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 > かたゆき さんの口コミ一覧。8ページ目
かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1872
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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141.  ライフ・ウィズ・ミュージック 《ネタバレ》 
彼女の名は、ミュージック。音楽と日々の散歩が大好きなごく普通の女の子だ。でも、彼女には人と違う個性が一つだけ。それは自らの世界に閉じこもりがちで変化や刺激を極端に嫌がり、何か不安を感じると発作的に癇癪を起してしまう癖を持っていること。そう、ミュージックはいわゆる自閉症なのだ。それでも一緒に暮らす優しいお祖母ちゃんや周りの人たちのサポートで穏やかに暮らしていた。そんなある日、お祖母ちゃんが急な心臓発作で呆気なくこの世を去ってしまう――。連絡を受けたミュージックの唯一の肉親である姉、ズー。急な連絡に戸惑いながらもアパートへとやって来たズーは、久々に会う妹の扱いづらさに戸惑うばかり。とにかく施設に預けて厄介払いしようと目論むズーだったが、彼女もまた人生に深刻な問題を抱えていて……。障碍を持つ女性の日常をリアルに描きながら、そこに彼女の頭の中に流れる音楽をミュージカル調で描いたヒューマン・ドラマ。一言で表すと、ポップ版『ダンサーインザダーク』といった趣きの本作、その試みはなかなか興味深いものだった。世間からは常に好奇と同情の目で見られる社会的弱者にもちゃんとその人にとってかけがえのない生きる喜びや信念があるというテーマをあくまで軽くポップに描き出すことに成功している。彼女をはじめとした役者陣のナチュラルな演技も素晴らしく、特にアルコール依存症に苦しむ彼女の姉をリアルに演じたケイト・ハドソンの熱演は称賛に値する。そんな苦しい日常に突如として挿入される幻想的なミュージカルシーンも違和感なく共存させることに成功している。ただ、これは好みの問題と言ってしまえばそれまでなのだが、自分は肝心のそのミュージカルシーンがいまいち嵌まらなかった。何度も挿入されるカラフルでマジカルなそれら一連のシーンを、自分は正直「ダサい」と感じてしまったのだ。映像の色使いもダンスも演出もとにかく全てがダサい。恐らくダサいけどカッコ良いみたいな絶妙のラインを狙ったのだろうが、あまり成功していないように思う。また、後半のストーリー展開の唐突さも気になった。障碍を持つ妹を施設に預けようとした主人公が大したドラマもないまま急に心変わりするのも説得力に欠けるし、妻を兄に寝取られた隣人青年との顛末もとってつけたよう。あの太ったアジア系少年のエピソードもあそこまで投げっぱなしで終わるくらいなら最初から出さなかった方が良かったんじゃなかろうか。と、そういった欠点が幾つも目立つ作品ながら、社会の中で息苦しさを抱えて生きている人々に暖かなスポットライトを当てるような本作のテーマは好感が持てるものだった。総じて、自分は観て良かったと思う。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-28 08:48:03)
142.  イントゥ・ザ・ストーム 《ネタバレ》 
のどかな田園風景が拡がるアメリカのとある田舎町。気のいい純朴な人たちがのんびりと暮らすそんな平凡な田舎町だったが、最近は地球温暖化の影響か、以前では考えられないほどの強大な竜巻が何度も発生するようになっていた。いつ何時強大な竜巻が発生するか分からないこの町にその日、様々な思惑を抱えた人々が乗り込んでくる。竜巻を追う女性気象学者、大金を得るため竜巻の映像を撮ろうと目論むフリーのカメラマン、卒業式を目前に控えた高校生の兄弟、彼らの父親で生徒の規律をもっとも重んじる教頭、そして何も考えずにただ目立ちたいという理由だけでユーチューブに画像をアップする馬鹿二人組――。史上最大規模にまで膨れ上がった竜巻によって彼らの平凡な生活は無残にも破壊の限りを尽くされるのだった……。最新のCG技術を駆使して描かれる本作は、そんな王道のパニック・アクションでした。もうそのストーリーを聞いただけで内容のほぼ大半は予想できる典型的なB級作品なのですが、こういう頭空っぽにして最後まで安心して観ていられるエンタメ映画もけっこう嫌いじゃないんで、今回ビデオ屋さんでレンタルしてきました。とまあ、ほとんど期待せずに観始めたのが功を奏したのか、けっこう面白かったです、これ。カメラマンが撮った映像や携帯の動画撮影、監視カメラの映像等々、POV手法を要所要所に差し挟む演出が抜群に利いていて、造り込まれた迫力のCG映像も相俟って、なかなか緊迫感溢れる展開に最後までけっこう釘付け。「すぐそこまで竜巻が迫ってきてるぞ!お前ら、早く逃げろー!」と思わず町の住民になったかのように胸の中で叫んじゃってましたし。所々、「これって完全に『ツイスター』のパク…、オマージュやん!」ってシーンがあるのはご愛嬌(笑)。親子の確執や人のために働く気象学者と大金を得たいだけのカメラマンとの対立など、人間ドラマとしてもそこそこよく出来ています(まあ、超ベタですけどね)。というわけで、完全なるB級エンタメ映画として僕は最後まで面白く観ることが出来ました。うん、7点!
