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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2383
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1741.  デモン・シード 《ネタバレ》 
最近ではすっかり現実的なお話しになってきたAI・人工知能ものは『2001年宇宙の旅』を持ち出すまでもなく昔からSF映画の格好のネタでしたが、その中でもこの映画に登場する人工知能プロテウスが突拍子なさでは№1でしょう。なんせ無機物のマシーンであるくせに、人間の女に自分の子供を産ませようとするんですから!このプロットはもちろん知ってましたが今まで観る機会がなかった私、下世話ながら一番の関心は「人工知能がどうやってエッチをするの?」ってことでした(笑)。なんせ胎ます相手があの『赤い影』のジュリー・クリスティーですからね、そりゃ期待しますよ。ところがそこは見事に期待外れ、最大の疑問の「精子はどうするの?」も端末さえあれば何でもできるプロテウスくんが実験室で精子を作成しちゃうんですから、そりゃあ何でもありです。 しかし自分が今まで観てきたAI・人工知能ものSFの中では、このプロテウスくんがもっとも怖い暴走AIでした。初っ端からストレートな要求を開発した科学者に突き付けてくるのですが、それを重要視しないこの博士がこの映画の最大のツッコミどころであることは間違いなしです。あと70年代の作品なのでケチをつけるのは酷ですけど、プロテウスの思考を表現するビジュアルが陳腐かつシュールなのが痛い。感じから言えば、同時代の『アルタード・ステーツ』の視覚効果の劣化版というとこでしょうか。 ラストのバッド・エンドは観ていて想像の範囲内でしたが、全体にしまりがない演出のせいでかなり損しているなと感じました。この時代なら、ロバート・ワイズあたりが監督していたら傑作になっていたかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-10-27 22:18:29)
1742.  グランド・イリュージョン 《ネタバレ》 
これはもう皆さんご指摘の通り、マジックを題材にする映画の居心地の悪さがドンと立ちはだかって結局それを乗り越えられなかったということにつきます。言ってみれば映画自体が壮大なイリュージョンみたいなものですからねえ。というわけで軽いタッチのストーリーテリングなので、展開自体もどんどん『ミッション・インポッシブル』シリーズみたいな感じになって行きました。どうせなら『プレステージ』みたいな怪奇趣味に走ったほうがなんとかなったかもしれません。 この映画の最大の弱点は“アイ”などと呼ばれるフリーメーソンみたいな秘密結社のことを脚本上うまく活かせなかったところで、四人のマジシャンたちの活動が“アイ”とどういう関係があるのかが全然わからない。インターポールの捜査官メラニー・ロランとFBI捜査官マーク・ラファロの絡みが並行して描かれているが、これではこの映画のストーリーテリングが四人のマジシャンと二人の捜査官に分裂してしまって緊迫感がそがれてしまいます。メラニー・ロランの正体ははたして?というサスペンスを強調する手もありますが、そうするとオチがあれですから突っ込みどころがさらに巨大化するだけになりそうです。 とまあケチをつけだしたらキリがないわけですけど、マイケル・ケインにモーガン・フリーマンも顔を見せていることだし、深く考えなければいい暇つぶしにはなるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-09-29 22:00:32)(良:1票)
1743.  夜のいそぎんちゃく 《ネタバレ》 
これが一応『いそぎんちゃく』シリーズのラストとなります。前二作では石田浜子だったヒロイン渥美マリの役名は浜口洋子に変わってますが、役名は同じでも今まで一作ごとに全然違うキャラだったので大した意味はありません。もっと大きく変わったのはヒロインのキャラ付けで、色気たっぷりの銭にがめついたくましい女性というキャラのはずが、そこから“銭にがめつい”という要素がなくなっちゃてるんです。この映画は言ってみればマレーネ・ディートリッヒの『嘆きの天使』を翻案したようなもので、千秋実がエミール・ヤニングスの役柄だというわけです。この二人を取り巻く登場人物たちは単なる背景みたいな意味しか与えられていなく、渥美マリに惚れてひたすらに落ちてゆく牧師・千秋実を追いかけてゆくのがメイン・ストーリーです。東宝の名優・千秋実が軟体動物シリーズに出演しているというのは考えてみればすごいことですが、どうしても彼の演技のほうに眼がいってしまうのはやむを得ないでしょう。ラストで渥美マリに捨てられ、教会の門前で祈りの姿勢のままで固まってしまう演技は秀逸でした。肝心の渥美マリの方は、監督が第一作と同じ弓削太郎であるのにもはや脱ぎもなく、軟体動物シリーズの中では最も印象が薄かったキャラなのは残念でした。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2019-08-31 23:09:43)
