981. 男はつらいよ 寅次郎紅の花
《ネタバレ》 浅丘ルリ子出演の第4弾。そして「男はつらいよ」最終作。 最後の作品として最高かもしれないが、これ以上のものを作れと言われて作れる訳がない。全作品と比べるのは間違いである。 そもそも「寅さん」と現実社会問題の接点は全くなかった中で、「阪神大震災」の映像は、寅さんがリアルワールドに入ってきた最初で最後の作品ではないだろうか? 後藤久美子は寅さん映画のマドンナ役で最多出演と言われているが、寅さんの恋愛対象として演じたわけではないので、マドンナ役とは呼べないと思う。 私は吉岡秀隆が登場した頃から、「男はつらいよ」には興味を持てなくなった。 今回、浅丘ルリ子演じる「リリー」の4作品を連続して鑑賞したが、渥美さんは本当に若い! 皮肉にも、賠償さんをはじめ、トラ屋の人たちの老け込み様が際立って見えた。 手紙を読むことでストーリーを転がしているので、寅さんもリリーさんも凄く遠い存在に感じた。 歳を取ると恋愛は出来ないのだろうか? 渥美さんの体調が悪いのが原因だというのはわかってはいるが、満男のラブストーリーが主軸になるほど、年寄りは隅で生きなさいと言われているように思ってしまう。 しかし、この作品は最後の最後で感動的なラストを迎える。 それは他の作品を複数鑑賞した者だけが得られる感動なのだ。 [DVD(邦画)] 7点(2009-08-23 14:43:52) |
982. 東海道四谷怪談
以前、どっかの映画評論家が「数ある『四谷怪談』の映画の中で最高傑作がこれ!」と言ってたのを覚えています。 主人公は、お岩ではなく、伊右衛門だということを忘れてはいけません。 伊右衛門に降りかかってくる数々の煩悩の誘い。私たちにも伊右衛門のような後ろめたい気持ちがあるからこそ感情移入できるのです。 低予算映画という感想がありましたが、脚本、セット、カメラワークなど、大量生産時代に作られた中では、かなり「力」入れて作ってあると思いますよ。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-23 14:24:59) |
983. ドラゴンへの道/最後のブルース・リー
《ネタバレ》 他のレビューを拝見すると一年に何回テレビ放送しているんだろうと思ってしまう。 こういう用心棒の話ってどっかで聞いたことがあるなぁと思いますが、カンフー映画では本作が最初でしょう。 ブルース・リーは冒頭30分はほとんどアクションを演じませんが、店の裏で行うジークンドーのミット打ちは格闘技ファンなら必見でしょう。 今回の観賞で感心したのが、リー本人は他の格闘技(空手)の批判を全く口に出していないことです。 勿論、自分が最強だなんてことも言いません。(言うわけありませんが) 最後の対決に選ばれたチャック・ノリスは本人にとってもベストワークと言えるのではないでしょうか?この仕事をきっかけにハリウッドスターになれたのですから。 武道家としてのブルース・リーが観れる最高の作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-19 05:03:37)(良:1票) |
984. 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
《ネタバレ》 今回の脚本は相当苦労されたのではないでしょうか? ほとんどのギャグが滑ってるし、無駄なシーンが多いです。 それに、観ている側には既に読めてしまうのに、なかなか進まない展開に、もどかしい気分にもなります。 宇野重吉さん演じる日本画家と寅さんのやりとりは面白いのですが、マドンナ役の大地さんの登場が、あまりに遅いのです。大地さんが登場する度に三味線が鳴るのもハッキリ言ってクドイです。 寅さんの「俺と所帯持つか」という台詞は、リリーさんに言った時とは意味合いが違うように思います。プロポーズとは言えないでしょう。 なんだか2つの違うエピソードを最後、下手に計算して繋ぎ合わせたようで、段取りっぽく感じます。 芸術と金の価値に対して日本画家がどういう決断をするのか、どんでん返しのラストシーンだけは「お見事!」と言いたくなりました。 [DVD(邦画)] 7点(2009-08-19 04:42:56) |
985. ラヂオの時間
《ネタバレ》 その昔、古畑任三郎を見て、刑事コロンボのパクリと解釈した私は三谷監督を全く受け付けませんでした。 しかし、近年何の御縁か「マジックアワー」にハマり、今頃になって本作を観ている私です。 偏見は自分の世界を狭くしてしまいますね。深く反省します。 千本のっこが何故満足して帰ったのか疑問が残りますが、三谷監督は天才だと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-16 02:52:22) |
