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<ネタバレ>このシリーズ、公開時には1作(『寅次郎と殿様』)しか見たことがなく、本作も初見ですが、かなりよかったです。寅さんって、ヤクザな家業をしているためか、やや世間の常識からズレたところがある。その一方で、人として大切にしなければいけないものも持っている。そのバランスが絶妙です。非常識すぎると単なるお荷物だし、優等生すぎると笑いがとれないでしょう。笑って泣けるのは、寅さんの絶妙なキャラクターがあってこそだということが、よくわかりました。
話は前半さくらの結婚が中心で、その分寅さんの恋話に割かれる時間が少なく、失恋するのも唐突に感じられたことが残念でした。しかし、光本幸子さんはたおやかなお嬢様風で素敵でした。ところで、あのビニール製の鹿の人形は、子供の頃私も持っていたような気がします。というか、あれと一緒に撮った写真があったと思ったのですが、昔の写真は今いずこ……。
印象的だったのは、寅さんが登を追いやったあと、泣きながらラーメンをすするところ。それを後ろで見ている女店員をしっかりフレームに入れているのが、面白いです。