1744.  激戦ダンケルク 《ネタバレ》 
クリストファー・ノーラン作品で有名なダンケルク撤退戦、この戦いをテーマにした映画はノーラン版を含めて三本ありますが、本作がいちばん古いわけです。プロデューサーはマイケル・バルコン、アレック・ギネスが主演したコメディを当時量産していたイーリング・スタジオの総帥です。言ってみれば大作戦争映画を撮るのにはどう考えても不慣れな撮影所なわけで、それは作品の出来に少なからぬ影響を与えているようです。 物語はナチ・ドイツがオランダ・ベルギー・フランスに侵攻する前のいわゆる“ファニー・ウォー”の時分からスタートします。憂国の士である新聞記者のバーナード・リー(初期007のⅯ役で有名)と小市民的な価値観を持つ自動車修理工場のオーナーであるリチャード・アッテンボロー、そしてフランス駐在の英国派遣軍の伍長ジョン・ミルズの三人が主要キャラです。民間人の二人は一応ご近所で顔見知りですがミルズとはもちろん面識はなく、同時進行でこの三人の物語が語られてゆきます。ミルズ伍長の率いる分隊は本隊からはぐれドイツ軍の追撃を必死にかわしながらダンケルクにたどり着き、そこで自家用の小舟で駆け付けたリーとアッテンボローと遭遇するわけです。ドイツ軍がフランスに侵入してダンケルクで英仏軍を包囲するまでは陸戦ですけど、ここは地図を使ったアニメーションと記録映像で大まかなところは済ませますが、いきなり大戦中期から使用されるティーガー戦車の映像が使われたりして鼻白んでしまいます。ハリウッドと違って英国戦争映画はこういう細部にこだわるんですけど、ここはコメディ専科だったイーリング・スタジオの弱みが出てしまいました。 この映画が実はノーラン版ダンケルクに影響というかヒントを与えていることに気が付きます。ノーランはこの主要キャラ三人の行動を陸・海・空の物語に置き換え、時間軸もバラバラにして最後にダンケルク海岸で交差するように脚本を書いたのです。本作でも海岸で救出を待つ仲間に撃墜されたパイロットが加わっていたり、ジョン・ミルズたちが一度は乗った船が撃沈され九死に一生を得て海岸にたどり着くエピソードがあるところなどからも(もっとも船が撃沈されるのはアンリ・ヴェルヌイユ版『ダンケルク』にもあり、三作共通のエピソードとなります)推測されます。 ノーラン版のようなテンションが上がるシークエンスもなく、淡々とした感じで物語は進行しそして映画は終わります。辛口で言えば出来の悪いプロパガンダ映画みたいかなとも言えますが、ここで興味深いことに気が付きました。最近観た『人生はシネマティック』のダンケルク撤退を描いた劇中劇映画が雰囲気や細部がとても似ているんです。スクリューにロープが絡んで小舟が動けなくなるという同じエピソードがあるし、ダンケルク海岸のシーンではうり二つのショットまでありました。そう考えると本作は成功作とはお世辞にも言えないけど、けっこう後世に影響を与えているんだなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-08-17 22:20:42)
1745.  ハートブレイク・リッジ/勝利の戦場
すでにどなたかがご指摘の通り、とても後年に硫黄島二部作を撮る方とは思えないお気楽なストーリー。でも現代戦をテーマにした映画を撮ったのはこれが初めてだということは考慮してあげないといけないし、どちらかというと硫黄島二部作の方が「あのイーストウッドがこんなテイストの戦争映画が撮れるとは」と驚いたというのが正直な感想でした。あと『グラン・トリノ』の主人公の設定なんかもそうでしたが、イーストウッドが演じるキャラや周辺の登場人物でかつて海兵隊員だったというパターンが多いような気もします。こうなると「あなたのU.Sマリーン愛はどんだけだよ」と突っ込みたくなりますが、本人が従軍したのは陸軍だったというのはなんか面白くないですか。また彼の部下たちが絵に描いたような悪ガキばかりで全員いわゆるカラード(有色人種)であるのが、いかにもという感じです。いくらアメリカが関与する戦争がなかった時期とはいえ、全員志願兵の海兵隊がこんなにダレた雰囲気になるもんだろうか、まあそこはフィクションですから大目に見ましょう。 いくら何でもこんな爺さんが海兵隊にいるか、と思ってましたが良く考えるとこの時イーストウッド御大は56歳ですからかなりのふけメイクだったんでしょうね。というか『ダーティハリー』を始めたときはすでに40歳を過ぎていたというわけで、こりゃあこの人長生きするわけです。トム・ハイウェイ軍曹が引退して20年たった姿が、『グラン・トリノ』のウォルト・コワルスキーなのかな。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-08-07 21:26:17)
