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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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381.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
まずジョン・ル・カレが作り出したストーリーに惹きつけられます。スパイ物でよくある(実際にル・カレも良く書いている)米ソ冷戦の対立構造を使用するのではなく、現代の対テロ戦を想定した情報戦はスリリング。テロとは良く“見えない脅威との戦い”と比喩されますが、本作でもそれは同じ。主人公であるバッハマンはどう見ても有能な男ですが、彼は確証がないままに捜査を強引に進めます。イッサが本当に過激な思想を持っているかは分からない段階で(結局持っていなかった)周りの人間を掌握し、アブドゥラ博士が本当に資金援助に協力しているか確証がないままに彼の拘束を決める。テロという言葉の元々の意味は「terror」=「脅(おびや)かす」ということ。安全保障上の彼の行動も一種のテロと言えるのではないのか?と観客に突きつけている様に思えました。しかも最後の彼の叫び「Fuck!!」に現れている通り、彼はどう見ても正義の信念を持ち(世界平和を望んだ)、イッサを結果として助けようと行動し(滞在証を発行した)、アブドゥラ博士も味方に引き込むことで強制的な危害を加える気は無かった。それに対しあのやるせないラスト。そして同僚のイルナから「無茶をし過ぎだ」と警告された上での非難の眼差し。本当の正義とは?と問いかける重厚なスパイサスペンスでした。 しかし作品としては聊か凡庸な部分があったことは否めません。ル・カレの小説の映画化と言えば数年前に『裏切りのサーカス』というトーマス・アルフレッドソン監督による傑作がありまして、それと比べてしまうと、その実力には大きく差があると言わざるを得ません。 本作は静かなトーンで作っているのだから態々無理に“動”のシーンを入れなくても良い気がしました。例えばイッサとアナベルが逃走のシーン。電車と車のチェイスは『フレンチ・コネクション』に代表される定番ですが、ド素人のアナベル達が本職のスパイを巻いてしまうのはあり得ないと思えるし、巻くならそれ相応の演出上の工夫が欲しい。最終的にクラブに紛れ込んでバッハマンの追跡を逃れますが、あれではバッハマンのおなかが人ごみにつっかえて逃げられたようにしか見えない。 但し、名優フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の演技を観る価値は絶対にあるかと思います。エンドロール前の献呈を観た瞬間、もう彼をスクリーンで見れないことを実感し、本当に惜しい人を亡くしたと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2015-01-18 06:54:02)
382.  天才スピヴェット 《ネタバレ》 
ジャン=ピエール・ジュネの美的感覚が只管に心地よい作品でした。大陸横断で見せる大自然の風景の美しさ、田舎ののどかな風景の美しさ、その後に出てくるゴミゴミしたシカゴの大都市すらも美しく見えるから不思議。 後半にちょっとだけテレビ局の傲慢さも描かれていて、それも面白かったです。150年生まれるのが遅かったとスピヴェットに指摘されたお父さんが、あのムカつくインタビュワーにパンチをくれてやった瞬間はスカッとしました。ラストも家族それぞれがあるべき型に収まって良かったですね。
[映画館(字幕)] 7点(2015-01-13 20:25:15)
383.  シン・シティ 復讐の女神 《ネタバレ》 
エロいねーちゃんが沢山出て、男たちはカッコいいポーズを取って、戦闘で血がドバドバ出まくる、ザ・男子中学生用映画って感じでしょうか。でもこの頭の悪さは嫌いじゃないです。フランク・ミラーの作品の映画化としては前作に引き続き正しい手法だと思うものの、何年も開いてしまうと既にその手法も斬新に見えなくなっているのがやや残念でしょうか。 見所はヱヴァ・グリーンの体の張り方。今までも散々お色気要因として悪女を演じていましたが、本作ほどに激しい露出は初めてだったのではないでしょうか。その女優根性に拍手でした。
