Menu
 > レビュワー
 > 民朗 さんの口コミ一覧。9ページ目
民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263646566
>> カレンダー表示
>> 通常表示
161.  チョコレートドーナツ 《ネタバレ》 
骨太な感動作でした。ダウン症とゲイのカップルという二つのマイノリティー要素を取り入れながら、世に未だ蔓延る偏見をそれに伴う悲劇を描いています。マルコの為の裁判が、いつの間にかゲイのカップルの監督責任能力の有無についての話に、敵の弁護士が誘導する様には本当にアタマに来ました。日本ではあまり問題視されていないような話でしょうが、未だにゲイに強い偏見が残っているアメリカ、しかも70年代ですから、そのストーリーも非常に実在感あるものになっています。 最後の新聞記事が同封された手紙の演出は素晴らしいと思います。映画を観ていると当然私たち観客は主人公であるルディとポールに感情移入しながら、世間のアレコレに憤りを感じてしまっている訳ですが、あの手紙のシーンで突然ポールから私に語っているかの様に思えました。だって大多数の人々はダウン症の子どもを養っている訳ではなく、同性愛者でもない。結果としてそういう人たちがマルコを死なせてしまったのですから。逆に言えばあの手紙を受け取った人たちの内の一人でもマルコのためを真剣に考えればマルコは死なずに済んだでしょう。そういう部分でも色々と観た後に考えてしまう映画でした。
[映画館(字幕)] 8点(2014-09-27 22:24:57)(良:1票)
162.  マイ・フェア・レディ 《ネタバレ》 
この映画は二人の人間の成長を描いていますね。一人は当然ながら花売り娘のイライザ。訛りが酷く、上流階級にでても恥ずかしくない言葉を話すべく努力する姿は魅力的でかつ面白いです。彼女がスパルタ教育にイラついて「ア"ア"ー!!」って叫ぶだけで面白いからズルいですね。 んで彼女は結局ヒギンズ教授に賭けを勝たすだけの上達を見せるのですが、そこでチャンチャン♪と終わらないところが良かったです。キチンと上流階級の主役は男であり、女はそこで品評会に出されて娶られるのが唯一の役目ということを確りと描写し、そんな世界を疎ましく思うイライザも描く。こういう世界は今もあるでしょうし、当時のイギリスなら尚更でしょう。 もう一つはヒギンズ教授の成長。イライザの話が終わったと思ったら、ヒギンズ教授にもスポットライトが当たるので良い意味で驚きました。彼が序盤から利己的で独善的な男と描写されていた伏線が良く効いています。女心が分からない、いい年したオッサンがイライザを求めて右往左往する姿は笑えます。 そして今日ではスタンダード・ナンバーとして知られている「I Could Have danced All Night」を元気に唄う(吹き替えですが)このシーンがあるだけでミュージカルとしてはOK。オードリー・ヘプバーンの持つ少年性が活かされた名場面でした。 しかしちょっとばかし上映時間が長いことが気になりもしました。特にイライザの父親とピカリング大佐はストーリー上で絶対に必要な役柄ではないと思えるので、父親のダンスシーンや大佐が知古の友人に電話をするシーンなどは映画化に際し切っても差し支えなかったのではと思います。 とは言っても、老若男女問わず楽しめ、且つ味わい深いストーリーを内包した、ハリウッド映画の良さを存分に感じられる作品と思えました。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-19 23:24:53)
163.  ブレックファスト・クラブ 《ネタバレ》 
青春映画の傑作と言うことで可也ハードルを上げた上での鑑賞でしたが、その期待を裏切らない出来の映画だったと思いました。 所謂スクール・ヒエラルキーを描いた草分け的な作品なのでしょうか、出てくるキャラクターは教師と用務員を除けばたった5人、ジョックス(体育会系ヒーロー)、クイーン(誰もが憧れる女学生)、ガリ勉、不良、不思議ちゃん(バスケット・ケースって原語はヒドいですね)。しかしそれぞれに等身大の悩みがあり、それを普段の学生生活では絶対に交わることのない者たちに打ち明けていく。 この映画が優れている点は上の様にレッテルが張られている学生生活の役割で簡単に割り切れるもんじゃないことを教えてくれるところだと思います。だから彼らは「自分とは何か?」