1746.  バリー・シール/アメリカをはめた男 《ネタバレ》 
80年代レーガン政権時代の米国と中米の係わりは、ほんとにややこしく複雑でなおかつ個人的には興味がないので困ったものですが、そこにトム・クルーズをぶち込んできたのでちょっと期待して観ました。映像はドキュメンタリー・タッチの手持ち撮影が多く、実録ものらしい雰囲気は良く出ていました。トム・クルーズの演技はいかにもな小者感が前面に出ていて、けっこう愉しませてくれます。そういえば同じ実話ものである『グッドフェローズ』と似た雰囲気があるとも感じましたが、『グッドフェローズ』のような切れのある脚本ではないので比べられたら可哀そうですね。キャスト面では奥さん役のサラ・ライト以外に重要な女優キャラが皆無と言える状態で、ちょっと花がなさすぎ感が否めません。結論としては、ダグ・リーマンがメガホンをとっているという期待感は見事に裏切られたかなという感じです。 70~80年代の米国政界の主要人物が勢ぞろいしていたところが面白かったところでした。それはアーカイブ映像だけではなく実際にキャスティングされた役やセリフだけで登場する人物など様々でしす。なかでも、バリー・シールがホワイトハウスに連れていかれたシークエンスで、ベンチの隣に座っていたのが小者時代のジョージ・W・ブッシュで副大統領のパパ・ブッシュに会いに来てるというのが、個人的にはツボでした。それもまるでお小遣いをもらいに来た引きこもりみたいな感じなのが笑わせてくれます。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-08-03 23:03:02)
1747.  陸軍中野学校 開戦前夜 《ネタバレ》 
前作のラストと綺麗に繋がる『陸軍中野学校』シリーズの最終作、太平洋戦争開戦の裏で暗躍した米英諜報組織と椎名次郎が率いる防諜部隊の暗闘といった感じですか。結論としては、日本国内の英米エージェントのキャラが分散というか多すぎでストーリーが散漫になってしまいました。船越英二の画家スパイなんて「このキャラ、この映画に必要?」と首をかしげたくなりますし、中野学校女子部なんてものまで登場してくる始末です。まあ一番の突っ込みどころというのは、この時期の日本の外交暗号は英米に解読されていてヒューミント(いわば生身の人間によるスパイ活動)に頼る必要がなかったという今じゃ有名な史実です。ほぼ同時期に製作された『トラ・トラ・トラ』ではこの暗号解読の経緯がばっちり織り込まれているので、別に秘密ではなくすでに周知だったと考えられます。まあ実際には英米ともに日本の戦力を舐めていたし英国に至ってはドイツに攻められまくってアジアのことにかまっている場合ではなかった、という感じです。 シリーズを通してみて感じることは、どうも中野学校が果たしていた役割をあえて捻じ曲げたような流れで製作された感じが強いです。中野学校を設立した陸軍は開戦直前まで英米は眼中になく、あくまで仮想敵はソ連です。そしてゾルゲ事件で判るように、日本国内でヒューミントのスパイ活動をしていたのはソ連でした。このシリーズでは中・米・英の三国が登場しますが、まるでこの世に存在しないかのように肝心のソ連が全く登場しません。これこそ左翼全盛だった60年代の時代を感じさせる忖度以外の何者でもないでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2019-07-30 23:38:57)
1748.  人生はシネマティック! 《ネタバレ》 
