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民朗さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1317
性別 男性
ホームページ http://minrou.seesaa.net/
年齢 36歳
メールアドレス baker221b@live.jp
自己紹介 全体的に甘めの評価になりがちです。
当然映画のジャンルによって評価にバラつきがあります。以下参考までに……。

評価が高くなりやすいジャンル:ミュージカル、B級アクション、ロマコメ、バカコメディ
評価が低くなりやすいジャンル:ミステリー、サスペンス、ラブロマンス

基本的に過激な映画が好きです。暴力的な意味でも、性描写的にも、人間性の描き方でも
どれだけ感動的な映画であっても尖った所が無い映画より、過激な表現がある映画の方を評価しています。

13.4.27(追記)……TOHOシネマズが6月1日から高校生料金を1,000円にするとのこと。
今は若い方が映画館に少ない状態なので大変素晴らしいと思います。
(日本の料金はそもそも海外に比べて高すぎる。価格も一律で決められているから劇場間の競合も生まれにくい)
でももうちょっとシネコン自体が上映する映画のラインナップを改めた方が良いのでは。
客が集まる邦画をバンバンかけるのは経営としては正しいけれど、いつか必ずしっぺ返しが来るのは判り切っていることなのに。

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421.  地下水道 《ネタバレ》 
アンジェイ・ワイダ監督の抵抗三部作の中で恐らく最も有名な一作。地下水道に潜ることを余儀無くされるレジスタンス達。ガスが迫って来る地下水道での閉塞感、焦燥感。暗闇の中でサインを探し求めやっと見つけるも只の落書きだった時の落胆振り。一人一人狂っていく恐怖。そして最後に地上に上がった時の絶望感。決して観て楽しい映画では無いが実話に基いた作品として観る価値のある作品だったと感じる。
[DVD(字幕)] 8点(2012-08-05 09:47:09)
422.  ダークナイト ライジング 《ネタバレ》 
前作の「ダークナイト」は暗闇の中で生きる正義を描いた傑作だった。ゴッサムの人々は暗黒の中にデントという一筋の希望を見出し、その代わりにバットマンは悪の象徴として生きることとなった。全ての悪を背負ったバットマンの姿は尊いものだろう。しかしちょっと考えてみる、それってゴッサムの人々に真実を語らず欺いていることになるのではないか?真実を知っているのはバットマン本人と警察のゴードン本部長とその息子だけ、つまり権力者側だ。「それっておかしいんじゃないの?市民には全てを知る権利があるんじゃないの?」という権力への怒りを描いたのが本作「ダークナイト ライジング」だったと感じた。本作は明らかに昨年から世界各地で起こった「Occupy Wall Street運動」を下敷きにしていると思われる。何故かと言うと前作は監督も言っている通りシカゴがゴッサムのモデルだったらしいが、本作はブルックリンの様な下町が出てくるし、沿岸部にある街という設定になっているし、証券取引所を襲撃するシーンまである。これらの描写は嫌でも(ウォール街のある)ニューヨークを彷彿とさせる。そしてヴィランのべインはゴッサムを取り戻せと人々に呼びかけるし、べインの手下は普段肉体労働を強いられているブルーカラーの人達だ。富裕層による富の独占、国家の政治への不信は世界中で起こっている現象だ。それでも真実を隠し街を守るバットマンが正義と言えるのかと観客に訴える。そんな問いに対してラストは実に上手く話しを纏めていたと思う。