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-23 12:55:29)
143.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
ドイツ、ハンブルク。2001年、911の実行犯がこの港湾都市で計画を練って以降、それを察知できなかった現地の情報機関は躍起になってテロ対策を加速させていた。そんな国際都市にある日、ロシア当局に拷問を受けた過去があるチェチェン人青年イッサが入国してくる。そのことを察知したテロ対策諜報員バッハマンは、彼が大手銀行員と接触したがっていることを知り、全容を解明しようと彼をしばらく泳がせることを決断する。だが、バッハマンの思惑など意に関せず、国の上部機関、警察、現地のイスラムネットワーク、さらにはアメリカのCIAまでが絡んでき、事態はさらに複雑な様相を呈していくのだった。そんな折、イッサを支援していた女性弁護士の手筈で彼がドイツの街中で失踪してしまう……。名優フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作となったのは、ドイツの国際都市を舞台にテロ対策の最前線をリアルに描いたスパイ・サスペンスでした。スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの原作を映画化しただけあって、この全編に漲る息を呑むような緊迫感はなかなか凄かった。派手なアクションやスキャンダラスな設定で観客を煽るのではなく、あくまでもリアルで地味なストーリーなのに最後まで見せきる本作のスタッフたちの手腕は大したもの。そんな無差別テロという悪魔の所業を阻止するために誰も知らないところで彼らのような人が日夜、神経を磨り減らすような情報戦を繰り広げているのかと思うと本当に頭が下がる思いです。特に、何処にでも居るサラリーマンのようないでたちでありながら、それでも時折その隠し切れない狂気性を垣間見せるF・S・ホフマンの熱演は見事でした。権謀術数渦巻くテロ対策という問題の難しさに翻弄され、自分の無力さを思い知らされた彼の魂の咆哮とでも言うべき最後の雄叫びは胸の奥深くに突き刺さってくるようでした。つくづく惜しい人を失くしたと残念でなりません。奇しくも昨日(2015/11/14)、フランスのパリでイスラム国と見られる組織によって大規模なテロが発生してしまいました。あらためて、本作のラストに漂う無力感に胸が引き裂かれる思いです。本作の主人公バッハマンのような人たちがそれでもテロという悪魔の所業に決して負けず闘い続けてほしいと、今回のテロで亡くなった人々のためにそう願わずにはいられません。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-23 12:34:58)
144.  猿の惑星:新世紀(ライジング) 《ネタバレ》 
いまや伝説と化しているディストピアSF映画『猿の惑星』シリーズのその前日譚として製作された前作。とあるウィルスの蔓延によって知能が異常に発達し、それまで当然のように支配してきた人類に反旗を翻した猿たちの闘いを描き、これが詰めの甘い部分が目立ったものの、徐々に拡がっていく猿たちと人間との戦いをサスペンスフルに描いていて、緊迫感溢れるエンタメ映画として僕はけっこう楽しめたんですよ。なので、その後の滅亡の危機にまで追い込まれてしまった瀬戸際の人類と地球の新たな支配者として台頭しはじめた猿たちとの種の存亡を懸けた戦いを壮大に描いた続編として僕はけっこう期待しながらこの度鑑賞いたしました。結果は……、なんですのん、このスケールのちっちゃなお話は(笑)。猿と人間の地球規模の壮大な戦いどころか、けっこう狭い森の中で人間と猿の小規模なコミュニティ同士のダムを稼動させるか否かみたいなこじんまりとした戦いだけで終わっちゃ駄目でしょ。続編なんだから最低限前作のスケールは超えていってくれないと。それに脚本もテキトー過ぎ!人間と猿たちの戦いを描きたいのか、猿のコミュニティでの内部抗争を描きたいのか、軸がブレブレでストーリーがさっぱり盛り上がらない。ダムを稼動させたいという主人公のおっさんも猿の味方なのか人間の味方なのかいまいちよく分かんないから全く感情移入できません。あと、武器庫の門番をしてた人間の2人組、敵の猿が近づいてきたのに、「なかなか愉快な猿だぜ」と意気投合し一緒に酒飲んじゃうとか、普通にアホ過ぎっしょ(笑)。そのすぐ後に、やっぱり武器を奪われちゃって殺されちゃうとかどんなけ緊張感ないね~ん!!そういうテキトーなところばかりがやけに目について、僕はまっっったく楽しめなかったです。前作が良かっただけに残念!!
[DVD(字幕)] 3点(2023-08-23 12:01:20)
145.  チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密 《ネタバレ》 
チャーリー・モルデカイという男、彼自身が業界の暗部だ――。詐欺やペテンなどなんのその、大好きな美術品を手に入れるためならどんなことでもするインチキ美術品の闇ブローカーで、胡散臭いチョビ髭を蓄えた謎の紳士、その名もチャーリー・モルデカイ。自分に忠実な召使いを従え、チャーリーは業界の裏側で飄々と渡り歩いていた。ところが最近は運にも見放され、借金がかさみ破産寸前、愛する妻からも酷い扱いを受けている。そんな中、幼馴染みの警部から彼はとある依頼を受けるのだった。それは美術修復師のもとから盗まれたゴヤの名画を取り戻してくれというもの。大金の匂いを嗅ぎつけたチャーリーは、召使いとともに調査に乗り出すのだったが……。ジョニー・デップをはじめ豪華俳優陣競演で贈るのは、アート業界の裏側で繰り広げられるそんなドタバタを軽妙に描いたスラップスティックなコメディ作品でした。きっとこの監督はデビュー当時のガイ・リッチーみたいな世界をやりたかったのでしょうね(飛行機で世界を行ったり来たりするくだりなんて、まんま『スナッチ』ですもん)。まあやりたいことは分かるのだけど、全体的にスベリ倒していたのが残念でした。散りばめられたネタの数々がちっとも笑えないうえに中途半端に下品なのがもう致命傷。もっと下品にとことん無茶苦茶にはじけてもらった方が良かったと思う。とはいえ、後半ゴヤの名画を巡って様々な組織や人物たちの思惑が入り乱れながらドタバタとオークション会場へと雪崩れ込んでゆくだりは、けっこうテンポも良くてそこそこ楽しめました。モルデカイと女好きの召使いとの遣り取りもぼちぼち面白かったしね。というわけで監督、次はもっと頑張ろう、5点!