という題の作文を遂に作れなかった。レッテルなんてどうでもいい、自分は自分だ。 唯一気になったのは、アリー・シーディが演じた不思議ちゃん。彼女は最後にクレアにおめかししてもらって変身しますが、どうにも上記の様なテーマなら最後まであの風変わりな見た目でいてほしかったです。変身することが、彼女にとって他者と交わる大きな一歩を表していることは分かるのですが。 あとマリファナを吸うシーンがあって、結構恐々吸っているのも面白いですね。昨今のアメリカ映画ではティーンがマリファナを吸うなんて普通に出てきますが、30年前はまだまだイケナイことをしている意識が強かったのだなぁと。勿論今でもライセンス無しではホントはやっちゃいけませんが。
[映画館(字幕)] 8点(2014-09-15 09:11:35)
164.  舞妓はレディ 《ネタバレ》 
この映画には二つの大きな軸があります。一つは京都の芸者、舞妓のジャンル映画としての側面。もう一つは方言ギャップコメディとしての側面。それにミュージカルを加えて、かつ違和感なくどちらの要素も充分に描いている、これは大変凄いことだと思います。丁寧な脚本じゃなきゃ絶対にどちらかがお座なりになるか、どちらも半端な出来になることでしょう。 私は濱田岳演じる大学院生と同じく舞妓さんも所詮は水商売の一つと思っていて、キャバクラや接待など、仕事が介在する酒の席は正直気苦労しか感じたことがないので、所謂芸妓さんの世界には興味も憧れも無かったのですが、舞妓さんのお稽古の大変さ、男衆という芸妓・舞妓の身の回りの世話・着付けをする専門の職業があること、なぜ一見さんは断られるのか、舞妓さんのアルバイトを雇わないといけない状況、等舞妓さんにまつわる薀蓄は初めて知って面白かったです。 またミュージカルでありながら、着物でお遊びをする芸妓さん・舞妓さんの美しさはキチンと描いている点が非常に好印象でした。着物で現代的なダンスをする舞妓さんも面白かったけど、要所要所で入る舞妓さんの舞踊の美しさも忘れていない。特に富司純子さんは素晴らしい立ち回りで、その舞踊の一挙一動の艶やかな動きには惚れ惚れしました。まるで上村松園の美人画を見ている様で眼福でした。歌舞伎もそうですけど、ああいった舞踊ってキメがあって見栄を切るから、独特の美しさがありますよね。現代的なミュージカルシーンに安直に混ぜず大正解。 ちょっと残念だったのは主演に抜擢された上白石萌音さんが大変歌が上手であるのに、その歌の尺がやや物足りないこと。特に長谷川博己演じる言語学者への恋を自覚した時に、花街の真ん中で歌うシーン(照明が実に良かった!ただの街がいきなり舞台に変貌する感じ!)は物語上でも重要な筈で、そのスコアも良かったのに結構あっさり終わってしまう。もう少しじっくり歌を聴かせてほしかった。 後はややストーリーが予定調和に進み過ぎる感もありますが、真っ当な青春映画としてはこれくらいが丁度良いかも知れません。芸に厳しい人はたくさんいるけど、真の悪人が一人もいないというのも良かったですね。舞妓さんの魅力を今に伝える良作だったと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2014-09-14 22:48:21)(良:1票)
165.  アメリカン・グラフィティ 《ネタバレ》 
ほぼ平成生まれの身としてはジョージ・ルーカスといえば『スター・ウォーズ』シリーズしか知らず、更に劇場では悪評も多い新三部作しか見たことがなかったので、この作品には驚きました。こんな優れた青春群像劇を撮ってた人だったのですね。 青春映画らしく非常に成長というテーマを真摯に描いた作品ですね。どの登場人物も初登場時とは一夜の小さな街での冒険を経て、その心情が大きく変わっている。オールディーズナンバーに乗せて青春を描いているので、懐古趣味的な映画として受け止めている方が多いと思いますが、寧ろ「あの頃はよかったな」という望郷からの脱却ともいえると思います。 最も興味深いのは所謂ツッパリでカーレースに興じているジョン・ミルナーです。彼は最後にカーレースの勝負に勝ちますが、その後に「マシンの性能では負けていた。本来なら敗者だった」と呟きます。彼も自分がそろそろツッパリを卒業しなければいけない、若しくは街の外に出てレーサーとしてキチンと経験を積まなければいけないことは理解している。それでも最後に「いや、君は確かに勝っていたよ!」と励まされ、もう少し地元で頑張ってみるかという表情を浮かべる。本当にこれからの彼を応援したくなりましたね。 その後にエンドロール前で彼らのその後が簡単にテロップで流れますが、彼が自動車事故で亡くなったのは非常に悲しかった。人生の悲哀を感じます。