最早バットマンが正義の象徴として永遠の存在になるしかその解決法は無かっただろうから。他に特に素晴らしかったのはべインを演じたトム・ハーディー、圧倒的質量でバットマンでも歯が立たない相手であることを実感させる好演だったと思う。それだけに退場にはもう少し見せ場があっても良かったと思うが。脇のマリオン・コティヤールもいい味を出しているが最近彼女がスクリーンに映ると悪女にしか見えないのがやや難点。アン・ハサウェイのキャットウーマンも妖艶で美しいがリアル路線の本シリーズにおいて女怪盗という存在にやや違和感を感じてしまった。ラストのロビンのくだりはファンサービスとしては面白かったが出来ればロビンを主役としたスピンオフは作らないでほしいと思う。近年のアメコミ映画としては珍しく実に綺麗に終わったシリーズであると思うから。
[映画館(字幕)] 9点(2012-08-04 11:59:08)(良:3票)
423.  ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 《ネタバレ》 
致命的な重病を患った二人の若者のちょっとオフビートな逃避行。彼らは天国に行く前に海を一度見てみたいと海を目指す。海は数々の映画で絶望の象徴や終着点の暗喩として登場する。最も有名な例はトリュフォーの「大人は判ってくれない」だろうし、北野武の「HANABI」も長年連れ添った夫婦は人生の終わりに海を目指す。恐らく全ての大陸において歩き続けた先に広大な海という終点が広がっているからだろう。本作はその様な象徴として描かれることが多い海を天国への切符、ある意味希望の象徴として描いている点が面白い。主人公二人は海を目指していなければあの病院で自身の望みも果たせぬまま死んでいただろう。海と言う絶望・終着点が皮肉にも彼らを希望へと導いたのだ。ルディは最後にマーチンに「(死ぬのは)怖くないさ」と言う。最後に海を見ることで天国への扉を開けた彼らは雲の上で仲良く駄弁っていることだろう。
[DVD(字幕)] 7点(2012-07-29 18:38:54)(良:1票)
424.  映画 けいおん! 《ネタバレ》 
原作未読、アニメは最初の2,3話を見た程度。つまり殆ど門外漢に近い形で観ました。普通テレビアニメの劇場版と言うと「クレしん」「ドラえもん」などの日常が舞台であっても映画では派手な事件やキャラクターの悩み・葛藤などを設定するものですが、「映画 けいおん!」はテレビアニメの時の緩い日常を描くというコンセプトをそのまま映画にしている。恐らく所謂日常系というジャンルをはみ出すと「けいおん!」では無くなるということなのでしょう。問題はその日常系としての展開、ハッキリ言うと大して何も劇中で劇的な展開が無い話に一見さんがついてこられるかということだと思います。多分ファンにとっては何も問題ないでしょう。個々のキャラクターは個性的で、しかも非常にレベルの高いアニメーションでフェティッシュな仕草や描写がありそれを愛でればいいわけですから(これが萌えーというモンでしょうか)。私は別に唯ちゃん、りっちゃん、ムギちゃん、澪ちゃん、あずにゃんに思い入れは無かったので正直彼女たちの振る舞いを観てもそんなに楽しいとは思えませんでした。では事件も何も起きないこの映画のどこを一見さんが楽しめばいいかというと、それはもう軽音楽部としての活動を楽しむか、今回の映画の大きな舞台であるロンドン旅行を楽しむしか無い気がします。私は特に軽音楽とは無縁ですが、卒業旅行で彼女たちと同じくロンドンに行ったクチなのでロンドンパートは楽しめました。空港やロンドン市街のディテールなどはさすが京都アニメーションと唸ってしまった。正直、そのパート以外は特に楽しい部分も無く淡々と終わったという印象です。テレビアニメで彼女たちの3年間を観ていれば彼女たちの卒業という人生の節目には心動かされるのかなと想像出来ますが。というか一見さんに対しては全く配慮の無い作品といって良いでしょう。オープニングで各キャラクターの紹介も無いし。特に決定的なギャグも入れてないから笑えもしない。ファンが各キャラクターを2時間愛でるためだけの映画と思う。それはそれで良いかもしれないが、ファンにとって良いというだけの話でしょう。
