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プロフィール
コメント数 1997
性別 女性
自己紹介 周りに映画好きな人があまりいない環境で、先日はメリル・ストリープって誰?と聞かれてしまったりなのでこのサイトはとても楽しいです。
映画の中身を深く読み解いている方のレビューには感嘆しています。ワタシのは単なる感想です。稚拙な文にはどうかご容赦を。  

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1.  オーケストラ! 《ネタバレ》 
映画が紙の媒体と決定的に違うのは音を伝えられる、ということ。クライマックスの演奏会は圧倒的。音楽の凄みに何度観ても泣く。アンヌ・マリーが(額に怒マークをはりつけて)ソロパートを奏でるその音色が金色の一筋となってするすると天上に昇ってゆく。彼女の音に叱咤され鼓舞されて、ダメ団員たちの音楽家魂に火がついてついには太く力強い音の奔流になってほとばしる、この瞬間は肌が粟立つほど。N・キンスキーの再来と見紛うような、神々しいまでのM・ロランの立ち姿と合わせて永久保存したい位の美しい舞台だった。前半から中盤にかけての、すったもんだな喜劇っぷりも好き。ネタは定石なれど、団員フルばっくれは予想できなかったなー。旧共産党の栄光の残滓もなにやら切なく、圧政のもと起こった悲劇も織り交ぜて話に奥行きも持たせている。笑って、やきもきして、戦慄して、うっとりして、泣いた。感情のほぼ八割方を喚起させられたこの映画、私にとっては満点。
[DVD(字幕)] 10点(2011-09-28 00:25:50)(良:1票)
2.  狼たちの午後 《ネタバレ》 
アル・パチーノは本当に何をやらせてもちゃんと掴むなあと思う。髪形を変えるとか体重を増やす減らすとか頬に綿を詰めるとか、そういう外見変化に頼らずに見た目はアル・パチーノその人なまま、マフィアもチンピラも不良刑事etc・・も見事に演じ分ける。 今作ではこれまたコクのあるJ・カザールと駄目な銀行強盗犯役。なにしろ冒頭からライフルを構える手際の悪さぐだぐだで、一瞬コメディなのか?と思うがさにあらず。本人たちは実に必死で人生を賭けた大一番なのだった。しかし今ひとつ考えが足りなかったり行き当たりばったりで全く場をコントロールし切れない。一生懸命やっても上手くいかないこの釈然としない思い。人が皆抱くこの哀しさ、特にJ・カザールはもうそこにいるだけでダメ人生がにじみ出そうな佇まいでほんと他人事でなくどこか愛おしくもあり、ワタシもすでにストックホルム症候群に軽く罹患しているのを自覚する。 dog day、うだるような暑さ。タイトルそのままに暑さが、やり切れなさが画面から漂ってくる。当時のどん詰まった世相をも切り取った映像は重たくずっしり。名作。
[DVD(字幕)] 9点(2013-10-22 01:11:25)(良:1票)
3.  女は二度決断する 《ネタバレ》 
震えながら観ました。D・クルーガーの放つ凄まじい絶望感に。あまりに理不尽な展開に。ラストを見届けた後も震えが止まりません。 あのエンディングをどう思うか、色々なサイトでは是の人もいれば非の人も見受けられます。 痛いほどに思うのは、暴力は人の心を粉砕してしまうのだということ。D・クルーガーが演じるカティヤの真っ暗な瞳。以前は仲良かった友人のめでたい出産も、我が子をあやす友の幸福が逆にナイフとなってカティヤに刺さる場面は、二人の対比があまりに残酷でありました。まるで死者のように感情を失った顔のクルーガーの演技は辛くて見ていられないほどです。 復讐だけをよすがに日々息をしている彼女。犯人逮捕の一報で復讐の糸筋が見えたことで、彼女は戻ってきたのに。 連中だけを死なすこともできたのです。一度はそうしようとしたのです。だけどカティヤの心は修復不可能なほどに、希望を持てない死に体になっていたのでしょう。戦友である弁護士の上訴の勧めにも背を向け、再びやってきた生理にも新しい家族の可能性という希望などもはや抱けずあの決断をしたのだと思うと、私は「時が癒すからがんばろう」とは軽々に彼女に言えないのです。 傷だらけのカティヤをさらに鞭打った被告側の弁護人のことは一生許しません。許しませんとも。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-11-22 23:57:34)