[映画館(字幕)] 8点(2014-09-08 08:10:54)
166.  ガメラ 大怪獣空中決戦 《ネタバレ》 
95年というとCG技術が徐々に進化を遂げ、それに伴い特撮技術の軽視(衰退ではない)が進んだ時期だと何となく想像できます。そんな中で作られた平成ガメラ三部作のその一作目。まあ兎に角素晴らしい出来の映画だと思います。巨大な生物ガメラとギャオスが街の其処に居るという実在感、ハードな都市破壊描写、政府と鳥類学者との舌戦、等々明らかに「大人の鑑賞に耐え得る重厚な特撮映画」を目指しているのだなと思い、その志には心底感心しました。 とりわけ、終盤の化学工場の上で繰り広げられるガメラとギャオスの最終決戦は素晴らしく、主人公たちと一緒にガメラの戦いをまさに対岸から観ていると錯覚する程の実在感ある名場面でした。
[DVD(邦画)] 8点(2014-08-19 19:48:19)
167.  アップサイドダウン 重力の恋人 《ネタバレ》 
さて、唐突で失礼ですが、私は障害の無い恋愛映画は嫌いです。何の障害も無く結ばれてハッピー幸せに過ごす恋人たち、そんな恋愛は映画で観ても何の糧にもならないし、実際の恋愛においても楽しくないとすら思っています。この映画で描かれる障害は“重力”です。遠距離恋愛とか親の反対とか性格の不一致とか、そんな甘っちょろい障害でなく、厳然たる一つの物理的法則が主人公二人を引き離す。これ程に絶望的な障害は中々ありません。だから二人の行く末を本気で応援できる。 また二つの世界が上下を逆様に向かい合っているビジュアルも純粋にわくわくさせるものでした。こういうアイデア自体はSF・ファンタジー小説や漫画、ゲーム等で既に何度も使われているものですが、矢張りCGの技術の進歩により、そのユニークな世界観を実写で非常に実在感ある形で観れたことはとても嬉しい。 それらの同アイデアの過去作において重力の向きが異なる世界に社会性を付加し、貧困や差別を描くという手法は定番であり、本作もその例に漏れず、(便宜上)上側の大企業が下側の世界を搾取して貧富の差を生み出していたり、という設定がありますが、個人的にはそこは匂わす程度にして主人公二人の運命をしっかり描いてほしかった気もします。少なくとも二人が最初に出会って恋に落ち、愛し合うまでの過程はもっと見せてほしかった。逆に、大企業による暴挙や、それに関する顛末は、無難に纏めたという感じで、やや蛇足に感じた。(この辺りのバランス感覚は傑作SF映画『ガタカ』を見習いたい)
[DVD(字幕)] 8点(2014-08-19 00:15:00)
168.  思い出のマーニー 《ネタバレ》 
美しく素晴らしい映画でした。余り期待値が高くなかったので、観てそのアニメーションとしての技術の高さに驚きました。アニメーションの技術の高さとは、一つ一つのディテールが細かいという話ではなく(勿論それも素晴らしい水準)、主人公の心理やストーリーとしての起伏を映像として呼応させるという意味に於いてです。 オープニングから度胆を抜かされました。主人公・アンナは他者に混じるのが嫌で、でもそういう風に思っている自分も堪らなく嫌という、12歳の心情を非常にリアルに反映したキャラクター。彼女がスケッチブックに鉛筆を押し付け、ボキッと折れる。他愛の無い他人になんにも危害を及ぼさない行為の中に、彼女が抱える鬱屈した思いが込められている。そんな彼女は喘息の療養のために田舎に向かう。どこまでも続く様な平地を進む電車はこの映画が決して激しい起伏に富んだ派手な作品ではないことを印象付ける。画面前面の雲は暗いが、奥の主人公が向かう先の風景は光に満たされている。彼女が進むべき道を見事に映した名シーンだと思う。こういう風景を描かせたらやっぱりジブリは他のスタジオとは一線を画しているなと思います。 ストーリーも主人公が子どもから大人への一歩を踏み出す話と割り切っていて良かったです。近年のジブリは『ハウルの動く城』や『借りぐらしのアリエッティ』や『崖の上のポニョ』などテーマの描き方が散漫(若しくは放棄)になっている作品が多いと思っているので、"主人公の成長"という要素のみに絞った作りは非常に好みです。 所謂ドッペルゲンガーものでありつつも、終盤にはちょっとした捻りがあったりと、中々先を読ませ切らない作品になってますね。米林監督の次回作にも期待したいところです。
