<ネタバレ>理数系監督の作品といった印象です。
閉じられた空間の中に「 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>理数系監督の作品といった印象です。
閉じられた空間の中に「暴力上等」を伴った複数の因子を配置して、それらの一部にストレス(軋轢)を与え、各因子の相対的な反応を見ているようです。
空間内の視点から見れば因子同士の行動の目的はストレス問題の解決ですが、空間の外から見れば、単なる自滅とも取れる連鎖的因子崩壊です。
因子自体が持っている暴力的な特性上、極めて自然な結果です。
そして地球に人間が蔓延っている様に、最後に残るのは「知性派の謀反上等」の因子です。
ヤクザ社会のエントロピーの法則と進化に於ける自然淘汰論とでも言った所でしょうか。
話自体は難しくはなく、テニスのラリーのようにヤクザの報復戦の応酬が淡々と進んでいきますが、映像表現の迫力や、配役、役者さんの演技などのお陰でかなり見入ってしまいました。
特に椎名桔平さんのヤバい感じや、小日向文世さんの下衆っぷりは見ていて気持ち良かったです。
派手な画を撮ろうとして興醒めなCG映像に成ってしまったり、劇的な展開を目指し整合性のない脚本に陥ってしまう作品が目立つ中で、一方的な襲撃で銃撃戦(撃ち合い)は殆ど無かった事や、エキストラを多用した広い画のカットなども無く、話も単純かつ自然な流れでまとまっているので、作品的に広がりが余り感じられませんでしたが、失敗する要素を極力カットして出来る事を丁寧に撮っている印象があり、映像、脚本に隙がなったのでストレス無く見る事が出来ました。
作品をきちんと一本にまとめ上げる北野武さんの監督としての力量を感じました。