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1.  もののけ草紙
この世のものでない人達と交流できる特殊能力を持つお座敷芸人の少女を主人公とした怪異談。 絵的には手塚治虫似の可愛らしい絵柄ですが、微細な表情の表現がとても上手い。 第1巻は戦前日本を舞台としたレトロモダンなお座敷妖怪譚。第2巻は大陸(満州でなく上海ぽい)に渡っての支那風妖怪譚、次いで終戦になり本土に引き揚げて遭遇する戦災にまつわる様々な怪異譚。特に中盤以降、終戦直後の「焼け野原と化した東京」という極めてデリケートな素材と、幻想的な物語が絶妙にマッチングしていて圧巻。この辺りのセンスは皆川博子氏の幻想小説に匹敵すると思う。4巻に入って何故か急激にトーンダウンしてしまい、そのまま終わってしまったのは残念。 個人的には、戦前大陸幻想譚をもっと展開してほしかった感じ。諸星大二郎氏ならこの辺が得意そうな。 ちなみに本作は「夢幻紳士 逢魔編」のスピンオフ作品。こちらを先に読んでから本作読むとより味わい深いです。
8点(2022-08-15 23:40:49)
2.  あしたのジョー
子供の頃は華々しいカーロス・リベラとの連戦やハワイ遠征が好きだったけど、今改めて読むと、力石の死からジョーが立ち直るまでのエピソードが凄く読める。「ぼんやりつっ立っているだけでも、息をしているのさえ苦しくなってくる・・」「どういうことだい・・なぜおれはこれほどまでに苦しまなくちゃならないんだ・・」という状況は、おそらくほとんどの人が人生の何らかの局面で体験するのではではなかろうか。この状態からジョーが立ち直るまでを本作はじっくりと描く。力石の死が8巻の最後、リベラとのエキシビションマッチによって完全復帰するのが13巻の前半。立ち直るまでに、なんと4巻以上の分量を費やしている。この辺りは本作が名作として語り継がれる重要な要素の一つに思う。 個人的にジョーの性格や生きざまにはあんまり共感は覚えないけど、取り巻く人たち一人一人の人物像や当時の風俗がホントに良く描けてる。改めて読んで個人的に新鮮だったのは、マンモス西を社会人として立派に更生させた乾物屋の林屋親子。今風の人間関係ではちょっと想像できないザ・昭和戦後。
8点(2022-08-15 23:19:08)
3.  BOX~箱の中に何かいる~ 《ネタバレ》 
カルト映画の名作「CUBE」を、和風伝奇風に再構築したかのような作品。 民話に出てくる迷い家(マヨイガ)の現代版ような巨大な立方体に閉じ込められ、予め用意された種々のパズルを解かないと次に進めない。 パズルは「CUBE」のような高等数学ではなく、寄木細工、迷路、クロスワード、ルービックキューブ、エッシャーの騙し絵などとてもアナログチックで良い。 中盤ややゴチャゴチャして中だるみ感はありますが、最後はきっちり綺麗にまとまっているのがお見事。 最後は成す術もなく「箱の主」の思い通りの結末になってしまうわけですが、ジョーカー的役割のキャラクターを入れ、最後にそれを斃す事で達成感を味わえる…こういったテクニックも上手いなと思います。 今風の人物像を取り入れようとしたのか、登場人物に悉く共感が持てないのがやや残念。でも考えてみれば「CUBE」もそんな感じだったかな。
9点(2021-10-16 01:42:43)
4.  日の丸街宣女子
おそらく日本の未来を考えるに当たって避けて通れないであろう「在日問題」を真正面から扱った力作。 第1巻は新大久保デモ、第2巻は海外の従軍慰安婦像、第3巻は児童公園不法占拠とヘイトスピーチ規制法。それぞれのテーマで1巻読み切り。 どういう意志決定が働いているのかメディアでは全く報道されない数々の重要事件が、フィクション交えとても判り易く表現されています。 妙な法律が施行され(どう考えても憲法違反)中々難しいご時勢かと思われますが、作者氏には是非とも続刊を頑張って描いてほしいものです。 個人的に少し残念なのは主人公のお父さん。最初はごく普通の人だったのに、途中から活動家に置き換えられてしまった。こういう人は確かに居そうですが「親戚の個性的な叔父さん」くらいに留めた方がよかったかも。 