[DVD(邦画)] 4点(2012-07-29 08:00:46)
425.  生きるべきか死ぬべきか 《ネタバレ》 
ドタバタコメディの傑作。とにかくコメディとしてのテンポが良く観客を飽きさせない。またコメディでありつつも完全にカリカチュアされた話でもありより深い映画となっている。やや不謹慎なギャグが多い気もするが、この位強烈な方が観客の記憶に残り易いだろう。またそんな強烈な風刺を42年当時にしたということがまた凄い。ナチズムを痛烈に皮肉った映画としてはチャップリンの『独裁者』が金字塔であることに異論は無い。また本作では『独裁者』の様にナチスを糾弾する演説や声を大にした主張はしない。しかしナチスのバカさ加減を笑い飛ばしている度合いは本作の方が上だろう。何せ主人公はナチスから祖国を救うよりも嫁さんとイケメンパイロットの浮気の真相の方が終始気になっているのだ!ナチスからしたら逆説的にこれ程バカにされた話は無いだろう。今考えるとタランティーノの『イングロリアス・バスターズ』は本作に非常に影響を受けているのだろう。そういう部分でも素晴らしい映画だ。最後に枕流さんも仰っていますが許せなかったのが日本語字幕だ。誰が付けているのかはデータがないので分からないが、いくらなんでも酷すぎる。誤字脱字は当たり前、場面によっては男性の台詞が女言葉になっている(恐らく字幕をプリントした後のチェックを怠っているのだろう)、早口の掛け合いでは丸々一つの台詞のやり取りをすっ飛ばしている箇所すらある。とてもじゃないがプロの水準の仕事とは思えない出来だった。本作の字幕担当者は一つの傑作を自身の適当な仕事によって台無しにしていることに早く気付いた方が良いだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2012-07-27 01:00:20)
426.  ハメット 《ネタバレ》 
中国人娼婦を演じるリディア・レイがフレデリック・フォレストの指を舐める仕草がエロい。舐める相手が中年だし銃をぶっ放すシーンより犯罪的に見えた。現実の出来事が主人公が書いている三文ハードボイルド小説さながらの展開を見せるのは面白いアイデアですね。街中のシーンが明らかに虚構の街として撮られているのもその展開を強調させるためでしょうか。アクションシーンの気の抜け方も実に三文小説といったレベルになっていて笑えてくる。
[DVD(字幕)] 7点(2012-07-25 01:45:31)
427.  リンカーン弁護士 《ネタバレ》 
特に他の映画と比べて秀でている点は無いのだけれど、実に手堅く撮ったという印象が残る法廷サスペンス。予告編通りのテンポ良く続くサスペンスシーンは観ていて全く飽きを感じさせません。弁護士のモラルに対する悩み(間違えると悪人を野放しにすることになる)や、取りあえず罪を認めて冤罪でも刑期を短くすることへの葛藤などは既に何度も撮られ尽くされた作品テーマですが、王道なだけにグッとくるシーンもある。そしてそれは主演の下手をしたら路上でたむろってるヤンキー兄ちゃんにしか見えないマシュー・マコノヒーが実に真剣な表情で悩むからこそ観客を惹きつけるのだと思いました。クローズアップを多用する撮影は正直好きにはなれませんでしたが、総括して手堅く纏まった法廷サスペンスだったと思います。軽く観るにはオススメ。
