1. ルックバック
《ネタバレ》 青春物はいいね。この映画みたいなよくできたものは何度でも観られる。青春には挫折がつきものだって風潮があるからそれがいつ来るのかドキドキしながら観ていたけれど、こんな形でやってこなくともいいじゃないかと思える。 それでも、もう一つの過去の選択肢で意外に救済されるのは自分でも驚きだ。 劇場用に公開される映画は二時間が目安だが、この作品は一時間の上映時間である。だが、結構いい。これからはこのサイズの作品が増えてくるかもだ。 [インターネット(邦画)] 9点(2025-07-06 15:23:18) |
2. 極寒激戦地アルデンヌ~西部戦線1944~
《ネタバレ》 戦争中の敵軍との個人的友情が描かれているところが面白かったですが、何といっても問題は最後の攻撃シーン。圧倒的な人員、装備を持っている敵に攻撃を仕掛けるなんてありえないです。ただ、映画的に戦闘シーンが欲しかっただけとしか思えません。戦争をエンターテイメントにしてしまう、これこそが冒涜行為です。 それでも、セリフのある人間以外は一発の銃弾であっけなく死んでゆく。今日の自分はここに妙なリアリティを感じました。 [インターネット(字幕)] 4点(2025-06-30 08:48:58) |
3. 五人の斥候兵
《ネタバレ》 1938年というと盧溝橋で戦端が開かれて翌年になります。ここに描かれている部隊の優秀さはほぼレベルマックスでしょう。伝令は複雑な伝達内容を一回で記憶します。部隊の結束は固く、士気は天を衝くばかりです。食料の現地調達で泣き叫ぶ中国人は避難済みです。部隊長は人情に厚く使命を果たそうと熱意にあふれています。 小銃を片手に持ち走る姿を初めて見ました。中腰で腕を振らずに走ります。なるほどです。夕日に立つ歩哨の姿もなるほどです。カッコいいです。当時の人が普通に想像する陸軍の姿がここにあって変に露悪的だったり権威的だったりで批判的に描かれていないのが、当時的で貴重だと思います。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-06-25 20:43:47) |
4. パリ、テキサス
《ネタバレ》 「Perfect Days」からの流れで拝聴。面白かったけれど、主人公の来歴を画面情報から推察しているうちにドップリ没入しているという展開は件の作品と同じ。ただ、そんな思いで見ている観客を百も承知でイメージ優先で情報的に繋がらない画面を持て来るのもこの監督。冒頭のシーン、水もなくああもう生きられないなと思ってみていたら、次のシーンではいきなりレストランに入店。ズッコケるしょ普通。まあ、ここは許す。 主人公も次第に心開き子供を連れて母親探しの旅に出るが、子供は自発的についてきてますから、ここを批判しないようお願いします。心の開き方が非常に自然で、考えていること、感じていることを素直に了解できます。そして、母親を探し出し、夫婦がうまくいかなかった過去が明らかにされます。ここで語られる恋愛心理の矛盾が結構説得力がある。意外にこの心理はよくある話なのに、未だ多く語られていないような印象です。 子供は母親に会いたい、母親は子供に会いたい。だが、自分は母親とは一緒に暮らせない。だから、去らねばならない。これは立派な悲劇であります。涙を流しても問題ないです。もしかしたら、母子は経済的に立ちいかなくて弟夫婦をまた頼るかもしれませんが、それはそれ、また別の話であります。 最後に大きな問題があります。ハンター君が生まれた時、母親は17歳ぐらい、父親は若く考えても40歳は超えているでしょう。この二人の恋愛は認められるでしょうか。自分の身近でも似たような歳の差婚があり女の子の父親は眠れません。あれほどの美人が経済的に恵まれない立場で4年間も後ろめたくない状態で暮らしていたならそこがこの作品の一番ロマンティックなところかもしれませんね。 [インターネット(吹替)] 8点(2025-06-25 20:22:13) |
5. オッペンハイマー