自分を含む多くの人の父親世代というのは、朝鮮人批判に眉をひそめるものの深層ではそうでもなく、時にこっちがビックリするような事を意識せずに言ってみたり。長年情報を独占してきたマスコミ偏向報道の賜物か「本音と建前」ではなく、自分自身でも全く意識しないまま二重の基準が存在するといった、この世代独特のメンタリティを感じることが多いです。 そういう点で、本作では最初の設定のように「主人公の言動に(本気に、だけど表層的に)眉をひそめるお父さん。でも極限的な状況では本質の良心的な部分が出てくる」方が、より多くの人が共感できるような感じになったのでは…と思います。
9点(2021-10-16 01:22:19)
5.  足摺り水族館
新世代のつげ義春、水木しげるという感じの背景の緻密な描き込みが凄い。でもその中で動き回るのは極めてシンプルに描かれた可愛らしい女の子。つげ義春のようなドロドロの人間描写は無い。その代り、この世代ならではの日常的なノスタルジックなもの、シュールなもの、夢再現性的なものをひたすら追求している感じ。 『完全商店街』という一篇では、お母さんにお使いを頼まれた女の子が、メモに書かれた意味不明の文字をロシア語と判断してロシアに向かう。でも海を渡るわけではなく、商店街をひたすら北上し「樺太」と書かれたビルを左に曲がり、歩き続けた挙句にロシア人だらけの商店街に行き着いてしまう。でも結局メモはロシア語でない事が判明して更に彷徨が続く・・というお話。全編こういった感じのシュールな博物図鑑的短編集。装丁も凝りまくっててとても良い。 残念なのは人間に対する関心がやや薄いのか、キャラのバリエーションが限られている事。(対極にあるのは『伝染るんです』辺りか。) でもそれを補って余りある溢れんばかりの夢的イメージの豊かさ、再現性の的確さや、その展開力が素晴らしい。これは思いがけない拾い物でした。
9点(2021-10-16 00:26:31)
6.  鬼滅の刃 《ネタバレ》 
鬼退治と聞いて「彼岸島」や「進撃の巨人」のような話と思っていたら、様々な能力を持つ異能者達が決闘する話。「ジョジョ」や「甲賀忍法帖(バジリスク)」の質感に近い。 敵も味方も様々な登場人物達が凄くキャラ立ちしてて読み応えありました。さすがジャンプ。 どの戦いも敵を倒すまでのハードルが恐ろしく高い。苦労してやっと斃したと思ったら本体は別に居たというような。でも主人公側もそれに劣らず諦めない。仲間と協力し時にその屍を踏み越えながら相手をきっちり倒すさまは、昔ながらの「友情・努力・勝利」のジャンプのテーマが結実したものと言えましょう。 「ジョジョ」だと時に一体何のために戦っているのか解らなくなる時あるけど、本作は「鬼退治」という設定がブレないのがいい。またジャンプによくある人気テコ入れのために今の敵グループを噛ませ犬にさせて新たな敵が登場しないのもいい。決闘ものとして安定した読み心地。特に終盤、畳の迷宮でのトップ3との決戦が良。出てくるだけでホッとする伊之助(猪頭)も良い。 ただ全ての決着がついた後の後日談があまりにも蛇足なので、やや減点。 映画がとてつもない興行収益を上げそうだというニュースが流れてますが、個人的には違和感有り。基本は少年漫画=殺し合いの戦いを面白く読ませる・・なので一定年齢以上の層は受付けないと思うし、「千と千尋」のように海外批評家が選ぶ名画100選なんかで本作が選ばれるのは想像し難い。「北斗の拳」や「ドラゴンボール」の昔からある「人気漫画の劇場版」として面白く魅力的に作ってあるとは思うけど、他によっぽど見たいと思わせる映画が無いんか・・と邦画界の現状が逆に心配になってしまいます。
7点(2020-12-26 16:54:58)
7.  怒りのロードショー
映画好きの高校生がダベっている様子をそのままギャグ漫画にした、あるようで無かったアイデアもの。「パーレーツ・オブ・カリビアン」の主演俳優は他に誰が相応しいかという議論で、最終的にスティーブン・セガール「沈黙の海賊」に落ち着いたとか、そんな感じ。 ヘタウマな絵柄ですがデッサン力はしっかりしており個人的には好き。 語られているものがアクションやホラーなどの流行ものと、古典文芸映画の両極のみというのが少し残念。二次元ネタが多すぎる気もする。 リドリー・スコットやアラン・パーカー、古典ではホドロフスキーやヘルツォークが好きな自分が共感できるキャラはいないかな・・。
