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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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101.  スティング
この後に撮られた同ジャンルの映画はすべて本作のアイデアをいじりまわしていると言っても過言ではないし、中にはそのまんま同じプロットという様なものまであるぐらいですから。 公開当時この映画を観て騙されなかった人はおそらく皆無でしょう。自分も初めて観た時は唖然呆然、ラストのどんでん返しでは観客から一斉にどよめきと拍手が沸き起こったぐらいでした。それはもう巧妙で完璧な出来の脚本のなせる技で、陽気なラグタイムに乗せてラストまでテンポ良く引っ張ってゆく奇跡のストーリー・テリングです。 たった二作しかないP・ニューマン、R・レッドフォード、G・ロイ・ヒルのゴールデントリオが揃った、“コン・ゲーム”ムーヴィーというジャンルを一作にして作り上げた傑作です。
[映画館(字幕)] 9点(2013-05-02 22:10:15)
102.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 
キューブリックは数少ないフィルモグラフィの中で色んなジャンルの映画をとっているが、彼が撮った唯一のコメディはブラックコメディとしては究極の域に達したと思います。なにがすごいと言ったら、P・セラーズ、G・C・スコット、S・ヘイドン、S・ピケンズ、P・ブルといった主要登場人物が全員で映画史に残る強烈な怪演を繰り広げてくれるところでしょう。良くこの映画ではセラーズの三役が話題にされますが、そんな彼を上回る凄まじい怪演でもっと評価されるべきなのはG・C・スコットのタージドソン将軍ですよね。この将軍のキャラは、当時の空軍司令官のC・ルメイ大将(太平洋戦争でB29による無差別爆撃戦略を実行した張本人)がモデルだそうですが、実は狂人なんじゃないかという説まであったルメイを強烈にカリカチュアしていて見事です。 いきなり空中で交尾しているB52爆撃機を見せてくれるオープニングは洒落てます。このB52が飛ぶシーンのチープな特撮がまた曲者で、完璧主義者のキューブリックですから低予算を逆手にとって狙った映像なのは明白です。地上戦闘のシーンも手持ちカメラで撮ったニュースフィルムみたいで、キューブリックの拘りが伝わってくるところです。そして“We'll Meet Again”をとんでもない映像にかぶせるあまりに有名なエンディング、そのセンスは今の眼で観ても鳥肌が立ちます。 こうして観ると、この映画は筒井康隆の初期の疑似イベントSFに通じるところがありますね(と言うより、筒井康隆の方が影響を受けたのかもしれません)。
[映画館(字幕)] 9点(2013-04-09 23:37:21)(良:1票)
103.  カリフォルニア・ドールス 《ネタバレ》 
あの蓮實重彦先生に「R・アルドリッジ映画の最高峰」と言わしめた、スポ根ジャンルの隠れた傑作。男同士のどつきあいを撮らせたら天下一品だったアルドリッジの遺作が女子プロレスのどつきあいの映画になったのは何とも不思議な感じですが、本作の女闘美ファイトは『北国の帝王』でのL・マービンとA・ボーグナインが見せた死闘を、ある意味で上回る迫力です。 それにしても誰が考えついたか知らないけど、P・フォークをあのマネージャー役にキャスティングした時点で、この映画がレジェンドになることを決定づけた様なものでしょう。女レスラー二人とマネージャーの不思議な人間関係も良く描けています。敵役のタッグチーム“トレドの虎”を単なる憎まれ役としなかったのも上手いところ。このチームのマネージャーが見た目は怖いけど実はスポーツマン・シップを重んじる男だったというのも、アルドリッジ映画には欠かせないキャラです。ラストで、負けた“トレドの虎”をドールスに握手に行かせるシーンは、ちょっと感涙ものでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-03-13 22:46:59)(良:1票)