986. アズールとアスマール
《ネタバレ》 「夢中」という感想が一番ピッタリきます。どういった経緯、理由でそうなったのか?…そんなこと全く説明しません。話はトントン拍子で転がっていきます。 そう、これは映像と映像の間を自分の右脳で埋めていく映画なんです。 公式サイトではヨーロッパとイスラム、異文化の融合がテーマだと書かれていましたが、私はそうは思いません。 アズールは自分の国を捨てて異国へ旅立ち、両国の文化を知る乳母に助けられ、その国の妖精と結婚した。シンプルな話なんです。素晴らしいじゃないですか? 私はそう解釈します。 悪く言うと現実逃避。よく言うと……やはり現実逃避。スピリチュアルを強く感じるせいか、現実の生活に戻るのが嫌になります。 ツートンカラーの無機質な映像から不思議な温かみが感じられます。 ちっちゃなシャムスサバ姫がメチャクチャ可愛いです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-08-16 02:37:56)(良:1票) |
987. 男はつらいよ 葛飾立志篇
《ネタバレ》 「あなたは何のために勉強してる?」 この台詞で、子供の頃宿題をやりながらテレビで観た記憶が蘇りました。 小学生の私も「ふ~ん、なるほどねぇ」と思いました。 しかし、今、もう一度観賞して気付いたことは、未だに「己」が何であるのか自分自身わかっていないことです。(苦笑) 樫山文枝さん、桜田淳子さん、ホント綺麗ですね。今は皆同じヘアースタイル、同じメイクばかり……。飾り気がなく素朴な美人っていなくなっちゃいましたね。 作品自体は他と似たような内容だけど毎度毎度本当に面白い。 「なんだ、また同じような話か…」と言う人、真似してもいいから、これだけ泣けて笑えて、うなずける話を考えられますか? それを自分に問いかけると山田監督がいかに凄い作家なのかと痛感します。 またコメディ作ってくれないかな。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-15 10:32:40) |
988. 男はつらいよ 寅次郎子守唄
《ネタバレ》 山田監督は、世間から一見馬鹿にされるような人間に魅力を感じるとインタビューで答えていたのを覚えています。 「生まれた子には何の罪もないんだ」 寅さんが言ったセリフを、後のシーンで御前様にも言わせる山田監督の計算高さ。頭が下がります。 本作は、赤ん坊を取り巻く寅さんたちの騒ぎっぷりが最高。 さくらさんの「私、おかあちゃんじゃありませんから!」 もう窒息しそうなくらい笑えました。 挙句の果て、源ちゃんが赤ん坊をおんぶしてるんだから! 最近観賞した寅さんシリーズでは、最高に笑えた逸品です。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-15 06:11:39)(良:1票) |
989. 男はつらいよ 純情篇
《ネタバレ》 最近図書館で借りた「男はつらいよ」の研究本を頼りに、このシリーズを見続けているのですが、ある程度パターンがあっても時代に勢いが感じられますね。 今観ても笑えるし、凄く面白い。 若尾文子さんが演じるマドンナは、監督の意向かイメージを崩さない守りに入った役作りですね。池内淳子さんとキャラが被っているように思います。 意外なのは、宮本信子さんと森繁久彌さん親子。これだけのエピソードで終わるのは、とってももったいない。 宮本さんは個人的に好きな女優さんですが、マドンナとしての花がないのが残念。 でも、DVDについた予告編を見ると、本編にはない寅さんと宮本さんのドラマがあったりするんです。そこんとこ、もっと観たかったなぁ…… 話は変わりますが、倍賞千恵子さんは茶髪が似合います。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-14 12:45:08)(良:1票) |
990. ドラゴン怒りの鉄拳