《ネタバレ》 面白いかどうかの作品とは違うかも。冒頭核開発をプロメテウスと比喩するところから始まりますが、確かに原子力の獲得は人類にとって大きな成果だと思います。原水爆の負の部分も含めもしこれがなければ世界の歴史は全く違ったものになっていたでしょう。原子力発電が存在しないで核の均衡もなければ石油資源の獲得は死活的に重要性を帯び、それがために何回も世界大戦が起きていたかもしれません。唯一の被爆国として大きな負の印象を抱えている我々は少数派でこの映画が描いている世界こそ世界標準なのでしょう。 このコラムの他の人の指摘にアメリカでは原爆開発に携わった人たちは英雄扱いされ日本でいうところの維新の英傑並みの知名度だそうです。そんな基礎知識を持たない我々が理解するのはこの映画の構成は複雑すぎますが、アカデミーの会員ではないので作品賞の選定に関与することはできませんでしたとさ。 [インターネット(字幕)] 4点(2025-06-25 16:56:57) |
6. ベルリン・天使の詩
《ネタバレ》 パーフェクトデイズを見てもっとこの監督を知りたくなり名作の誉れ高い当作を拝見しましたが、意外に面白くない。戦後の分断されたベルリンが舞台で、二人の中年男子が天使として登場、一人は恋に落ちて人間になるという大筋です。 一つ皆さんが触れない大きな材料として人間に生まれ変わった時になぜか持っている鎧ですが、自分の解釈では二人はキリスト教的天使というより太古から生き残ったゲルマンの魂とでもいう存在で愛に目覚めて戦いの鎧を脱ぐという意味と感じました。先輩堕天使のピーターフォークですがドラマではイタリア系の設定で、ドイツより先にイタリアが愛に目覚めていると解釈できます。 しかし、愛に目覚めて何をするかと思えば縄を使ったプールダンスのお手伝いとか女性を縁の下で支えております。 総じて、ホロコーストを起こしたドイツ民族はイタリアのように愛に目覚め静かに暮らし始めるとのメッセージを与えうる作品と観ましたが、鎧を着ているもう一人の天使はまだ残るわけです。そんなわけでよくわからん。 [インターネット(字幕)] 4点(2025-06-22 23:39:24) |
7. 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
この映画、すごく評判良いと思いますが、全く面白く感じませんでした。どこかで見たものをつなぎ合わせただけなのと脈絡なく表現されたアクションシーンで構成されていたようにしか思えません。 自分が長く生きすぎただけかな。新鮮味を感じられなかった。初めてこのテイストを知った人は感動するのかなあって感じ。 [インターネット(邦画)] 2点(2025-06-04 08:35:17) |
8. 蠢動ーしゅんどうー(2013)
《ネタバレ》 このところ時代劇をよく見るが、この映画のセリフ回しはちょっと違和感。なんか重みが感じられない。武士なんだから一言により重みを感じたい。筆頭家老には地位にふさわしい重さ、苦渋の決断をもっと表現してほしかった。最後の幕府からの使者を激怒させるところもあんまり説得力を感じなかった。俺が監督ならOK出さないな。 殺陣もどうかな。もう大人数で槍もあるから負ける方が大変だ。その辺りの説得力のない場面になってしまった。演技として考えるならすごく頑張っていると思うがそんなほめ方ならいらないだろう。 あの結末もどうか。生き残ってこれからどう生きる?髻を切ってそれで納得させられなければどうなる。あの嘘と同様、多くの若い藩士が倒されたことも嘘にされるかもしれないだろう。 期待して観た分、残念だったな。ただ、俺はさとう珠緒が好きだから凛とした役の彼女が観れてそこはすごく良かった。 [インターネット(邦画)] 4点(2025-05-04 17:35:40) |
9. 駆込み女と駆出し男
《ネタバレ》 結構本格的な時代劇だと思いますが、タイトルで損をしている感じ。時代劇でもコメディカルな恋愛ものを作れればこんなタイトルにふさわしいと思いますが、あるいはそこを狙ったかもですが、そうはなってない感じです。おとなしく「東慶寺花だより」でいいのに。 満島ひかりはお歯黒美人を見事演じてくれてよかったです。戸田恵梨香は顔面に傷を作ってもどうしても美人なので不器量のゆえに愛人を作られる役にはまってないです。 せっかく駆け込み寺を取り上げたのですから、江戸時代の夫婦の在り方をうまく取り上げてほしかったですが、新鮮でびっくりするような様子は感じませんでした。 [インターネット(邦画)] 5点(2025-05-04 00:06:18) |
10. すばらしき世界
