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ヴァイキング~海の覇者たち~ のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ヴァイキング~海の覇者たち~
製作国アイルランド,カナダ
ジャンルアクション,ドラマ,時代劇
レビュー情報
《ネタバレ》 Netflixの『ラスト・キングダム』が面白かったので、同時代をヴァイキングの側から扱った本作も視聴しました。
主人公のラグナル・ロズブロークはスカンジナビアの伝説的な英雄。ただしその実在性はかなり疑わしく、日本で言う卑弥呼みたいな位置づけにある人物なのですが、歴史と伝説の狭間の存在という点が読者・視聴者のロマンを余計にかき立てるのか、過去にも様々な媒体で扱われてきました。本シーズンでは農民出身のラグナルが首長になるまでの物語が描かれます。
「首長、今年はどこを略奪しましょうか」と、えらく物騒なことを村人全員で話し合う第一話からヴァイキング感全開。デカくて不潔で豪快で、「己の命よりも武勲を優先」という真っ正直な戦士達が基本ガハガハ言ってる内容なのですが、武勲を上げる中で村内での注目を集めるようになったラグナルと、そのラグナルに対して警戒心を抱くようになった現首長との対立が鮮明になった辺りから、ドラマは一筋縄ではいかなくなります。
この首長からラグナルへの嫌がらせがとにかく卑劣で、豪快な戦士に対してどんな汚いことをやってくるんだとイライラさせられました。対するラグナルは純粋一直線。この時点では権力欲や名誉欲はほとんどなく、だからこそ自分が首長から狙われている理由もよくわかっておらず、二度目の略奪では「これだけの財宝を持ち帰るのだから、首長からも褒めてもらえるはず」などと呑気に考えているわけです。それ逆だから。ラグナルが成功すればするほど、首長は焦ってラグナルへの攻撃を強める。もし二度目の略奪が失敗に終わっていれば、首長は彼へのマークを緩めたはずです。
ドラマの進行とともに、首長の背景も明らかになってきます。元はラグナルのように勇猛果敢な戦士であり、おそらくは実力でのし上がってきた人物だったが、息子二人を失ったことから守りの姿勢が強くなり、そのうち己の弱体化を周囲に悟られることへの恐怖心から謀略を張り巡らす人物になってしまった。盛りの過ぎたベテランと伸び盛りの若手という、多くの組織に見られる対立構造を持ち込んだことで、本作は歴史ドラマでありながらも時代性に縛られない普遍性を獲得しました。決して褒められたものではないものの、首長の立場にも一定の理解ができるのです。
また、本作はヴァイキングという世界史上でも特異な存在の理解にも役立ちます。彼らの信仰・文化・風俗が克明に描かれているし、セットや小道具はかなりよく作り込まれています。スカンジナビアの自然や冬の厳しさもきちんと捉えられており、これまで教科書などでしか読んでこなかった存在を、目で見ることができます。これは見ごたえがありました。
問題は、上記の通りヴァイキングの生活の描写に予算が費やされたためか、戦闘シーンが恐ろしく安っぽかったこと。前述した『ラスト・キングダム』ではウェセックス軍vsヴァイキング軍の大合戦が見られたのに対して、本作では数十人のヴァイキングが英国の海岸線を脅かすのみ。これだけこじんまりとした相手なら英国側も簡単に撃退できただろうと思う程度のスケールであり、侵略者としてのヴァイキングの描写には不満が残りました。
ザ・チャンバラさん [テレビ(吹替)] 7点(2017-08-05 22:49:35)
その他情報
作品のレビュー数 1件
作品の平均点 7.00点
作品の点数分布
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