7点(2018-10-14 03:31:40)
8.  人形の国
「ブラム」や「バイオメガ」「アバラ」のような斬新な世界観は無く、氏の作品としては普通に既視感のあるSF。その代り話があっちこっちにワープする事なく安心して物語が楽しめる感じ。 キャラデザインは少しヒーローもの風に傾きすぎて個人的には今一つ。 超構造体が主要なモチーフとして登場、本作品もブラム世界にどこかで結びつくのかな。
7点(2018-10-14 03:15:42)
9.  風魔の小次郎 柳生暗殺帖
「風魔の小次郎」の正統続編。オリジナルでの突っ込み所・・柳生蘭子が何で風林火山持ってたのか?とか、柳生は忍びの総元締なのに何で風魔に助力を乞うたのか?等々に上手い説明があり、そこから話が展開していく。今回の敵は柳生一族(裏柳生)。敵のメインとなるのが仏教の四天王(多聞天、広目天等 ※サンスクリット語読みのルビがあるw)になぞらえた剣士と帝釈天(インドラ神)。オリジナルの聖剣戦争の最後に弥勒菩薩みたいなキャラが出てきたのでちゃんと世界観が結びつく感じ。 オリジナルの難点は、当時の人気投票の影響かやたら美形ばかり出てきて人物描写が希薄だったこと。竜馬や武蔵等一部のキャラ以外は誰が何を喋っても同じのような状況だった。本編は各キャラの人物像・・項羽兄弟の性格の違いや、子供時代からの小次郎との確執なんかも描かれており、結構読み応えがあります。作者は車田氏のアシスタント出身らしく顔の描き方はオリジナルにとても近く良い感じです。独自に加えた装飾品(武蔵が学ランの上に着物を羽織ってるとか、伊達総司の学ランに炎の刺繍がしてあるとか)も良い。 逆に残念なのまず話のテンポが良くない事。車田漫画の本領は阿修羅九門やアテナ十二宮のように話が決められた順番に進んでいく、ある種パターンの美学のように思う。本編はあっちこっちに話が飛びすぎ。四天王が一通り出終わった後にγ(Σ=死牙馬への伏線か)やインドラ神が出てきてほしかった。 またコマ割も御大のモノとは感覚が違う。車田氏だと1ページ丸々使った情景描写(渓谷や滝、山門、海など)で一気に世界に入り込める所が有りますが、本編はそういう点は物足らない・・良い線は行っていると思うんですが。キャラや技のネーミングももう少し考えてほしい感じ。  現在、何故か長期間の休載中。何とか再開を切望します。
8点(2018-10-14 02:55:38)
10.  この世界の片隅に
戦中の日常生活を描くという主眼は成功していると思う。当時の風物をよく勉強されてる感じで、生来のユーモアや遊び心もあって楽しく読めました。 ただ終戦直後の描写は何かおかしく残念。どう収束させるか考えが纏まっていない内に終章辺りまで来たという感じなのかな。 「最後まで戦い抜くべき」なんて伏線もなく唐突に言い出すし「暴力で支配されていた・・この国の正体かね」というのは、GHQによる公職追放やそれによってメディアを牛耳る事になった在日によって、後になって人工的に形成された思考。終戦になっていきなりこんな事を考える人は居ないでしょう。「少年H」の時にさんざん言い尽くされた話かと思ったら、まだ罠に引っかかってる人いたのね・・という感じ。この辺で減点。 これは筆者氏がサヨク的思想というより、根が素直なので読んだもの聞いたものをよく考えずに信じてしまう性質ゆえという気がします。 同じ女流ベストセラー作家でも、戦前生まれで実際の経験者である小説家の某女史などは、終戦直後の混乱や「三国人集団」の暴虐などがごくごく普通に正確に描写されており、改めて流石だなと思いました。
7点(2017-04-16 22:53:00)
11.  コブラ