[DVD(字幕)] 5点(2023-08-17 09:39:39)
146.  ケープタウン(2013) 《ネタバレ》 
2013年、南アフリカ。いまだアパルトヘイトの影響が色濃く残る首都ケープタウンで警部をしているアリは、この国の先住民族である誇り高きズールー族だ。温厚で知性的な紳士であるそんなアリの相棒は、彼とは全く正反対の酒と女にだらしない自堕落なバツ一男、ブライアン。人間としては全く褒められたものではないブライアンだったが、刑事としての腕は一流だとアリは全幅の信頼を置いている。ある日、そんな彼らの管轄で、一人の少女が無残な惨殺死体となって発見されるのだった。すぐに捜査を開始したアリたちだったが、容疑者と思しき男を捜してバラックが立ち並ぶスラム街へと乗り込んだとき、そこにはとてもチンピラとは思えない重装備したギャングたちが待ち構えていたのだった……。一人の少女の殺人事件をきっかけにして炙り出される謎の麻薬を巡る闇社会の抗争、本作は南アフリカにいまだ残るそんな人種差別という名の闇へと立ち向かう全く正反対の2人の刑事の活躍をスタイリッシュに描いたクライム・アクションだ。胸に静かな怒りを秘めた寡黙な中年刑事を演じるのはフォレスト・ウィッテカー、私生活は酒と女で無茶苦茶だが犯罪を憎む情熱だけは誰にも負けない若手刑事にはオーランド・ブルーム。まあベタな組み合わせではあるけれど、殺人レイプ強盗など何でもありの極めて治安の悪いケープタウンという街を舞台にしたこともあって、なかなか緊迫感に満ちた作品に仕上がっていたと思います。特に、柄の悪い黒人たちが大量にうろつくスラム街へと主人公たちが乗り込むシーンなんて、一歩先に何が起こるか分からないから観ていて素直にハラハラドキドキ。南アフリカにいまだ影を落とす人種差別という社会問題の扱い方も、これ以上踏み越えるとテーマとして重くなる一歩手前で絶妙に抑えられていて、僕はエンタメ映画として最後まで面白く観ることが出来ました。ただ…、終盤で明かされる事件の真相がさすがにちょっと無理があったのが惜しい。アリの母親の扱いも、あのクライマックスへと向かわせるために無理やり紡ぎ出した感があってそこら辺もちょっと残念でした。結論。なかなかよく出来たクライム・アクションとして普通に面白かったですけど、あと一歩他の作品とは一線を画す新しい何かが欲しかった。6点。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-17 09:21:33)(良:1票)
147.  ドラキュラZERO 《ネタバレ》 
時は中世、ヨーロッパの辺境に位置する小国トランシルヴァニア。かつて串刺し公と呼ばれ敵であるオスマン帝国を震え上がらせたヴラド公が治めるこの地に再び、帝国の魔の手が迫っていた。いまや穏やかな君主となったヴラド公に、皇帝の使いは、侵略されたくなければ千人の少年を差し出せと要求する。それが嫌なら息子である王子を人質として差し出せとまで言うのだった。民衆のために苦渋の決断をした君主は、息子を引き渡すため交渉の場へと向かうことに。たが、息子を深く愛するヴラド公はぎりぎりのところで剣を手に取り、帝国に反旗を翻すのだった。このままでは民衆はおろか愛する妻と息子の命も危ない――。ヴラド公は、山の洞窟の漆黒の闇の中で何百年も前から身代わりを待ち続けていた伝説の魔物の元へと向かうのだった。恐ろしい闇の力を手に入れ、帝国の魔の手から愛するものを救うために……。誰もが知る暗黒の貴公子ドラキュラ、もはや伝説と化している彼がまだ人間だった時代を最新のCG技術を駆使して描く、漆黒のダークホラー・アクション。これまでに小説や映画で何度も何度もそれこそ新しいものはもはや何も残ってないのじゃないかというくらい、何度も取り上げられてきた〝吸血鬼ドラキュラ〟を再び映画化したという本作。さぞかし新しいアイデアや工夫を凝らした見せ方があるんだろうなと今回鑑賞。ところがその内容は、びっくりするぐらい極めてオーソドックスなドラキュラものでいささかビックリしちゃいました。新しいところと言えば、彼が人間だった時代を描いたところだろうけど、それも洞窟での魔物との最初の遣り取りを見て「ああ、きっと主人公は愛する人のためにこの魔物との契約を破り、人間の血を飲んでドラキュラになるんでしょーなぁ。でもさすがにそんなベタベタな展開は恥ずかしくてないよね」とか思ってたら、ものの見事にそんなベタベタな恥ずかしい展開に(笑)。とはいえ、お話の方は最後までテンポもよく、CGを多用したアクションシーンの数々も――暗すぎて若干見難かったとはいえそこそこ迫力あったし、適度な暇潰しとしてはぼちぼち楽しめると思います!6点!