[映画館(邦画)] 8点(2014-08-02 12:26:24)
169.  フレンチ・コネクション 《ネタバレ》 
想像を映像化するのが映画だとすればこの映画は映画ではありません。塵芥が散らかるブルックリンの街並み、起伏の少ないストーリー、逃げる悪人の背中に銃弾を浴びせる主人公、そして爽快感のまるで無いラスト。あらゆる場面が単なる刑事ドラマとは一線を画しています。ただ、だから面白くないかというとそんな事は全く無く、リアルにはリアルの見せ方があることが良く分かりました。簡単に言えばリアルだからこそ何が起こるか判らない面白さです。リアルなのだからストーリーが定石通りに進む保証などない。屋上で突然射殺されかける主人公や、それによって巻き込まれて死亡する全く無関係の女性、電車の中であっけなく撃ち殺される車掌。緊迫感と若干の不快感が耳に残る音楽も相まって、事態がどう転ぶか、誰が命を落とすのかが全く読めない。そこにこの物語としての面白さを感じました。 また語り草となっている暗殺者が乗る電車とポパイが運転する車のチェイスシーンは素晴らしい。
[映画館(字幕)] 8点(2014-07-01 19:11:45)(良:1票)
170.  8月の家族たち 《ネタバレ》 
原作が舞台劇ということもあってか基本的にオクラホマの一つの家が唯一の舞台となります。ハッキリ言って話自体はとても地味だと思います。父親の葬儀をきっかけに実家に帰ってきた娘たちと、叔母、そして薬物依存症の母親が延々と口げんかを繰り広げる、ただそれだけですので。 但し、描かれている内容が普遍的なのでその物語がズシンと心に響きました。分かった風に言ってしまうと“ふつうの家族でいることの大変さ”を描いた作品だと思うのです。誰でも家族は仲が良い方が良い。しかし家族の関係の全てが順風満帆に進んでいる人間が一体どれほどいるでしょうか?不仲、両親の浮気・離婚、相続問題、将来の親の面倒、etc……。家族のトラブルは挙げればキリがありません。本作もそういう結構普段考えるのは面倒な家族の問題を扱っていて、ある程度恵まれた家族関係を保っていると自分では思っているとは言え、かなり物語にのめり込んでしまいました。結局、家族の関係ってのは紐で繋がっていて手繰り寄せれば直ぐに相手に届く様な簡単なものではなく、ゴム紐で繋がっているような物だと思うのです。家族を理解しようと、愛そうと努めても、逆に相手から攻撃を喰らったり、離れていったり、反発したりしてしまう。この映画の登場人物はそんな風に延々と衝突して自壊していく。普通の映画ならば最後に家族が元通りになりました、若しくは元通りになりそうです、と希望を持たせて終わると思いますが、本作は「家族はそんな簡単に直るもんじゃない」と言わんばかりに崩壊したまま終わりを迎えるのも個人的に現実的で良いなと思いました。そんで延々とネイティヴ・アメリカンのお手伝いさんを邪険に扱っていた母親が、家族が一人として居なくなった途端に彼女に縋るのも中々感慨深いですね。たった一人になったときしか家族のありがたみは判らないものなのでしょう。良くある話ですが失って初めて失ったものの大きさに気付く。 あとは豪華キャストによる演技合戦が何より魅力的ですね。メリル・ストリープとジュリア・ロバーツは売れっ子になってからお綺麗な役が多かった故に、年老いた姿で母娘を演じたガッツは称賛に値します。普段、イケメン役が多いベネディクト・カンバーバッチが情けない中年男を演じてるのも新鮮味があってちょっとツボでした。色んな大俳優のちょっと違った演技の幅が観れる作品でもあると思います。
[映画館(字幕)] 8点(2014-06-22 00:56:45)
171.  メリー・ポピンズ 《ネタバレ》 
う~ん、素晴らしい!ミュージカル映画が好きなのにも関わらず今まで観てなかった自分を叱りたい。「チム・チム・チェリー」、「お砂糖ひとさじで」、「凧をあげよう」等々、一度聴くと忘れられない名曲達、ディック・ヴァン・ダイクのキレの抜群のダンス、ミュージカル映画として素晴らしいことは言うまでもありませんが、ストーリーも実に良いです。 ディズニーらしく夢を子どもに与えることの大切さ、それを知り変わっていくお父さん、ラストの「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス!」には笑いとともに感動してしまいました。 映像は今見ても新鮮で、コウモリ傘を差しながら空からフワフワ降りてくるメリー・ポピンズや、部屋に浮きながらのティータイム、画の中でのペンギン達とのダンス、煙突掃除たちのアクロバティックなダンス、どれも見ごたえ十分。ミュージカル好きなら観て絶対損は無いはずです。
