1. トウキョウソナタ
《ネタバレ》 小泉今日子も香川照之もいつものようによい演技をしているのですが、ストーリーがいただけません。いま街で起きているホワイトカラーの失業、米国の戦争の現実はもっと深刻かつ複雑なものなのにパターン化されています。スーツを着て、炊き出しに並んでいるのもおかしいし、いっしょに並んでいる失業者の人々もただの風景で同じ人間としては扱われていなし。小泉今日子の出奔も唐突な感じ。息子の天才が発見されるというエンディングも、そんなにうまくいくわけないぞ、と突っ込みたくなります。 [DVD(邦画)] 5点(2009-11-17 00:36:18) |
2. 歩いても 歩いても
よいところもある悪いところもある普通の人物、でもそれぞれ少しずつなにかしらの事情を抱えた家族が集まり、別れるまでの2日間をゆっくり描いています。ドラマチックな展開が何もないのに、だらだらした感じはなく、最後までみることができます。地味ではありますが、家族関係についていろいろ考えさせられるよい作品でした。 [DVD(邦画)] 9点(2009-11-17 00:17:29) |
3. おくりびと
気持ちよくみられる映画の典型ともいうべき作品です。人の生と死を大切に扱っている、差別的な目で見られる納棺師という職業に光を当てている、葬儀を美しい営みとしてみせている、悪い人はひとりも出てこない、話の展開に大きな破綻はありませんし、クラシック音楽、美しい東北の風景がよく生かされている、エンディングもすっきりしています。 たいていの映画にはなにかつっこみたいところとか物足りないところがあるのですが、そういったところのない作品はそうあるものではありません。アカデミー賞をとったということで米国で受けを狙った作品かと思ったのですが、そうではありませんでした。 [DVD(邦画)] 10点(2009-11-16 23:59:10) |
4. 耳をすませば(1995)
《ネタバレ》 公開当時はみておらず、はじめてみました。ジブリ作品ならではの映像美で多摩ニュータウンの生活や風景がリアルな感じで映し出されていましたし、主人公はさつきの顔、ナウシカの顔ですから親しみあるし、どんでん返しはないわけですから安心して楽しめるということでしょうか。ただ、話の内容は青春胸キュン物語であまりにもかるーい感じです。良くも悪くも、ラブレターなどの岩井俊二作品と似ているなあと思いました。 [地上波(邦画)] 7点(2008-02-23 00:39:02) |
5. 四月物語
松たか子のプロモーションビデオとしてみると、美しくつくられていて、さすが岩井俊二だと思いますが、それ以上ではないと思いました。 [DVD(邦画)] 5点(2007-11-11 01:23:31) |
6. 椿山課長の七日間
《ネタバレ》 入れ替わりものというのでしょうか、人の心をのぞき見る楽しみと素性を明かせないもどかしさがあり、1つ1つの場面は飽きずにみ続けることはできましたから娯楽映画としては及第点なのだと思います。しかし、大人の登場人物がそれぞれ好き勝手にやっていて、最後にさらりと収まるのはいかにも軽すぎますし、大人に振り回された子どもの心がどれだけ傷つけられているかもさらっとやり過ごしています。ほのぼのとやさしそうにつくられているようでいて、振り返ってみると、あまり心地よいとはいえないように思います。和久井映見の語り口が慇懃無礼で登場人物を皮肉っているようにも聞こえたのですがそこに制作者の意図があったのでしょうか。 [地上波(邦画)] 5点(2007-11-10 12:02:33) |
7. 春の日は過ぎゆく
《ネタバレ》 イ・ヨンエの出演作品の中でもっともよいと思います。恋愛経験の少ないいちずな若者と恋愛に懐疑的な年上女性との心の動きをたんねんに追っています。そして韓国の人々の生活が背景としてしっかり書き込まれています。とてもリアリティを感じる作品でした。ただ、この映画はあくまでユ・ジテ演じるサンウの側から描かれたように思います。最後の桜並木のシーンが秀逸だと思いますが、DVDに別バージョンとして収められているイ・ヨンエ演じるウンスを正面から撮影したシーンはいただけません。ぼんやりした後ろ姿の中に女性の心が描かれていたのにこのシーンも発表してしまった監督の心の揺れに1点減点です。 [DVD(字幕)] 7点(2007-10-08 04:21:11) |
8. かもめ食堂
《ネタバレ》 みている間、心地よい時間を過ごすことのできる映画です。フィンランドの空気が伝わるような清浄感のある映像と小林聡美やもたいまさこの淡々とした、さすがの語り口でストーリーが流れてゆきます。お店もいつの間には繁盛してしまうし、フィンランド人の学生はずうずうしすぎないかとか、細かいことを気にしてはいけないのだと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2007-10-08 03:41:32) |
9. Love Letter(1995)
《ネタバレ》 公開当時、旅行中の機内上映でみて、きれいな映画だったとの印象があり、今回BSでの放映を改めてみてみました。やはり映像、音響の美しい映画でした。中山美穂が実に美しく撮影されており、しかも二役ででずっぱりなのですから、彼女のプロモーションビデオともいえる作品です。神戸、小樽の美しい街、雪や山、ガラス工芸家という職業、卒業写真、学校の図書館という舞台などなどストーリーは胸キュン青春ラブストーリーのツボをしっかり押さえており、多くの人に受けるよう(しかも海外市場まで)考えられている感がありありなのですが、それでも心地よく感じてしまいます。篠原勝之はじいさん役には若すぎ、酒井美紀(きらいな女優ではないのですが)は垢抜けず中山美穂とイメージが違いすぎて納得がいかないなど不満な点はありますし、手紙のやりとりに至る設定もあり得ない(同姓同名を同じクラスにはしない、卒業アルバムの名簿は男女別だった)のですが、こうした小さな違和感も含めて、見る側を引き込む計算がされた作品であるように思いますし、繰り返してみる気になる作品でした。 [地上波(邦画)] 8点(2007-07-31 03:16:30) |