[映画館(字幕)] 7点(2015-01-13 20:07:40)
384.  ミラーズ・クロッシング 《ネタバレ》 
やはりコーエン兄弟、銃撃描写の拘りは素晴らしいです。銃から一発一発出る轟音に重みがある。話は非常に硬派な作りのハードボイルド物。主人公の思惑が観客に完全に示されないので、主人公が単にヘマを踏んでいるのか、それとも先を見越しての行動なのかが判断できず、最後まで目を離せない作りになっています。とは言いつつも、個人的にハードボイルド物が苦手ということもあるのですが、割とやり手な感じで登場した主人公が結構ボコボコにされて反撃までできないというのは少しフラストレーションでした。ハードボイルドの主人公はヨレヨレだから良いんでしょうけども。 上手いなぁと思ったのは、キャスパーの片腕の用心棒がゲイという設定。それまでどんな男も手玉に取っていたヴァーナの色仕掛けが通じない相手ということで、話がうまく展開していたと思います。 あと凄かったのはキャスパーの刺客をレオが一人で皆殺しにしてしまうところですかね。有能なボスはイカス。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-31 08:38:21)
385.  プロミスト・ランド(2012) 《ネタバレ》 
明らかに地方の田舎モノからしたら悪党のマット・デイモン、彼が最終的に会社の余りに非道な方針にNOを突きつけるラストがとにかく痛快。かと言って大企業を打っ潰すような無理な内容に行くのではなく、単に今までのツケを払いクビになるという結論も良い。 カラオケがド下手なフランシス・マクドーマンドがやるせない空気の映画の清涼剤になっていて面白かった。
[映画館(字幕)] 7点(2014-12-23 22:49:02)
386.  小野寺の弟・小野寺の姉 《ネタバレ》 
予告編を見た時点では、片桐はいりさんの見た目で笑わす感じのコメディなのかなと思っていたので、そういう役者の容姿が悪いことで笑わせるコメディは嫌いなので、良い意味で裏切られました。普通に真っ当なコメディになっていて、特に兄弟同士ののんびりとした会話にはついつい笑ってしまいました。私も姉弟の家族構成なので面白かったです。 数ある伏線がキチンと最後の二人の結末に向かって回収されていくのも良い所。 ちょっと良くないなーと思ったのは山本美月の演技プラン。余りに他人行儀でしゃべっているので、「この娘は多分小野寺・弟のことは特に恋愛感情は抱いてないんだろうなー」と思っていると、普通に惚れてて驚きました。もうちょっとくだけて話す方が自然な気がするのですが、好きなら親密になろうと頑張ってる筈ですし。 それからセクハラ・パワハラが問題になっている昨今で、眼鏡店のおじさんとおばさんが小野寺・姉に男事情のことを何度も聞くのは気になりました。もうちょっと自然な感じで、言葉には直接出ないけど、相手にプレッシャーが伝わるような方法が良かったんではないでしょうか。例えば、願いが叶うと言われている花じゃなく、恋愛成就の花に換えて、小野寺・姉が後で自分で調べてみてそれを初めて知るとか。 あとこれは私の個人的な感情なので、人によっては「そこがいいんじゃない!」という意見もあると思うのですが、頼むからちゃんとピントを合わせて撮ってほしい。ソフトフォーカスも良いけどずっとそれだと単に見辛い。それから逆光で撮るのも止めてほしい。眩しいです。カメラをグラグラグラグラ揺らすのも止めてほしい。主人公二人の心理状態と呼応しているのは分かるけど、ちゃんとフィックスで撮るべき所は撮ってほしい。不自然な照明を当てないでほしい。夜に一人で部屋で泣いているシーンで、バッチリ光が入ってるとおかいいでしょ。街灯でも部屋の真横に立ってるんでしょうか?ちょっとお洒落な画作りに拘り過ぎている気がしました。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-21 20:42:13)
387.  未来世紀ブラジル 《ネタバレ》 