[映画館(字幕)] 7点(2012-07-22 17:13:16)(良:1票)
428.  メリダとおそろしの森 《ネタバレ》 
まずアヴァンタイトルでヤラレタ。幽玄だが雄大な大森林に鬼火が浮かび消える静寂のシーン、そこから突然モルデューがメリダに襲い掛かりそれに父親が応戦し躍動感溢れるシーンになだれ込み、バーンと「BRAVE」とタイトルが出る。もう森林の美しさからアクションのダイナミズムの連鎖にすっかり心奪われました。この一瞬で作品世界に没頭できるアヴァンタイトルは素晴らしかった。ただ本編はどうだろう?個人的にはこれまでピクサーが作ってきた作品と比較するとどうも脚本に練りが足りないと感じてしまった。お話はいつものピクサー通り実に単純、王女になりたくないお転婆な娘メリダが母との対立を乗り越えて和解し王女としての自分を自覚するという、早い話が「ローマの休日」に良く似た話だ。一見コミカルなキャラクター、畳み掛けるアクション、しなる弓まで表現できているアニメーションは面白いのだが、どうもしっくりこない。理由はメリダ、父、母、(僅かながら3人の弟たち)しかキャラクターの内面をしっかり描いていないからだと感じる。特にメリダの花婿候補となる3人は登場場面の面白さはあるものの、その後の活躍や必要性は皆無とすら思える。折角メリダが女王としての責任に目覚める話で、候補が3人もいるのだから例えば他の2人は粗野なだけだが1人は王子にしては繊細な気質で真逆の性格であるが故にメリダと惹かれ合うとか色々想像できる。そうするとディズニーお得意のロマンスも入れられるし何より観ていて楽しい。もう少し脇のキャラクターにまで気を遣ったら最後の別れのシーンなども感動的に感じられたのだろうと思う。それから致命的なのがメリダがあまり可愛く感じられないということだ。別に見た目のことを言っているのではなく、主役の彼女でさえ特にお転婆であるという以上のキャラクター性が感じられない。本家ディズニーが直近で作った傑作アニメーション「塔の上のラプンツェル」の主人公の少女も同様にお転婆だがどこかロマンチストな部分があったりするからそのギャップが実に可愛いヒロインだった。メリダももう少しお転婆以外の要素があった方がキャラクターとして純粋に魅力的になったと思うのです。
[映画館(字幕)] 7点(2012-07-22 16:57:24)
429.  パリ、テキサス 《ネタバレ》 
小津安二郎を嫌でも思わせる俯瞰的なカット、驚異的なロングテイク、主人公の心情描写を極力排しその演出がラストのピープショウでの会話において意味を成すシーンなどは実に良い。既に言い尽くされている通り各シーンの撮影の上手さ、シネマスコープには目を奪われます。物語としても私も主人公と同じく結構嫉妬深い性格なのでかなり感情移入もしてしまいました。ただ一言だけ言わせてもらうと、とにかく"眠かった"という感想になってしまいます。各シーンに役者のアクションが余りないので仕方が無いとはいえ、取りあえずエンターテイメント性を映画に求める人間としてはやや観ていて辛い映画でした。ライ・クーダのギターも激シブなのですがそれ以上に眠気を誘う音楽にしか聴こえない。
[DVD(字幕)] 5点(2012-07-21 23:44:27)(良:1票)
430.  きっと ここが帰る場所 《ネタバレ》 