バトル・オブ・ブリテンの真っ最中、空襲に痛めつけられている英国民を鼓舞しようと情報省はプロパガンダ映画の製作を企画した。題材はダンケルク撤退、「双子の姉妹が小舟でダンケルクに赴き兵士を救出した」という新聞の記事をもとにした英雄譚でいこうじゃないか!となって省内で白羽の矢を立てた女性職員を脚本家に仕立てて製作開始。ところが彼女が双子姉妹に会ってみると新聞の記事は話を盛り過ぎてほとんどフェイクニュース状態、姉妹が操縦した船はエンジン故障でダンケルクどころか英国領海を出てすらいなかった… というプロットの映画です、いわゆるバック・ステージものと言われるジャンルになるかと思います。映画製作の裏側を見せる作品はいろいろありますが、本作のヒロインは脚本家で脚本家の視点で撮られているところがその手の映画としては珍しい視点だと思います。“予期せぬ出来事が続いて撮影現場が混乱する”というのが定番のストーリーテリングですが、この映画ではそのシークエンスが割と抑え気味で、そのためかコメディ色が薄くなっています。ベテラン名優役のビル・ナイは確かに彼らしい役柄で光っていますが、全般にヒロインを含めて主要キャストが地味な顔ぶれなのがなんか弾けてない感を強くしてしまっている気がします、まあそこがいかにも英国映画というテイストなんですけどね。登場キャラやその周辺の人々がぽつりぽつりと空襲で死んでゆくのがリアルなところなのかもしれませんが、ヒロインと恋仲になる脚本家が死ぬところだけは「そんな死に方ありか!」とただただ驚いてしまいました。 決して悪い映画だとは思いませんが、観客の期待する水準までには達しなかったなというのが正直な感想です。コメディ要素がもっと強い方が良かったかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-07-26 23:39:26)(良:1票)
1749.  ジグソウ:ソウ・レガシー 《ネタバレ》 
『ソウ』マラソン完走者のくせに、またまた新作が世に出たといって観てしまう自分が情けない、というか、お前ら性懲りもなくシレっと撮るなよ!とジェームズ・ワンおよびリー・ワネル両名に説教したい。 製作者たちは原点回帰と呼ばれたいのかもしれないが、よくよく考えると今回のお話しは前シリーズのエッセンスを薄めて一本の映画にしました、ってことなんですよ。ジグソウの後継者が誰か?というくだりは、まさに前シリーズの『3』当たりまでのストーリー展開とほとんど一緒だといえます。途中からジグソウ本人が登場してきてまさかの心霊ホラーかと慄きましたが、種明かしされればこれは『4』で使っていたような時系列をいじくった映像的トリックにすぎず、完走したくせに前シリーズの細部を忘却の彼方に追いやってしまった自分が情けない。でも言わせていただければ、これはミステリー系映画のトリックとしては禁じ手なんじゃないかと思いますけど… やはり私も、ラストは“Game Over”で幕を閉じてほしかった方です。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-07-19 00:41:46)
1750.  ワイルド・パーティー(1970) 《ネタバレ》 
倒産寸前だった20世紀フォックスがやけくそになってラス・メイヤーを招聘した、フォックスの歴史に残る怪作です。同じころ日本でも倒産間際の大映が渥美マリで軟体動物シリーズを年間6本製作したのと同じようなもので、貧すれば洋の東西を問わず考えることは一緒ってわけです。考えてみると、これは東宝がピンク映画の監督を引っ張って来てお色気映画を撮らせたとゆうようなお話しですから、その衝撃はいかほどだったんでしょうか。また脚本を書いたのが若き日のロジャー・エバート、そうです、後にピュリッツァー賞を受賞したアメリカでもっとも有名な映画批評家ですよ。 フォックス自体は『哀愁の花びら』(アメリカ映画史上もっとも陳腐なメロドラマという称号が与えられています)の続編を撮れと命じたそうですが、出来上がってみると何の関係もないお話しになってしまって原作者のジャクリーン・スザンから大クレームが来て、冒頭の珍妙なテロップが流れる羽目になったそうです。監督がラス・メイヤーですから10分ごとに巨乳か巨尻が画面に登場し、さすが巨乳映画の巨匠と称えられただけのことはあります。おまけにホモ・レズ・SM・ドラッグとなんでもござれ、出てこないのは近親相姦ぐらいのものです。でも音楽とシーンのつなぎだけはセンスが抜群で、メイヤーはただのエロ監督ではなかったみたいです。たしかに『哀愁の花びら』とリンクしているなと感じさせてくれるのは三人のヒロインとその恋人たちに次々と襲いかかる不幸の連続で、これにはもう笑うしかありません。ところがラスト20分になると突然の流血の大惨劇が始まり、正直わけが判らなくなります。長剣で男の首をギロチン・カットする場面まであり、そこに20世紀フォックスのファンファーレを被せる荒業、フォックスがよく許したものです。 ラストに流れるあたかも「こんな不道徳極まりない映画をお見せして申し訳ない」と言っているようなわざとらしいナレーションと強引なハッピーエンド、バカバカしすぎてかえって爆笑です。ここまで来ると、単なるおバカ映画と切り捨てるには忍びないテイストさえ感じてしまう自分でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-07-06 22:04:40)