104.  地球は女で回ってる 《ネタバレ》 
主人公ハリーは三度も結婚して別れた妻がみんな出てくるし、小説の世界ではハリーと妻たちをそれぞれ違う俳優が演じているので、始めのうちはややこしくて頭を整理するのが大変でした。でもこの脚本、数あるアレン映画の中でもかなり上位にランクされる出来だと思います。よく“虚実とりまぜる”と言いますが、これほど巧みにその境界線がぼかして見せてくれる映画は滅多にありません。ピンボケのR・ウィリアムスなんて、こんなこと考えつく映画監督はそう滅多にいるもんじゃありません(そいうや彼、最後までピンボケのままでしたね、良くこんなキャラを引き受けたものです)。最後にハリーの創造した小説の登場人物たちが勢ぞろいするところを観て、この映画はW・アレンの『8 1/2』なんだなと納得しました。
[ビデオ(字幕)] 9点(2013-02-22 22:15:48)
105.  エイトメン・アウト 《ネタバレ》 
インディーズ映画の雄でありアメリカ社会の影を追ってきたJ・セイルズが撮っているので、強欲なオーナーと薄給の選手たちの対立という図式が濃厚。この八百長に加担したブラック・ソックスの選手たちが、とてもプロスポーツ界のトップに立つセレブとは思えないようなダサい生活ぶりで、彼らを資本家と対立するプロレタリアートに摸する意図があったのかもしれない。でも選手たちのとても共感できないような野卑な言動もきっちりと描いていて、バランスはとれている。この八人に曲者バイ・プレーヤーたちをずらりと並べたJ・セイルズ作品にしては空前のオールスター・キャストで、監督役のJ・マホーニーも実にいい味出してました。当時のメジャー・リーグ・ゲームの雰囲気は良く再現されていて、ダボダボのユニフォームに背番号が付いていないというのは、今の眼からはとっても奇異に見えます。 一度は観ておきたい野球映画の秀作です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-02-08 20:07:24)
106.  ポセイドン・アドベンチャー(1972) 《ネタバレ》 
封切時に今は亡き有楽座で観ました。有楽座では入場待ちの観客が長蛇の列を作っていて、映画館で行列ができているのは初めて見たので大層驚いた記憶があります。 40年たって改めて観ますと、パニック映画の元祖といわれますがイメージ以上に人間ドラマが濃厚なんですね。男優も女優も地味でも演技力があるつわもの揃いのキャスティングが実に渋い。中でも泣かせてくれるのがS・ウィンタースで、この演技で三度目のオスカーを獲って欲しかったところです。この映画は良く考えると、旧約聖書のモーセが率いたユダヤ人の出エジプト記をモチーフにしていることに気が付きます。スコット牧師がモーセで、連れてゆくメンバーにはローゼン夫妻というユダヤ人がちゃんといるわけです。我々日本人にはスコット牧師の行動はかなり強引で思いこみが強く感じますが、強いリーダーを求めるキリスト教文化では正しい人物象なんでしょうね。 思うに本作ほど評価がじわじわと高まってきた映画は珍しい存在じゃないでしょうか。ワインが熟成してゆくみたいですね。
[映画館(字幕)] 9点(2013-01-06 23:08:54)(良:1票)
107.  エイリアン 《ネタバレ》 
このシリーズでは『エイリアン2』の評価が高いけど、わたしは断然オリジナル派です。まずはエイリアン・モンスターありきの物語なんですが、あの姿を初めて見て嫌悪感を覚えなかった人はまずいないでしょう。二本足走行で尻尾があるけど、地球上のどんな生物にも親和感がないと言うのは、もうこれはデザイン革命だったとしか言いようがありません。 ネタ元がM・バーヴァの『バンパイアの惑星』であることは有名ですが、徹底的にスタイルから入るR・スコットのエイリアン・モンスターの見せ方は、今やこの手の映画のスタンダードとなっています。リプリーたちがまるっきりブルー・カラーなのもとても斬新なキャラ付けです。だいいち、無精ひげ生やしたH・ディーン・スタントンに宇宙飛行士役を演じさせるなんて、それまで誰も考えつかなかったキャスティングでしょう。 この後この映画がリプリーとエイリアンのオデッセイ物語に発展してゆくとは、当時のR・スコットも予想できなかったでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-01-02 22:15:30)(良:1票)