ストーリーは主人公が管理社会の中で運命の女を守ろうとするという割と良くあるディストピア映画ですが、鬼才テリー・ギリアムによってかなり変わったテイストになっています。普通のディストピア物ってそのストーリーの都合上、シリアスな雰囲気の映画が多いのですが、この映画は正統派なディストピア物でありながら、兎に角ノー天気。キャラクター達も何となく明るく、深刻な雰囲気は一切ない。サンバのスタンダードナンバー、「ブラジル」のリズムに乗せて悪夢的映像を見せる。そのセンスが凄い。だって水と油ですからね、馴染むわけがない。 例えば、主人公の友人で、情報省に勤めるジャックは、テロリスト(と政府が見なした市民)の尋問で返り血を浴びてもニコニコして娘に接している。こっちとしては困惑してついつい笑ってしまう。 さて、ラストの解釈についても書いておこうと思います。誰もが最初はアン・ハッピーエンドと思うあの救いのない(でもクレジットと共に流れるサンバは矢張り明るい)ラストですが、ある意味どれだけ管理社会が理不尽な暴力を振るおうとも、人間の想像にだけは入り込むことが出来ないとも取れます。いつの時代にも何らかの理由をこじつけて芸術の表現に規制をかける社会は存在しますが、それでも人のイマジネーションは無限であり不可侵だ!という謂わば妄想賛歌ではないかと思います。だから個人的にはアン・ハッピーエンドでもありハッピーエンドでもあるかなと。 因みにこの映画の多分元ネタであるジョージ・オーウェルのディストピア小説『一九八四年』はその人間のイマジネーションすらはく奪する一〇一号室という拷問部屋があるので、その分本作より更に凶悪なディストピア物と言えそうです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-11-20 20:04:20)
388.  太秦ライムライト 《ネタバレ》 
チャップリンの傑作『ライムライト』を基に、斜陽となった時代劇の衰退と微かに見える未来への希望を描いた作品。「5万回斬られた男」とも言われる斬られ役者の福本清三さんが、ご本人の分身ともいえる主人公を演じます。 確かに時代劇は衰退の一途を辿っていることは間違いないでしょう。近年でも時代劇は度々映画でも公開されているものの、それは若い美形俳優を主役に据えた(本作の中で描かれる『ODANOBU』の様な)アクロバティックな殺陣の作品だったり、ラブストーリーを主軸に置いた作品だったり、コメディに特化した作品だったりする。松方弘樹や近衛十四郎らスター時代劇俳優は既に若者への求心力はないし、ましてや福本清三さんの様な謂わば裏方の時代劇俳優は辛酸を舐める思いで仕事をしているのでしょう。 しかしながらこの映画を観ていると本当に時代劇俳優の、松方弘樹らの殺陣の美しさに惚れ惚れする。終盤の桜が舞い散る中での松方弘樹と敵役を演じる福本清三さんの立ち回りは大変格好良かった。心底この文化が斜陽になり消えかかっている事実に悲しさを感じました。そう思わせるだけでこの映画は勝ちだと思います。まだまだ若い者に時代劇を受け継いで復興させられる筈だ!という時代劇役者たちの矜持を感じました。 私も最近の時代劇は余り足を運ばなくなってしまいましたが、これからは積極的に観に行って時代劇業界を支えてみたくなりました。但し、出来ればやっぱり本作で描かれる様な美しく、また血沸き肉躍る殺陣の作品が観たい所です。 でも手放しで喜べる出来かと言うと断言できない所もありました。一番は悪役が何となく改心してしまうこと。いや、いつ改心したかも明示されないので、本当に脚本の都合で良い奴になったようにしか見えない。せめて主人公の限界を超えた奇跡の立ち回りを見たことで、つい感極まってしまい考えを改める位の理由づけは欲しかった。また根本的な問題ですが、主演の福本清三さんは主演俳優としての演技に慣れてないためなのか、滑舌の問題で聞き取り難い箇所がいくらかあった。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-05 21:26:24)(良:1票)
389.  イコライザー 《ネタバレ》 
いやあ驚かされました。このご時世に大資本出資の映画で、ここまでフィルム・ノワールを標榜した画作りの映画が観れるとは。というか何度も挿入される大都市の全景、切り出された様なシルエット、重量感や痛みを感じる硬派なガンアクション、等は否応もなくマイケル・マンの映画を彷彿とされる。 正直その素晴らしい画を観れただけでも満足と言えば満足なのですが、本作はかつてのフィルム・ノワールが特徴としていた作品の閉塞感・虚無感は描かれていない。基本的に敵のマフィアは元CIAのヒットマンであったデンゼル・ワシントンに殆ど反撃する隙も無いままに殺されていく。デンゼル・ワシントン側にも特に「自身の行為が正しいかどうか?」などと悩む様子はなく、彼は正義の法の執行者として敵を刈り続ける。そこにやるせなさを一切感じない所が、傑作アクション映画『ヒート』を生んだマイケル・マンと大きく異なる点ですが、人によって好き嫌いはあるでしょうが、個人的には暗い画には暗く陰鬱な話であった方が好みです。 タンカーの爆破シーンで完全に陰鬱さの靄が吹っ飛んだのが残念。