4.  泳ぐひと 《ネタバレ》 
うわー、こんなに”シュールの完成度”が高い映画がこの時代に作られていたとは。内包する悪意が、展開が進むにつれじわーと滲み出てきて、ちょっと中毒になりそうである。観た後引きずる引きずる。 町山氏の解説どおり、バート・ランカスターの撮り方が前半と後半では全く違う。輝くような若々しい肉体美がしょぼくれた中年の姿になってしまうとは一体どういうカメラマジックだろうか。 しょてからしまいまで海パン一枚のおっさんが人ん家のプールを泳ぎ継ぎながら自宅へと向かうお話。こんなわけのわかんないあらすじを聞かされたときは中身についての予測は一切不可能でしたね。 今でいう”セレブ”たちの空騒ぎへの冷たい視線、一人の男の破綻した人生をこんな風に描くとは、この監督よほどの変人か空前絶後の天才か。いずれにしろあっぱれ。忘却不可のカルトムービーですな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-06-20 00:13:51)(良:1票)
5.  男の敵
愚かな大男の、哀しい人生だ。この男の考えの浅さ、お調子者な浮かれっぷり、いるよなあこういう奴。飲み代をたかりに周囲をとりまく忌々しい連中。こいつらのせいで、ジッポの愚かしさが際立っちまう。 悪い奴じゃないんですよ、ちょっと足りないだけなんだ。この男を追い詰める貧困とアイルランドの寒さがやり切れない。 おそらくセットで撮ったであろう霧深い街角の陰気な湿っぽさなど、カメラを通して伝わる臨場感が古さを感じさせないのは凄いなあ。警察が押し寄せた際の階段の乱闘シーンのカメラアングルはちっとも古びていない。初手からラストまで、流れるようなカメラワークは観やすくて、何気に卓越したセンスと思う。さすが巨匠。この作品で初オスカーだったとは、意外でびっくり。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-07-04 23:53:33)
6.  オール・ザット・ジャズ 《ネタバレ》 
凡人には計り知れない、”才能あるアーティスト”の頭の中をロイ・シャイダーの名演を通して覗かせてもらった。 いや、なんというか壮絶ですなあ。妻を怒らせ、愛人に泣かれ、それでも性的道徳規範になんか構っちゃいられない溢れる創作意欲。精神薬を手放せず、充血した目に目薬を何万回と注しながら「バラを創ることができる」神の領域に近づこうと必死にもがく芸術家。スタッフが称賛しようと、彼一人納得できない。果てしなく。 これって地獄ですよなあ。けれど、地獄でのたうつジョーのその人となりが茶目っ気のある憎めないタッチで描かれるので、圧倒されつつも それほどしんどさを感じずに観ることができる。 女グセが最悪でも娘には愛され、母娘で見事なダンスショーを自宅で披露してくれる。この場面の幸福なことといったら、ジョーの不倫も不誠実もすべて許してやっか、という気分になる。 あの世からお迎えに来た死の使いまでが美女と来たもんだ。F・マーキュリーばりにステージで輝いて、そして逝った。見事な人生でありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-17 14:51:16)
7.  オーメン(1976) 《ネタバレ》 
おお、今観てもやっぱり怖かった。シッターが首を飛び吊るシーンと、神父が絶命するまでの公園の不吉な描写、風がびょうびょうと吹きだして葉が舞い散り、黒い雲が迫る。ここはワタシにとっての二大最恐場面で、しっかりトラウマ化しました。加えて音楽、この不安をかきたてる陰鬱な合唱が雨あられのように頭から降りそそぎ、写真に写し出された凶兆には人智を超えた禍々しい力を感じ、よくわかんないけどキリスト教ってこわいよう~と子供心に刻んだものでした。