[DVD(字幕)] 8点(2014-06-07 14:17:21)
172.  X-MEN:フューチャー&パスト 《ネタバレ》 
個人的にブライアン・シンガーという監督は割と派手な演出をしない監督なのでアメコミ映画の様にド派手な見せ場が必要な作品よりは、『ユージュアル・サスペクツ』に代表されるような優れた脚本がセットになった時に良い作品を作る監督だと思っています。なのでちょっと心配していたのですが、本作はブライアン・シンガーが担当したX-MENシリーズ作品の中では最も好きな作品になりました。大変面白かったです。 X-MENの根幹を為すテーマはハッキリしています。マイノリティへの差別・不寛容です。前日譚であった『ファースト・ジェネレーション』ではそのテーマを全面に押し出していましたが、本作でもかなり顕著に出ていて、本作では自分と異なる存在を排除しようとする思想が結果的に世界を滅ぼす話となっていて、まあ今現在でも世界の彼方此方でマイノリティに対する攻撃は存在しているので有意義な作品であると思います。但し、作品の結論が「他者を怖がらず、武力で排除するのではなく、分かり合う努力をしましょう」という一般的な価値観からすると普通であるので、突出した出来のストーリーでは無いなとも思いました。素晴らしい話だとは思いますが。 前日譚で袂を分かったチャールズとエリックが過去と未来の双方で和解する展開には胸が熱くなったのですが、その主として描かれる二人に対して、本来主役級である筈のウルヴァリンが全体を通して余り役に立っていなかったのには少し残念というか、もう少しアクション面だけでもいいから見せ場があってもいいかとも思いました。今回は、ビーストにボコボコにされるわ、面倒くさい局面で記憶を無くすわ、終盤で場外ホームランを喰らうわ、本当に終始可哀そうな役回りでした。 あと矢張りブライアン・シンガーらしく大規模なアクションの演出はかなり控え目で、終盤のマグニートーによる超規格外の磁力操作や、センチネルとの戦闘など、マシュー・ヴォーンならどんなにワクワクする画に撮っていただろうと、つい思ってしまったりもしました。
[映画館(字幕)] 8点(2014-06-01 19:58:15)(良:2票)
173.  少女は自転車にのって 《ネタバレ》 
非常に優れたキッズ映画であり、女性映画。ある物(本作の場合は自転車)が欲しくて頑張る子どもの姿を描いた傑作は『運動靴と赤い金魚』など多々ありますが、本作の場合はその"自転車"に強い意味が込められており、近所で売られているちっぽけな一台の自転車に乗り少女・ワジダが駆けるシーンに爽快なカタルシスを感じられる作りになっていた思います。 サウジアラビアでは近年ではやっとこさ変わりつつあるとは言え、女性は車を運転出来ません(それだけの能力が女には欠如していると見なされている)。そんな環境の中でワジダは自転車に乗って、友達の少年と競争したいが為にあらゆる努力を尽くし、自転車に乗ろうとする。自転車に乗るワジダは見てわかるとおり女性解放のメタファーです。その対比として随所で女性の権利が失われているサウジアラビアの現状を映し出す。年頃になるとヒジャブ(体をスッポリと隠す真っ黒なスカーフ)の着用を強要され、結婚相手以外の男性に肌を見せてはならず、既婚女性は旦那を喜ばせることが至上命令であるかの様に振舞わなければならず、世継ぎを産めない体になるとお払い箱。そんな現状を淡々と描いてきた後に、ワジダが自転車に乗って駆ける姿がなんと爽快感に溢れていることか。 同時にこれからのサウジアラビアの女性の行く末も暗示させる。自転車に乗ったワジダは力強くペダルをこぐ。辿りついた先は大通り。車が猛スピードで行き交う。そこでワジダは立ち止まるがその目線は確りと前を見つめている。目線の先は暖かい光で満たされている。 今後、サウジアラビアの女性にはまだまだ困難が降りかかるでしょう。パキスタンで暗殺されかけた女性運動家、マララ・ユスフザイさんの例を取っても、イスラム教圏で長く続いてきた男性優位社会はまだ根深く息づいている。それでもワジダは自転車に乗って前を向く。その姿には茫とした不安も感じるが、それを上回る希望が見い出せる。全ての女性に贈りたい良作です。