ハリウッド映画的要素をちりばめた日本の漫画。今なお斬新なのでは。SF映画や007、西部劇の要素もかなり入ってますね。 短編や、長くても3巻くらいで完結するお話が、毎回毎回上手くまとまっていて安心して楽しめます。 敵キャラも魅力的。クリスタルボーイやアイアンヘッド、サボイラーなどは凄くCG映えのするキャラだと思いますが、映画化の話が皆無なのは、今読む人があまり居ないのかな。 パピヨン編辺りから、絵に凝り出した反面、お話やキャラの描き方(人格)が雑になってきた感じ。クリボーは実は過去のアレと同一人物だった・・というのは止めてほしかったです。
8点(2015-08-26 19:24:49)
12.  北斗の拳 イチゴ味 《ネタバレ》 
「北斗の拳を世界一ソックリに描ける作者」による北斗の拳パロディ漫画。なぜか主役は聖帝サウザー。 著名作品のパロディ漫画なんて内輪で楽しむだけのものでロクなものが無い・・というイメージ持ってましたが、これは面白い。 原哲夫そっくりの絵柄とあまりにもバカバカしいネタが程良いマッチングです。 ギャグの傍ら、北斗4兄弟vs南斗聖拳連合軍の戦争や、南斗内乱(6聖拳+5車星が2手に分かれて戦う)など、ファンが妄想する夢の戦いを実現してくれる点でも良。 ちなみに原作者公認済み。第1巻巻末の読者お便りコーナーに原氏のインタビューが掲載されてますが、「もっとポロ~ンを期待します」と仰っておられるにも係わらず、Hな描写はほとんどありません。 しかしこれがアニメ化されるとは・・まさに世も末(世紀末)ですね。
8点(2015-08-26 13:04:42)
13.  めぐみ
いまなお解決の目途がつかない北朝鮮拉致事件の実録マンガ。 めぐみさんの日常生活のエピソードはとても良かったです。よく写真で見る和服姿が撮られた情景とか、ガマガエルで遊ぶ話とか、転校した虐められっ子を庇う話とか・・。明るく、正義感の強い子だったんですね。 事件発生以降の描写はかなり変。解決の為に尽力したのが、新聞記者と共産党員だけ・・という事になってしまっている。 リアルタイムで覚えていますが、当時は新聞も野党も「拉致事件は公安当局が予算を獲得する為にでっちあげた架空の事件」という立場だったはず。新聞の社説でも何度このフレーズを見た事か。 実際に尽力したのは当時一閣僚に過ぎなかった安倍現総理であり、事件が発覚したのは当時のアメリカ大統領にイラン・イラクと並べて「悪の枢軸」と名指しされたから。当時は湾岸戦争の激戦の真っただ中。彼等と同格にされて腰を抜かしたあちらの元首が慌てて白状した事により、拉致事件が世界的に明らかになりました。(その機を逃さずに被害者返還までこぎつけた当時の日本政府も大したものだったし、アメリカ政府からその文言を引き出すための与党議員・官僚らの水面下の外交努力も相当なものだったと推察できます。) ・・なのにその事は全く描かれていない。新聞記者と共産党議員が被害者の相談に乗っただけで、その後唐突に小泉首相の有名な奪還シーンが登場する。なにコレ?って感じ。 さらにはご丁寧な事に、発覚後の在日朝鮮人の号泣謝罪大会がまるまる1章を費やされて描かれている。個人的には在日朝鮮人の団体が何か謝罪声明を出したなんて聞いた事がないし、リアルでも(匿名のはずのネットですら)謝罪する在日など見た事がありません。よくこんな白々しい事が描けるな・・と呆れてしまいます。 本作は「監修・原作 横田滋・早紀江」となっていますが、恐らくご本人が手掛けたのは拉致前の日常生活でのエピソード部分のみでしょう。あとは名を出さない誰かが作っているという感じ。とにかく一人でも多く問題を知ってほしい・・という横田さん夫妻の願望を利用して、第三者が実に都合のいい話を作り上げているようで、かなりヒドイ。 家庭内のエピソード10点、それ以降の描写0点、間を取ってこの点数です。
5点(2015-08-26 12:32:39)
14.  百万畳ラビリンス 《ネタバレ》 