やりたいことは良く分かる。劇中にトーキングヘッズやデヴィッド・バーンが出ていることや、映画としてのルックがヴィム・ヴェンダース監督(特に「パリ、テキサス」)に似ていることからも80年代のアート映画を現在にやりたかったのだろうと思う。ただ80年代のアート映画の多くがそうであったように、キャラクターの心情は理解しがたい点も多いし、なにより純粋に退屈に感じてしまったシーンも多かった。最早この映画に合うか合わないかという短絡的な結論になってしまうのだが、個人的には余り肌に合わなかった様に感じた。ソレンティーノ監督の映画では前作の「イル・ディーヴォ」の方が硬派な抗争劇といった内容で好みだ。しかし前作と比較して全く違うジャンル、スタイルを扱いながら監督ならではのオリジナリティもしっかりといれている辺り素晴らしい手腕であることは間違いないだろうと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2012-07-21 23:16:58)
431.  ヘルタースケルター(2012) 《ネタバレ》 
正直言って沢尻エリカはそんなに好きではない女優です。テレビの報道はそりゃバイアス掛かっているのでしょうが、それ程演技も上手くないのに日本から干されたから「ハリウッドで活躍したい」とか話したりしている姿勢がどうも好きになれなかった。そのカムバック作品を本作に選んだのは素晴らしいと思います。劇中のりりこは沢尻エリカ本人にしか見えなかった。大衆の望む通りに振る舞うりりこは沢尻エリカそのものです(スキャンダルを度々起こす点まで)。沢尻エリカで無かったらこれ程キャラクターの存在感は出なかったと思います。劇中でバンバン脱いで、濡れ場もこなす姿勢も実に良い。私は現在の必要なシーンであっても誰も脱ごうとしない邦画界で脱ぐ女優さんは無条件に凄いと思っているので、今回の沢尻エリカも良くやってくれたと思います、何よりエロかったしね。ただ彼女が脱いだから諸手を挙げて万々歳かというと全くそんなことは無かった。沢尻エリカの演技が他の女優に比べて目劣りしてしまうのは仕方ない(なんせ寺島しのぶ・桃井かおり・原田美枝子だ。相手が悪すぎる)ですが、蜷川監督の演出に問題があり過ぎる気がします。くどい程出てくるスローモーションを多用したPVみたいな極彩色の撮影シーンなんかは監督の作家性であるとしても、キャラクターの描き方の薄さはどういうこっちゃ?私は御曹司の窪塚洋介と検事の大森南朋が出てくる度に呆れていいのか笑っていいのか判らなくなりました。監督なんだから役者には演技指導しようよ!この二人はマジでカンペを読んでるだけのレベルの演技です。それから最高にダメだなーと思ったのがエンディング。この映画で一番観客のエモーションが高まる部分ってベートーヴェンの交響曲第九番第四楽章が流れるシーンだと思うのですよ。音楽的にもこれだけ長く第九流してクライマックスってことは「時計仕掛けのオレンジ」のオマージュか!と思ったら……まだ続く。で次の記者会見のシーンは青く美しきドナウが流れて、今度こそ「2001年宇宙の旅」オマージュ(使う場所は違うが)でエンディングだな!と思うと……やっぱりまだ続く。しかもこの後の5分間は実はりりこは生きてましたーという説明の為だけのシーンなので実際に映画のテンポは死んでしまっている。ホントに終盤の蛇足に継ぐ蛇足感で結構台無しにしちゃってると思いました。でも結論として沢尻エリカのヌードを見れたから良かったよ。
[映画館(邦画)] 7点(2012-07-16 20:22:56)(良:1票)
432.  イル・ディーヴォ 《ネタバレ》 