1751.  13時間 ベンガジの秘密の兵士 《ネタバレ》 
2012年オバマ政権時代の事件なんだそうですが、「へー、そんなことあったんだ」ってくらい自分には「遠い」どころか「全然知らない」出来事ですね。実話なんだからしょうがないと言ってしまったら身もふたもなくなっちゃいますけど、事件の背景やら敵味方の区別がつかない現地勢力など観ていてストレスがたまることたまること。でも一番不可解だったのは領事館が攻められてなんと大使まで死亡しているのに、上空までドローンを送って状況を把握していてもけっきょく見ているだけで終わってしまった米軍の信じられないほどの不甲斐なさです。これはもちろん現場じゃなくて上層部の判断あっての対応でしょうが、さすが腰抜けオバマ大統領の面目躍如です。この映画の隠れテーマはこの対応に対する批判なんでしょうが、さすがにマイケル・ベイといえどもそこまで露骨に政治性をもった撮り方はできず、大統領選の真っ最中にリベラルが主流でヒラリー・クリントン支持一辺倒だったハリウッドではさすがにトーンダウンせざるを得なかったんでしょうかね。でも事件の概要などの予備知識をいっさい持たずに観たおかげで、先の読めない緊迫感だけはひしひしと伝わってきました(まさか大使が死ぬとは予想もしませんでした)。とはいえ作品の出来は『ブラックホーク・ダウン』には遠く及ばず、最近はこの手の非対称戦争ものが量産され過ぎのきらいがあるので、ちょっと食傷気味です。日本ではとうとう劇場未公開で終わったというのも、やむを得なかったんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-29 23:10:34)
1752.  ディセント 《ネタバレ》 
冒険好きの20・30代女性6人がアパラチア山脈にある洞窟を探検する、探検名所の洞窟だと思っていたらガイド役の独断で未知の洞窟に侵入してしまい、あるのかないのか不明の出口を探索するうちに洞窟内で迷ってしまう。サスペンス映画としてはこれだけで十分なプロットなんですが、なぜか中盤から謎の地底人が出現してくるというのが、皮肉なことにこの映画の最大の失敗というわけです。本作の後でダニー・ボイルが似たようなプロットで『127時間』を撮っている(編集者は両作とも同じ)んだから、ヘンな地底人を出さなくても緊迫した映画になったはずなのにねえ。またこの地底人がどこかで観たことあるような使い回しの造形で、生物としてのリアリティが著しく欠けています。暗闇に順応して眼が退化したという設定なのに、白濁しているとはいえちゃんと眼球がついているってのはおかしいでしょ。またそういう生育環境なったら火や光線を忌避するはずなのに、そんな素振りも見せない。六人の女たちもキャラの区別がついたのはせいぜい二人で、実は主人公のサラでさえ途中から誰だか判らなくなっていました。彼女は後半で仲間の一人と夫が不倫していたことを知ってからキャラ変するのですが、夫は事故で死んでしまっているいるのに相手の女に怒りをぶつける心理がどうも理解できない。これも女性特有のマウンティング心理ってやつですかね。いちばん腹立つのは(未見ですけど)この映画には続編があるということ。つまりサラはこの後救出されたというわけです、私は“幻覚を見ながら洞窟内で朽ち果てるサラ”という趣のラストを評価していただけにがっかりです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-13 23:17:29)(良:1票)
1753.  オーシャンズ8 《ネタバレ》 
ネタ切れに苦しむハリウッドが患う“過去ヒット作の女性版リメイク症候群”がオーシャンズ・シリーズにまで伝染してきたって感じなのかな。ダニー・オーシャンの妹デビー・オーシャンというのはベタ過ぎて笑えますが、確かにこの脚本はいろんな面でひどすぎる。ダニー・オーシャンのお仲間からルーベンとイェンをスペシャル・ゲストで迎えたり音楽はオーシャンズ・シリーズに寄せまくったりで雰囲気だけは盛り上げようと努力しているのは認めますが、ソダーバーグが持っていたセンスには全然及ばないんだよな。女優陣はもちろん豪華ですが、私のツボを刺激してくれたのはアン・ハサウェイでした。彼女のキャラは最近ハリウッドで評判が悪い自身のセルフ・パロディみたい、そんな役をゲロ吐きまでして愉しんで(?)演じていたような感じがしました。そしてサンドラ・ブロック、彼女の開幕直後とラストのメイクとヘアスタイルを見ていると、なんか80年代のマイケル・ジャクソン見ているみたいだと感じたのは、私だけでしょうか(笑)。まあ連休中の暇つぶしには丁度いいのかもしれません。 この映画を観終わっての最大の疑問…果たしてダニー・オーシャンはほんとに死んだのだろうか?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-05-03 23:39:17)