[映画館(字幕)] 7点(2014-10-28 00:35:06)
390.  アイス・エイジ 《ネタバレ》 
人間の赤ん坊を中心に、各々孤独を抱えていた3匹の動物達が、疑似家族を形成していくというストーリー自体は、結構スムーズに出来ていると感じました。また壁画のシーンはややホロリと来てしまったり。 但しギャグが総じて余り面白いとは感じませんでした。いえ、コミカルな雰囲気づくりをしていることは理解できるのですが、その殆どが所謂一発芸に近く、正直大人の鑑賞を考えている作りではないかなと思います。まあハナから完全に子ども向けとして作られたのかも知れませんが、そうすると矢張りPIXAR作品やDream Works作品と並ぶ質の作品とは迚も言い難いものがあります。
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-21 23:46:42)
391.  いつも2人で 《ネタバレ》 
スタンリー・ドーネンとオードリー・ヘプバーンとのコンビと言えば矢張り『シャレード』が一番に思い浮かべますが、本作も同じくお洒落な作品。同じくタイトル・デザインを担当しているモーリス・ビンダーもいい感じです。 倦怠期を迎えた夫婦を描いたストーリーも、私はまだ結婚していないとはいえ、いつかは訪れることだと思いますんで興味深かったですし、また勉強になりましたね。二人の馴れ初めや、妊娠初期のラブラブの状態を非常に嫌味なく撮るので、対比としての現在の二人が観ていて物凄く悲しい気持ちになるのですよね。殆ど文無しで旅をしていた時の方が幸せに見え、豊かになった方が不幸に見えるのも皮肉ですねぇ。しかし、どんなに嫌い合っても積み上げてきた二人の歴史に偽りはなく、最後に元鞘に収まるラストも実にリアルだなと。 いろいろなシーンの一部がそれぞれの時代の映像に繋がるキーになっているのも洒落ているし、映像的にも面白かった。テーマがボサノヴァ調だったり、バラードだったり、各シーンに呼応した作りになっているヘンリー・マンシーニのスコアも魅力的です。 個人的にですがオードーリー・ヘプバーンはこの作品でブレイクスルーしたと思います。『シャレード』の時も夫人を演じながらどこか少女的なものを感じてしまったのですが、本作はその少女的な時代と中年になってしまった時代を対比しているので、後者において彼女の少女的な印象は殆ど感じませんでした。大人の女を演じるオードリー・ヘプバーンも個人的には十二分にアリです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-10-20 23:59:51)(良:1票)
392.  フレンチ・コネクション2 《ネタバレ》 
汚らしいニューヨークを描いた前作から、舞台は麻薬製造元のフランスの港町・マルセイユに移り、画面も徹底したリアリズム溢れる映像から、フランスならではの優雅さを感じられる映像になりました。映像と呼応するように、前作のひりつくような緊張感に包まれ、爽快感もまるで感じられないストーリーとは違い、泥臭い男たちが麻薬マフィアを追う、ジョン・フランケンハイマーらしい暑苦しいストーリーとなりました。 正直前作程の傑出した物は感じられない作品ですが、グッと一般向けによった作りは嫌いではありません。演出上、前作は観た後にドッと疲れを感じた作品だったのですが、本作は最大の敵をやっつけてスパッと終わるので鑑賞後の気分も良かったです。あのラストカットの切れ味は良いですねえ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-10-20 23:45:42)
393.  サニー 永遠の仲間たち 《ネタバレ》 