[映画館(字幕)] 8点(2014-03-16 12:02:41)(良:1票)
174.  ホビット/竜に奪われた王国 《ネタバレ》 
正直言っちゃうと、結構ストーリーに問題がありますよね。一番気になってしまうのは、原作に登場しないタウリエルとレゴラスの二人。やっぱり二人が登場する意味合いは余り感じられず、特にレゴラスの方はLOTRのファンへのサービス&割と一本調子の原作へのスパイスの役割なのではないかと邪推してしまいます。急流下りとかアクションが必要だから仕方なく入れたシーンですよね……。 他には溜めがクドいのも考えものです。ピーター・ジャクソンの映画には今までも良く感じていましたが、「ドキドキするまで溜めといて→何もなかったorギリギリ大丈夫だった」という演出が多いですが、本作でもバッチリ健在。あと呪いで朦朧とした状態のキーリがタウリエルを見るシーンで、タウリエルに後光が差す演出はいくらなんでも陳腐だと思うぞ、ピーター・ジャクソン。 結構無理矢理な展開も多いですよね。あの無数の財宝に埋め尽くされたスマウグの巣からたった一つのアーケン石をビルボが見つけ出すのは迚も無理に思えます。文章なら何故アーケン石をビルボが見つけ出すことが出来たのか、それなりに説得力もありますが、映画だと偶然発見した様にしか思えません。 しかーし、このシリーズのファン(と言うか信者)からすれば、またしてもピーター・ジャクソンがあのハイ・ファンタジー世界を完璧な映像で見せてくれるだけでも正直なところ満足してしまいます。人間の想像力は無限で、誰だって目を瞑ればそこに自分の考えるファンタジー世界を描き出すことは出来ます。しかしそれを映像化することが如何に困難なことであるか!闇の森、ドル・グルドゥア、エスガロス、そしてエレボール。自分が思い描いていた世界そのものでした。 まあ実際映像が一番の魅力になってしまっている作品だと思うのですよね。でも私は満足しちゃいました!
[映画館(字幕)] 8点(2014-03-13 22:37:55)
175.  抱きしめたい ―真実の物語― 《ネタバレ》 
白状すると地雷臭がしていたので観るのを躊躇っていた作品でした。塩田明彦監督は優れた作品を沢山撮っていることは存じていましたが、個人的には『どろろ』の監督のイメージがどうしても払拭できず、また主演の北川景子と錦戸亮も取り立てて好きな役者でも無く、止めにストーリーはお涙頂戴映画にお馴染みの「障がい&病死」と来たもんだ。 でもある評論家がベタ褒めしていたのを見て、考えを改め鑑賞してみました。その結果、実に堂々とした恋愛映画だと思いました。万人にお勧めできる上質なラブロマンスです。 この映画、とっても主人公二人が自然体なんですよね。別にアドリブ演技が良いとかでは無くて監督の撮り方が上手なのだと思います。あらゆる場面で頻出するロングテイクはこのカップルが本当に普通に生活している、実在しているカップルだと信じ込ませてくれます。出会いから、二人の距離が縮まっていく過程、愛し合うようになってからの距離感がとても自然に写っていて、本当に只のカップルの生活をのぞき見している様な感じ。 「そんな普通のカップルの生活なんて面白いの?」と思いそうなものですが、要所要所で締めるところは締めている。特に誰もいないメリーゴーランドで初めてキスをする場面、事故後のリハビリに苦しむヒロイン・つかさの地獄の様な日々、は役者の演技を含め素晴らしかった。 どうでもいいですが、私が観た回の観客は私一人だったのですが、本当に良かった。上映後、おっさんになりかけの男が一人で泣いているのは流石に見られたくないぜ。何が言いたいかというと、女性だけでなく男性にもおすすめできる恋愛映画だってことです。こういう恋愛映画を今でもテレビ局が製作できるとはー。やっぱり映画は観るまで分からない。
[映画館(邦画)] 8点(2014-03-12 00:00:33)
176.  戦争のはらわた 《ネタバレ》 