私はソレンティーノ監督の映画を観るのは「きっとここが帰る場所」が初めてだったので、本作との映画のルックの違いに驚かされました。というかやや不謹慎ながらカッコいい!ストーリーは史実を基に(と言うか再現)したクライムサスペンス。元イタリア首相のジュリオ・アンドレオッティとマフィアとの繋がりを告発した内容で、別段イタリアの政治に興味が無かった身としてはかなりショッキングな内容でした。そしてなにより素晴らしかったのが映画から漂う緊張感、明らかにゴッドファーザーから多くの影響を受けているのだと感じました。度々登場する殺しのシーンはゴッドファーザー一作目の終盤の大粛清を基にしているのでしょう。言うなればイタリア版ゴッドファーザーの様な風格すら感じます。そういえば主人公ジュリオが神に忠誠を誓いながら殺しや汚職に手を染めておりそれに苦悩するってのも、良く考えればマイケル・コルレオーネに通じるものがある。しかしそれでいて映画全体にソレンティーノ監督独特のどこかすっ呆けている空気があり彼のオリジナルとして上手く昇華できている。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2012-07-15 00:49:06)
433.  マイ・フレンド・フォーエバー 《ネタバレ》 
小学生の頃に観てデクスターの靴が河を流れていくラストカットでワンワン泣いた記憶がかすかに今も残っていた。今回念願のDVD化となり鑑賞したが、やはり良い映画だった。なんせエリックとデクスターの友情がとても純粋なのだ。エリックは母親の愛情に飢えている少年でデクスターの母親に微かな母性を見出し、デクスターは自身の病気の為に友達が欲しい少年だが病気の自分にそんな存在はあり得ないと思っておりいつも心に孤独を抱えている。孤独な二人が邂逅したからこそ真の友情が芽生えたのだと思う。エリックは子ども染みたやり方とは言え、本気でAIDSの特効薬を探すために奔走するし、デクスターもそれに全力で答えようとする。全力で相手のことを考える、これこそ真の友情だと思いましたね。デクスターが死んでしまうシーンに至るまでもウェットな空気を出来るだけ避けているのもいい感じ。それから小さい頃には良く分からなかったけれど、今観返すとやっぱりエリックの母親に詰め寄るデクスターの母親のアナベラ・シオラに一番グッと来ました。息子を亡くしたにも関わらず気丈に振る舞う母親像をああも見事に演じ切っていましたね。細かな演出もいい感じです。特にファーストカットがエリックの靴から始まり、ラストカットがデクスターの靴で終わるのは素晴らしい。いつまでも続く友情の象徴の様に思えました。
[DVD(字幕)] 7点(2012-07-14 07:52:58)
434.  群衆(1941) 《ネタバレ》 
最早ジャンルはドラマと言うよりホラーに感じました。無名の人間をヒーローに祀り上げるマスコミ、ヒーローを政治に利用しようとする政治家、現代にもまだまだ存在している恐怖ですね。政治家共に弱者の怒りをぶちまけるゲイリー・クーパーの演説にこの映画にキャプラが込めた全てがあると思います。この映画は昨年の"Occupy Wall Street運動"の様な99%の声の力を教えてくれます。群衆の力の持つ強大さ、そしてそれが群衆の敵である私腹を肥やす政治家や利益追求に走るマスコミに渡ってはいけないこと、今この時代だからこそ観るべき一本であると思います。いやいつの時代でも観るべきですね。こんなシリアスなストーリーに密やかに挟み込まれるロマンスの分量も良い。ハリウッド黄金期らしい名作。
[DVD(字幕)] 8点(2012-07-13 20:03:18)
435.  マッチポイント 《ネタバレ》 