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-17 08:51:34)
148.  ヴォイジャー(2021) 《ネタバレ》 
2063年、急速な地球温暖化により人類は滅亡の危機に直面していた。人類の未来を守るため、各国の指導者たちはある計画を立てる。ここから遠く離れた地球に似た惑星に選ばれし30人の子供たちを宇宙船で送り込もうというのだ。だが、その宇宙の彼方への旅路は、到着まで86年もかかるという壮大なものだった――。訓練を受けた30人の子供たちはいわゆる第一世代、宇宙船内で人工授精により子供を設け多くの者は惑星到着を目にすることなく死ぬ運命にある。実際に惑星へと降り立ち新たな地で繁栄を築くのは、彼らの孫にあたる第三世代の子供たちなのだ。何も知らないまま宇宙船へと乗せられ、日々規則正しい生活と一日一回謎の薬を呑むことを義務づけられた子供たち。唯一の大人で彼らの指導教育に当たる教官リチャードとともに、しばらくは平穏な旅路を続けていた。だが、そんな任務に疑問を抱いた一人の少年が薬を呑むことを止めたことをきっかけに、船内に不穏な空気が拡がってゆく……。遠く離れた惑星へと航海を続ける宇宙船内で繰り広げられる、そんな30人の子供たちのサバイバルを濃厚に描いたSFスリラー。イギリスのノーベル賞作家ゴールディングの無人島漂流ドラマの名作『蠅の王』。それを宇宙船に置き換えてSFにしようという発想は良かったと思います。宇宙船内や数々のギミックもけっこうスタイリッシュで、画としては充分見応えありました。タイ・シェリダンやリリー・ローズ・デップをはじめとする今が旬の若手スターたちの共演も華があって大変グッド。ただ内容の方はかなり中途半端。極限状況に追い込まれた青年たちの暴走と破滅を描こうというのであれば圧倒的に深みが足りないし、新天地を求めて遠く離れた宇宙へと旅する主人公たちのサバイバルを描きたいのであればかなりテンポが悪いせいでエンタメ性に欠ける。どちらかに焦点を絞るべきだった。正直、自分はどう楽しんでいいのか最後まで分からず、途中からは眠気と戦いながらの鑑賞となってしまった。アイデアは良かっただけに、なんとも残念。
[DVD(字幕)] 4点(2023-08-17 08:31:42)
149.  リコリス・ピザ 《ネタバレ》 
1970年代のアメリカを舞台に、恋に仕事に夢にと充実した毎日を送る若者たちの成功と挫折をほろ苦く描いた青春ドラマ。監督を務めるのは、ハリウッドでも今や特異な地位にいる鬼才ポール・トーマス・アンダーソン。主演には、彼と何度も一緒に作品を創り続けてきた名優、故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマン(これがデビュー作らしい)。特に何事が起こるわけでもない平凡な若者たちの取るに足らない日常を淡々と描いているだけなのに、なんだろう、最後まで心地よく観ることが出来ました。「ここが凄く良かった!」と声を大にして言える魅力は特にないのに、観終わったときには変な満足感。ここらへんはやはりアンダーソン監督の長年培ってきた力量がなせる技なのかな。脇を固める何気に豪華な役者陣――ショーン・ペンやブラッドリー・クーパーも短い出演時間ながら、心に残る印象的な演技を見せてくれます。正直言って脚本が良かったわけでもないし、映像もそんなキレイでもなかったし、主演2人も特に魅力的だったわけでもないし、ホント何が良かったか分からないけれど、なんか良かったです、これ。自分でもよく分かんないです(笑)。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-17 08:13:11)
150.  ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 《ネタバレ》 
もうシリーズの世界観から完全に外れちゃって、もはや『ミッション・インポッシブル(+恐竜)』みたいな感じになってましたけど、これはこれでけっこう面白かった!恐竜に追いかけられながらの街中バイクチェイスシーンは、やぱテンション上がりますなぁ。旧シリーズのメインキャストががっつり大活躍するのも好印象。あと、恐竜だけでなく今回は巨大イナゴの大群に追いかけられるシーンがあったのも自分はけっこう好きでした。イナゴの動きとかめっちゃリアルでなかなかグロかったーー!まぁ3日も経てば完全に忘れてしまいそうな内容でしたけど、エンタメ映画としては充分及第点。うん、そこそこ面白かったです!!
