901. 私がクマにキレた理由
展開も結末も予想どおりのオーソドックスなコメディーでしたけど、これがけっこう楽しかった。スカーレット・ヨハンソンの美人すぎない困惑顔が、奮闘するナニー役にぴったりはまりました。啖呵をきるシーンがなかなか良いです。ほれぼれ。「お金があっても幸せになれるわけじゃないもの」と彼女に言わせて人口比9割を占める非お金持ちの人たちの負け惜しみ感も後押ししてくれてます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-12 12:26:30) |
902. ミッシング(1982)
《ネタバレ》 軍事政権がクーデターで国家を牛耳ると街はこうなる、との描写がリアルで凄い。食事中に突如響く銃声、爆音。日常に突然暴力的に入り込む軍人たち。衆人の前で服を切り刻まれる屈辱。そんな中「やめろ!」とキレるJ・レモン。「この状況が耐えられなかった」と。これが人間の台詞でしょう。話の骨格は国家VS普通の人間。国益の前に顧みられることのない個人。シシーとジャックが等身大の「普通の」人を見事に演じているので、彼らの身を切るような痛みがひとごとでなく感じられる。J・レモンの背中をさすりたくなる。義父と嫁の関係というのは微妙で難しいと思うのだけど、この二人が醸す距離感は本当にうまくて唸る。そもそも国だって個人の集まりなのに、国家を標榜すると何故こんなことになるのだろう。役人のもたらす情報のその場しのぎなこと。誠実のせの字もない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-07 23:32:02)(良:1票) |
903. スカーフェイス
這い上がって成り上がったあげく抱えるものに押しつぶされて、といった破滅型帝王記にありがちなお話ではある。けど、もはや肉体を顧みないキレにキレたトニー・モンタナの壮絶な死にっぷりの華のあること、全ての極道関係者のお手本のようだ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-06 16:20:44) |
904. ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
お話が予定調和なのは先刻承知。それでもこうも丁寧に作りこまれた世界観にはただもう圧倒される。どっぷりとファンタジーの世界に浸れる。マンネリとの謗りをあえて正面から受けてたつような戦闘シーンは今作も手抜きなし。一生懸命作ってて偉い。戦士を鼓舞するアラゴルンの勇壮なこと、完璧なまでの様式美。鼻血が出そうだ。ゴラムがいたから結果、目的を達せたとは。世の中いらないものなどないのだなあ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-31 17:37:28) |
905. アデルの恋の物語
自らを破滅させるような恋。同じ女子とはいえ、私には理解不能なまでに情念が濃い人というのはいるものです。現実にもプチ・アデルはちらほらいるものの、そこは本家イザベル・アジャーニの迫力の足元にも及びません。精神崩壊が外側にもあらわれた彼女の痛々しいこと、でも何故か目をそらせない美しさも漂っててなんか凄い怪物のようです。ああまで突き抜ける彼女が羨ましいような、いややっぱりひくような。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-10-28 17:42:22) |
906. ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
もう充分大人なんですが。根が単純なワタクシ、峡谷の戦いのシーンに完全にやられました。なんという映像美、なんという迫力。自分の中で点数がどんどん上がっていくのがわかる。前半の説明調な退屈もゴラムの気色悪さも帳消し。視覚効果班の皆さんに、満点を差し上げたいです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-28 17:06:15) |
907. スラムドッグ$ミリオネア
画面に溢れるインドパワーに圧倒された。はちきれそうな子供らの生命力がこの映画の魅力の八割方を担っている。大人になってからの役者さんはつまんなかったな。無学の青年が次々正解する不思議と、明かされる過去。面白い!と観た直後は興奮したけども、落ち着いてみればわりとよくある成功譚のような気も。盲になった男の子に、大人として申し訳なく思う。こんな世の中を。ほんとにすまない。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-28 16:04:43) |
908. インファナル・アフェア
《ネタバレ》 意外にも香港マフィアもの、と聞いて連想するような派手な銃撃戦が少なく、潜入者たちの心理戦から緊迫感を引き出す演出。抑えた感じが大人っぽい。おもしろかったんですけど、主演2人を今と若き頃で別の俳優を使うのは大反対。??と混乱します。顔が違う、顔が。それとトニーが死んじゃうのかよぉ~(泣)えー、やだ。不満だぁっ 大不満。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-08 11:14:37) |
909. イージー・ライダー
アメリカ白人は常に何かへの恐怖を抱いている、とボウリング・フォー・コロンバインで銃社会の根源を説いたのはマイケル・ムーアだったけど、実に40年も前に「アメリカ人はお前の象徴する自由が怖いのさ」とJ・ニコルソンが喝破していたとは驚いた。以後なにも変わっていないのかアメリカ人。デニス・ホッパーの慧眼に恐れ入る。ただのヤク中あがりのクッパ大王ではないんである。反ベトナム戦争当時の空気はよく伝わるし、音楽もぴったりで最高。スタッフ全員が口出しして収拾つかなくなったというLSDでラリっちゃってるシーンすら不思議な魅力をかもしだす、作り手の情熱ほとばしる作品。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-10-08 11:00:19)(良:1票) |
910. クイズ・ショウ
