それでもボクはやってない の ザ・チャンバラ さんのクチコミ・感想

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それでもボクはやってない の ザ・チャンバラ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 それでもボクはやってない
製作国
上映時間143分
劇場公開日 2007-01-20
ジャンルドラマ,法廷もの,犯罪もの
レビュー情報
「自分たちの仕事は犯人らしき人間を見つけ出すことであって、そいつを起訴するかどうかを決定するのは検事さん」と考える刑事がいて、「自分たちの仕事は警察が上げてきた犯人を有罪にすることであって、被告が無罪である可能性を探索するのは裁判官」と考える検事がいて、「警察と検察が調べ上げた結果として起訴したのだから、恐らくこいつはクロなんだろう」と考える裁判官がいる。冤罪製造マシーンとも言える無責任トライアングルが我が国には存在しているのですが、その結果が99.9%という驚異の有罪率に表れています。これはもはや中世の魔女狩りをも凌駕するレベルであり、運悪くこのトライアングルに捕まったら最後、身の潔白を認めさせることはほぼ不可能という恐ろしい事態が待ち受けています。。。
そんな司法の問題点について、痴漢冤罪という奇抜なネタで切り込んできた監督の戦略には恐れ入りました。一般人にとって縁遠い殺人事件等の重犯罪とは違い、多くの男性にとっては対岸の火事とは言ってられない身近な題材だったわけですから。おまけに、痴漢裁判は司法の問題点の宝庫でもあります。世間的な注目度の高い事件ではないため検察も裁判所も本気ではなく、「めんどくさいからさっさと認めろよ」という姿勢で審議しているからです。実際、被害者女性と容疑者男性の身長差が30cmもあり、容疑者が被害者のお尻を触ることは物理的に不可能という状況にありながら起訴にまで至った事例や、容疑者男性は難病を患っており、痴漢行為をはたらくことは100%無理であるとする医師の証言がありながらも有罪判決が出されて収監に至った事例までが存在しています。本作のモデルになった男性などは、この映画への協力が原因で裁判官の心証を害し、本作公開の2週間後に実刑判決を出されるという報復的な扱いまでを受けています。痴漢裁判は、もはや無法地帯と化しているのです。。。
「映画の魂はディティールに宿る」という言葉を実践した丁寧な演出にはなかなかの見応えがありました。拘置所とはどんな場所であるか、もし逮捕されればどんな扱いを受けるのかといった通常の映画が見落としている点を丁寧に拾いあげ、これを見せ場としているのです。裁判の過程にも映画的な誇張(「異議あり!」の連呼等)がなくて、良心的な作りだと感じていました。それでいて娯楽への一定の配慮もあるわけですから、これは驚異的によく出来た映画だと思います。
ザ・チャンバラさん [DVD(邦画)] 8点(2012-10-27 16:44:58)(良:5票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2018-07-30IT イット “それ”が見えたら、終わり。5レビュー5.60点
2018-07-17オールウェイズ4レビュー6.46点
2018-07-09黒い家(1999)7レビュー4.31点
2018-07-09ストリート・オブ・ファイヤー4レビュー7.43点
2018-07-04復讐するは我にあり7レビュー6.67点
2018-06-26愛と死の間で3レビュー4.85点
2018-06-26スイッチバック4レビュー6.00点
2018-06-22ゴースト/ニューヨークの幻8レビュー7.02点
2018-06-22ビバリーヒルズ・コップ26レビュー6.23点
2018-06-18危険な情事7レビュー6.47点
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