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-15 18:34:33)
151.  LEGO ムービー 《ネタバレ》 
「レゴブロック」――。それは、かつて子供時代に誰もが一度は手にし、そして想像の赴くままに何かを作った(あるいは作ろうと試みた)ことがあるだろう知育玩具。本作は、そんな懐かしいレゴブロックでもって構築された世界で繰り広げられる、自由と個性をテーマにした波乱万丈の冒険活劇だ。確かに最新鋭のCG技術を駆使して描かれた、あたかもレゴブロックを一つ一つ気の遠くなるほどの時間を費やして築き上げたかのような美麗な映像は目を見張るものがある。後半、様々な〝もの〟が築き上げられては容赦なくぶっ壊されていくレゴブロック――もう本当に小さくてカラフルなレゴブロックが画面狭しと飛び散りまくるさまは圧巻!――など、かつてレゴで遊んだことのある人間にとっては見てるだけで心がわくわくすること間違いなしだろう。そういったわけで映像のクオリティの高さは文句なしの一級品だった。ただ…、このあまりにもごちゃごちゃしてて勢いだけで突き進んでいくストーリーのほうは、僕としてはいまいち受け入れられないものだった。観ている間は勢いにやられてそれなりに楽しめるのだが、終わって冷静になって考えてみると「普段は地味で目立たない君のような人間でも、考え方次第でヒーローになれる!だからみんなで頑張ろう!」というこの押し付けがましい説教臭さみたいなものに若干辟易。いよいよ盛り上がってきたクライマックスで唐突に明かされる〝外の世界〟というメタ設定もいまいち成功していない印象を受けてしまった。そう言ったわけで、ストーリー的には難ありだが映像を楽しむ分には第一級の娯楽作!というのが、本作に対する僕の率直な感想だ。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-15 09:44:34)
152.  記憶探偵と鍵のかかった少女 《ネタバレ》 
記憶探偵――。それは他人の記憶の中に入り込み、その人にしか知り得ない無意識下の真実を探り出すことによって、世の中に溢れる様々な難事件を解決へと導き出す特殊な職業だ。業界最大手の一流企業、マインドスケープ社に所属するジョンもそんな記憶探偵の一人。ところが2年前に妻を亡くしたショックから、彼は長いスランプに陥っていた。このままでは妻の思い出が沢山詰まった家まで売り払わないと明日にも破産してしまう。ジョンは上司に掛け合って、記憶探偵としての仕事を何とか廻してもらうのだった。「大富豪の一人娘がもう1週間も飯を喰ってない。きっと過去のトラウマが原因だ。ジョン、どうだ?簡単な仕事だろう。すぐに向かってくれ」。藁にも縋る思いですぐにその大富豪の邸宅へと向かうジョン。そこには謎めいた言動を繰り返す16歳の美しい少女、アナが待っていたのだった。彼女のトラウマの原因を探るため、ジョンはすぐさま彼女の記憶の中へと潜り込んでいくのだったが……。他人の記憶の中に自在に入ることが出来る特殊な能力を持った探偵が彷徨い込んだ、そんな一人の少女の深層意識という名の迷宮を濃厚に描き出すダーク・ミステリー。クリストファー・ノーランが生んだ傑作『インセプション』が公開されてから、こういう人の深層意識の中へと潜り込んでいく系の作品がやたらと流行ってますね~。でも、その多くは『インセプション』とは比べるべくもない駄作ばかり。本作もその例に漏れず、『インセプション』のような世界観を頑張って構築しようとして(主人公の妻が記憶の世界に留まり続けて鬱状態から自死へといたったという設定なんて、そのまんまですやん笑)、見事なまでにお話が破綻しちゃってます。クライマックスで種明かしされる事件の真相も「いやいやそんな馬鹿な」と呆れるようなもので、僕は思わず失笑しちゃいました。ラストのハッピーエンドなんて、無理やり捻り出した感が半端ない。そして、こういう作品の一番の肝となるのはやはり主人公が彷徨い込む精神世界をいかにセンスよく映像化しうるかどうか。確かに、監督がゴシック趣味全開の少女ワールドを濃密に描き出そうと頑張っているのは分かるのだけど、うーん、残念ながら僕はそんなにセンスを感じませんでした。こういうのを観るといかにクリストファー・ノーランが天才かがよく分かりますね。記憶の中に入り込まれるアナという少女を演じた子がなかなかの美少女で、そんな彼女が太ももムチムチのホットパンツ姿を惜しげもなく披露してくれたことを考慮して+1点しときます。
[DVD(字幕)] 5点(2023-08-15 09:22:40)
153.  美女と野獣(2014) 《ネタバレ》 
「美女と野獣」――。それは18世紀フランスで書かれた、異類婚姻譚の古典。暗い森の中にひっそりと佇むうら寂れた城の中には、どんな屈強な人間でも一目その姿を見れば悲鳴をあげて震え上がるだろう恐ろしい野獣が暮らしていた。森の中へと迷い込んだゆく当てのない美女は、そんな恐ろしい野獣とともに暮らし始める。やがて、美女は野獣の秘められた過去を知り、野獣は美女の純粋な心を発見し、2人の間には次第にとある感情が芽生え始めるのだった……。恥ずかしながら、ジャン・コクトーが大昔に製作したモノクロ映画も大ヒットしたディズニーアニメも未見のまま、本作を鑑賞してみました。監督は、かつて『サイレント・ヒル』というストーリーのほうは薄っぺらいB級ホラーそのものだったのだけど、その創り込まれたグロテスクな映像美は目を見張るものがあった作品を撮ったクリストフ・ガンズ。いかにも彼らしく、本作もストーリーのほうは極めて薄っぺらいものでした。あまりよく知らないのですが、『美女と野獣』ってもっとラブ・ストーリーであってしかるべきだと僕は思うのです。そうじゃないとこの全く正反対の美女と野獣という2人に芽生える、お互いの容貌や環境をいっさい越えた〝真実の愛〟というテーマが全く映えないですもん。