R・レッドフォードの誠実なメガホンと主演2人の好演が心地よい。事実をなぞっただけなら、平板なドキュメンタリーになりそうなところを、それぞれの人生を絡めてきちんとドラマに仕立ててある。精神強迫症のキャラを演じれば並ぶもののないJ・タッツーロが、ユダヤコンプレックスでがちがち、でも博識のプライドは天より高いユダヤ人役。レイフ・ファインズが名門の出自に潰され気味の俗世に流される大学教授、と両者とも一歩も引かない演技。捜査員も教授の老父も、各々の人生がうかがえて脇役といえど味わい深い。テレビのやらせ事件が心棒だけど、人間ドラマとしておもしろかった。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-07 12:24:04) |
911. ローマの休日
砂糖菓子のような、愛すべき映画。日本人、清楚なオードリー・ヘップバーン大好きですもんね。私はもう少しアクの強い女優さんが好きですが。でも貴族の血を引くという彼女の、生来の気品が輝くこの王女様っぷりにはやはり感嘆します。 [映画館(字幕)] 7点(2011-10-05 16:49:39) |
912. 苺とチョコレート
社会体制がどんなであっても、おかまのひとって共通してこんな風なんだなあ、とびっくり。描かれるキューバの共産主義が、反体制の芸術家にあまり厳しく迫害しないのにほっとした。あくまでこの映画では、なのかもだけど。それにしてもゲイの彼、切ないほどに恋心の演じ方が上手い。想いをこらえての目線なんかその辺の女子より女らしく、いじらしいんだなあ。どこかで彼の恋が成就してほしい。 [地上波(字幕)] 7点(2011-10-05 16:33:46) |
913. ソウ
肉体的な痛みに弱い人には不向き、私のことですがあああーほんと早く終わってくれぇーと思った。こわいこわい。グロい殺人描写が懇切丁寧なうえ、生理的嫌悪感をもよおす小汚いトイレが舞台ときてセブンや羊のような映像美は皆無。しかしながら終始緊張感を切らさない展開や人を食ったようなラストなど、サスペンスとしてはAクラス。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-05 16:05:24)(良:1票) |
914. ボウリング・フォー・コロンバイン
デリカシーの無さそうな肥満体型のこの監督が突撃してきたらヤだな。ま 世の中にはこういう人もいないとね。自分で言ってるけど、ユーモアのセンスのある人でよかった。マジメが過ぎて思想が絡むとタリバンみたいになってよろしくない。こんな作品がちゃんと発表できて、たくさんの意見をよぶ。アメリカって充分健康だ、と思う所以であります。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-27 17:25:08) |
915. グラディエーター
これだけ壮大にお金を使われるともう、ただ圧倒されるのみ。すべての美術に目を奪われる。凄いなあ、と思う。ラッセル・クロウががんがん放出する男性フェロモンにKOされた。 [地上波(吹替)] 7点(2011-09-22 13:34:11) |
916. 君のためなら千回でも
《ネタバレ》 人の心のなんと根深く分からないものだろう。描かれるのは子供の心に潜む残酷さ、国全体が貧しくてもさらに弱いものを見つけて差別する心の暗さ。アミールの行いの酷さにはちょっと目を覆いたくなるほどだった。高潔だと思っていた父親ですら、兄弟同然に育ったアリに対して使用人扱いをすることに疑問にも思わない。無意識の差別、一番手に負えないケース。あげく後半明かされる真実には人格者の片鱗も感じられない。アミールは二人分の贖罪を抱えるわけだけど、この暗いお話が青空を舞う凧ののびやかで美しい映像のおかげで気がふさぐばかりにならずに済んでいる。タリバン以前のアフガニスタンの空が色とりどりの凧で彩られていたとは知らなかった。鮮烈でした。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-19 23:44:09) |
917. リービング・ラスベガス
重くてつらくてやり切れないストーリーの中にあって天使のごとき存在感を放つE・シューに感嘆。絶望を静かに湛えた微笑みに痺れた。すごい女優さんになったもんだ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-09-07 17:53:12) |
918. ユージュアル・サスペクツ
この種のサスペンスものの仕掛けを見破ったことなどかつて一度もなく、これまたああーびっくりした、と幸せな敗北感。ばーん、と胸元の開いたチンピラファッションのデル・トロのかっちょいいこと。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-05 23:58:45) |
919. 殺人の追憶
これぞ映画を観る醍醐味。サスペンスものとして欠かせない展開の意外性、畳み掛けるような演出。加えて各人物の抱えるドラマ描写も怠り無く、画面から発せられる熱量がはんぱない。一緒にぬかるみに足をとられそうになる湿度過多な映像もみごと。凄い。ああ翻ってわが邦画。「シュリ」「JSA」でお隣に抜き去られた、と思ったんだ。その間ホラーなんかでちょっとちやほやされてる間にもう韓国映画の背中すら見えなくなってしまってる。 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-02 11:26:06)(良:1票) |
920. プライドと偏見
《ネタバレ》 嫌いから始まって、誤解も生まれてあららでも誤解がとけるのと同時に自分の気持ちに気付いちゃうってあーこれは昔の少女マンガのパターンまんまだよ。100回位読んできたので免疫あり。ウィッカムの爽やかさに絶対裏がある、と珍しく先読みも当たったりと全編意外性もないのですが、にもかかわらずくらっと心が動いたのはK・ナイトレイの首元の美しさと泥臭さを後半誠実な純朴さに見せることに成功したM・マクファディンの演技のせいかしら。18世紀の女性たちの社会的事情も興味深かった。コリンズと超妥協で婚約した親友シャーロットの「27歳、もはや両親のお荷物よ」の台詞がしみじみ切ない。器量が今ひとつなとこがよりリアル。末娘たちのはしゃぎっぷりが偏差値の低い女子高みたいだけど結婚の重みが違うのですね当時は。殿方探しの気合が半端じゃないわけだ・・。 [DVD(字幕)] 7点(2011-08-29 12:23:18) |