[地上波(字幕)] 8点(2013-01-26 16:20:49)(良:1票)
8.  おとなのけんか 《ネタバレ》 
こりゃもう、子育て経験ある人ならば、さらに子供同士のいざこざに親もろとも巻き込まれたことのある人ならば思わず膝を打つ、リアリティ炸裂コメディ。序盤の空々しい空気感やら、互いの物言いにカチッとくるイライラ感といい、“子育てあるある”満載の滑り出し。いやあひとごとじゃございません。事態がヒートアップするにつれ、2対2でなく、4人各人の個人戦の様相に(笑)。観てるこっちもいらっとさせる弁護士のケータイ業務連絡に、場を脱力させるゆるーいバアちゃんの横入りTELといい、脇もいい味出してきます。なんつったってエンドロール流れるラストシーン最高。ハムちゃん元気やん。子供らに至っては仲直ってるやんか~ ああ大人どものまぬけが際立つことよ。しれっと遠景でさりげなくみせちゃって、ポランスキーこんなにやるとは思わなかったな。
[DVD(字幕)] 8点(2012-08-15 17:42:12)(良:2票)
9.  お熱いのがお好き 《ネタバレ》 
私は女ですが、このマリリンに一発で恋しました。こんなにスクリーンで輝いている女優さんを、後にも先にも観た事がない。歴史に名を残すスターって一等星どころではなく、超新星爆発クラスの輝きなんだなあ。作られた偶像ではあっても、作り上げられ方が完璧。セックス・シンボルというフレーズが貼りついちゃってるのがとても残念。彼女の魅力は、キャンディボックスのような心ときめく愛らしさ。お話も面白いです。どたばた劇がするすると収束して、みんなハッピーエンド(J・レモンのみビミョー)に収まる手腕、さすがB・ワイルダー。男二人の女装はキモチ悪すぎてそれだけで笑っちゃうし、終盤の追いかけっこはトムとジェリーの実写版を観てるよう。ああ楽しかったー。
[ビデオ(字幕)] 8点(2012-07-15 13:26:54)
10.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 
アントワーヌ・ドワネル。13歳の彼が、どーん、と胸に飛び込んできた。彼の弁護に是非立たせてもらいたい。さらさら流れる音楽と、瑞々しい映像に紛れそうになるけど、この話はなんて残酷なんだ。ドワネル、私に言わせればこの子はひとつも悪くない。サボリに家出、他愛のない嘘。生活のためにお金が必要、てんで安易な窃盗。こんなの単なる少年のおイタじゃないか。あんな母親がいる家、私だって帰りたくない。望まなかった子供、遊びたい自分。気まぐれにごほうびをあげれば良い成績をとってくると思ってる。こ、こいつ・・。母親の化粧台を触るドワネル、家の手伝いをするドワネル、家族で映画に行って幸せそうなドワネル。思い出すと泣けてくる。ラストシーンの、生命力の強そうな瞳が救い。親、大人、教師たち。解り合えない者たち。10代の胸の疼きが、今になっても蘇る。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2012-02-17 18:27:52)
11.  俺たちに明日はない 《ネタバレ》 
1930年代のアメリカ。大不況で失業者があふれ、農村部では砂嵐が吹き荒れて離農者続出、格差がどんどん開いていった時代。ボニーとクライドが駆け抜けたのはそんな時代。閉塞しきった世の中を若さのままに暴走した彼らは一方では自由な魂の象徴にも見えて、あの時代にアメリカに生きていたらやっぱりちょっと憧れたかもしれません。 W・ベイティとF・ダナウェイという逸材を得て青春の無軌道を体現しながら、ピュアなラブストーリーを織り込んで2人の人物像に深みを持たせることに成功しています。 時代の徒花として散った彼らに用意された映画史に残る強烈なラスト・シーン。あの場面をもってボニー&クライドとこの映画は永遠のアメリカンニューシネマの金字塔として記憶されることになるのですね。
[映画館(字幕)] 8点(2011-11-27 16:10:39)
12.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 