対して本作、その2人に芽生える真実の愛がかなりおざなりに描かれてしまっているから、クライマックスの展開がまー盛り上がらないことこのうえない。唯一の見所と言ってもいい肝心の映像のほうもいまいち冴えていなかったように思います。『サイレント・ヒル』では、そのあまりにも残酷でグロテスクな映像の中に時折垣間見えるほのかな抒情性がときに芸術的ですらあったのに、監督のあのころのセンスは何処に行ったのやら。思うに、この監督はこのような男女の繊細な心を描くラブ・ストーリーには向いてないんじゃないでしょうか。もうここは潔く開き直って、次は完全にグロテスクなゴシック・ホラー作品で勝負してもらいたいものです。そしたらきっと人々の度肝を抜くような傑作をいつかもの出来るのじゃないかと僕は期待していますんで。というわけで誰か、クリストフさんに僕がそう言ってたと伝えといてください(笑)。
[DVD(字幕)] 5点(2023-08-15 08:44:21)
154.  ニューオーダー 《ネタバレ》 
娘の結婚披露パーティーを開催中のとある富裕層家族。強固なセキュリティに守られ、政財界の大物を多数招待したパーティーが佳境に差し掛かっていたまさにその時、彼らを予想もしなかった悲劇が襲う。拡がり続ける格差に不満を募らせた貧困層が暴徒化、鉈や拳銃を手に屋敷に雪崩れ込んできたのだ。示し合わせたかのように各地で勃発する暴動に警察の手も追い付かず、高価な財産はことごとく略奪、泣き叫ぶ家族も容赦なく皆殺しにされてしまう。豪邸内は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図と化すのだった――。パーティーの主役である花嫁マリアンは、突然の事態に戸惑うばかり。だが、根が純粋で世間知らずのマリアンは、難病を患う妻を病院に連れていきたいと願うかつての使用人を助けるために街に出てきてしまう。暴れまわる暴徒や軍隊によって大混乱へと陥る中、マリアンは高級車で街を彷徨うことに。何とかして元使用人の元へと辿り着いたマリアンだったが、それもむなしく彼女は軍を裏切った兵士によって誘拐されてしまう。多くの人質とともに劣悪な牢獄へと監禁されるマリアン。果たして彼女の運命は?政情不安に揺れる中南米を舞台に、突如として殺戮と略奪に巻き込まれる一人の女性の運命を終始冷徹に見つめたサバイバル・ドラマ。あくまでリアルに徹した、この殺伐とした空気感は凄かった。まるで戦場カメラマンが現地で撮った映像を繋ぎ合わせたかのようなリアリティで、この息詰まるような世界に終始圧倒されっぱなし。誰が生き残り誰が死ぬのか、全く先の読めない展開はこの世の不条理を容赦なく暴きだしている。ただ、それが映画としての面白さに繋がっているかというと、自分は正直「否」と言わざるを得なかった。ひたすらこの主人公マリアンが不幸な事態に巻き込まれ、何も悪いことをしていない無辜の民がことごとく悲惨な最後を迎えてゆく。そして最後も慈悲などなくただ淡々と……。これが目を背けてはならない現実だと言うのは分かるのだが、映画としてはやはり優れたフィクションの力で観客を魅了して欲しかった。映像や世界観の作り込みは素晴らしかっただけに、惜しい。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-15 06:48:24)
155.  ゲッタウェイ スーパースネーク 《ネタバレ》 
ブルガリア、ソフィア。かつて天才レーサーとして名を馳せたものの、その無謀とも言える運転がたたってレース界から追放を余儀なくされた男、マグナ。以来、闇の仕事で食いつないでいた彼だったが、いまは引退し愛する妻とともに幸せな日々を送っていた。だが、そんなある日、マグナがマンションに帰ってみると部屋は荒らされ彼の生甲斐である妻がさらわれていたのだった。直後に鳴り響く彼の携帯。「いいか、よく聞け。突然だが、君の妻を誘拐させてもらった。返してほしければこれから私が指示する駐車場にすぐに向かい、そこに停めてある特別な車を盗め。運転は久々だろうが、妻を救いたければ私の指示に従え。君の妻は実に美しい女性だ。もし通報したり君が警察に捕まったりすれば、彼女は死ぬ」――。謎の男の指示通り、駐車場へと向かうとそこには様々な改造が施されたスーパーカー〝スーパースネーク〟が停めてあったのだった。難なく車を盗み出すことに成功したマグナは、直後に乗り込んできた車の所有者を名乗る生意気な少女とともに、夜の街を疾走してゆく。そう、愛する妻を取り戻すために……。CGはいっさい使わず実際に街で車を暴走させて撮られた、疾走感溢れるカーアクション。全編カーチェイスに次ぐカーチェイス、そしてクラッシュ!クラッシュ!クラッシュ!90分間、もうひたすら車が走りぶっ壊れ続けるだけの、まあ潔いまでのB級エンタメ映でした。けど、確かに凝りに凝りまくったアクションシーンの数々はキレも勢いもあって最後まで楽しく観ることが出来ますね。どこか影のあるワイルドな男を演じさせたら右に出る者の居ないイーサン・ホークも相変わらず格好良いし、同乗者となるお転婆南米娘との凸凹コンビもバッチリ決まっていて素直に楽しかった。うん、90分な~んにも考えずに楽しめるエンタメ映画としては充分水準に達していたと思います。ただ…、ずっと車の中に居る彼らからの視点でしか物語が語られないため、ストーリーが幾分か一本調子なのが本作の弱点。これにたとえば、彼らを追う刑事からの視点などがあれば随分とメリハリの利いた展開になってもっと面白くなりえただろに。それに最後のどんでん返しがすぐには分かり難く、いまいちカタルシスが得られなかったのも残念。と、そこらへんが惜しかったですけど、酒でも飲みながら頭空っぽにして観るべき映画としてはそこそこ面白かったんじゃないでしょうか。うん、6点!
