1. <ネタバレ> タップ版『SING』。あるいは『幸せはシャンソニア劇場から .. >(続きを読む)
1. <ネタバレ> タップ版『SING』。あるいは『幸せはシャンソニア劇場から』とか。もっとも再生の話ではなくて終焉の話ですか。
冒頭の『傷だらけの天使』オマージュからオーディションあたりまではインチキ臭くも楽しめるのですが、ダンサー達のドラマを描きだすと、途端にハリボテ感が出てしまって、シンドくなってしまいます。それぞれのドラマはありがちでクサくて、もう少しなんとかならないか?って設定のオンパレード。唐突に泣きだすキャラが複数いるあたりの不自然さ、ぎこちなさに演出力の問題が表出している感じがしました。むしろほとんどドラマ抱えてないYOKO(つーか99)の清々しい事。彼女が最も好ましいキャラでしたわ。
伝説のダンサーと言いつつも、伝説っぷりが一切描かれなかったり(杖を暴力的に振り回すばかり)、ラストで劇場主の物語にシフトしちゃったような状態になったり、とにかく描きたい事を詰め込み過ぎちゃった感じで、一体何処がいちばん大切なのか、何処が最も描きたかった事なのかが見えてこない、かなり支離滅裂な状態。萌が実はタップ踏めるとかいきなり舞台出ちゃうとか、意外な展開って言うよりは、雑なエピソードとしか捉えようがなく。一切レッスンしてないじゃん。
でも、ライティングは全編ちゃんとしてましたし、クライマックスのダンスシーンはカメラが必要な画をちゃんと捉えてました。ちょっと観客の表情を挿し込み過ぎではありましたが、シネスコの画角を活用して舞台の複数のダンサーの頭から足元までをきっちりと捉える画が主になっていて、その当たり前の事がキチンとできている映画って感じでした(それができてない映画って多いですからねぇ)。
主人公と劇場主との友情物語、世代を交代して自分達は世界から退いてゆく、そこを中心として、唐突だったり、伏線を回収できずにごちゃごちゃほったらかしになったエピソードの数々をバッサリ切っちゃえば、あるいは良い映画になったのかもしれません。
2. <ネタバレ>怪我のせいで引退し荒んだ生活を送っている元天才タップダンサー .. >(続きを読む)
2. <ネタバレ>怪我のせいで引退し荒んだ生活を送っている元天才タップダンサーが才能ある若手ダンサーと出会いタップダンスの情熱を取り戻していく。ジャンルは違えどやり尽くされた感のあるベタなお話かな。ダンスシーンは見られるものの事情を抱えている主要メンバーそれぞれの背景を多く入れているので133分と長くテンポも悪い。それでいてほぼ全員の描写も掘り下げも甘いため中途半端で消化不良になっている。メイン格のMAKOTO関係や自閉症のJUNの靴のエピソードなんかは雑で投げっぱなしすぎてモヤモヤした。終盤のTHE TOPSで行われるダンスショウは構成も上手く迫力があったし劇場スタッフの人々を含め面白いキャラが多かったのでそこら辺が残念。水谷豊は念願の企画で初監督作なので色々と思い描くシーンを入れたくなったとは思うが、演出面を含めもうちょっと精査し削ったり補足したりした方が良かった気がする。