Kids Return キッズ・リターン の BOWWOW さんのクチコミ・感想

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Kids Return キッズ・リターン の BOWWOW さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 Kids Return キッズ・リターン
製作国
上映時間108分
劇場公開日 1996-07-27
ジャンルドラマ,シリーズもの,スポーツもの,青春もの,ヤクザ・マフィア
レビュー情報
《ネタバレ》 ハードボイルド青春映画とでも呼べばいいだろうか。社会に足を踏み入れ、自分なりのサクセスストーリーを歩みはじめていたはずの二人の少年たち。彼らが、それぞれに過酷な現実に足下をすくわれ打ちのめされていく様が、徹底して乾いた視点で描かれていく。そのあまりの容赦のなさは、リアリズムというよりも、もはや悲観主義にすら見えるかもしれない。けれど夢敗れた者の目に映る世界とは、おそらくそんなものだろう。彼らの目に映るその世界。北野武はブレることなくただその一点ばかりを、憑かれたように丹念に描出する。この映画が青春映画の型を成しているにもかかわらずサイドストーリーとしての恋愛はおろか、過去の北野映画における石田ゆり子や国分亜矢らのような添え物的ヒロイン像すら描かないのはそれゆえだろう。北野はただ彼らの姿を、そして彼らが見る世界を、描くのだ。この作品以前の北野映画は大なり小なり「死」をその主題としてきた。昨日と今日の同じ風景の中に主人公だけがいないことでそれを表現した『あの夏、いちばん静かな海。』、あるいはやがて来たるべき死そのものを具現化した『ソナチネ』のように。けれど本作で北野武が一心に見据えているのは、生きるということだ。「俺達、終わっちゃったのかな?」「バカヤロウ、まだはじまってもねえよ」ラストの台詞は実に北野武らしい。北野特有の、きわめて日本人らしく、そして厄介なその照れ隠し。彼は、ふりだしに戻って自転車で校庭をグルグルと回るだけの二人の姿に、生半可な希望の光をさしこんだりはしない。ただありのままの姿をありのままに描くのみだ。先の未来なんてだれにもわからないとばかりに。それは照れ隠しであると同時に、力強いメッセージでもある。安直なハッピーエンドなんていらない。どれほどに打ちのめされようと彼らは生きているのだ。そして生きていくのだ。
BOWWOWさん [DVD(邦画)] 10点(2009-07-30 21:16:23)(良:2票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2019-02-25バーニング 劇場版10レビュー7.00点
2018-08-12リバーズ・エッジ8レビュー5.33点
2013-05-25青春神話10レビュー8.33点
2013-05-02エドワード・ヤンの恋愛時代10レビュー10.00点
2013-04-28恋恋風塵9レビュー7.00点
2013-03-09楽日10レビュー6.00点
2012-01-24海角七号/君想う、国境の南7レビュー5.23点
2011-04-02エターナル・サンシャイン9レビュー6.60点
2011-01-18ソーシャル・ネットワーク7レビュー6.53点
2011-01-02ファイト・クラブ9レビュー7.38点
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