<ネタバレ>観終わって、さすがはアカデミー「作品賞」と感心した。
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<ネタバレ>観終わって、さすがはアカデミー「作品賞」と感心した。
まずは何と言っても展開の妙が秀逸で、次から次へと展開するストーリーに目が離せない。
具体的には下記のとおり、起承転結において物語の中心となる「転」が文字通り「二転三転」する面白さが印象的。
<以下激しくネタバレ>
(起)半地下に住む4人家族の紹介
(承)4人家族が次々に金持ち一家に寄生していく
(転①)お手伝いおばさんにより地下室の秘密が明かされ、4人家族の形勢が逆転する
(転②)4人家族(のうち3人)が金持ち一家から脱出するも、半地下の家が大雨で浸水してしまう
(転③)金持ち一家のガーデンパーティーでの大混乱と意図しなかった殺害
(結)父の行方の謎と、息子の独白によるエンディング
そもそもこの4人家族の技能はそれぞれ抜きんでたものがあり、普通に働けばそれなりの暮らしができるはずだし、結果的にお手伝いさんを殺害した形になったお母さんが無罪放免になるのもいかがなものか、とツッコみたくもなるのだが、息子が冒頭で友達からもらった石が大きな伏線になっていたり、「地下」「臭い」といった社会的ヒエラルキーを象徴する言葉がキーワードになっていたり、意外と作りが細かく、そうしたツッコミは無粋と思わせてしまう力を感じた。
さらにその底流には、努力だけではいかんともしがたい格差社会で生きざるを得ない庶民の悲哀が織り込まれており、面白さの中にも静かな余韻が残る佳作だった。