戦争で最も男らしくない行為として、"身の保身"や"出世欲"が描かれます。 主人公・シュタイナーは心の底から出世を望んで戦争をやっている輩を憎んでいる。それはシュタイナーが昇進を辞退する場面や、全ての将校を嫌いとする言動等から容易に推測できます。確かにこの映画の中で描かれる悪役(ストランスキーとその取り巻き)はサイテーだ。危険な状況になると尻に火が付いたように逃げ回り、たかが勲章や身の保身の為に友軍を見捨て裏切る。責任を問われれば「上官の命令に従ったまでだ」「彼は数時間私の指揮外だった」と宣う。そんな輩をシュタイナーが最後笑い飛ばすシーンは痛快でした。弾丸の装填すらままならない程に現場を知らない傲慢で臆病で無能な上官。そういう奴、現代にも実際にもいるわ! 名匠・ペキンパーらしい迫力のある銃撃戦は圧巻。異なるシーンでは戦友同士のバカ騒ぎ(本当に楽しそうな男社会の様子)が描かれ、ラストの悲劇により悲壮感を惹き立てる。76年当時にこれだけの戦争シーンを描けていたことに驚嘆します。
[DVD(字幕)] 8点(2014-02-22 05:47:25)
177.  ケーブル・ガイ 《ネタバレ》 
怖い!!この映画は怖い!コメディと言うよりホラーな気がします。 まずジム・キャリーの何時ものオーバーアクトが笑えるどころか逆に恐ろしい。どこからどう見ても頭のネジが全部すっ飛んで脳味噌どっか行っちゃった位のイカレ野郎。そんな奴が悪意では無く善意で迫ってくるのだから普通のホラー映画では味わえない怖さがあります。「友達になってよ」という善意の一言がここまで恐ろしい言葉に思えるとは……。なんかスティーヴン・キングの『ミザリー』を思い出しました。 この映画は冷静に私たち(映画ファン)を分析している映画でもあると思います。ケーブル・ガイはテレビや映画のことしか頭に無い。なんでも映画に結びつけて考える根っからのメディア中毒人間。そんな彼のたった一つの願望は"友達が欲しい"こと。これはどう考えても彼のコミュニケーションの仕方の問題でもあって、劇中でもスティーヴンに忠告されます。でも彼は度の過ぎたプレゼントや明らかに違法な方法、捻じ曲がった愛情表現でそれを成し遂げようとする。テレビや映画に縛られて本当のコミュニケーションを忘れてしまう恐怖を観客に提示している映画なのだと思います。ここら辺、監督のベン・スティラーは映画の作り手サイドなのに本当に鋭い視点を備えているなぁと思います。 ただ要所要所のコメディならではの適当さもあるのが難点とも言えます。特にラストの電波塔での戦いの場面ですが、ロビンと態々親密な関係を築いたにも関わらずその関係をあっという間に崩壊させる理由がありません。しかもスティーヴンがケーブル・ガイに逆転する方法も取ってつけたようなもので、かなり納得し辛い展開でした。
[DVD(字幕)] 8点(2014-02-07 22:30:52)
178.  ラッシュ/プライドと友情 《ネタバレ》 
「天才肌と努力型」、「軽薄さと不器用さ」、「対照的なレーサー同士の戦いと友情」……こう書くと如何にもありきたりな展開に終始し凡庸な作品になりそうなものですが、そこをクリアして堂々たる良作に仕上げてしまう辺りの手腕が、流石はハリウッド派の巨匠、ロン・ハワード。 実際に観終わって考えてみると、なんら奇をてらった展開は無いんですよね。張られた伏線を余すところなく回収し、人物描写の丁寧かつ的確でキャラクターの行動一つ一つに納得がいく。そして観客がアガるレースの場面を適度なテンポで挿入する。しかしこれだけの丁寧な演出、脚本は普通の監督には出来ません。正にお手本の様な映画。その模範解答の様な出来をありきたりと取るか、優秀と取るかは人それぞれですが、私は良い映画だと思います。 また、私は車輪がついているモノには基本的に興味がない男らしくない人間なのですが、そんな私でもレースの場面には結構テンション上がりました。やっぱりアクションの魅せ方が上手いのでしょうね。普段は「全部おんなじやん」と思ってしまうハンス・ジマーの音楽も、F1カーの唸り声を上げるエンジン音と同期している様な感じで、素晴らしかったです。 主人公二人の人生はどちらも恰好いいのですが、やっぱりニッキー・ラウダの生き様に惹かれますね。鑑賞後に調べてみたのですが、ウィペディアに載っている彼のストイック&非名声欲な姿勢からの数々の武勇伝が凄く面白いです。地元のガソリン・スタンドで代金の代わりに優勝トロフィーあげたとかイケメン過ぎる。
[映画館(字幕)] 8点(2014-02-07 18:32:12)(良:1票)
179.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