108.  ファニーとアレクサンデル 《ネタバレ》 
ベルイマンの映画を大して観たわけではないけど、これは自分にとっては初めての“色つき”ベルイマンです。クリスマスパーティに始まり赤ん坊のお披露目パーティで終わる、これはもう素晴らしい人間賛歌ではないでしょうか。夫が孕ませたメイドを平気な顔で家族の一員として迎えるグスタフの妻をはじめ、この愛らしいエクダール家の面々がもう最高です。死んでからも亡霊となって現れるオスカル、このヤール・キューレという俳優の演技には心を揺すぶられました。ラスト、アレクサンデルの背後から現れたのはオスカルだと思っていたら、なんと司教の亡霊だったというのはサプライズだったしゾッとさせられました。 ふつう巨匠と呼ばれる映画監督でもたいがい晩年は力量が衰えるものですけど、ほとんど遺作といってよいほどの本作がこれほどの傑作とは、ベルイマンは恐るべき人です。
[DVD(字幕)] 9点(2012-12-26 22:18:25)
109.  小早川家の秋 《ネタバレ》 
小津安二郎のラス前作なのですが、『秋刀魚の味』よりよっぽど遺作っぽい不思議な作品です。まず、原節子、『秋刀魚の味』には出てないのでこれが最後の小津映画。『東京物語』と似た設定の未亡人なんだけど、本作では『東京物語』での役柄とは違ってなんか凄味まで感じさせられるたくましい女性だと思います。お見合い相手の森繁久彌を翻弄しちゃうところなんか、この役は性格が悪い設定なのかなと思ってしまいました。小津映画の特徴である登場人物たちのアンサンブルは円熟の域に達していますが、やはり新珠三千代がとくにいい演技を見せていますね。 この映画のテーマは、中村鴈治郎が演じる道楽旦那が天寿を全うするまでの数カ月の出来事なんですが、小津安二郎の“死”に対する恐れと無常観が痛いほど伝わってきます。とくに鴈治郎と19年ぶりに再会して、結局その死を看取ることになった浪花千栄子とその娘団令子、この二人のキャラクターは個人的には不気味に感じました。まるで死期が近づいた鴈治郎を黄泉の国からお迎えに来た物の怪じゃないかと思えるぐらいで、とくに死んだ鴈治郎を前にした二人の会話は凄くシュールじゃないですか。笠智衆が出てくるシーンも本筋には関係なくてちょっと変だし、この辺りで流れる音楽がまた突然暗くなってきてなんか不気味です。 よく「脚本に全然無駄がない」という褒め言葉を聞きますが、小津映画、とくに本作は不思議なほど無駄なところや隙がある。それでも名匠の手にかかると傑作になる、映画とは実に不思議なものです。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-07-24 21:58:49)
110.  刑事ジョン・ブック/目撃者 《ネタバレ》 
“二種類の表情だけで演技する男”ハリソン・フォードなんですが、もうこのジョン・ブックの様な好演は観られないでしょうね。でも不思議なことに、この映画でもいつものように“二種類の表情”なんですけど、ピーター・ウィアーの様な腕の良い演出家がつくとやっぱり違うんですねえ。アーミッシュの集落にだんだん溶け込んでゆくところが実に自然で清々しいんです。 プロット自体は『リーサル・ウェポン』や『ビヴァリーヒルズ・コップ』シリーズなどの一作としても違和感ないのですが、観終わってみるとハリウッド製刑事映画では決して味わえないような不思議な爽やかさが残るんです。ラストのロング・ショットは映画史に残るような素晴らしいシーンじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-05-17 23:37:33)
