881. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
まず第一に、こういうテレビシリーズアニメの再編集版(といっても"序"は全てのカットを書き直しているらしいですが)を映画化するのは、すごく難しい作業であることは明らかです。テレビアニメは30分で一つのお話が一応(引きも含め)解決するので、これを基本2時間の映画としての起承転結の枠に収めるのは非常に難しいというか、普通に考えたら無理な話であることは間違いないわけです。それをどうやって纏めるのかな?と期待して観ていると、結論から言うと、フツーに見所を90分に詰めている。これは駄目でしょ。一応、クライマックスにはヤシマ作戦をぶち込むなど、山場は用意していますが、それでもテレビアニメファンへのサービス(悪く言えば媚び)が過剰なのではないでしょうか?はっきり言うと、日常のシーンでわざわざテレビ版のお気楽な音楽が流れたりすると鬱陶しいんですよ、別にテレビ版に思い入れが無い人間からすると。 折角、最初から全てやり直せるなら、映画としての一つの作品として作って欲しかったものです。 [地上波(邦画)] 3点(2009-12-06 11:01:17) |
882. 椿三十郎(1962)
黒澤映画の中では限りなくエンターテイメントに寄った傑作。映画を構成する全ての要素が完璧と言うしかないですが、その中でも特に脚本の出来が素晴らしい。二転三転する内容を、90分という短い上映時間に纏めたのは、流石ですね。これを観ると如何にリメイク版が、贅肉だらけの脚本、演出だったのかが良くわかる。 エンターテイメント作品らしく、コミカルな部分がたくさんあるのも楽しめました。襖にずっと入っている男が特に好きです。 [DVD(邦画)] 9点(2009-12-05 13:32:09) |
883. 羊たちの沈黙
《ネタバレ》 これは恐らく誰もが賛同すると思うのですが、とにかくメイン二人の演技が素晴らしい。特にアンソニー・ホプキンスは、ハンニバル・レクター博士のような極端な人物を演じるのは特に難しいと思うのですが、その異常性、カリスマ、インテリゲンチャを見事に演じきっています。ジョディ・フォスターもクラリスの感情の機微の変化が、表情のかすかな動きによって画面から伝わってくるのは、卓越した演技力を持っている事の証でしょう。 実力のある役者を前面に出し、映画としての派手な演出は逆に抑え気味だったのも好感が持てました。 今では巷に溢れているサイコサスペンス物に慣れていても、十分に恐怖を感じられる傑作ですね。寧ろ、派手な残虐描写も大して無いのに、これだけの緊張感を出せている方が映画として素晴らしいと思います。 [地上波(字幕)] 9点(2009-12-03 23:08:12) |
884. ホーム・アローン3
《ネタバレ》 表面上はマコーレ・カルキン君では無くなっただけなのに、なんでこんなにつまらないんだろう。なんかトゥーン・ディズニーの作品を観ているようなショボさでした。 [地上波(吹替)] 3点(2009-12-03 03:37:57) |
885. ホステル
《ネタバレ》 お話の筋としては面白いのですが、如何せん監督の力量の無さがかなり目立ってしまっていたかと。B級映画ですから、人体切断ゴロゴロ、内臓デロデロまでは分かるのですが、肝心の拷問シーンで本気で観客を怖がらせる気があるのかという位、とにかく画が安っぽい。例えば、同じ拷問シーンでも「羊たちの沈黙」、「ボーン・コレクター」、最近だと「ソウ」なんかの方がよっぽど怖いですよ!まあ制作総指揮が、あの80年代B級映画フリークのタランティーノなんで、あのようなノリになってしまったのでしょうが、怖がらせるシーンで怖くないのはホラー映画として致命的でしょう。気持ちは悪いけどね、それだけ。 またセットの撮り方に現実感が無いのも、映画の画全体をショボく見せてしまっている理由かも。街が出てきたら「ああ、街のセットだな」、クラブが出てきたら「ああ、クラブのセットだな」....これの繰り返しでした。 唯一感心したのは、最後の30分で、映画で登場する悪人を取り敢えず全員始末してしまった事です。あのスピーディーな展開はすごい……。 [DVD(字幕)] 4点(2009-12-03 02:57:08) |
886. スターゲイト
《ネタバレ》 ここまで全編にわたりハッタリをかましてくれると、細部の事なんて気にならなくなります 笑。エメリッヒの作品群の中では好きなほうです。 [地上波(吹替)] 6点(2009-12-01 00:45:40) |
887. インデペンデンス・デイ