1754.  ノック・ノック 《ネタバレ》 
これはあのカルト映画『メイク・アップ』の完全なリメイクですね。オリジナルのイカレ女コンビのソンドラ・ロックとコリーン・キャンプがそれぞれ製作陣で参加していますし、コリーン・キャンプはワン・シーンですが出演すらしています。それがまた驚くような変貌ぶり、完璧なメタボ中年おばさんですからねえ。最近はプロデューサー業に進出しているそうですが、『地獄の黙示録』のミス五月がここまで行くとはもう絶句です。あとオリジナルの監督まで製作総指揮ですから、これはまるで同窓会ですよ。それをカルト映画のリメイクが趣味みたいなイーライ・ロスが撮っていますのでその不快感は当社比120%、これは『ファニーゲーム』を超えてるんじゃないかな。 ここまで弱っちくて情けないキアヌ・リーヴスを見せられたら、女性ファンは悲鳴を上げるでしょう。ふつうのハリウッド・セレブならこんな役オファーが来たら即拒否でしょうが、キアヌ・リーヴスは自ら製作総指揮で陣頭に立つぐらいですからやる気満々、この人実はマゾ性癖なんじゃないでしょうか(笑)。こういうキャラは影で悪事を働いていたりして何かしら弱みがある設定がふつうですが、この映画のキアヌくんはあまりに非の打ち所がない善人なので、あまりの理不尽な仕打ちをされるのを見せられると、同情よりも糞女たちへの怒りが倍加させられます。どこかで反撃に移りジョン・ウィック化するはずだと誰もがハラハラしながら観続けると思いますが、イイ線行くかと思わせておいてキアヌくんは肝心なところではドジを踏んでばかり、あの無情なラストはそれこそ『ファニーゲーム』に通じるところがあります。ちょっと疑問だったのはイカレ女たちがキアヌくんの友人を殺しちゃってるところで、もし殺しがなかったらあのラストは超絶ブラックですけどブラック・ユーモアとして閉じることもでき、その方が後味が良かったんじゃないでしょうか。私は未見ですが話によるとオリジナルのラストはちょっとスカッとするそうで、そこを踏襲しなかったのはいかにもイーライ・ロスらしい感じがします。 最近知りましたが、ソンドラ・ロックは昨年11月に亡くなったそうです。でも今年のアカデミー賞授賞式の追悼コーナーでは取り上げられていませんでした。イーストウッドと揉めたので、アカデミー協会に嫌われていたのかな、でもちょっと寂しいですね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-03-27 23:39:49)(良:1票)
1755.  ヘルレイザー2 《ネタバレ》 
監督が『北斗の拳』で監督生命を散らせたトニー・ランデルの割には観れる作品です。前作のラストと完全に続きになっていて、今回の実質的主役はあの継母ジュリア、マットに染みついた血からのお約束の復活でございます。こいつが道を踏み外した精神病院長を取り込んでゆく過程が見ものというわけですが、院長が首だけ化け物になってからのビジュアルが笑わせてくれます。まるで自主製作映画みたいなレベルのストップモーション・アニメは本来笑うところなんですが、現在の眼で観るとかえってシュールで不気味ささえ感じるのはどうしてなんでしょうか。この映画の惜しいところは、地獄の奥の奥まで見せちゃったことでしょう。でもまるでカフカの世界みたいなチープな書き割りの迷宮は、個人的には好きな世界観ではあります。魔道士たちは前作以上にわき役に押しやられ、ラストではヒロインを助けて化け物と戦い全員あわれな最期を迎えるとは、「ふざけんな!」と暴れたくなりました。そしてこれも前作に続いてヒロインの恋人(というか好意を寄せるイケメン)が全く活躍せずあっさり途中退場となってしまうパターン、これも“80・90年代のホラー映画あるある”の一つです。ラストでヒロインが“ジュリアの皮かぶり作戦”で化け物に勝利を収めるところは、前作でやはりフランクがラリーの皮膚を被ったのとまるで同じ、でもまさかこれをヒロインにやらせるとは… クライヴ・バーカーがメガホンをとらなかった割には、なんとかギリギリにポテンシャルは保てたかなってのが、正直な感想でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-02-13 21:09:05)
1756.  ガール・オン・ザ・トレイン 《ネタバレ》 