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-14 11:12:32)
156.  プロミスト・ランド(2012) 《ネタバレ》 
「僕の名前はスティーヴ・バトラー、グローバル社の者です。知っての通り、この町の地下から新たな時代のクリーンエネルギー、シェールガスが発見されました。この事実は、危機に瀕しているこの町に莫大な利益をもたらすことでしょう」――。アメリカ郊外にある地方都市、マッキンリー。長引く不況の影響で閉塞感に満ちていたこの町に、シェールガス発見という朗報が舞い込んでくる。業界大手グローバル社の営業マン、スティーヴはそんな小さな町に土地の買付と住民対策のために乗り込んでくるのだった。大金をちらつかせて順調に住民を説得していく彼だったが、突如として環境保護団体を名乗る男が町に現れる。「俺の故郷はグローバル社の環境汚染のせいで滅茶苦茶にされた!みんな、騙されるな!」。精力的にそう訴える男によって、順風満帆だったスティーヴの活動は窮地に追い込まれてしまう。自らの出世のために、なんとしてでもこの案件を成功させたい彼は躍起になって対策を練るのだったが……。環境保護と経済活性の間で揺れる一地方都市を舞台に、徹底的に資本の論理で動くエリートサラリーマンと環境保護団体の駆け引きをリアルに描いた社会派ドラマ。と、書くと物凄く重たそうな物語を想像してしまいそうだけど、そこはいままで青春映画の良品を幾つも手掛けてきたガス・ヴァン・サント監督。何処までも続くのどかな田園風景や純朴な田舎の住人たちを穏やかな視線で描くことで、非常にノスタルジックな雰囲気に満ちた佳品に仕上がっておりました。数々の賞に輝くベテラン監督だけあって、さすがに巧い。個性豊かな登場人物たち、分かりやすいストーリー展開、詩情豊かな映像と音楽…、もう最後まで安心して観ていられます。最後のあっと驚く展開も「なるほど…」と唸らせておいて観終わったあとに色々と考えさせるところも見事。ただ……、その抜群の安定感がこの作品の魅力となっているかというと僕は逆にあまりにもスタンダードすぎてちょっぴり物足りなさも感じてしまいました。もう少しこの作品ならではという何か新しいものを求めてしまうのは欲張りというものでしょうか?とはいえ、この抜群の安定感はやはりいい。環境保護と経済活動…、そんな難しい問題を考えるきっかけとしても観て損はないだろう。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-14 10:50:56)
157.  キャメラを止めるな! 《ネタバレ》 
低予算ながら類い稀なるアイデアと優れた脚本の力で日本で大ヒットを飛ばしたゾンビコメディ映画『カメラを止めるな』。そんな大ブームを巻き起こした作品がまさかのフランスでリメイク!しかも監督は、『アーティスト』でアカデミー賞の栄誉に輝くミシェル・アザナヴィシウス。と言う訳で今回鑑賞。世間ではいまいち評判が良くないみたいですけど、自分はこれはこれでけっこう面白いと感じました。オリジナルはとにかくコメディ全振りで最後の方なんて大笑いしながら観てましたけど、こちらはけっこうブラックな皮肉が効いていて思わずニヤリとしてしまう感じですかね。ここらへん、日本とフランスの国民性の違いなのかな。最近の行き過ぎたポリコレを揶揄するようなきわどいネタをサラっとぶっこんでくるとこなんてナイス!冒頭、ゾンビ映画の主人公たちがバリバリ西洋人なのに何故かみな日本名という不自然さの理由が明らかにされたとこなんて普通に笑っちゃったし。なるほど、パール・ハーバーですか(苦笑)。ただ惜しいのは、肝心のそのワンカットゾンビ映画のクオリティが明らかにレベルが低くなってしまっているところ。キレの良さとかテンションの高さとかはやはりオリジナルの方が圧倒的に上ですね。あとこれは好みの問題なのかも知れませんが、主人公の女性が致命的なほどタンクトップとホットパンツが似合ってないのはひじょーーーに残念!!とは言え、オリジナルを忠実に再現しながらも独自のセンスを織り込んだ本作、僕はそんなに嫌いじゃなかったです。
[DVD(字幕)] 6点(2023-08-14 08:25:12)
158.  エクソダス:神と王 《ネタバレ》 
「出エジプト記」――。それはユダヤ教、キリスト教、イスラム教という世界の約半数の人々の精神的支柱であり、さらにはあらゆる文化的生活の基礎となり道徳心や倫理観の規範となるべきものでもあり、時にはその解釈を巡って歴史を揺るがすような諍いを巻き起こし続けた旧約聖書、世界宗教の原点とも言うべきその中でももっとも重要な部分と言っていいだろう。そして恐らく人々が歴史に刻んだ原初にしてもっとも有名な物語だ。本作は、そんな誰もが知るお話をいまやハリウッドの重鎮となったリドリー・スコット監督が、新たな解釈のもとに映像化した重厚な歴史スペクタクル巨編である。特徴的なのは、そんな宗教掛かった原典から出来るだけ神秘性を排除し、あくまで科学的に解釈出来るように神の奇跡を描いていることだろう。特に〝エジプトを襲う十の災い〟と〝追い詰められたヘブライ人のために海が割れる奇跡〟。現代の常識ではあり得ないこの奇跡を、監督は――多少の無理があるとはいえ――あくまで科学的に証明できるものとして描き出してゆく。また、モーゼが縋る神の存在も見えるのは彼自身にのみであり、子供の姿で現れる神はあくまでモーゼの妄想が創り出した想像上の産物かもしれないものとして描写されている。ここでこの老監督の狙いが明らかとなってくる。