友人とギャハギャハ騒ぎながら観るとすると、この映画ほどおあつらえ向きな映画も無いですね。素晴らしいボンクラお馬鹿映画。 [地上波(吹替)] 6点(2009-12-01 00:43:35) |
888. ユニバーサル・ソルジャー
《ネタバレ》 木曜洋画劇場で何回観たかわかりません。適当に観れて、かつ飽きない。エメリッヒはB級映画を撮る才能はあると思うんだよなぁ。 [地上波(吹替)] 6点(2009-12-01 00:34:24) |
889. 2012(2009)
監督本人が言っていましたが、このクオリティはエメ公のキャリアの集大成といっていいでしょう。例によって、映像で魅せてくれますが、人物描写は下手クソです。今回はその二つの要素の差が非常に大きかったかと。大都市が次々と崩壊してゆく様は圧巻の一言。現代のCGのクオリティに合ったVFXだと思います。終盤にかけてダレて来ますが、それでもここ最近のディザスター映画の中では頭一つ抜けているでしょう。対照的に人間の描き方が酷い。画面上に出てくるキャラクターの家族を全員出すので、映画の中の感動シーンが、わんこそばの様に連続します。これはハッキリ言って観ていて詰まらないし、単純にそう云うシーンに飽きてくる。ジョン・キューザックの一家と、科学者の周辺と、ネパール人の助っ人ら辺でコンパクトに纏めた方が良かったと思います。 重ねて言いますが、映像100点、ドラマ0点です。 [映画館(字幕)] 6点(2009-11-30 21:30:27)(良:1票) |
890. ドリヴン
《ネタバレ》 最近のスタローンらしく、エンターテイメントに寄りまくっています。スタローンは観客へのサービスのつもりなんでしょう。でも俺が観たいのは、あの時の「ランボー」や「ロッキー」のスタローンなんだよ! [地上波(吹替)] 5点(2009-11-29 18:51:41) |
891. 荒野の用心棒
この手のウエスタン映画としてはお手本のような映画。お決まりの拷問シーンがあり、話のテンポが良く、対決シーンではハッタリをかます。正にマカロニ、これぞマカロニ。 しかしアクションシーンに迫力さが無いのが残念でした。まあ時代が時代なので仕方が無いですが、撃たれたら血くらい出してくれと思いましたね。あとエンニオ・モリコーネの音楽が超有名ですが、私としては褒めるほどでは無い気がしました。 [DVD(字幕)] 6点(2009-11-28 22:31:13) |
892. 崖の上のポニョ
クライマックスに盛り上がりが欠けるのが、一番の欠点ではないでしょうか。この傾向はハウル辺りから、若干垣間見えていたと思うのですが、今回で確信しました。最近の宮崎監督は脚本の構成がかなり甘くなっていると思います。次回作(あるのか?)では、せめて普通の映画の構成を持った映画を作ってほしいです。やっぱ巨匠たって、基本は守らないとダメだよね。 [映画館(邦画)] 4点(2009-11-25 19:03:02) |
893. イングロリアス・バスターズ
《ネタバレ》 サスペンス、アクション、ゴア、そしてコメディ。これだけ多くの演出を、ピカイチで出来るのに、なんでラストであんなにメチャメチャにしちゃんでしょうね!あ、タランティーノだから仕方が無いか 笑。とまあ、冗談は置いとくとして。 タランティーノの映画としては非常に観易く、手堅い映画だったと思います。オープニングのドレフュス一家虐殺シーン、酒場でのサスペンス及び集団相撃ちシーン、足フェチ大佐のハマーシュマルクへの尋問シーン、などは真面目に観ても素晴らしい出来でした。只の会話や目の動きだけで、あれだけ緊張感を持続させられる監督ってそうは居ませんよ。前作のデス・プルーフでは個人的に「少しふざけ過ぎじゃない?」と思っていたのですが、やっぱりバカなだけでは無く、普通に映画作りの力量もある監督なんだと再確認しました。 そこにきて、あのラストは何なんだ!本当に心底史実とかどうでもいいんでしょうねぇ。映画ファンとしては流石に本作のラストには批判的になってしまいますけど、それでもタランティーノにはバスターズな映画作りを続けてほしいですね。だって面白いんだもん。 [映画館(字幕)] 8点(2009-11-25 00:49:12) |
894. 16ブロック
《ネタバレ》 エディの存在が映画を少しダメにしていたと思う。彼の持つ「面白黒人」のテイストは、ラッシュ・アワーの様なドタバタアクションで活きるのであって、本作の様なシリアス目なサスペンスとは食い合わせは良くないだろう。私がジャックだったら劇中で3,4回は殴ってしまう気がした。そのエディが終盤画面上から消えたとたんに画面が締まること締まること 笑。監督はキャリアがある人なので、全体を手堅く纏めている。それを昔撮った影響なのか、リーサル・ウェポンの様なバディ・ムービーにしてしまったのには、普通に残念です。普通のクライムサスペンス映画として撮っていたなら、佳作にはなっていたと思う。 あとデヴィッド・モースの悪役っ振りが様になっていて良かった。今後、お気に入りの悪役俳優になりそうな予感。 [地上波(吹替)] 6点(2009-11-24 12:20:13)(良:1票) |
