燃えつきた地図 の なんのかんの さんのクチコミ・感想

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燃えつきた地図 の なんのかんの さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 燃えつきた地図
製作国
上映時間115分
劇場公開日 1968-06-01
ジャンルドラマ,ミステリー,小説の映画化
レビュー情報
この映画の興味の一つは、『座頭市』の勝新太郎と『男はつらいよ』の渥美清という二大プログラムピクチャースターが安部公房の世界でどう動いたか、というところにあったが、率直な感想を言えば「失敗」の一言。どちらも天才的な役者だが、合わない世界というものはあり、これはどうにも合ってない。どちらも粘着型の演技で、またそれが魅力なのだけど、公房が描きたかったのはそういうものを取り去った世界なのだろう。彼らの味わいであった余分な情緒が、ここでは邪魔になる。『影武者』のときのように仲代達矢に変更されていたら、このケースではそっちのほうが良かったかも知れないし、同じ喜劇役者なら渥美よりフランキー堺のほうが合ってたかも知れない。ヌードスタジオで渥美と長山藍子が語るシーンは、テレビ版「男はつらいよ」のトラとさくらが会ってる気分。キャスティングでは市原悦子のミステリアスぶりが一番良かった。鏡像とかコップ越しの渥美とか凝った映像が、今見ると薄っぺらに見える。砂の変化する表情をあれだけ新鮮に捉えた監督だったが、都市を描くと意外と陳腐になってしまった。ただこの時代の変貌する東京とその近郊の記録としては価値が残る。公房は、公式には出来映えに満足している文章を宣伝用に残してるけど、全集に収録されたドナルド・キーン宛て私信では不満たらたらだった。4本続いた作家と監督の蜜月はこれを最後に終わる(だが公房は監督の次回作『サマー・ソルジャー』は評価していた)。都市の響きをアレンジしたタイトル曲は武満には珍しいが、そのなかから古曲が浮かんでくるあたりがあの人のタッチ。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 6点(2009-06-03 12:08:34)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2014-03-15エデンの東(1955)8レビュー7.25点
2014-03-14アゲイン/明日への誓い6レビュー5.22点
2014-03-13オリバー!7レビュー6.08点
2014-03-12世界の中心で、愛をさけぶ6レビュー5.27点
2014-03-11真珠の耳飾りの少女6レビュー6.33点
2014-03-10ゴースト/ニューヨークの幻7レビュー7.02点
2014-03-09EMMA/エマ(1988)6レビュー6.00点
2014-03-08稲村ジェーン4レビュー2.43点
2014-03-07つぐみ5レビュー4.96点
2014-03-06ボイス・オブ・ムーン6レビュー5.25点
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