話自体は物凄くチャチというかケチな話ですよね。入り婿として結婚したにも関わらず他の女に手を出してその相手を妊娠させてしまう。そして妊娠が露見することを恐れて口封じの為に殺すって、ホント昼の2時間ドラマに出来そうなくらい嫌味な言い方をするとしょーもない話。ただこの主人公は最後まで逃げおおせる。これはキリスト教的には非常に変な話ですね。善なるものには祝福が与えられ、悪なるものには苦しみが与えられるはずなのに主人公はのさばる。つまり悪しきものが最後まで生き残ってしまう。しかしこの映画のテーマは運命であることは明確な訳です。オープニングから繰り返し"ネットに弾かれたテニスボール"というモチーフがいたるところで登場する。ボールがどちらのコートに落ちるかは分からない。それは人間の運命を司るような例えば神が決めることです。彼は最後に巻き添えで殺した老婦人のアクセサリーを河に投げ捨てる。その中の腕輪が橋の手すりに当たる、まるでネットに弾かれたボールの様に。主人公はこの腕輪が河に落ちなかったことで無罪が証明されてしまう。つまり運命(神)が殺人者である彼を生かしたのでしょう。こういう物語が西洋で撮られるのは非常に面白い、というか興味深かったです。常識を超えるストーリー展開ですから。まあそんなことよりスカーレット・ヨハンソンがエロくて素晴らしかったですね。ウディ・アレンはお爺ちゃんになってもこんな映画をとるんだからホントに助兵衛なんだろうなあ。
[DVD(字幕)] 7点(2012-07-11 00:15:24)(良:1票)
436.  崖っぷちの男 《ネタバレ》 
実に観客のニーズに合った作品だったと思います。少なくとも私には合っていました。個人的にサクっと気軽に観れるサスペンスを期待していたので満足度は高かったです。お話は「フォーン・ブース」の様な街の限定された場所で起こるサスペンス。緊迫感は断然フォーン・ブースの方が電話などの小道具を上手く使っているので勝っていますが、本作は飛び降り自殺を図る主人公の話と同時に警察内での汚職とダイヤモンドの強盗事件が進行するので常にテンションが上がる仕組みになっています。ですから最後までダレることなく観ることが出来ました。それ程長くない上映時間も良いと思います。それだけ短い分、脚本に穴ぼこが幾つもあるのは仕方ないでしょう。興味深かったのはこういう娯楽映画でもリーマンショック時に金儲けをした人間が敵になっているということ。ゴリゴリの左翼的な映画を撮る監督ならまだしも、本作の制作は大会社ディズニー(の関連会社のブエナビスタ)。しかも舞台はニューヨークですので、昨年の"Occupy Wall Street"運動の影響力を強く感じました。まあそれだけ現代的な問題を孕み現実味のある話なのですから、もう少しドキュメンタリー映画出身監督らしいタッチで撮っても良かったんじゃないかと思いましたね。それから役者陣が総じて良かったです。コンサバ野郎のエド・ハリスを筆頭に、武骨な元警官のサム・ワーシントン、"Shit"と"Son of a bich"の台詞が超似合うエリザベス・バンクス、そして妙にエロいジェネシス・ロドリゲス、キャスト全員がそれぞれの役にピッタシでした。
[映画館(字幕)] 7点(2012-07-08 20:02:38)(良:2票)
437.  スパイダーマン2 《ネタバレ》 
実に正道な続編。1作目で描き切れていなかった部分を上手く掘り下げている。自分の強大な力とそれに伴う宿命に気付くまでが1作目。2作目では多忙な日々とスーパーヒーローとしての活動の両立に苦心する。そして「スパイダーマンはもうイヤだ」と自身に課せられた宿命を放り出してしまう。しかし街の人々の為に彼は再び立ち上がる(またヴィランのドック・オクにではなく、只の火事に立ち向かうのが良い)。そのストーリーの裏には只の大学生らしく恋もあり、友情もあり、家族問題もある。……なんて人間味に溢れたヒーローだろう!スパイダーマンというアメコミが等身大のヒーローを上手く描き人々の支持を得たのならばサム・ライミは実に上手く原作を実写化していると思いますね。相変わらずのピーターのボンクラッ振りも最高です。大学生にもなって気になる女の子に「焼きそば食べる?」って誘うスパイディに乾杯!