111.  ヤング・ゼネレーション 《ネタバレ》 
これほど「陽の当らない名作」という呼び名が相応しい映画もちょっと珍しい。出演者は地味で封切時は大コケ、その後長い間ソフトも発売されなかったのではしょうがないけど。 “猛スピードで疾走するもの”を撮らせたらピカイチなピーター・イエーツだけあって、自転車レースのシーンで見せる躍動感にはほれぼれとさせられます。アメリカ・インディアナの小さな大学町が舞台で、ジモティー(地元民)若者四人の青春が終わってゆく瑞々しいひと夏がいいんだなー。この四人のキャラはけっこう丁寧に描かれていますが、中でも“shorty(ちび)”と言われるとすぐ頭に血が上ってキレるジャッキー・アール・ヘイリーが『バック・トゥー・ザ・フューチャー』のマーティ・マクフライを先取りしてて私は好きです。主人公の死や暗い結末が多かったニュー・シネマの時代が終わり、楽天的な狂乱の80年代が始まろうとしてたんだなと、この映画の爽やかなエンディングを観て感じました。
[DVD(字幕)] 9点(2012-04-28 12:01:49)(良:1票)
112.  ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録 《ネタバレ》 
サイレント映画の時代から星の数ほど犯罪映画は撮られてきたけど、この映画を超えるのは本物のスナッフ・ムーヴィーしかないんじゃないかと思うほどで、実話犯罪映画のまさに極北です。ヘンリー役のマイケル・ルーカーがあまりに強烈で、他の映画で彼が出てくるたびに「あ、ヘンリーだ」っていまだに条件反射してしまう私です。 4年もオクラ入りしてようやく公開されたと言うだけあって、冒頭のタイトル・ロールからしてまるで自主製作映画みたいなシンプルさ、そして普通の人が蠅や蚊を退治する様な何気なさで殺人を重ねるヘンリーとオーティスの鬼畜の様な生活。これがほぼ実話だと言うのは凄いことで、創作なら誰もこんな恐ろしいお話しは考えつかないでしょう。思いのほかグロい描写は少ないのですが、こんなに淡々と人を殺すところを見せ続けられると、観てる方も精神的に参っちゃいます。 まさに取扱注意の毒薬ムーヴィーです。
[ビデオ(字幕)] 9点(2012-04-04 21:24:19)
113.  ローラーガールズ・ダイアリー 《ネタバレ》 
近年の活動からドリュー・バリモアは監督業にも進出すると思っていましたが、この監督第一作はラブ・コメとガーリー・ムーヴィーを知り尽くした彼女らしい良作になりました。いまもっとも輝いている女優のひとりであるエレン・ペイジの起用だけでなく、マーシャ・ゲイ・ハーデン以下の脇役陣も絶妙なキャスティングでドリュー・バリモアのセンスの良さが判ります。映画監督の力量はキャスティングにも顕れますからね。パンク丸出しのオープニング・タイトルのカッコよさと、遠くを見つめるエレン・ペイジを豚のオブジェの上に乗せたラスト・カット、こりゃソフィア・コッポラなんて目じゃないですよ! 可愛いけど不気味に大人びたエレン・ペイジの妹なんて、いかにも彼女らしい演出ですよね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-03-07 00:39:20)(良:1票)
114.  プライベート・ソルジャー<TVM> 《ネタバレ》 
TVMながらも並みの劇場映画をはるかに凌駕した、知られざる傑作戦争映画です。同時期に製作された『プライベート・ライアン』や『バンド・オブ・ブラザーズ』がレンジャー部隊や空挺部隊といったエリートの物語であるのとは対照的に、本作でとりあげられている師団は、兵卒も大半が徴兵されたばかりの普通の連中。主人公のマニングという兵士、ちょっと他の戦争映画ではみたことない様な卑劣で赤裸々な奴で、上官と取引して除隊の約束をさせるシーンで見せるニヤニヤ顔は人間の卑しい部分を見せられて強烈です。「ニタニタするな!」と大尉に怒鳴られるのも当然です。戦争では市街戦のつぎに兵士が嫌うのは森林戦だそうで、霧で視界が悪く地雷だらけの森で突撃させられるのは、ホント恐ろしさがひしひし伝わってくるシーンでした。冒頭で背負ってた戦友を途中で見捨てたマニングが、ラストは一度は見殺しにしようとした部下に背負われて死んでゆくのはなんという皮肉でしょうか。