一体何作トム・クルーズの出演作を観てきたことだろう。いくつになっても衰えぬ容姿にハリウッドスターの高いプライドを見る思いでしたが、今作はさすがのトムにも年齢を感じました。原作設定の年齢よりも30は年かさなんじゃないのかな。トム・クルーズだからアクションも恋愛場面も見るに堪える仕上がりになってはいますけど。 ストーリーはタイムループものの特性をよく生かしていて、観ている側の納得と驚きを交互に挟んできて巧いです。このジャンルでは最多の戻り数(個人的に)でありました。 E・ブラントも器用な女優であることを証明してますね。目の座り具合に戦場の女丈夫感がみなぎります。 まあ娯楽作だしうまいこといったラストにケチをつける気は無いんですが。トムの人生だけが世界のすべてなの?というもやっと感もあるにはありますね。ケイジ一人だけが世界のすべてを知っている上、これまでに死んでいった人たちは存在自体なかったことになっちゃうのかな。タイムループ設定の宿命なんだけどね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2022-03-27 16:39:50)
13.  追いつめられて(1987) 《ネタバレ》 
80年代の作品で、ケビン・コスナー主演でこの邦題、どうせ女絡みの泥沼愛憎劇だろうと思ってずっとスルーしてきました。こちらのサイトの高得点につられて観てみたら、あらけっこうしっかりした構成のサスペンスだったのね。公開当時観ておけば前半のいかにも80年代ぽい、軽いちゃらちゃらした空気も鼻につかなかったろうになあ。 まったくセットにしか見えない艦と大嵐、真っ赤なオープンカーと豪華ヨットで船遊び、場所構わずすぐ発情するアメリカ人、という画もこの頃多かったよね。 なんせ軽薄な前半の中にも、数々伏線を仕込んでおいてあったとは天晴れです。時間の経過とともにどんどん袋小路に追いやられるコスナーは逃げの一手なれどいろんな手段で身をかわすギリギリ具合に手汗倍増ですし、長官付きのゲイ補佐官の意外過ぎる恋情にはぶったまげますし、ラストの大オチはそれまでの仕込みを全て回収する見事なものでした。久々に頭まで巻き戻して見直したくなる一本でありました。 ・・にしても証人としてやってきたホテルのボーイさんはあの恰好のままペンタゴンまで連れてこられたんだねえ(笑)着替える時間くらいあったでしょ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-22 23:28:04)
14.  オーガストウォーズ 《ネタバレ》 
ロシア製の堂々たる娯楽大作です。正直こんなに‟こなれた”映画を作ってくるとは驚きました。男優も女優も画面負けしない一流どころで、まあ冒頭のCGの出来はさておき人間が演じる部分には画の背景や質感に安っぽさがありません。とりわけ世界水準レベルなのが戦闘場面で、砲弾散らかるガレキだらけの現場のリアリティはもとより、狙撃兵からの攻撃がいつ来るのか静と動の描き分けが巧みで緊迫感を煽ります。ここらの演出の洗練ぶりは「ブラックホーク・ダウン」や「フルメタルジャケット」等の先達からきちんと学んでいるような感があります。 惜しむらくはいろんな娯楽要素を盛りすぎかなあ、ということ。CG仕立てのクリーチャーらが跋扈する様子はSFバトルのようで非現実気分になりますが、しかし人の命が軽い戦地の不条理や酷さは「ハート・ロッカー」レベルですし、箸休め的にちょっとしたロマンスまでぶっこんで節操がないまでのごった煮の様相を呈しています。作品を壊すほどにバランスが悪いわけではないですがね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-09 23:41:21)
15.  桜桃の味 《ネタバレ》 
