マッチスティック・メン の はなぶさ さんのクチコミ・感想

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マッチスティック・メン の はなぶさ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 マッチスティック・メン
製作国
上映時間116分
劇場公開日 2003-10-04
ジャンルドラマ,サスペンス,コメディ,犯罪もの
レビュー情報
《ネタバレ》 良くできた映画です。自分の殻に閉じこもる余りに詐欺師が詐欺師に騙されるなんて、憎い演出です。一貫してケイジ側の視点に立った作品のために、屋外シーンでも部屋のシーンを見ているような錯覚を与えるが、質が高いと思います。潔癖な性格で塵一つの汚れすら許さないケイジ、あるいは肌の触れ合いをも許さないケイジに、接近して来るのは別れた妻との間に出来た娘。彼女との触れ合いによって、ケイジは徐々に肌の触れ合いを許そうとしますし、いたいけな子供の侵入によって、部屋は穢れを持ってしまいます。むしろ、その触れ合いがケイジの心を開くし、屋外へ引き出させる誘引となる。ところが、ケイジは娘と生活を共にすることができなくなってくる。一方的にケイジ側の視点で作られたこの映画にとって、外部との接触にケイジを連れ込む娘は次第に邪魔になってくるからです。潔癖なケイジの、外気さえも許さぬ、屋外を屋内であるかのように擬似化するところの、自室の無機質空間には、しかし、娘の正統防衛の行為によって血液がぶちまかれることになる。しかも、血液を大量に部屋にぶちまけることによって、部屋には死体が転がることになります。ケイジの潔癖な性格で統一されたかに見えるこの映画でしたが、その性格がもたらしたかのように、娘が無機質の部屋を、取り返しのつかない外気で満たしてしまう。それが、母よりも父を求めた娘との交流で多少外気に触れつつあった矢先のことだっただけに、ケイジは潔癖さを台無しにされることで遂に心を開くことにしました。つまり、娘が自分を助けるために犯した殺人を、ケイジ自らが全面的に庇うことにしたのでした。そして今まで稼いだ金をソックリ娘にやりたいと言い出した。と、ここまで来ればチャンチャンなのですが、冒頭に書いた通り、詐欺師ケイジが詐欺師に騙される映画ですから、ケイジは信頼しきっていた全ての者に裏切られます。潔癖症について相談していた精神分析医、無二の詐欺の相棒、取調べをした警察官、殺人事件の被害者、そして実の娘にまで。ケイジの無機質部屋を血で洗い直すこと(その血は嘘であることが明かです)が、体と体を重ね合わせる自然な人間関係へのきっかけで、転換の大規模さを演出して描いている。女性とも長く関係していなかったケイジに、レジで出会った女性との結婚、妊娠が待っているというラストは、外気や血や抱擁の必要性をケイジに教えてくれます。
はなぶささん 8点(2004-06-20 23:46:53)(良:1票)
はなぶさ さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2009-09-1320世紀少年5レビュー5.04点
2007-02-25武士の一分7レビュー5.99点
2006-09-03宇宙戦争(2005)5レビュー5.89点
2006-08-29ババァゾーン0レビュー2.87点
2006-08-13コラテラル4レビュー6.11点
2006-02-02バットマン ビギンズ7レビュー6.73点
2006-02-02電車男8レビュー5.87点
2006-02-01オリバー・ツイスト(2005)4レビュー5.55点
2005-11-21オールド・ボーイ(2003)6レビュー7.03点
2005-11-20スチームボーイ STEAM BOY6レビュー4.99点
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