[映画館(字幕)] 8点(2012-07-08 10:47:54)
438.  アニー・ホール 《ネタバレ》 
本作のアカデミー賞の授賞式を辞退したウディ・アレンにとってこの映画を絶賛することは不本意であると思うのでこれ位の点数にします。いや実際にロマコメとしての面白さはこの位の点数だったと思ってしまったので。第四の壁の破壊や驚異的な長回し、脱ハリウッドを意識しているであろうニューヨークのカットの数々、これらが如何に後世のコメディ作品に影響を与えたかを想像するのは難しくありません。これを非常にペシミスティックな主人公アルビーとキャラクターとしての魅力をあまり感じさせないアニーでビシッと成り立たせてしまうのですからその手腕にはとんでもない物があると思います。ではこの映画は結局なんだったのか?ウディ・アレンは本作を通して"脱ハリウッド"、"自身の厄介としか言えない性癖"、"スノッブな人間への嫌がらせ"をしたかったのか?私には恥ずかしながら良く分からなかった。確かに何か知らないが人を惹きつける作品だったことは確かだと思います。その何かがはっきりと分かった時に評価を変更するかもしれません。
[DVD(字幕)] 7点(2012-07-02 23:14:33)
439.  アメイジング・スパイダーマン 《ネタバレ》 
リブート物の一作目としてはこの位が妥当だったと思います。しかし裏を返せば予想を上回る面白さは無かったように感じました。アメコミの映画化は1作目ではキャラクター紹介に終始してしまうことは常であり、続編でキャラクター毎の悩みや葛藤を描き傑作になるパターンが多いので(ノーラン版バットマンやライミ版スパイダーマンみたく)、続編で愛する人を巻き込むのか、実生活とヒーロー活動との折り合いをどうするのか等、スパイダーマンではお馴染みの悩みを出していってほしいところです。ただピーターがグウェンの父親に「娘にはもう近づくな」と言われておきながら(しかも遺言!)、最後にちゃっかり約束破る気満々なのには笑ってしまいました。高校生だからサカッてるのは分かるがもう少し自重しろ、オメー。ただ3Dに関しては良かったと思います。近年に良くある「これ3Dにした意味ある?」というものでは無く、スパイダーマンのウェブによるハングを疑似体験させるというハッキリとした理由がありますね。しかしキャストに関してはどうだろう。ライミ版ではピーター役のトビー・マグワイアが童顔なこともあってか高校生でも納得だったのですが、今回はピーターもグウェンもどう見ても高校生って歳じゃねーだろ、コスプレだろと思ってしまいました。まあグウェン役のエマ・ストーンもインタビューで「きっと老けた顔の高校生ばかりの学校なのよ」と自嘲気味に話してましたが。続編になると数年のインターバルはあるだろうし、より容姿的に高校生は演じにくくなるんじゃないかなと少し心配です。ソニーは学園生活のスパイダーマンを作る為にリブートしたらしいので、続編も高校生として登場するんでしょうが。なんせほぼ毎年作成されていたハリポタでさえ、最終章ではオッサンが杖を振り回しているとしか思えませんでしたからね。とにかく続編に期待。
[映画館(字幕)] 7点(2012-07-01 19:46:36)(笑:1票) (良:2票)
440.  ワン・デイ 23年のラブストーリー 《ネタバレ》 
監督自身がインタビューで語っている通り作品を貫くテーマは"時代による変化"だと思います。エマもデクスターも年が現代に移り変わるに従って生き方が大きく変わっていく。特にデクスターの方が劇的かつ感動的な変化を遂げる。特に90年代半ばの下品としか言いようの無いテレビ番組での司会を務めるデクスターが、子を成して離婚を経験し再びエマの下へ帰ってくるまでの変化は非常に大きい。そして最後にエマとデクスターが結ばれるも非常な運命に引き裂かれる展開は劇的と言うしかありません。ただそれだけ起伏に富んだストーリーでありながら余り感情を揺さぶられませんでした。なんでかなーと考えていたのですが、やはりキャラクターの描き方が淡泊だからではないからでは無いかと。一番盛り上がるであろうパリで二人の魂が否応も無く惹かれあうシーンであってもそれほど彼らを真剣に祝福する気が起きなかったのです。もう少しエマにとって何故デクスターでなければいけないのか?デクスターは何故エマに惹かれてしまうのか?をしっかりと描いてくれればもっと彼らを応援できたと思います。正直あれ位の描かれ方でしたら、デクスターは毎度毎度フラれたら慰めてもらいにエマの下に行ったとしか思えませんでしたし、エマも初めて純潔を捧げようと思った男に何時までも固執している様にしか思えない。「17歳の肖像」で少女が女へと成長する過程の感情を見事に映像化したロネ・シェルフィグの作品にしては感情の描き方が余り上手くなかったなあと言った印象でした。
[映画館(字幕)] 6点(2012-07-01 14:57:12)
050.38%
1171.29%
2362.73%
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4977.37%
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