ボビー。なんとかチャンゲスと接触することに成功するのだったが、彼の口から語られたのは今からでは考えられないような予想外の彼の過去だった――。物語は、そんなイスラム原理主義思想にどっぷりと浸りきった現代のチャンゲスと、10年前、彼がまだエリート金融マンとしてアメリカの大企業でめきめきと頭角を現していた若き日の彼の姿を交互に描き出してゆきます。優秀な上司に見出され(K・サザーランドがそんな利益至上主義者である上司役を好演しています)、ニューヨークの高層ビルの一室で冷徹な資本の論理を駆使して弱者を切り捨てていくエリートサラリーマンだったチャンゲスが、如何にしてイスラム過激派となってしまったのかをスリリングに炙りだすそのストーリーテリングの巧みさはなかなか秀逸。白人の美しい恋人にも恵まれ、将来を約束されていた彼が911というアメリカ社会のあり様を根底から変えてしまった衝撃的な事件と出会うことで、それまで敢えて目を背けていただろう現実と向き合わざるを得なくなってしまいます。それでもチャンゲスは、アメリカという自由社会に必死に踏み止まろうとするのですが、やがて何もかも捨ててまでイスラム原理主義思想に染まっていく過程を丁寧に描き出すことで、アメリカの利益原理主義とも呼ぶべき風潮と果たしてどちらが間違っているのか、どちらも弱者を食い物にするという点でさして変わらないのではないかという、根源的な問題を鋭く問うそのテーマ性はなかなか深い。ただ、チャンゲスがその思想を根底から変えてしまう肝心の理由が観ていて拍子抜けするくらい、エピソードとして弱かったのが残念ではありましたけれど。それでも、濃厚な政治ドラマとしてなかなか良く出来ていたと思います。最近の「イスラム国」を初めとする中東の混迷ぶりを見ていると、欧米社会とイスラム社会はもう永遠に理解しあうことは出来ないのではないか。そんな疑問を呈しながらも、チャンゲスが最後に取った行動に僕は微かな希望を見出さずにはいられません。
[DVD(字幕)] 6点(2015-01-28 21:45:27)(良:1票)
937.  ダイアナ 《ネタバレ》 
ダイアナ元皇太子妃とは、果たして何者であったのか――。スキャンダルにまみれたその生き方によって英国王室の権威を失墜させた希代の悪女だったのか、それとも前近代的な価値観によって女性を縛り付ける古き制度を打破しようとした新しき女性の先駆者なのか、あるいは人々に悲劇を撒き散らした地雷という非人道的な兵器を世界から根絶すべく尽力した人道主義者か、はたまたただ幸せになろうと努力したのにそうなることを許されなかった悲劇のヒロインなのか?本作では、それら今まで形作られてきたであろう彼女のある種神格化されたイメージを踏襲しつつも、ただある男性を一途に想い続けた普通の一人の女性という、極めて親しみやすいダイアナ像を描き出している。事実がこの通りだったのかは分からないが、ただ愛する男性と幸せになりたかっただけなのに、自分が世界で一番有名な女性となってしまったがために苦悩の色を深めていく彼女を抑制された演出で最後まで淡々と描き出した所は素直に好印象を持った。パパラッチという、人の不幸を食い物にする愚かな人間どもによってそのプライベートを丸裸にされ、あまつさえ命まで奪われてしまったダイアナ妃の悲劇には深い憤りを覚えざるを得ない。伝記映画としてある一定の完成度に達していることは明らかだろう。ただ、最期まで自らのプライバシーを娯楽として見せ物にされた彼女が、もし生きていてこの映画を見たとしたら果たしてどのような感想を持ったことだろう?極めて好意的に描かれており、彼女が既に故人であるということをかんがみても、自らの赤裸々な恋愛、ましてやセックスシーンまで再現されたこの映画を見て、手放しに喜んでくれるだろうか。個人のプライバシーと芸術表現、覗き見趣味的ゴシップと娯楽と教養としての伝記映画……。この作品は極めて悩ましい問題を内包しているように自分は思う。少し穿った見方をすれば、本作に関わったスタッフたち自身もそんな難しい問題に絡めとられたのか、映画としてみれば極めて中途半端な印象が拭えない。プライバシーを尊重すれば映画として成り立たない、ドラマティックに演出すれば露悪趣味だと糾弾されかねない。非常に悩ましい問題であると思うのだが、監督には敢えてそんな境界線を踏み越える勇気を見せて欲しかった。恐らくその向こうにこそ、映画という芸術表現の真の価値が表れるのだから。