ド直球の青春映画。過去と現在が並行して描かれ、段々とキャラクター達に深みが増していくという構成自体は、結構いろんな映画で良く見ますが、矢張り良い効果を生んでいると思いました。特に終盤の未来の自分たちに向けたビデオレターの場面は、それまでキチンと明るい未来を夢見ていた少女時代と、厳しい現実の中で生きている大人時代を描いているだけあって、かなりグッと来てしまいました。誰だって100%の理想の人生を進めるわけないですものね。 但し、結構力技で欠点を無視してる点もあるなとも思いました。例えば、主人公が頭がいいって設定はあんまり活かされない。作劇的には絵が上手いで充分です。初恋のイケメンとのロマンスは少女たちの友情物語に無理に挿入している感が否めず、なんかその部分だけ他と浮いているなぁとも思いました。そもそも余命2か月のガン患者を街中の喧嘩に巻き込んでいいのか、というか喧嘩できる程元気なのか、とつい気になってしまいましたね。それから結構な人が気になる部分でしょうが、最後に遺産が皆に分与されてメデタシメデタシってのはどうかと。死んでしまったリーダーをみんなが改めて目標にして新たな人生を自らの力で築いて欲しかったです。 まあそんな野暮な不満点を吹き飛ばすのが、最後のダンスシーンですね。これぞ青春。
[映画館(字幕)] 7点(2014-10-02 07:06:42)(良:1票)
394.  小悪魔はなぜモテる?! 《ネタバレ》 
劇中でも何度も言及されていますが、本作のモチーフはアメリカの小説家ナサニエル・ホーソーンの名作『緋文字』です。ホーソーン自身は魔女狩りが起こったことで悪名高いセイラムの出身であり、『緋文字』には彼が抱えていたピューリタニズムへの批判がありありと見て取れるのです。 だから本作を理解するには根底にキリスト教の存在が色濃くあることに気付かなくてはいけません。そうでなくてはラブコメとしては凡庸であるし、イジメを描いた物語としては悲劇性はそれほど強くないし、青春映画としてもそれ程傑出した内容と言わざるを得ないでしょう。 姦通は果たして罪であるかどうか?噂が伝播しそれを糾弾する生徒たち。その根っ子にいるエヴァンジェリストたち。彼らたちが神を賛美する歌を歌いながら燥いだり、悪魔のマスコットを排他すべき対象としていることは何も冗談ではありません。アメリカには実際にああいう人たちがいます。ゲイの男の子が苛められているというのもここに真の理由がある。劇中で生徒会長の一派が「我々がどれだけ祈りを捧げても、ゲイやアバズレは罪を重ねるのよ」と言っているのですから。結構軽い学園コメディにこういう要素を入れるセンスには脱帽です。 演出面では、コメディとしてもパーティーでヤッてる振りをする場面を筆頭に中々楽しかったです。終盤に出てくるミスリードにもまんまと私は嵌ってしまって上手いなあと思いました。 個人的にちょっと残念なのは、エマ・ストーンがとっても可愛いとはいえ、矢張りファーストカットの時点でとても地味子に見えないことです。この映画は矢鱈と『ブレックファスト・クラブ』にオマージュを捧げているシーンが多いと思ったのですが、それなら同作で地味子を演じたアリー・シーディ位のビジュアルで登場してから、変身して欲しかったですね。まあエマ・ストーンは魅力的に映っているし別に良いと言えば良いのですが。ちょっと気になりました。 ああ、言うまでもないですが邦題のセンスは0点。別に小悪魔でもなければ、モテている訳でもない。
[DVD(字幕)] 7点(2014-09-21 22:59:03)(良:3票)
395.  るろうに剣心 京都大火編 《ネタバレ》 
問答無用に面白かったです。前作に続き漫画原作のアクション映画としては上手くできていたと思います。今作に入って、敵もより豊富になり、瀬田宗次郎を始めとして漫画では表現できても「こんな敵の能力をどうやって映像化すんねん……」と思っていましたが、そこは殺陣の取り方を工夫しているので余り違和感を感じませんでした。 問題は当然ながら二部作として作っているので話が寸断されている感が強いことでしょうか。クライマックスに配置されている京都大火も結局は不発に終わっており、やや物足りない感じもありました。それから前作と同様ですが、薫役を演じる武井咲が全く武道を嗜む人間に見えないのは可也残念。弱弱しそうだからどうせ誘拐要因なんだろうなーと思っていると、案の定簡単に拐かされてしまう。矢張り一貫してヒロインと言うよりは足手まといと思ってしまうシーンが多いです。 あとは後編の出来次第という話になりますが、キャラクターを沢山投入しており、それをキチンと消化できるのかはやや不安ですね。
[映画館(邦画)] 7点(2014-09-08 07:27:16)(良:1票)
396.  イントゥ・ザ・ストーム 《ネタバレ》 