キアロスタミ監督が好んでいた「演者が素人」というのがとても良い目となって出た作品ですね。人生に詰んだ(と自分では思っている)おじさんの一日を描いているのですが、役者オーラの無い人たちばかりで展開される訥々とした話はスペクタクルでなくどんでん返しもなく、ほんとに市井のザ・日常であります。 死ぬのを見届けてくれと言われたら我々は、さあどういう言葉を彼にかけるか。若い兵士は逃げ出すし、神学生はその道のセミプロならではの説得をする。けどやはり人生の大先輩の三人目のじいちゃんが良いですよね。頼みを引き受けたうえで、人生で得てきた気持ちを素朴な言葉に変換して伝えます。「もう月を見なくて良いのかい?桜桃の味を忘れてしまうのかい?」「明日の朝会えても会えなくても友達だ」ただの紙袋を下げた(中にはウズラ)じいちゃんの、同胞としての言葉には静かだけれど耳を貸してしまう力がありました。 そして監督ったら「という、お話。」と突然こっち側に引き戻すのですね。驚いた。あのおじさんがフィクションの中で結局どうしたか、各自が想像する余白がごっそり残りました。私はね、翌朝せっせと穴を埋め戻している彼を確信しています。「死ぬ気」メーターが元々半分くらいだったのが、作中どんどん減ってましたもん。あそこで横たわるには雨だって冷たいしね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-04-12 23:49:43)
16.  オン・ザ・ミルキー・ロード 《ネタバレ》 
これは・・、珍しいというか唯一無二というかジャンルでいえば「反戦寓話」とでもいうんでしょうかね。これまで観てきたどんな映画よりもこの世界観はとびぬけて独特で、初めての手触りでした。 画は明るく牧歌的、そんな中、弾よけ(!)の傘をさして牛乳を仕入れに来る主人公や砲弾降り注ぐなかギリギリまで卵を割る作業の手を止めない人々とか、戦争が日常になっちゃってる村人たちがシュールです。何の意味があるのか、でっかい壁時計に手を挟まれる家人やら豚の血に飛び込んで真っ赤に染まるアヒルやら描写の一つ一つがのっけからこんな風に「?」の連続で、きっと東欧というなじみの無い土地柄の風土だからぴんと来ないのだろうと無理やり納得して観続ける序盤であります。 ところが描写は落ち着くどころかどんどんシュールさを増してゆく。危機を寸前で救ってくれる動物多数。こんなんだからコレはおとぎ話的に上手く行くようになってんのかな、と思ったら崖から飛び降りたらちゃんと脚を骨折するのだった。そこは数日前みたく宙に浮かないんかい! 銃弾の連射も火炎放射も惨たらしい所業であるのに、この監督が描くと何故だかファンタジック。炎を纏って空を飛ぶアヒルは目に焼きつきました。美しくて。 ところで、美しく不可思議な画の中を逃げる二人がおっさんとおばさんというのどんなもんだろう。モニカ・ベルッチも絶世の美女と言うにはピークを過ぎているし、ここは是非とも16才くらいのボーイ&ガールであってほしかった。未熟さと必死さが反戦のテーマを訴えるにもより効果的だったと思うのだけど。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-11-06 17:24:46)
17.  オー・ブラザー! 《ネタバレ》 
いやあー、馬鹿ばっかり笑。コーエン兄弟の、世間一般とややズレてる周波数な感性と合う人なら楽しめること請け合い。ワタシは彼らのコメディに反応する体質らしくて、ホメロスのオデュッセイアは未読だけどとても楽しかったな。 だいたい主演3人の顔が皆いいもんね。良い「ボケ」の顔をしている、という意味で。なんと二枚目G・クルーニーまでがのびのびと間抜け面をさらしているのが素晴らしい。ファイティング・ポーズ虚しく、相手のパンチ受けっぱなしじゃないですか。いや素晴らしい。 シュールにすっとぼけながら、さくさくとエピソードを展開してゆくスピードがちょうど良いのと、金色に輝く木々が心に沁みるアメリカ南部のロケーションの美しさ、それに音楽も素敵だときては全体に漂うなんとなく散漫な感じを差し引いても、この点数になりました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-24 19:54:20)
18.  オデッセイ(2015) 《ネタバレ》 