[DVD(字幕)] 6点(2015-01-25 00:52:05)
938.  ギャングバスターズ 《ネタバレ》 
今朝、あのクズのようなギャングどもをぶっ殺していたのはアンタたち兄弟でしょ?嘘言わないで。ねえ、お金はちゃんと払うから、あたしのお願いも聞いてほしいの――。うだるような熱気に包まれたアメリカ南部のとある田舎町。保安官の庇護の下、まだるっこしい法律など度外視して社会に蔓延るクズのようなチンピラどもに制裁をくだしていたウーディ3兄弟。ある日、そんな彼らは謎の美女からとある依頼を受けるのだった。それは、凶悪なギャングたちのボスから彼女の名付け子である少年を取り戻してくれというもの。多額の報酬に惹かれて、愛用のショットガンや自動小銃を手にウーディ兄弟は、そんなギャングたちのボスの豪邸へと向かったのだったが…。アメリカ南部の田舎町を舞台に、破天荒な日常を生きるそんな“ギャングバスターズ”たちの活躍を小気味よく描いたB級テイストのアクション・エンタメ作品。いやー、とにかくタランティーノやロドリゲスの影響を色濃く受け継いだ作品でしたね、これ。見ているだけでじんわりと汗が滲み出てきそうな乾いた映像、軽快でノリのいい音楽、スピーディで分かりやすいストーリー展開、アクの強い個性豊かな登場人物たち…。てか、これってまんまタランティーノ&ロドリゲスの世界観を踏襲しただけですやん(笑)。もうちょっとこの作品ならではという個性が欲しかったですね。それに演出の所々に「?」な部分があってそこもちょっぴり気になりました(特に、いまいち盛り上がりに欠けるクライマックス!)。でもまあ、肩の凝らないアクション映画として僕はぼちぼち楽しむことが出来たかな~。色仕掛けで男どもを殺しちゃうセクシー殺し屋美女軍団とかも、まあちょっとおばちゃん比率が高かったとはいえ、けっこう堪能させてもらったし。てか、観終わって冷静になって考えてみたら、この悩殺セクシー殺し屋ちゃんたち普通に弱すぎっしょ(笑)。完全に、男の観客のスケベ心に応えたサービスエピソードでしたね~。ま、アリだったけどさ(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2015-01-05 00:22:30)(笑:1票)
939.  少女は自転車にのって 《ネタバレ》 
いまだイスラム教に厳格な保守層が支配する中東の大国、サウジアラビア。そこでは、女性たちはいまだ抑圧された窮屈な生活を強いられている。家族以外の男の前では全身を覆うスカーフを身に纏うことを強制され、お洒落をすることはおろか、車の運転をすることすら禁じられているのだ。思春期を迎えたばかりの幼い少女ワジダもまた、そんな抑圧された社会に疑問を感じながら暮らしていた。それでも、親や教師の目を盗んでは欧米の自由なポップソングをカセットで聴いたり、幼馴染みの少年と追いかけっこしたりして、ワジダはなんとか自分らしさを保っている。そんな中、彼女はとある店先でまるで自由への象徴のような格好良い自転車と出逢ってしまう――。女性が自転車に乗ることすら憚られるサウジアラビアで、必死に自分らしく生きようともがく少女の健気な姿を淡々と描いたアカデミー外国語映画賞候補作。詳しい経緯はあまりよく知らないのですが、そんな厳格なイスラム社会で女性監督がこのように挑戦的――まがりなりにも先進国の一員である我々にとってはあくまで普通のことなのですが――な内容の映画を撮れたことに、まずは賛辞を贈りたいと思います。