895. バグダッド・カフェ
映画全体に漂う独特の心地よさは良いものでした。でもこういう雰囲気で形作られている映画はあまり好きにはなれません。良い映画だと思いますよ? [地上波(字幕)] 6点(2009-11-24 00:45:39) |
896. イン・ディス・ワールド
世界の現実を知ると云う意味では教育効果もあり、価値のある映画だったと思います。ただ観終わったあと、振り返ると少し冗長過ぎた点も無視できません。もし上映時間が二時間を超えていたらキツかったかも。 [地上波(字幕)] 6点(2009-11-20 15:16:32) |
897. ファンタジア
最初から最後まで、音と、色彩と、アニメーションの洪水。とても70年前の映画とは思えません。クラシックの演奏に乗せて、アニメーションが無声で展開されるので、普通のディズニー映画として観ると肩透かしを食らってしまうと思いますが、映画単体として観れば素晴らしい映画だと思います。特に気に入ったのは「くるみ割り人形」と「はげ山の一夜~アヴェ・マリア」。幻想的な音楽とアニメーションが見事に融合しています。この2つはディズニーらしいアニメーションでは無いのですが、私はこの2つが最も感動しました。あとは中間に挟まれる「サウンドトラック君」の演出も洒落ていて面白かった。 これは製作者が冒頭で述べていますが、作曲者の意匠に沿ってない曲が展開されるのが、ひとつだけ心残りな点です。それと言わずもがな、クラシックが好きでない人が観ると苦痛の2時間である可能性があります。そういう点では観る人を選ぶ映画かもしれない。 [DVD(字幕)] 9点(2009-11-15 16:57:29) |
898. ナチュラル・ボーン・キラーズ
凄まじい実験映画ですね。様々なテクニックを詰め込んでいて、映像自体は最早カオス。しかし、そのカオスな映像にこそ、この映画の描きたかったエッセンスがギッシリ入っていたのは素晴らしかったです。話自体は良くある「何故に人殺しをしてはいけないか?」という物ですが、いやはや此処まで徹底してると、一種の洗脳映画みたいでしたが、ある意味清々しい。 哲学的な内容が嫌いな人には受けないと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2009-11-15 16:21:20) |
899. マイケル・ジャクソン/THIS IS IT
やっぱりマイケル・ジャクソンは素晴らしい。そんな当たり前の事を再確認できました。音楽に対するシビアな気持ちがスクリーンからビシビシ伝わってきます。しかも時には謙虚に他人の意見にも耳を傾ける。更に今でもダンスの腕はバックダンサーと比べても殆ど遜色が無いように見えた。全編が有名なナンバーばかりなのは、ファンから、ビギナーまで楽しめる構成になっているのかなと思えました。非常に親切設定。 まあ、そこまでは本当に良かったんです。あのマイケルが踊っている姿を観ているだけでグッと来ましたよ。 しかし急場凌ぎだったのでしょうか。監督の趣味の悪さでしょうか。スプリットスクリーンの使い方とか、だっさい映像のつなぎ方とか、個人的には好きになれない編集の仕方でしたね。はっきり言って画面が見にくい、というか凝り過ぎ。なんで必要もないシーンであんな技術使うかなぁ。それはこの映画に限った事ではありませんが。 それでもファンは観に行って損はないと思います。リハでの人間味溢れるマイケルをスクリーンで観れるなんて事、もう二度と無いと思いますから。本当に惜しい人を亡くしました。 [映画館(字幕)] 7点(2009-11-08 23:41:37) |
900. シリアの花嫁
《ネタバレ》 シリアでの結婚式の一日を国際問題を絡ませて描いた作品。扱いにくいテーマを物語に添わして行く、その手腕は非常にスムーズで上手いなあと思ったのですが、その他の部分が微妙でした。お姉さんの話はあれで解決しているとしたら余りにもタンパクだと思うし、お父さんの話ももう少し余韻があっていいかと感じました。 一番気になったのが、終盤での出国審査。この物語の胆になる部分ということは分りますし、ここを丁寧にくどいくらいに描かなければテーマ的にダメということは分りますが、それにしても長すぎ!せめて二回くらいにしてくれませんかねぇ。 [映画館(字幕)] 6点(2009-11-08 23:21:14) |