R・スコットらしい遠大な画に魅せられる140分でした。相変わらず凄い映像を作る人だ。リアルで緻密で、ああ火星でのロケって大変だろうなと私が小学生だったら素直に思ったかもしれないレベルです。画作りにはいつも情熱を注ぐ監督ですが、話はたまに(先日観た)プロメテ○スみたいに脚本おざなりにぶっとんだりします。だけど今作は大丈夫。スタンダードなサバイバルドラマ、プラス人類の同胞愛を高々と謳い成功しています。 M・デイモン演じる植物学者のタフで明るいキャラクターが、物語を見易くしていると思います。無人の地に一人ぼっち=”キャスト・アウェイ”と似てはいても、トム・ハンクスが苛烈な孤独と闘っていたのに対し、マットの方はあまり思いつめない。比較的早く地球と交信できたのが大きいのでしょう。毎日たくさんのメールが来る、これは非常に精神の支えになりますよね。 宇宙科学や物理学についてはど素人の目から見ても、クライマックスのマット確保劇は「いやそれは無理では」と思わなくもないですが、でもこの映画 その他たくさんあるであろう「理論的に不可」な事例をことごとく一蹴する位の清清しい力技を備えています。 気持ちとしては、地球人の一人として彼の帰還を喜びましたから、完全にのせられてしまいました。ただやっぱり中国市場を意識しすぎな作りは煩いです。
[DVD(字幕)] 7点(2017-11-20 18:03:25)
19.  オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 《ネタバレ》 
トム・ハーディのあっぱれな一人芝居。登場人物一名、場所は車中、交わされる電話の会話のみでストーリーを構築してゆく脚本は舞台劇のよう。目に映るのはひたすらトムの正面顔と横顔か、車内電話の着信画面。この単調さにも関わらず、ただならぬ展開を見せるのでもらい緊張でどきどきした。もう口が乾いて。 アイヴァン・ロックは困ったことになったもんだ。反父親という思いが骨の髄まで沁み込んでしまってて、「奴のようにはならない」「俺はきちんと責任を取る」を信条に生きてきた。その生き様は仕事においては非常に有能で、家庭も円満だったのだ。彼がいかに仕事のデキる男かは、この数十分でつまびらかに伝わる。ああその律儀さが、まじめさが、父への反発心が、築き上げてきた人生を葬り去ろうとは。 ロックに言いたい。間違ってるよ。「誰に対しても等しく責任を取る」なんてことはできないのだよ。仕事のように段取りを正確にこなして、突発的なトラブルにも的確に対処してゆけば事が運ぶのとはフィールドが違うんだ、こればかりは。 突然大仕事を丸投げされた同僚のパニックも、打ちのめされた妻の気持ちも手に取るように分かる。「悪気のない」ロックは大好きなトム・ハーディだしで、もう困っちゃったなああ、とワタシまで頭を抱えるシマツだ。この後をいろいろ想像するが、私の技量では誰も良いことにならないんだどうしましょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-07-02 00:15:09)(良:1票)
20.  オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ 《ネタバレ》 
ジャームッシュ健在、を印象付ける一本。気だるくて美しくてちょっとエスプリも効いていて。 タンジールの異国情緒も、デトロイトの廃れた佇まいもどちらも夜のショットの中に耽美的に切り取られていて魅力的だ。 ストーリーは淡々と、何世紀もの生を生きるヴァンパイアらの”日常”をつづり、一編の詩のよう。 静かな湖面に石を投げ込んだような、異端児エヴァの存在も光る。 主役二人が本物の吸血鬼っぽくてリアリティ有りまくり。いや本物は見た事ないけど。 あそれとドクター・ストレンジ・ラブの血を買ってましたね。ははは。大丈夫かな あんな風にイカレたら耽美どころじゃなくなっちゃうよね。
[DVD(字幕)] 7点(2017-03-14 00:28:23)(良:1票)
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