《ネタバレ》 ビックリするほどつまらない脚本。酷い。酷過ぎる。日本人がどう描かれているかが問題ではない。ほとんど中学生の学芸会レベル。Cとして挙げるなら、1時間20分から始まる10分程度ののアクションだけが見もの。 こんな作品観るくらいなら、私だったら「死亡遊戯」のほうを勧める。 リーが凄すぎるせいか、悪役も含めて全くアクションについていけてない。 中国人と日本人の格闘合戦など、拳法の型の違いがわからない。もうメチャクチャである。 後に製作される映画で、プロ級のチャック・ノリスと戦わせた意図が、本作の失敗で納得がいく。 しかし、こんな駄作でも見せ場はいくつかある。 顔の表情だけで観客に訴えるリーの演技はたいしたもの。 ヒロインの女の子もそれなりにカンフーをやっているらしく、メチャクチャ可愛い。 それだけ。 評価が高すぎるから、敢えて厳しい点をつける。 [DVD(字幕)] 2点(2009-08-14 05:58:37) |
991. 銀河鉄道の夜(1985)
小学生の頃、大画面の映画館で観た時は、プラネタリウム以上の感動、いや不思議な体験をしました。でも不思議という実感はないんです。全てが不思議と思わなかったんです。原作は未読でした。 しかし、最近再び観賞したときは開始30分で睡魔が襲ってきました。 大人になって失ったものに気付きました。 「カンパネルラ」と叫ぶ声優さんの声は未だに私の心に響いています。 私にも「カンパネルラ」のような友人がいました。 でも、成長していくうちに他に友達も出来て、「カンパネルラ」はうっとおしい存在になってくるんです。そして気付いたら自分の前にはいなくなって…。 今、「カンパネルラ」は何をしているのだろう。 蠍になって自分を犠牲にする勇気はありませんが、私のカンパネルラは今どうしているのか、この映画を久々に観賞して思い出しました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-08-14 00:24:32)(良:2票) |
992. 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)
《ネタバレ》 昔、ジャック・ニコルソン主演のリメイクを観て、とても面白かった記憶がありますが、本作は人間ドラマの心理状況が秒単位で変わっていくので、退屈される方は沢山いると思いますす。 冒頭で、調理中のフライパンの食べ物を掻い摘んでいたフーテンの主人公が、女に未練を求め、メソメソ泣き面を表していく展開は興ざめしてしまいました。全く感情移入できません。 女は「永遠の愛」を求めていたように話していたけど、結局は脂ぎった背中のデブ亭主と一生を共にするのが厭だっただけなんですね。 のんびりしたストーリーですが、細かい描写にしっかりと計算されていたものを感じることが出来て、それなりに観賞する価値はあります。 この作品の発展形が「夏の嵐」「イノセント」ではないかと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-12 07:28:13) |
993. あらしのよるに
《ネタバレ》 観賞前に、ここのレビューを見なかったことを後悔しています。 勝手な私の想像ですが、作者はある日「突然の大雨で雨宿りしたら、バッタリ会ったのが思いがけない人だったら……」とか閃いたと思うんです。さらに、それが狼と羊だったら…ねえ、監督、どう? このアイデア? それからは先の話は「ロミオとジュリエット」「ウエストサイドストーリー」と同じ構成です。 でも、狼と羊でしょ?……どうしても無理があります。 で、結局これ何が言いたいの?って感じの、感情移入できないアニメでした。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2009-08-12 04:08:00) |
994. 野ばら
PTAのお母さん方は絶対に文句言わないでしょう、この作品。子供の時、児童会館で無理矢理観させられて、なんだか取っつきにくいオープニングに早く終わらないかなぁなんて思ったりしましたが、どんどん惹き込まれていって、心から少年を心配した記憶があります。 家に衛星放送を入れなければ、この歳になって観ることはなかったでしょう。 現代の価値観では万人に受け入れられることはないでしょうけど、当時感動した私たち大人が、この作品を子供たちに受け継いでいくのは、もはや義務かもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-08-12 03:50:26) |
995. 男はつらいよ 寅次郎恋歌
子供の頃読んだ赤塚不二夫の漫画で、ピストルのおまわりさんの尋問が未だに記憶から離れないんです。「その女はそんなに美人だったのか? 池内淳子ぐらいの美女だったのか?」 私の脳みそに「美人」の代名詞を植え付けられている池内淳子さんは、その存在だけで、寅さんを一目惚れさせる女優さんでありました。 今回、寅さんは結構冒険してます。上映時間も少し長いです。 山田監督の脂の乗っている時代の作品です。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-11 02:26:53) |