「神は死んだ」。これはニーチェが唱えた有名な言葉だが、神とはもしかしたら人が生きるために創り出した一つの壮大な物語ではないのか。科学が極限まで発達し、この世に神が居ないということを論理的に証明しつつある現代においてもなお、宗教が現代のあらゆる問題に影を落としている。もしかして、人は生きるために神という物語を必要とする生き物なのかもしれない、たとえそれが間違った物語であったとしても――。本作の優れている点は、宗教という人間の生きるうえでの根源的なものをテーマとしながらも敢えて否定的な視点をも備えているところだろう。そこには、それでも自分は映画という世界で物語をずっと創り続けてきたというスコット監督の矜持が力強く貫かれている。ただ、本作はよくも悪くもR・スコット作品。長い間、人が生きるうえでの倫理的規範であり続けてきた〝十戒〟を根底から否定するわけでもなく、かといって狂信的なまでに肯定するわけでもないそのスタンスは「浅い」と非難されても仕方がない。『グラディエーター』や『ロビンフッド』という、その重厚な世界観には圧倒されはするものの肝心の内容のほうは――あくまで個人的にだが――そこまで深いものが感じられなかった過去の作品に比べればより芸術性は増したものの、彼の代表作の一つとして映画史に残るほどの出来かというと残念ながら“否”と言わざるを得ない。それが僕の本作に対するあくまで冷静な評価だ。
[DVD(字幕)] 7点(2023-08-09 13:32:53)
159.  インヒアレント・ヴァイス 《ネタバレ》 
トマス・ピンチョン――。それは現代アメリカ文学を代表する作家であり、何度もノーベル文学賞の候補となりながらも、その極度の偏執的な性格のせいでプロフィール完全非公開、誰からのインタビューも受けず高名な文学賞授賞式にも一切出席せず、顔写真すら公表していない孤高の覆面作家だ。そして代表作――寡作なので、何十年という作家生活の中でもその全体の作品数は数えるほどしかないのだが――と呼べる幾つかの作品もその経歴以上に難解で前衛的で多くの謎に満ちていることでも知られている。本作はそんな孤高の作家の代表作を、これまた現代ハリウッドでも特異な位置に居るポール・トーマス・アンダーソン監督が、豪華キャストを揃えて映画化したものだ。観終わってすぐの率直な感想を述べるならば、「凡庸」。この一言に尽きるだろう。ピンチョンの作風を言い表すとき、よく〝パラノイア(偏執狂)〟と表現されるほど徹底的な独自性と有無を言わさぬ破壊力に満ちているというのに、ポール・トーマス・アンダーソンともあろう者がこのような凡庸な出来で満足するとはどうしたことだろう。ただただ思わせぶりで大して面白くもない映像が延々と続き、正直、僕は最後まで観るのが苦痛で苦痛で仕方なかった。原作のことを前提に考えるならば、もっとぶっ壊れていてしかるべき!もっとエキセントリックでアナーキーな内容を追求してこそ、これまで映像化は不可能と言われ続けてきたピンチョンの原作を映画化したと初めて言えるのに、これでは到底認められない。たとえばテリー・ギリアムの作品に『ラスベガスをやっつけろ』というのがあったが、あれも映像化は不可能と言われた原作を映画化したこともあって完成度は必ずしも高くはないのだが、それでも他の追随を許さない圧倒的なオリジナリティを構築した監督のその気概に僕は震えたものだ。対して本作のこの凡庸ぶり。かつて『パンチ・ドランク・ラブ』という怪作を撮った彼がピンチョンの『LAヴァイス』を映画化したということで、かなり人を選ぶぶっ飛んだ内容を期待していた僕としてはかなり残念な作品であった。
[DVD(字幕)] 4点(2023-08-09 13:08:05)(良:1票)
160.  パワー・ゲーム 《ネタバレ》 
アメリカン・ドリームを求めて世界的IT企業ワイアット社に入社した青年アダム。だが、厳しい競争社会に敗れて、彼は職を失ってしまう。ところが後日、アダムはワイアット社の役員室に呼び出され社長からとある〝社命〟を受けるのだった。それは、ライバル企業に産業スパイとして潜り込み、極秘プロジェクトの情報を盗み出せというもの。もちろんバレたら犯罪者として逮捕される。当然、最初は断ろうとしたものの、アダムは成功を夢見るあまり、そんな極秘任務を受け入れるのだった。ワイアット社の裏工作により、無事ライバル企業に潜入することに成功したアダムだったが……。ある日突然、巨大IT企業の内部で暗躍する産業スパイとなった青年が辿る運命をスタイリッシュに描いたサスペンス。ゲイリー・オールドマン&ハリソン・フォードという二大ベテラン俳優競演ということで今回鑑賞してみました。うーん、おおよそ想像していたとおりの、まあ可もなく不可もなくな作品でしたね、これ。よく言えば最後まで安心して観ていられる定番のエンタメ作品、悪く言えば新しいところがいっさいないベタベタな企業サスペンス。別にそういう映画があってもいいとは思うのですが、ちょっとこれは後者の印象のほうが強かったですかね~。もう何処かで見たようなシーンと何処かで見たようなキャラクターと何処かで何度も見たことがあるような展開が延々と続き、僕はいまいち楽しめませんでした。最後の取ってつけたようなハッピー・エンドも、なんだか、ねえ……(苦笑)。久し振りに悪役を演じたゲイリー・オールドマンの不穏な空気に満ちた相変わらずの格好良さに+1点しときます。
[DVD(字幕)] 5点(2023-08-09 13:05:01)
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