誰がミガンを殺したかという謎ときになると、女刑事以外の五人しか登場人物がいないしおのずと犯人は絞られていきます。そういう謎ときとしての面白さは薄いけど、エミリー・ブラント演じるアル中女のこれでもかと追い込まれたキャラは興味深いところがあります。不妊を口実に自分を捨てた元夫が不倫していた再婚相手と同じ家に住み、二人は子宝に恵まれてその家を毎日電車の窓から眺める、これはちょっと強烈なシチュエーションじゃありませんか。しかも酒でしくじってクビになっているのに居候している友人には話せず、仕事に行くふりをしてただ電車で都心を往復して過ごす日々、まるでリストラされた中年サラリーマンがやりそうな行動です。ラストもだいたい予想通りの展開ですが、ヒロインを含めて誰にも幸せが訪れないような幕の閉じ方でした。やはり疑問が残るのは泥酔して欠落した記憶がフラッシュバックして回復することで、そんなことあり得ないと思うがそれじゃ物語が成立しないので黙っときましょう。とにかく登場人物誰にも感情移入できないし後味も悪いし、あまり人にお奨めしたくなる映画じゃなかったことは確かです、決して出来が悪いわけじゃないんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-02-02 21:19:19)(良:1票)
1757.  陽動作戦 《ネタバレ》 
サミュエル・フラーの戦争映画は戦争を個人の目線で追うストーリーテリングがその特徴なんだけど、本作はそういう彼の作劇術とはちょっと外れたある意味普通の戦争映画と言えます。 世界中で戦争に明け暮れた大英帝国が「戦争するには世界で最悪の土地」と認めたのはビルマです。雨季の降雨量は半端じゃないし、地勢のほとんどはジャングルで高温多湿となれば西洋人にはそりゃ耐え難いでしょう。そのビルマで戦い抜いた米軍志願兵部隊の史実を基にした映画です。その部隊の創設者というか親玉が、フランク・メリルという准将で、当初三千人規模だった彼らの俗称が“メリルの匪賊たち”でこれが原題です。もっともこの俗称は、戦後メリル自身が話を盛ってでっち上げたもので、これもよくある手柄噺の一つでしょう。ストーリーはメリル率いる部隊が日本軍の後方に侵入して戦闘を続けて激戦地ミートキーナにまで苦労して行軍し先頭に参加するまでを、コンパクトに描いています。メリル准将は部下とともにミートキーナまで行軍して攻撃中に心臓病で倒れますが、実は史実ではかなり初期に発作で戦場離脱していて指揮をとっていないそうで、話しは大盛りになっているわけです。まあそれじゃ映画としたら面白くもなんともないし、そもそもこの映画には特殊部隊の存在を一般世間に宣伝したい米軍が協力していますから、これはこれでありでしょう。 ジャングルを徒歩で移動する軽装備の米軍と戦車も持たない日本軍ですから、戦闘シーン自体は地味です。でも米軍は“弾を撃てば必ず中る状態”なので日本兵はバッタバッタとやられてしまい、「いくら何でもそこまでヘボじゃないだろ」と突っ込みたくなります。それでも駅の操車場でのシーンでは、場内に沢山設置してある三角形のコンクリート・ブロックの隙間で繰り広げられる戦闘シーンは実に不思議な絵面で、この映画でサミュエル・フラーらしさが唯一出ていたところかもしれません。 最後のナレーションにもあるように“メリルの匪賊たち”は結局八割が戦死傷してしまったわけで、これは軍事的には全滅したということです。ビルマでは日本軍も米軍もお偉方の無茶な命令で兵士は大損害を強いられたのですが、最終的に戦争の勝敗によってかたや犬死かたや英雄と後世の評価が分かれてしまうのが、悲しいところです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-19 20:52:20)
1758.  ブルースチール(1990) 《ネタバレ》 
『ヒッチャー』の脚本家と駆け出し時代のキャサリン・ビグローがタッグを組んでいます。“ブルースチール”といえばハンドガン(拳銃)の異名であるのは言うまでもありませんが、同時にこの物語ではブルーを基調としたNY市警の制服を暗示しているわけです。タイトなまでの映像美は後年のビグローの片鱗をのぞかせていますが、どうにも脚本の出来がよろしくありません。『ヒッチャー』のルトガー・ハウアーをNYのヤッピーに置き換えたつもりだったと推察いたしますが、ヤッピーの正体がバレバレでバブルな証券マンがだんだん狂ってきて連続射殺魔になるわけで、そこになんらオカルト的な要素はありません。これでは得体の知れなかったルトガー・ハウアーの不気味さの足元にも及びません。そしてヒロインが新人警官という設定もあまり生かされているとは言えず、ジェイミー・リー・カーティスの行動も中盤以降はベテランの貫禄すら感じさせて、これでは“女ダーティ・ハリー”です。終盤の街中での銃撃戦に至る流れも、なんでロン・シルバーがカーティスを見つけることができたのかということからして、なんか脚本が雑なんだなあ。この犯人はスピリチュアルな存在じゃなくて頭がおかしいだけの生身の人間だってことを忘れるな、って脚本家に説教したくなりました(笑)。 現代のNYの最大の脅威はテロリズムですけど、30年前では悪徳弁護士と無能な警察幹部だったということなんでしょうね、きっと。