[ビデオ(字幕)] 9点(2012-02-11 23:00:05)(良:1票)
115.  愛のむきだし 《ネタバレ》 
まったく先が読めない展開のストーリー、確信犯的なVシネマチックなB級テイスト、そして忘れたころになって突然出現するメイン・タイトル、いやはやとんでもない映画を観てしまったみたいです。「聖母マリア」「盗撮」「ボッキ」、この三つのキーワードを使って映画を撮るなんてほとんど暴挙と言えるんだけど、破綻しそうなストーリーが最後には感動させてしまう園子音のオリジナリティは、TV局と広告代理店が企画した駄作のオンパレードだったゼロ年代の邦画界にあっては奇跡の様な偉業に違いありません。満島ひかりが“コリント人への手紙”の一節をシャウトするシーンは、この先永く語り継がれることでしょう。そして安藤サクラ、まさに彼女こそ“女でんでん”だ!
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-01-31 01:35:22)
116.  レイダース/失われたアーク《聖櫃》
手に汗握る様なシークエンスだけをつなげて一本の映画を撮ると言うサイレント映画の連続活劇の手法を、スピルバーグが見事に甦らせた元祖ジェット・コースター・ムーヴィー。あまりに有名なオープニング・エピソードだけでも、普通のアドベンチャー映画一本分のアクションがわずか10分あまりの時間に濃縮されていて、天才スピルバーグの面目躍如たるものです。だいたいこの映画を観るまで“聖櫃”のことなんて知識がなかったけれど、“聖櫃”に超自然的なパワーがあってヒトラーと争奪戦を展開すると言う荒唐無稽な大風呂敷っぷりが実に楽しい。最近気がついたのですが、この映画のストーリー原案には若き日のフィリップ・カウフマンが関わっていたんですね。なにはともあれ、今思えば楽天的だった80年代を象徴する名作であることは間違いなしです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-01-04 21:09:41)
117.  パットン大戦車軍団 《ネタバレ》 
“ドイツ軍が恐れた連合軍の唯一の将軍”パットンの伝記映画。その生涯が映画化された第二次世界大戦の指揮官は、ロンメル、マッカーサー、パットンの三人ですけど、その中でもパットンはキャラの面白さでは飛び抜けています。この映画はベトナム戦争真最中に製作され、オスカー受賞にも政治的な影響があったなどといまだに非難している人もいますが、そんな批評は的外れもいいとこで、ひとりの特異な人間を通じてアメリカ人の本質に迫った傑作だと思います。脚本を書いたのはコッポラで、彼の数ある脚本の中では本作が最高傑作、バイオグラフィーと戦争スペクタルのバランスがとれた非の打ちどころがないシナリオでしょう。パットンの性格は粗暴ながら詩人でセンチメンタル、とても同一の人間とは思えない複雑さですが、これまた非の打ちどころがないジョージ・C・スコットの演技でした。また脇にはカール・マルデンのブラッドレー将軍がいて、彼の真面目っぷりがきらりと光るいぶし銀の名演です。 最近出てきた史料からは、慰問に訪れたマレーネ・ディートリッヒと情事を楽しむなど、けっこうパットンはそっちの方も豪胆だったみたいです。
[映画館(字幕)] 9点(2011-10-27 00:11:10)
118.  ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 《ネタバレ》 