《ネタバレ》 「PERFECT DAYS」を見た後での鑑賞です。結構対になったような作品で役所広司が多情な男と無口な男を演じています。彼の演技はさすがの一言ですが、出来は正反対です。作品の意図を主張するのか、なるべく隠して制作するのか、そこの違いかなと思われます。 服役から出てきた人物にそこまで積極的に係わろうとする人は少ないでしょう。例えスーパーで万引きされても少額なら触らぬ神に祟りなしと決め込むのが普通でしょう。いい加減な事実認定で犯人扱いするなど最悪です。テレビ制作者がスマホ越しに説教するなんてのもあり得ない。彼らと対決するのは実力行使を受ける可能性もあって危険だと認識されているはずです。多分、娑婆の人間関係を作ることが社会復帰の最初の関門でしょうに自然と生まれる的な解決で問題提議としてはスルーです。 主人公は短気ですが、律儀でルックスも良く、話題も豊富です。でも、実際はどうでしょう。そんな人ばかりではないはず。つまり環境も主体も説得力のない設定で何の主張をされても心に響きません。長澤まさみは喧嘩を止めるか、撮影をするのか、と叫びますが、この作品は風の音を喧嘩と誤認しています。九州の兄弟分のパートは良かったです。子分連中が良かったです。それでもあれだけ入れ墨背負ってあんな浴場に入れないでしょう。傷はCGでそこを見せたいのでしょうか。まあ、もうこだわる元気もありません。最後のシーンの大泣きもいい芝居ですが共感できません。予定調和の悲劇でしかないです。まあ、監督は責任者ですから責めを受ける立場でご愁傷さまです。 [インターネット(邦画)] 3点(2025-04-30 09:54:47) |
11. PERFECT DAYS
《ネタバレ》 竹ぼうきの音で目覚める主人公、時計が部屋になく時間の確認はしない。布団をたたむ。少し見せるすり足、あるいは武道経験者か、畳み方のリズムに服役経験の可能性を見る。シーツを使ってないので、所作がより美しく見える。階段を下り、歯を磨く。歯磨きの蓋を締める。この所作がカッコいい。さすがだ。霧吹きを持って動作をテストして二階に上がる。このテストに意味があるのかはわからない。小さな苗木が並んでいてそれに手を添えて霧吹きをする。手を添えるのにも意味があるのか分からないが、好感が持てる所作だ。髭も整えるがこれはいまいち面白くない。逆に言えばそれ以外の所作が面白く思えるわけだ。作品に引き込まれる。おそるべし役所広司。これらの動作には忠実な物音が伴う。この音が所作を際立たせ意味深いものにしている。自分もこれをまねて音を意識して日常生活を送ってみるとあら不思議、動作が意識的になり無駄が無くなるような気分した。 さて、その後作業着を着て玄関手前にある小物を持ち家を出るが、その際腕時計は持たない。それでも一瞬、間があるのはさすがにここで時間をチェックするからか。家を出ると玄関灯はついたまま。玄関のカギはかけない。後のシーンで姪が訪ねて来た時、カギを要求されるのでここは辻褄が合わない。缶コーヒーを買って車に乗り込み車内で開けて少し飲む。これは朝食の代わりなのか。車はメタリックブルーのダイハツのバン。のちのシーンで36000キロほどの走行距離とわかる。外装にほぼ汚れなし。カセットテープを選んで聞きだすので時代背景を考えるが特段の過去の時代設定ではない。選曲の趣味から言ってかなりコアなファン。のちのテープの買取店でのシーンで販売されているテープを懐かし気にチェックしているからもしかしたらこれを輸入する業務でも行っていたか。 車は走り出すがライトを点灯させている。周囲はそこそこ明るいが夜明け前だからか。次のシーンはトイレ掃除の現場になるが、周囲に通勤・通学の人々が。するとそれなりに時間は経過しているはず。ならば一回出社しているのか。しかし、次の清掃現場に同僚が遅刻して登場するのであるいは現場直行かも。あるいは終業時間を早めるために始業時間前に一現場、二現場、作業を終わらせているかもしれない。それとも、そこまで作品の時間経過を考えていない撮影・編集なのか。多分こっちだろう。 明確な説明が全くないため作品から人物設定を想像しながら観ることになる。少しの情報も見落とせない。この緊張感で作品に引き込まれるのだろう。2時間があっという間だ。ドキュメンタリーのように時間列で映像を展開させているように見せかけて実は主人公の人物を際立たせるように作品は作られている。