[ビデオ(字幕)] 5点(2019-01-15 23:39:26)
1759.  刑事グラハム/凍りついた欲望 《ネタバレ》 
これどっかで観たことある話だと思ったら、この映画のリメイクが『レッド・ドラゴン』だったんですね。主人公はFBI捜査官なのに『刑事グラハム』としちゃう邦題のいい加減さ(Grahamは発音としてはグレアムなんだけど、なぜか日本じゃ昔からローマ字読みしてる)は置いとくとしても、レクター博士はもちろんのことクロフォード捜査官やチルトン博士まで登場するんで『羊たちの沈黙』の前日譚かなとも思えます。もちろん『羊たちの沈黙』がスタンダードになっている現代だからしょうがないと言えるけど、あまりにレクター博士のわき役ぶりが残念です。自分としてはマイケル・マンは苦手な部類の映画作家なんですけど、やはりこの人は題材にエンタティメント性を盛り込むのが下手だなと再確認してしまいました。この暗い雰囲気がいわゆるマイケル・マン節で、好きな人にはたまらないんでしょうけどね。でもサイコ・キラー役のトム・ヌーナンは、シリーズ中で一番インパクトが強かったと思います。なんせ『ロボコップ2』の極悪人ケインの人ですからねえ。でもその横顔がよく見ると若き日のマーロン・ブランドにそっくりだったのは新発見でした。 というわけで『レッド・ドラゴン』よりは観られるかなというのが感想ですけど、この映画が『死ぬまでに観たい映画1001本』に入っているのはちょっと解せない。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-11 01:02:53)
1760.  ダウンサイズ 《ネタバレ》 
前半はとてもよく考えられたSFです。税金や選挙権などの人権、そして経済に与える影響など、ミニサイズの人類が登場したらどういう問題が起きるかということを、社会科学的な視点で見せようとする意図の脚本です。その代わりダウンサイズのテクノロジー面の描写はけっこう雑で、注射を打たれてから縮小されるまでのあっけなさには思わず笑っちゃいました。疑問なのはミクロ社会の建物や車などの人工物で、あくまで生体の細胞を縮小するテクノロジーだからモノには通用しないはず(ミニサイズの馬がいるのは納得できます)、じゃあ彼らはそれらのモノをコミュニティ内で製造したことになるけど、そんなことできるわけないでしょう。とすると、あの建造物などは通常サイズの世界で作られて持ち込まれたものじゃないとおかしいということになりますが、車や携帯電話をあのサイズで製造するのは無理でしょう。つまり論理的にはこの映画のプロットは破綻しているわけですが、このお話しのキモは全人類がダウンサイズするわけではなく、ミクロサイズと通常サイズの二種類の人類というか社会が併存する世界であることでしょう。つまりダウンサイズ人間社会は通常サイズの人類なしでは存在することができず、一種の棄民された人類とも言えます。 この映画が迷走し始めるのはノルウェーに舞台を移す後半です。あの地下に潜る選択をする人々は、私にはカルト集団としか思えません。この人たちを揶揄するわけでなく、最後まで善意に満ちた集団として描いているので違和感が半端ないです。マット・デイモンは全編を通して「人生流されて生きてきました」という感じのジェイソン・ボーンとは対極のキャラでしたが、まあ最後の決断は良しとしておきましょう。 余談ですがホン・チャウが演じた元政治犯を刑罰としてダウンサイズした国家はベトナムということになっていますが、なんか違和感があります。たしかにベトナムも今でも共産党独裁国家ですが、ここはやはり中国としたほうがしっくりきませんか。ひょっとして脚本段階では中国だったのかなと邪推したりしますが、これもまたハリウッドを毒しているチャイナ・リスクなのかもしれません。これはあくまで私の勘で、根拠はないですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2019-01-03 20:50:30)(笑:1票) (良:1票)
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