デイ・ルイスのダニエル・プレインヴューは、ゼロ年代に製作された映画の中では最高の演技、これで当代一の名優の座を揺るぎないものにしました。並みの名優ではこのキャラは単なる粗野な成り上がり者としてしか表現できない、とてもじゃないけどデイ・ルイスの様な怪物にはなり様がないのでは。ジャック・ニコルソンでも難しいでしょう。 そしてポール・トーマス・アンダーソン(P.T.A)、今までロバート・アルトマン的な作品を撮ってきて本作でも献辞まで捧げていますが、この映画はどうも今までのとは作風が違う気がしました。プレインヴューが石油を掘り当てるまでのほとんどセリフ無しの冒頭15分、不協和音を強調した音楽、シメントリーな室内、双子と無表情な子供、なんかとてもキューブリック的な演出なんです。そう、実はこの映画は『2001年宇宙の旅』を再構築した構成なんですよ。極めつけはラスト、プレインヴューが足を引きずりながらイーライを追い詰めボウリングのピンで仕留めるシーンは、まるで『2001年宇宙の旅』の道具を使うことを覚えた猿人が仲間を倒して君臨し始めるシーンとそっくりです。さしずめ初めて石油を掘り当てたときにプレインヴューが手のひらをくっつける掘削リグは、“モノリス”を暗示しているかもしれません。 考えてみると、P.T.Aはキューブリックの後継者になるのかもしれませんね。今後の作品が楽しみです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-10-21 22:41:55)
119.  存在の耐えられない軽さ 《ネタバレ》 
“驚異の目力”が武器のプレイボーイ外科医、まさに“肉食獣”と言える女流画家、そして腋毛ボーボーの田舎娘、この三人が見せる純愛とは対極に位置するような恋愛劇ですが、ドロドロになりがちなストーリーなのにどこか突き抜けた明るさがある語り口です。ヨーロッパ俳優を多く使い撮影監督もスヴェン・ニクヴィストなので、ハリウッド資本ながら欧州映画の様な味わいがありました。スヴェン・ニクヴィストのカメラがまた美しくて、「プラハの春」の記録映像にデイ・ルイスやビノシュが映り込むところなぞ素晴らしい映像テクニックです。黒い山高帽をかぶった下着姿のレナ・オリンはポスターやパッケージにも使われてこの映画のシンボルみたいな存在ですが、本作での彼女のセクシーさはちょっと尋常ではない。人間の存在なんて「耐えられないほど」軽く歴史の激動にのみ込まれてしまうはかないものかもしれませんが、それでもそれぞれが生きた証しは必ず残ってゆくものなんでしょうね。そう考えるとラストのフェード・アウトには泣かされてしまいました。それにしても役者がいい演技を見せてくれる映画はホント上映時間の長さなど気にならないものですね。
[DVD(字幕)] 9点(2011-08-10 22:37:32)
120.  砲艦サンパブロ 《ネタバレ》 
この映画は、非常に地味だけど名作です。米西戦争でスペインから分捕ったオンボロ砲艦というプロットが渋すぎですが、本国は好景気に沸いているローリング・トゥェンティの時代に水兵をしている、しかも砲艦に乗せられて中国をウロウロしているという時点でサンバブロ号の乗員は艦長以下みんないわば負け組です。軍人とはいえ平凡な乗組員たちが、魔境中国の人間の営みを歯牙にもかけない歴史の渦にいや応なく巻き込まれてゆき、そしてあえなくすりつぶされてしまうのはあまりに悲しい。この作品が公開された当時はベトナム戦争はまだ泥沼化する前でベトナムに対する関心も低かったことを考えると、その先見性には感服してしまいます。 マックイーンはアクターズスタジオで学んだ経験があり本来は演技力も持っている人なのですが、この映画の演技でそれを証明してくれました。人間よりも機械を愛する孤独な男、このキャラは彼が生涯演じてきた役の典型でもありますが。 リチャード・アッテンボローと結婚する中国人メイリーですが、なんと『エマニュエル夫人』を執筆する前にちょこっと女優業もしていたエマニュエル・アルサンが演じているんですよ。このあと世界中をエロで席巻することになる女性にはとても見えないところが不思議です。
[映画館(字幕)] 9点(2011-06-21 22:05:54)
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