つまり盆栽だ。多分、冒頭で戸にカギをかけないのはかがまないととカギをかけられないから。胸を張っている主人公の生き方の表現にふさわしくないと考えたからだろう。人は過去を背負って生きているが、普通、他人はそれを知る機会がほとんどない。その人の生活から推し量るだけだ。その意味でこの監督のアプローチは非常にリアリティがある。 非常によくできた作品、非常に素晴らしい演技だと思うが、疑問もないわけでない。カセットを売りに下北沢に行った帰りどうもガス欠したらしいが、小銭しかなく改めてカセットを売りに戻ったような感じだが、結構、距離を走っているので歩いていくことはできないだろう。かなり無理なエピソードだ。それともこれはもっと別に解釈すべき所なのか。ただ、主人公の完全なる日々に描かれる食事は昼食のサンドイッチだけなのにここだけカップラーメンを食べる。それを入れたかったのか。しかし、役所はカップラーメンの臭いをかぐとかすごい事をする。地下街の店での食事は撮影されない。何を食べたのか。店の看板は浅草焼きそばだが食べ終わった食器に茶碗がある。つまみを一口食べるが飲んでいるのは酎ハイだろうが水にしか見えない。役所としたところがどうしたことか。監督の指示か?ただ、彼も台本にセリフがないと何も言わないのか、無理やり黙っているようなシーンが結構ある。多分、あんなにニコニコした人は無口な人とは言わないだろう。 さて、主人公の生活が美しいのは豊かなところから自分にとって余分なものを全て捨て去ったからだ。最初から貧しければあの生活は築けない。スナックのママが言うように彼はインテリなのだ。教養のある人間の魅力を見せてもらった気がする。普段の彼ではなく寝る前に読書する彼こそが真の姿なんだろう。あやかりたいがとても無理だな。 [インターネット(邦画)] 10点(2025-04-30 02:02:48) |
12. 侍タイムスリッパー
《ネタバレ》 まあ、よろしいんじゃないですかね。幕末の武士が現在に出現してそこで暮らしを営み始める。出現時の違和感や時代劇の切られ役として生活を始めるあたりがくどくなく、だが印象的に描かれていていい感じです。主役の山口馬木也さんが幕末の武士を好演してます。ただ、相手役の風見恭一郎さんですか、なんか途中で役者変わってませんか。まあ、許します。 しかし、真剣勝負と殺陣の立ち回りの違いがほとんどないのは残念でした。真剣勝負だったらあんなに打ち合わないと思います。打ち合えば刀も痛みますし、万が一受けそびれば死ぬわけですから。ここのメリハリもっと欲しかった。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-04-29 08:49:10)(良:1票) |
13. 私にふさわしいホテル
《ネタバレ》 のんはいいね。美人と言えばそうでもないし、スタイルが良いと言えばそうかもしれないし、かわいい風貌のようでそうでもない。色気があるやらないやら。そして、レースの靴下がよく似合います。とにかくつかみどころがない非凡な外見をしている。それゆえ観ていてあきない。観察したい気持ちが抑えられない。得難いと思います。 芝居もいいね。次に何をするかわからない意外性に満ちている。歌も下手そうだけど意外にいける。「夜霧よ今夜もありがとう」は出色の出来かも。よくわからんが。 遠藤の田中圭はいいね。滝藤は威厳に欠けるからどうかと思いましたが逆にそれがよかったです。相変わらず面白い人だ。田中みな美が色っぽい役で困る。フジテレビスキャンダルの再現ドラマは勘弁だ。興奮してしまうから。 だけど、書店の大物万引き犯を捕まえたり、カリスマ書店員のポップが付いたぐらいで文学賞をもらえるとはあまりに一般読者を愚弄してないか?まあ、小説家にもビジュアルが求められる所には同意しますけど。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-04-23 00:07:37) |
14. 碁盤斬り
タイトルがネタバレという希少な例。一番緊迫するところでタイトルを思い出して結末が解ると。しかし、それでも緊張感が半端ない。ならば別のタイトルのほうがいいかというとそれではあの結末がご都合主義になってしまうという二律背反。元の題材が古典落語にあるそうで、それならなるほど。長い時間タイトルも考えられてきて繰り返し語られても耐えられる物語になっているわけですね。 役者の気迫が画面を通してビリビリ伝わってきて凄い作品だ。しかし、原作が落語であるためか所々辻褄が合わない感じがする。特に左門。殿から上意討ちの使命を帯びているのだから格之進よりも前面に出て兵庫と対決するべき立場ではないのか。それが何やら助太刀の雰囲気。斎藤工は芝居としては文句ないのだか、顔の肉付きが良すぎて殺伐とした感じに乏しい。中川大志さんのやった弥吉役は難しいよね。大失敗してヘラヘラと嫌われた娘と祝言を上げるのなんかは観ていて胸糞が悪かった。まあ、しかし、ここは様々な物語があった後の事で映画では割愛されたと承知するべきでしょう。だが、理想を言えば無言でそれを表現する芝居が求められていたわけだ。しかし、そこまでは無理だったと私も思いますよ。でも監督は尺は取ってあったようでした。蛇足になってしまいましたが。 勧善懲悪になっていないところが今風でよろしいです。多分原作の落語にはなかったと思います。想像だけどw。この監督さんに注目して作品見ていくことにします。まあ、いい時代になりました。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-04-22 10:03:00) |
15. 八犬伝
《ネタバレ》 大変面白い映画でありました。とにかく役所広司と内野聖陽のやり取りがすごい。鶴屋南北との問答もよかった。南北は立川談春さんなのでここのクレジットにも載せてほしいです。黒木華の立ち振る舞いとそれを受ける役所の無言の反応、泣かせます。大貫勇輔演じる渡辺崋山もいい。この人ちょっとコミカルな感じのミュージカル系の人だったんですね。全然違う若く身分の高い武士の感じがよく出ていてすごかった。 絶賛の「実」部分に比べて評価の分かれる「虚」の部分ですが慣れてしまえば結構いけます。というか逆に物語として敢えて嘘っぽく作ったと思われます。肉体派の八犬士は顔にCGの体を張り付けている感、全開ですが積極的に許せます。ただ、これは後半になって物語に慣れた後の話で最初は違和感半端ないです。特に最悪なのが八房でここは本当の犬らしくお金をかけて欲しかったです。普通の人はこちらをメインだと思って見始めますからここのクオリティが映画全体のクオリティと考えるわけです。この辺の「だまし」をどうとらえるかで映画に対する評価が変わってくると思います。その点で言えば編集が失敗という珍しいケースの映画ともいえるかもです。 [インターネット(邦画)] 8点(2025-04-22 09:17:46) |
16. ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
実によく練られた作品で文句のつけようがない。パイレーツオブカリビアンと肩を並べる。全てのシーンがすばらしいが特にいいのが手下の数の多さ。しかも、それぞれが意思をもって動いている。これがなかなかできない。 あと、クッパのキャラ設定。恐怖の大王なのだがピーチに恋しているあたりがギャップで憎めない存在になっている。歌が好きだが微妙に下手なあたりがジャイアンのようだ。これを受けるピーチ姫も色気がないようでいて時として魅力的に見える。この辺が絶妙。 外国映画のように見えるが脚本は日本人だと思う。日本語吹き替えで観ることをお勧めする。断然その方が面白い。 [インターネット(吹替)] 10点(2025-03-24 23:06:24) |
17. 首(2023)
《ネタバレ》 悪趣味だという批評があったがそこを狙って作っているから。男色と首切りと殺し合いは戦国の常なんでしょう。そこクローズアップしているのはさすがだとは思いますが、どうにもやりすぎ感が強い。光秀と村重のラブシーンとかそれはそれで面白いか。見たくなかったが。村重一族の処刑シーンで首を切られると背が反る表現がありリアリティを感じたが実際はどんなもんななのか。見た人間はいるのだろうか。想像ができない。ああ、戦争に行った人なら見たことあるかも。 首の重さが少し軽いように扱われた感じがするがそれもどんなものだろうか。 残虐なシーンを作ればそれが真実だと見えてしまうが、武作品のトップは手下をいじめすぎで自分で組織を壊している。実際じゃ、ありえない。自分としては手下を殺すにももう少し作品の中で必然性を見せてほしいかな。ただ、影武者が次々殺されるとか甲賀の里が襲撃されるとかは説得力があってよかったな。 [インターネット(邦画)] 6点(2025-03-24 22:52:54) |
18. GODZILLA 星を喰う者
《ネタバレ》 決して倒すことができないゴジラを倒す物語。って前提自体が煮詰まりすぎていてそれでもここまでストーリーを作って来たには感心します。しかしながら、所詮無理筋ですよね。更にその上に究極の存在としてギドラを登場させたりして。だがしかし、異星人の気が付けとばかりの変な色の目玉を壊すと簡単にギドラは滅んだりします。 文明が成熟するとそれを破壊する怪獣が必ず出現、そしてそれを更に捕食する高次元の存在が登場するという世界観の中で人の存在の何たるかを問うという物語を作りたい。その気持ちは分かりました。そのための三部作。よく完成まで持ってきましたが、完成自体が目標で観る人は二の次になったのではと感じました。だって、観客は当然ゴジラと戦うメカゴジラやモスラを観たいわけです。それが出てこないのはどう考えても予算と制作時間がなかったからでしょう。メカゴジラはガスタンクとなりモスラは動かないシルエットで登場です。詳しくは知りませんがこれをまともに登場させるとなるとキャラクターデザインとかどう動かし戦わせるのかとか大変な手間と時間が追加されるわけでそこを避けたと。 クレジットが一通り終わった後になんか火を焚いた儀式が行われ何やら続編への布石のような雰囲気ですがなんか全然意味不明で、何の感情も湧きませんでした。 [インターネット(邦画)] 3点(2025-03-24 22:22:24) |
19. GODZILLA 決戦機動増殖都市
《ネタバレ》 メカゴジラの名前にそれなりのロマンを感じる世代があるのだろうな。自分は爺さんだからメカゴジラというとメカニコングのパクリにしか思えなくてあまり好きだはなかったりする。 なんかよくわからないが自動で動くナノメタルとかでできている対ゴジラ決戦兵器メカゴジラが20年前起動しないとかどうしてありうるのだろう。これが起動していれば人類の宇宙退避は必要なかった訳だから。ああそうか、ギドラを崇拝する連中の陰謀だったのか。 それにしても、アニメーションでメカゴジラの姿を見たかったな。それがあれば本作ももっと盛り上がったに違いないのに残念じゃ。 第一作ではよく分からなかった異星人の必要性が見えてきた。即物的、合理的な連中と神秘的、献身的な二種類の連中の中間に地球人をおいてその二つの方向性の得失を提示したいわけだ。なるほど。で、この作品で合理的な連中は否定される。では、我々の進む道はどこにあるのか。それは、次作に委ねられますか? [インターネット(邦画)] 3点(2025-03-23 11:36:28)(良:1票) |
20. GODZILLA 怪獣惑星
《ネタバレ》 全く知られていない作品でどんなものか興味があったのでネトフリに加入、拝見しました。 以外に秀逸なアニメーションに驚きましたが、登場人物間の会話が全然おかしい。脚本が悪いのか、声優への演技指導がおかしいのかそれとも両方なのか分かりませんが、登場人物が薄っぺらく感じて観ていてシラケます。主人公は英雄に例えられたりしますが、内気で声に覇気がなく、違和感がはなはだしい。そう、人物が描けていないとても劇場公開作品とは思えません。 最近はアニメの怪獣物が増えてますが合性がいいですね。巨大な怪獣に機敏な動きをさせたり派手な格闘戦もさせられます。登場兵器も色々な表現ができ素晴らしいです。この作品がその流れの嚆矢でしょうか。 シン・ゴジラの流れ(無敵な怪獣ゴジラ)を未来に展張するとこんな感じの作品が出来てしまうのは理解できますが、あまりにも暗いですね。どんなものにも弱点があるはずだ、なんてのんきで根拠のない原則をいつまで振りかざすのでしょうか。防御バリアに途切れる瞬間があるとかどう考えても無理やり作った弱点じゃないでしょうか。絶対倒せない敵を倒す作戦とか論理的に無理ですよね。そこまでしてアプレオリに倒せない敵であることを設定する必要はなかったようにも思えます。 まあ、なんにせよ閉塞感が漂いすぎる作品ですので純粋にアニメーションとして楽しむのがよろしいと思われます。 [インターネット(邦画)] 4点(2025-03-23 11:13:28) |