延々と続く巨大建築物の畳の迷路をゲーマーの女の子2人がさ迷い歩くという話。 やっと外に出られた・・と思ったら、森林地帯にも延々と畳が敷かれている。 日常生活版「BLAME!」あるいは、ゲームオタク版「夢の木坂分岐点(筒井康隆)」もしくは、ゆるやか和風版「CUBE(映画)」といった感じ。こういう話は好きです。 まったりと夢幻世界を彷徨し、謎が謎を呼ぶ上巻の雰囲気が特に秀逸。 下巻ではこの世界の解明に話が費やされますが、結局明かされた真相はリアル社会よりもさらに窮屈で矮小な世界観になってしまった感じ。宇宙のシーシェパードに保護される世界なんて・・ この手の話は変に背景や真相を説明し出すとつまらなくなってしまう傾向がありますが、個人的にはそのパターンに漏れずに残念。ゲーム的には真相は全て解明された方が良いのかもしれませんが・・。 この辺は個人の好みだろうか。変に宇宙人など持ち出さずに、リアル社会を侵食し始めた架空世界・・あたりの世界観で曖昧に留めておいた方が良かったように思います。
7点(2015-08-26 11:42:39)
15.  殷狼 《ネタバレ》 
終戦直後の日本を舞台にしたホラー漫画。古代から棲息する伝説の精神獣が、何故か敗戦直後の日本の首相に憑りついて世界滅亡を企むという話。作者の田中正仁という方はよく知りませんが、絵柄がとても好み。三山のぼる、池上遼一、大友克洋、かわぐちかいじ、神江里見、ヒロモト森一などを併せて割ったような感じ。おそらく他には例のないSFホラーに人形浄瑠璃を取り入れたセンスや、意識的に行っているであろうプチ・シュールな描写は魅了されます。物語自体は色々と残念な部分も多い。世界を滅亡させたいならアメリカやソ連の首脳に憑りつけばいい話だし、最後の最後に主人公が自分探しを始めてしまう展開(正当な目的と能力を与えられて生まれてきたというのは今の時代では羨むべき話で、何が「憎い」のか意味不明)等々…あのバブル時代ならではの頓珍漢な感覚が何とも。 しかし正直言って物語はどうでもよく、時折姿を見せる殷狼の物体Xな描写や、憑りつかれた首相の表情の様々な表現が実に素晴しい。何の変哲もないオッサンの表情でこれだけ見せるのは、比肩しうるのは初期のヒロモト森一氏くらいではなかろうか。
8点(2015-01-18 23:40:59)
16.  B'T-X
車田正美のSFロボット漫画。「リンかけ」ドイツ編の『なんちゃって高等数学/科学』と、「星矢」の『神話上の幻獣+メカ・フォルム』趣味に徹底的に特化したという感じ。おそらく氏の作品中で唯一、最初から最後までクオリティを高いまま維持した作品。(「リンかけ」は初期が全く別のマンガだし、「星矢」は白銀聖衣編や冥界編などで迷走が激しい。)アニメは見ていませんが、聞くところによると原作で最も面白い七魔将編の後半がまるまるカットされてるとか。(対バジリスク、キマイラ、ガルーダ戦) これは原作の盛り上がりにアニメがついて行けなかった事になるのかな?他の作品には見られない傾向であり、それだけ原作が充実している証なのでしょう。 クライマックスの盛り上げ方や、散々じらして登場したラスボスの最終形態と正体はお見事という感じ。 残念なのは「正義の側」がほとんど中国人な事。数々の捏造報道が明るみに出た今では考えられませんが、この辺は時代だな…と思ってしまいます。
8点(2015-01-18 23:04:44)
17.  愛星団徒
松田一輝の超絶野球漫画。その突き抜け具合から「アストロ球団」とよく比較されますが、あちらが「超人」と言っても生物学上は人間なのに対し、こちらは本物の超人です。 球速は時速500km/h~マッハの世界で、最終決戦は絶海の孤島に特設されたホーム~ピッチャーズマウンドが100m、ホーム~外野スタンドが600mという巨大球場で行われます。少年漫画の王道を行く迫力の絵柄で、他にちょっと無い奇天烈な展開は読み応えあります。 残念なのは、9人の超人が参集していく経移や、巨大球場での死闘がえらくあっさり描かれている事。9人中半分以上は「何ィ!?」くらいしかセリフ無かった気がするし、最後の死闘は1巻分の長さにも満たない。この辺をもっとじっくり丹念に描いてくれたら、マンガ史に名を残すような格段に面白いものになっていたでしょうに…。この辺りは掲載誌がマンガ誌でない事が関係してるのかも知れません。惜しい。
8点(2015-01-18 22:37:59)
18.  ヒカルの碁