すっごく楽しかったです。終わり。……では味気無いので良かった点を箇条書き。 1.主役が竜巻(台風?)ということを理解している。騒動に巻き込まれる人間を一通りスピーディーに描いた後は、基本的に凶暴な竜巻の挙動にハラハラするのみ。最初は一つ二つだった竜巻が、どんどん増えていき、最後には超巨大になるって展開もモンスター映画の定石を採っている様で観ていて非常にワクワクしました。 2.阿呆は直ぐにフェードアウトしてくれる。こういうパニック映画では「え?なんでそんな行動するの?明らかに危ないし、脚本の都合じゃねーか」と毒づいてしまう作品が多いですし、本作でもYouTubeにビデオをアップしようとしているバカ二人組が出てきますが、竜巻の凶暴さを身を以て観客に教えた後はさっさと本編から除外されるので良かった。ああいうキャラが終盤まで足を引っ張ったり周囲を混乱させると凄くムカつくので。もう一人、ビデオカメラを取りに行こうとして、炎の竜巻に巻き込まれちゃう男もバカと言えますが、その行動はビデオクルーのリーダーに諭されての事で、その後にリーダーが自分の軽率な行動が引き起こした結果を見つめ直すことで、その犠牲がストーリー展開にまで寄与している。実にうまいなーと思いました。 3.人間のモラルが真っ当なこと。そこういう災害映画の場合、大抵学者とかが調査のためにその災害に“自分から”巻き込まれるという体で、ストーリーを成り立たせようとしますが(命の危険があればプロでもなんでも逃げるべき、本作のリーダーみたくそれに憑りつかれている訳じゃない限り)、本作の場合、息子を助けに行く父親を登場させることで、そのストーリーに無理が生じていないと思います。そりゃ「息子の命が危ないから災害なんて関係ない!」と言われれば観客も納得するしかありません。 ……最後にバカ二人組が生きていたってオマケは正直要らなかったかなーと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2014-09-03 17:17:30)
397.  怪獣大戦争 《ネタバレ》 
本多猪四郎がメガホンを取っていることもあり、終盤の街でのゴジラ&ラドンの大暴れは見応えがあります。また人間ドラマも子ども向け映画にしてはちょっとほろ苦いテイストとなっており、水野久美演じる(美しい!)波川とグレンとのロマンスが良い塩梅です。ニック・アダムスは「バラゴン」でもそうでしたが結構いい演技しますね。 ゴジラのシェーは絶対笑っちゃいますよね、あんなの。個人的には作品の個性として受け止めてます。ああいうアホみたいなゴジラが観れるのもこの作品の魅力(?)。
[DVD(邦画)] 7点(2014-07-27 22:30:27)
398.  GODZILLA ゴジラ(2014) 《ネタバレ》 
まず今現代にゴジラを一から作り直した作品として実にクレバーな構成だなと思いました。日本映画史に残る54年版(所謂初代)『ゴジラ』においてゴジラは人間など塵に等しいと言わんばかりに大暴れする一種の神や天災のような存在でした。その後、ゴジラが子ども向け映画としての地位を確立するとゴジラは人類の新たなる脅威と戦う、結果として人類の味方として存在するようになりました。今回のハリウッドリメイクはその二つの要素を上手く融合させており、ゴジラのファンにとっては納得できるものではないでしょうか。 また基本的に怪獣の見せ方がとても効果的で素晴らしかったです。閃光弾が空を照らした先にゴジラの全身が映されるシーンや、ゴジラのあの(エメリッヒ版ではなくオリジナル版に近い)ド迫力の咆哮、海からの登場シーンや、サンフランシスコでのMUTOとの対峙、そしてMUTOの首を掻っ切り勝鬨を挙げるシーンなど、怪獣映画やロボット映画にお馴染みの見栄の切り方は本当に格好よく怪獣王を捉えていた。 しかし不満点も多々あります。一番の不満はハッキリ言って主人公です。正直、彼が絡むシーンが本当に邪魔。とうとうゴジラとMUTOが向かい合い「うおぉ!怪獣大決戦だ!」と思ったら主人公サイドに話が移り、怪獣たちの戦いはひとまずお預けとなる。もうね、非常にガッカリしました。そういうシーンが随所にあります。ハイライトとなるサンフランシスコに話が移ってもその傾向は続き、怪獣の戦いが遂に存分に見れるのかと思うと主人公の奥さんが避難場所に逃げ込むのと同時に彼らの大暴れは見れなくなってしまう。主人公が空から降下する場面でも時間が夜であり、また人間である主人公の目から戦いが映されるのでジックリ見れない。最近の『クローバーフィールド』等の怪獣映画ではPOV的な映像が多用されるのでトレンドなのかも知れませんが、個人的には『パシフィック・リム』みたいにしっかりと大格闘を見せてくれる方が好きです。 随所にゴジラフリークを喜ばせようとしている工夫は感じられるし、怪獣映画への愛も感じる映画ではあります。しかしながら主人公絡みの人間ドラマをもっとタイトかつ丁寧にして、家族愛よりも何より怪獣愛を優先していたならば更に高い水準の作品になっていたかも知れない可能性は捨て切れません。