996. チェブラーシカ(1969)
4話まとめて70分。それも1969年は第一話で、残りは数年おき、一話分の収録時間も全く不規則の反則作品です。 ですが、アニメに興味がない人も観賞価値は十分あります。 ロシアの笑いって関西(吉本)系のセンスがあるのでしょうか? 大人でも笑えるし、ほのぼのとしています。 マニアが存在するのは当然です。 けど、本作が映画として扱われているのが少々疑問です。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2009-08-10 18:01:41) |
997. 男はつらいよ 奮闘篇
《ネタバレ》 順番通り観てる訳じゃないけど、この頃の寅さんって結婚願望があるんですね。 今回のヒロインは花子に加えて、さくらさんも特別な役回りをしているような気がします。 花子をあきらめて、一人、寂しそうな寅さんのワンシーンがありますが、一転して明るいエンディングに、人間は一人きりでは生きていけないんだと痛感しました。 寅さんは自分の幸せより相手の幸せを喜んだのですね。…まぁ、いつもと同じですけど(笑) [DVD(邦画)] 8点(2009-08-10 01:25:58)(良:1票) |
998. 続・男はつらいよ
マドンナへの愛。妹への愛。師弟愛。そして親子愛まで。 典型的なパターンにはまっていない初期の作品で、それぞれのキャラクターの立ち位置、エピソードもバラバラに感じましたが、全編起伏の激しい物語で退屈させません。 先日観た「天国と地獄」に出演された山崎努さんが、本作でも似たような役作りだったのが、ちょっと可笑しかったです。 絶頂期の渥美さん。笑いと元気を頂きました。 どうもありがとう。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-09 01:13:47) |
999. おもいでの夏
《ネタバレ》 1971年製作とは思えない清涼感ある映画です。セックスに興味を覚えた青年たちの「スタンド・バイ・ミー」といったところでしょうか? 年上の女性の脚線美には魅力を感じさせるものの、下品なヌードなど一切ないので、全編詩的情緒に溢れています。 雑貨屋にコンドームを買いにいくスリルは、どの時代の少年たちにとっても皆同じです。 ジェニファー・オニールはキャリアはあまりパッとしませんが、10代をとりこにする魅力的な女優だと思います。 私も一目惚れしました。 しかし、女性とセックスすることが、特に主人公にとって、この年頃の目的でしょうか? 私もこの時代の頃、年上の人に恋をしましたが、セックス願望よりも、この人の為に人生を歩みたいと思う気持ちの方が強かったような気がします。 戦死した夫の通報を知った青年は彼女を抱きしめて涙を流します。 彼は彼女に心底同情したのでしょう。 彼女は同情してくれた青年に唇を重ねて感謝の気持ちを伝えます。 しかし、彼の性的欲望まで満たそうとするでしょうか? 夫の戦死した通報が届いたその晩にですよ?! これは、当時、初体験をテーマにした映画が頻繁に制作された影響もあるかと思います。 キス止まりでエンドマークを打ったら、不満を漏らす観客は沢山いただろうと思います。 個人的には「マレーナ」とは違う、プラトニックな映画の仕上がりを期待しました。 でも、テンポがあって青年の純粋な心を描いた素晴らしい映画です。 時間も短いし、お勧めです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-07 22:17:42) |
1000. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 何十年ぶりの鑑賞だろうか? 今回リマスターDVDでの鑑賞だが、画質がどうであれ、子供の時に観た時の印象は全く変わりない。 殺人を犯した主人公の行動を追いかけながら「いつまでも誤魔化せる訳ないだろう…」と思ったのも、あの時と同じ。 恋人も奪い取って、砂浜でサングラスを掛けながら陽射しを受ける主人公の姿は映画史上に残る名シーンだと思う。 コレクターズ・エディションを手に入れたので、死ぬまでにあと何回か鑑賞したい。 ところで最近鑑賞した殺人映画のほとんどが、金持ちに妬みを覚えた貧乏人の犯行というのが現代の無差別殺人とどことなく繋がっているようで怖い。 [DVD(吹替)] 9点(2009-08-06 09:11:58) |