主人公の真剣さや成長がじっくり丹念に描かれており読み応えありました。これがジャンプ連載というのに少しビックリ。佐為を失った喪失感からヒカルが立ち直っていく様は「あしたのジョー」(w)の対力石戦後のエピソードに匹敵する名展開ではなかろうか。 絵が凄く上手いな…と思っていたら「サイボーグじいちゃん」の人だったんですか。遥か昔、自分がジャンプ購読してた頃「北斗の拳」や「キン肉マン」に混じって、この人や井上雅彦氏の作品が掲載されては打切りになっていて「これだけ上手くてセンスあるのに、何て厳しい世界なんだ…」と子供心に思った記憶があります。(…でも当時に人気作家になってたら、碁石が燃えたり、一手打つごとに技の名前を叫びながら天井までジャンプする漫画描かされてたかもw) 惜しいのは、他の方も言われてますが囲碁のゲーム自体を読ませる所がほとんどない事。私も最後までルール覚えられませんでした。 あと、ラスボスの某国代表…今読むとギャグにしか見えないw 連載時期を見ると、日韓ワールドカップ前夜であり、拉致事件発覚もなく、オウムをマスコミが擁護していた時代…振り返ると、ある意味恐ろしい時代だったんだなと思います。今の日本人が本作読んで、「必死にやってきた挙句、最後の相手がこんなんかい」と、逆に囲碁離れに繋がりそうな気がしてちょっと不安。
8点(2013-10-26 08:32:50)
19.  死びとの恋わずらい
氏の短編集という事でコメントさせて頂きます。本作品も含め初期短編/連作はコミックスの刊行ごとにタイトルや収録作品が異なるようなので。 氏の作品はホラーとしてだけでなく「不条理漫画」として秀逸に思います。個人的には「ねじ式」や「伝染るんです」、初期の「BLAME!」或いは安部公房や筒井康隆の短編小説群などと同じカテゴリーな感じ。特に傑作は「道の無い街」「あやつり屋敷」「路地裏」「首吊り気球」「落下」「四重壁の部屋」など。 絵柄もデッサン力があってシンプルというある意味理想的なものだし、一つ一つのエピソードに出てくる登場人物の描写がリアル。俗に言う「人間が描けている」という事なのか、例えば「路地裏」のメンバーで普通に小津安二郎の映画みたいな話が展開されてもそれはそれで読めてしまいそう。ホラーや不条理などの非日常は、こういうリアルな描写力があってこそ生きるのだな…と実感します。
8点(2013-06-23 17:14:07)
20.  バジリスク―甲賀忍法帖
山田風太郎の原作がストーリー・ビジュアルイメージとも完成度が高いので、漫画化された当時はあえて読む気が起こらなかったのですが…勿体ない事した。最近読んだ万城目学の忍者小説から「甲賀忍法帖」読み直してまたハマリ、今度は漫画も読んでみました。個人的な理想は小島剛夕のようなリアル画だけど、コレはコレで悪くない。各々のキャラを自家薬籠の物としていて読み応えありました。小説では今一つ区別つかなかった朱絹と陽炎の風貌の描き分けなどお見事だし、若いような老けてるような天膳のルックスも上手い。蓑念鬼は白土三平や沙村弘明辺りが描きそうなもっと下賤な野生児ってイメージだったけど、こういうユニークなキャラも悪くないです。惜しいのは背景がほとんど写真のCG?な事。作者氏が風景を描く事に興味がないのか、物語後半の道中記的な(ロードムービー的な)味わいが楽しめず。原作の名シーンの一つである関宿での蓑念鬼vs豹馬の対決は「もうちょっとこうだろう…」的な感覚に身悶えしました。  アニメもオリジナルなエピソードによって更に各キャラの個性が深めてあり良かったです。ただ一つ頂けないのは肝心の朧さま。確か小説では「あらゆる忍法を破れる代わりに自身でも忍法を身につける事ができない」が、剣術や体術は普通に一流だったはず。(そうでないとラストの対決が成立しない。)漫画ではちゃんと「怒ると怖い朧さま」だし、頭領としての立振る舞いや葛藤が描かれていてまだ良かったですが…。アニメでは何だか頭領でも忍びですらない甘えん坊なだけのお姫様みたいになってしまい、朧本来の魅力が台無しに。「10人衆対決」という元々の趣向から見ても極めてバランスが悪くなってしまった感じで、これだけは残念でした。
8点(2013-05-12 06:33:48)
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