[映画館(字幕)] 7点(2014-07-25 22:29:53)
399.  七年目の浮気 《ネタバレ》 
『七年目の浮気』という中々直接的なタイトルですが、実際には堂々とした浮気は起きない。主人公はなんだかんだ言っても配偶者を愛していて、大それた行動は取れない上に、勢い余って取ってしまった時は本気で焦る。そして妄想力逞しい。つまり世の中の大体の人間のソレなのですね。 そんな主人公の二階の住人が何とマリリン・モンロー、あの完璧なプロモーションとちょっとアホ可愛い性格に終始翻弄される主人公は、可也笑えました。 初回と全く違う深刻な状況で繰り返されるラフマニノフの第二番や、鏡の中の顔が見る見る老ける時に言及されるドリアン・グレイの肖像など、洒落が良く効いています。 ただ、舞台劇を映画化したにしても全編にわたり主人公の独り言が延々と続くのはやや違和感を感じました。ビリー・ワイルダーは他にも様々な舞台劇を映画化してしますが、今回はそういう他作と異なり完全に舞台をそのまま映画として撮ったという感じ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-07-20 07:12:07)
400.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
中々に面白い作品でした!まずトム・クルーズが演じる主人公・ケイジのキャラクター造形が良いです。私が好きなトム・クルーズとは『M:I』や『トップ・ガン』では無く、『マグノリア』や『ナイト&デイ』の様なちょっとイッちゃってるキャラクターを演じた時なのですが、今回もそれに通じる面白さがあるというか、イケメンを演じることが多かった彼のセルフパロディでしょうか。 だって主人公は軍の広報担当官で露骨に戦場に出るのを嫌がる様な、明らかに主人公の器では無い男。それを甘いマスクのトム・クルーズが軽薄な感じで演じるから面白い。 とてもユニーク且つ斬新だなと思ったのが、この映画が持つテレビゲームを再現したかの様な設定、と本来それと相反する筈の"出会いの素晴らしさ"とか"命の大切さ"の描写があったことです。一部の識者(?)が「テレビゲームなんて娯楽があるから現代の若者が命を軽々しく考えるようになった」とかトンデモ論が聞かれなくなって久しい今日ですが、本作は「ループを繰り返す→必然的に主人公やヒロインの死が軽くなる」という流れを主人公がヒロインの度重なる死に対して懊悩するという描写で見事にその軽さ(ある種ストーリーとしての欠陥)を補完していると思いました。実際、やっぱりエミリー・ブラント演じるヒロインの数々の死に様を観ると遣り切れない気分になるんですよね。エミリー・ブラントの演技も大変良かったと思います。 ちょっと残念というか勿体ないと思ったのがこのループものの利点、主人公がいくら死のうが物語は終わらないという設定をあまり効果的には使っていない事だと思います。冒頭のギタイからのフランス奪還作戦は、ビジュアルや地理的状況をパッと観て判るとおり傑作戦争映画『プライベート・ライアン』の冒頭のノルマンディー上陸作戦のオマージュなのでしょうが、それを参考にしたにしては戦闘の描写がイマイチだったと思います。『プライベート・ライアン』では手足がちぎれ飛ぶわ、内臓が飛び出すわ、銃撃でズタズタに引き裂かれるわ、戦争の悲惨さを克明に描いていたと思うのですが、本作でも折角主人公がいくら死んでも構わない設定なのですから、もっと観客に「こんな戦場に行きたくねえ」と思わせるだけの画作りでも良かったのではと思います。そちらの方が主人公の当初の感情、戦場にどうしても行きたくない心情も理解し易いですし。
[映画館(字幕)] 7点(2014-07-17 21:07:44)(良:1票)
050.38%
1171.29%
2362.73%
3584.40%
4977.37%
518313.90%
621116.02%
733925.74%
823517.84%
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