DVDに収録された特典映像によると、本作はサウジ国内では上映不可能とのこと。少女が自転車に乗るというなんてことない映像ですら表現できない社会がいまだ存在しているという事実にあらためて驚かされてしまいます。さて肝心の内容ですが、とにかく主人公ワジダを演じた女の子のキラキラと輝くような笑顔がとても魅力的。そんな彼女が自転車が欲しい一心でコーラン暗唱大会に必死で挑む姿には素直に共感出来ました。変に政治的なメッセージを強調せず、あくまで一人の少女の日常を切り取ることで、サウジ社会が抱える問題を淡々と炙りだしたところも良かったと思います。ただ、あまりにもゆっくりとストーリーが進行してゆき、最後までいまいち心に残るシーンやエピソードに出会えなかったところが少々物足りなくも感じてしまいました。それでも最後、しっかりと前を見据え自転車を漕ぎ出すワジダのその凛とした後姿は、良い余韻となっていつまでも僕の心に残りそうです。いつの日か、彼女のような女の子が普通にお洒落したり恋をしたり自転車に乗って何処までも自由に旅をしたり出来る日がやって来ることを祈らずにはいられません。
[DVD(字幕)] 6点(2015-01-01 12:06:57)
940.  大統領の執事の涙 《ネタバレ》 
アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォード、カーター、レーガン――。約30年にわたり、そんな7人の名だたる大統領に仕えた、ホワイトハウスの実在の執事セシル・ゲインズの物語を黒人の人種差別との戦いの歴史の中に描き出す社会派ドラマ。物語は、主人公セシルが幼少のころ、まだ黒人が奴隷と変わらない扱いを受けていた今世紀初頭の農場の描写から始まります。その後彼がひょんなことからホワイトハウスで勤めるようになると、社会ではキング牧師やマルコムXといった黒人運動家たちも台頭する。セシルがホワイトハウスで着実にキャリアを積んでゆく中、彼らが起こした公民権運動は道半ばで暗殺や暴力で中断されることに。それでも彼らの“ソウル”を受け継ぐ者たち(主人公セシルの息子もその一人)が地道に活動を続けて、やがて自らの権利を獲得してゆく様を重層的に描き出したところはなかなか見応えありました。この監督らしい、個性豊かな黒人たちをソウルフルに描き出す手腕は今作でも健在。歴代大統領たちとのエピソードも、ちょっとあっさりし過ぎな感もあったけど、豪華な役者陣の熱演もあり素直に良かったと思います。ただ、本作の胆となるだろう、執事としての職務と黒人としてのアイデンティティとの狭間で揺れ動く主人公というテーマがいまいち深く描かれていなかったのが残念。白人に母をレイプされ、父親までも殺され、さらには2人の息子まで奪われそうになる主人公。ここまで理不尽な目に遭いながらもそれでも職務を優先した彼の、抑えきれない魂の雄叫びみたいなものを僕はもっと観たかった。強大な苦難に立ち向かうマイノリティたちの普遍的なドラマとして充分見応えある作品に仕上がっていただけに、惜しい。本作品で全黒人たちの希望の星のように描かれ、あまつさえこれを観て涙を流したと喧伝されるオバマ大統領。彼が就任中、白人警官による17歳の黒人少年射殺事件に端を発する全米規模の大暴動になんら有効な手立てを打ち立てられなかったことを思い返すと、人種差別という病理の根深さに気が滅入る思いです。でもいつか、肌の色など関係なしに全ての人々が平等に暮らせる日がやって来ることを――たとえそれが恐ろしく困難なことだとしても、僕は願ってやみません。
[DVD(字幕)] 6点(2014-12-12 12:35:33)《更新》
010.05%
190.48%
2492.63%
31256.70%
424713.24%
532617.48%
648125.79%
732717.53%
821511.53%
9713.81%
10140.75%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS