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夕凪の街 桜の国

連載開始2004年
連載終了2004年
コミック数1冊
連載終了
平均点:8.90 / 10(Review 10人) (点数分布表示)
ドラマ戦争もの
[ユウナギノマチサクラノクニ]
新規登録(2007-11-06)【.】さん

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作者こうの史代
掲載誌漫画アクション
出版社双葉社
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6.《ネタバレ》 2004年度文化庁メディア芸術祭のマンガ部門の大賞作とのことで何気なく読んだが、とにかく恐ろしい本だった。表面的にはほのぼのした優しい絵柄で笑える場面も多いのに、実はその裏側に「まっくろな血」(墨汁の滴に見える)のようなものが隠されていて、そのギャップが読む人間を不安にさせるところがある。この後に同じ作家の別のものを読んでみるかと思ったこともあったが、全てそういう黒いものが隠されているのではと思うと恐ろしくて手が出せず、結局は何も読まない日々が続いた(次は「この世界の片隅に」)。今回改めて読むと、やはり笑える場面は本当に大笑いさせられるが、そもそも情緒不安定な状態で読んでいるので泣き笑いになってしまった。

テーマに関することでは、その黒いものが現代に生きる人々にまだ影を落としているというのが衝撃的だった。2020年代の現在はどうかわからないが、戦後もずっと子孫に健康被害が及ぶのではという危惧や、それが原因となる結婚差別などがあったらしいことは読後に知った(無知で申し訳ない)。弟の恋人が良家の出という設定もそれを前提としていたようだったが、過去を受け止めた現代の主人公が、根底から自分の生を肯定したという終盤の表現は非常に感動的だった。
その一方でこの本は、何かをあからさまに糾弾しようとしていないように見えたのが特徴的に思われた。社会的な方向性を極力表面化させていないため、読む側としても過去の敵に恨みを募らせるのでなく、また今その辺に見えているものに憎しみを向けるのでなく、まずは登場人物の心に寄り添う物語として受け取りたいという気にさせられる。
ただし「ちゃんと思うてくれとる?」と聞いた相手が誰なのかという問題は残る。初回の感覚としては、戦後10年も経って実体を失ってしまった悪意のようなものが、誰かが亡くなる時だけ痕跡を見せるということかと思っていた。しかし今になるとそういう抽象論でごまかすのでなく、そもそも核兵器限定でもなく、そのような普通の人々の暮らしを脅かす悪意が現代にも未来にも存在することを意識して、その悪意に自分も加担していないか、自分が悪意の宿り主になっていないかを考えようとすることが、民主社会のわれわれにとって問題になり続けるのだという気が今更のようにしてきている。
そのように、文字通り考えさせられる著作になっている。ずっと考えていかなければならない。
かっぱ堰さん 10点 [全巻 読破](2021-01-02 10:26:02)
5.漫画に限らずこれまで数々の原爆にまつわる作品を読みましたが、これほど衝撃的な作品は初めてでした。頁数は100頁にも満たないし、このテの作品によくある残酷描写もないし、声高に反戦・反核を叫んでいるわけでもない。それなのに後から後からこみ上げてくる、悲しさと希望と感動の入り交じったこの不思議な感覚は……ちょっとうまく説明できないです。言葉による説明を極力配し、「画」の力強さと絶妙のテンポで語り切ってしまう作者の「演出力」にはただただ脱帽するばかり(なぜ映画版はその逆をやってしまうかなぁ?)。
とかげ12号さん 10点 [全巻 読破](2008-05-13 20:59:23)
4.《ネタバレ》 「広島のある、日本のある、世界を愛する全ての人へ・・・」と帯に書いてありましたが、本当にその通りの作品です。世界中の人に読んで欲しい!このお話はとっても短いです。全3話入れても、普通のコミックスの半分くらいの薄さだったりする。でも中身は本当に濃い。とくに「夕凪の街」が好きです。生活感のあふれる、導入部。主人公のセリフや動作、一つ一つが本当に魅力的。お客さん(想い人)が来ても家の中に通せずにお外でお茶を出す。でもちゃんと野草のお漬物(野菜と勘違いする男性に「この辺の特産品じゃ」(雑草だよ)と正直にいう)を出す。途中で起きる嬉しいことと、それを
受け入れられない悩み。そしてその後の・・・・。最後の白紙のページは、漫画史上に
伝説として残りそうな、本当に一言一言が胸に突き刺さるセリフが、言葉少なく
語られます。本当に終わらない物語です。最後のコマのハンカチ・・(涙)
戦争の虚しさを戦争を直接的に描くことなく、誰かを悪者に仕立て上げること無く、
こんなに見事に書いた作品を初めて見ました。子供が大きくなったら読ませたい
ですね。

やわらか戦車さん 10点 [全巻 読破](2007-12-20 14:44:43)
3.《ネタバレ》 最初読んだとき、「夕凪の街」と「桜の国」は別のお話かと思ってた。
細かな、さりげない伏線を通じて徐々に両者が繋がり、三世代に渡る原爆被害者の壮大な物語が見えてくる。
(ラスト近くで河原でお父さんと長々と話しこむ農家の老人は打越さん?やっぱり禿げましたねw)
ともかくも「反日プロパガンダ」とは全く無縁の原爆マンガは初めて読んだ気がする。
控え目すぎて痛々しいくらいですが、きちんと「(原爆を)落とした人」に対するメッセージとなっています。
(ちなみに、原爆について日本を批判する筋違いな意見をたまに見かけます。そう主張する人は、例えばイラク戦争でアメリカがイラクの市街地に原爆を落としたとしても、それを批判する事ができない。核廃絶に何の寄与もしていないようで聞いてて虚しくなります。)
あと作者の何気なくも神経の行き届いた表現力が素晴しい。実に人間観察が巧みですね。   …ところで、東子ちゃんの「言えなかった夢」は「七波ちゃんのような 男 の 子 のお嫁さんになれますように」かしら …野暮ですみません。
番茶さん 10点 [全巻 読破](2007-12-08 20:56:05)
2.《ネタバレ》 作者の作品は『ぴっぴら帳』しか知らなかったので、最初に読んだ時の衝撃はなんとも言えないものでした。あのほのぼのとした絵から描かれる『夕凪の街』の静かなる悲劇、ラストの白コマの連続の中にある何とも形容し難い深い感情のうねり。打ちのめされつつ、そこから続く『桜の国(1)』の変わり様に戸惑い、『桜の国(2)』に至って現在へと続く大きなドラマを見る事になる・・・。読めば読んだ回数分だけ新しい発見があって、コマの端っこに小さく描かれた何気ない物、何気ない事柄が無数の伏線になっていて、非常に高度な作品でもあります。そして、読んだ回数分だけ、最初に読んだ時よりも更に深く沁みてきます。「『やった!またひとり殺せた』とちゃんと思うてくれとる?」から「このふたりを選んで生まれてこようと決めたのだ」までの流れの中に一体どれだけの説得力ある物語が必要でしょう? それをほんの数十ページで描いてみせた力量には感服します。日本人としてこの国に生まれたことをじっくり考えさせてくれる必読の名作です。
あにやん‍🌈さん 10点 [全巻 読破](2007-11-20 22:46:45)
1.この作品を読んだ後に、「漫画の持つメッセージの力」について改めて驚かされる。

日本人全員が読めばいいのに!と、思う作品は数あれど、世界中の人間が読めばいいのに!と思わせる作品は、なかなか無い。そして、まさしく、この作品が、それ。

10点では足りない。個人的な点数でいうなら800点位の点数をこの作品に贈りたい。
aksweetさん 10点 [全巻 読破](2007-11-14 01:42:58)
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【点数情報】

点数分布 [全巻未読] [全巻読破]
Review人数 10人
平均点数 8.90点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
6110.00%
7220.00%
800.00%
9110.00%
10660.00%

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