普通とは違う意味でもう見返したくない、見直せない映画。あのカタストロフィとラストカットの後で、もう一度序盤から中盤にかけての牧歌的なコメディを観るのは辛すぎます。 題名は『鬼が来た!(英題:DEVILS ON THE DOORSTEP)』。何者かに捉えられた花屋が村人に拷問の末に殺されると思って吐いた台詞ですが、鬼は玄関にやってくるのではなく、心にやってくるのでしょう。日本兵による村人への虐殺の引き金を引いた花屋、飴を村の子ども達に配るなど優しい軍人としての姿も見せていたが最終的にその子どもを刺殺する野々村、憎しみを抑えきれず俘虜となった日本兵を斧で殺して回るマー、統治のために自国民を粛清する国民党、そして最後にマーの眼差しを受けつつも絶叫と共に刀を振り下ろす花屋。誰の心にも鬼が住んでいることを忘れてはいけない。それは世界中の国籍を問わず全ての民族に対して言えることです。だから監督は態々国民党による処刑の場面も挿入したのでしょう。 意地が悪いのは、態々剣の達人のシーンを入れていることですね。何故か達人の一太刀によって死ななかった花屋を見て達人は「彼等はここで死ぬ運命ではない」という。彼等がそこで死んでいれば最後の虐殺による悲劇も起こらなかった。彼等があそこで死ななかったのはメタ的にいえば観客にあの虐殺と映画のメッセージを観客に伝える為に外ならない。 チアン・ウェン監督は本当にセンスがある方なのだと思います。中国映画の名画で良く見る山村の長閑な雰囲気、イタリアの名画のような心暖まるコメディ演出、迫力ある映像で見せ付けられる虐殺シーン。優しさと絶望が混じり合い描かれる人間の業。
[DVD(字幕)] 8点(2014-02-03 09:35:50)
180.  アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 
先ず目に付くのが豪華キャストの面々。オスカー受賞&ノミネートの常連が名を連ねており、この顔ぶれを観て唸らない映画ファンは少ないでしょう。実際に『オーシャンズ11』の様な単に豪華キャストという訳ではなく、それぞれの役者が素晴らしい演技を見せてくれる。特にクリスチャン・ベールの役作りはトンデモないレベルで、『マシニスト』→『バットマン』→『ザ・ファイター』→『アメリカン・ハッスル』と激太り⇔激痩せを律儀に繰り返す役者根性は唯々凄いとしか言えません。その内体壊すんじゃないかしら。 映画の内容は非常にマーティン・スコセッシの映画、ハッキリ言うと『グッド・フェローズ』に似ていると思いました。流行りのナンバーがサンプリングの様に次々と流れる音楽などは特にそう。デ・ニーロもしっかり出てますし。スコセッシの映画と言えば臆病な奴と無鉄砲な奴が出て来て臆病な奴が泣きを見るって話が多いですが、本作のアーヴィンとリッチーの関係性はそれに近いかなと思います。劇中でリッチーとロザリンの無鉄砲さに終始困り続けるアーヴィンの姿には心の中で大笑いしてしまいました。その辺り、私はコメディー映画としてこの映画はとても優れていたと思います。 但し、釈然としない点も多々ありました。ここでは全て書き切れませんが、例えば音楽について。詐欺師二人の出会いはデューク・エリントンでした。ここでシドニーは「彼には何度も人生を救われた」とまで言うし、彼女が辛い人生を送ってきた事はなんとなく示されますが、最後まで別にデューク・エリントンに大した意味は見い出せない。次にセロニアス・モンクの「Straight No Chaser」が流れる場面。このスタンダード・ナンバーは題名の通り「チェイサー無しで酒をストレートで」という曲なのですが、画面を見ていても別に必然性は感じられない(因みに送金係が仲間に加わる場面です。あの送金係の件とか削っても話繋がりますよね)。思い返してみると、結構「これ必要か?」と思える音楽や場面が多く、やり方次第では2時間以内にも収められる内容だったと思います。 あと個人的には、演技は上手いのでしょうが肌のツヤからどう見ても20代に見えてしまうジェニファー・ローレンスよりも、ケツは見せるわ股は開くわ乳はこぼれそうになるわ女優根性を見せたエイミー・アダムスの演技の方が頭一つ抜けていたと思います。
[映画館(字幕)] 8点(2014-01-31 22:15:31)(笑:1票)
050.38%
1171.29%
2362.73%
3584.40%
4977.37%
518313.90%
621116.02%
733925.74%
823517.84%
91138.58%
10231.75%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS