221. アーティスト
《ネタバレ》 クライマックスで延々ずっと流れ続けてた曲、あれ~、これって何かの映画で聴いた事があるぞって暫く考えてたんですよ。何だっけか・・・えーと・・・あ、そうだー!!ヒッチコックの「めまい」で使われてた曲だっ!と、映画館の暗闇の中、思わず膝を打ちほくそ笑む。数あるヒッチコック作品の中でもコアなファンが多いと聞く「めまい」ですが、確かサスペンスよりもラブストーリーとしての評価が高かったはず。ここに至ってようやくこの作品が映画への「愛」、男と女の「愛」を、サイレントというやや変則的な形を取りながらもオーソドックスに謳い上げる、王道な「ボーイ・ミーツ・ガール映画」である事に、ハタと自分は気が付きました。今年の賞レースを賑わせた作品は、近年になくどれもハイレベルだと思うんですが、アカデミー会員が、内容的には至ってシンプルでわかりやすいこの作品に、こぞって投票した理由はなんなんでしょう?奇しくも日本では、同日にあれほど稼いでまだ稼ぎ足りないのかと、つい鼻白んでしまう「タイタニック3D版」が公開されましたが、昨今の安易なリメイクばやり、ネタ切れ、特殊効果への依存しすぎを猛省し、もう一度「原点回帰」に立ち返ってみないかっていう強い想いが、このフランス映画を最優秀作品賞に選んだハリウッド映画界にはあるじゃないかなーとも思うんですが、どうなんでしょうねえ・・・。私はそうであって欲しいと願っております。「雨に唄えば」や、ジュディ・ガーランドの「スタア誕生」なんかを予習で観ておけば、これはさらに楽しめる映画だと思います。主役のモノクロ画面映えする申し分のない粋な伊達男っぷり、ヒロインの一見バランスが悪いヘンテコファニーフェイス、でもチャーミングな表情が素敵でしたね。このお二人の見事なコンビネーション、後味が極めて良い事、忘れてはいけないもう一人(一匹ですか?)の主役、ワンコの驚くべき好演に一点加算。淀川長治さんや双葉十三郎さんがもしまだ生きてらしたら、この作品をどんな風に面白く語って下さったのかなあ・・・。 [映画館(字幕)] 8点(2012-04-09 00:05:42)(良:2票) |
222. ヘルプ 心がつなぐストーリー
《ネタバレ》 丁寧に丁寧に作られた佳作です。そう思った上で、敢えてどうしても気になって仕方がない点があったので書いてしまいます。それはミニー(O・スペンサー)が、復讐のために作った「特製チョコレート・パイ」の事・・・。今まで数多く観た映画の中で、食べ物が出てくるシーンで長年私のトラウマになっているのは、「スタンド・バイ・ミー」での「チェリー・パイ」、奇しくも同じアメリカ南部「ディープサウス」を舞台した「フライド・グリーン・トマト」での「バーベキュー 」。この度新たにこの映画の一品、「チョコレート・パイ」がめでたく加わる事となりました(笑)たとえ原作がそうなってたとしても、もっと上手くアレンジする方法とかなかったんかなあ・・・とつい思ってしまったんですよね、あそこだけがもったいないなあと。ラストのラストで、実はアレ何も入ってなかったのよって、ミニーがぺロって舌出して笑って種明かしするとか。キャストのアンサンブルは非常に良かったです。オスカーに主要キャスト三人がノミネートされたのもうなずけます。ヒロインの成長もきちんと描かれているし、彼女のヘルプ(子守り)だった、コンスタンティンが辞めさせれた理由が明かされたエピソードでは、自分もホロリと涙を押さえる事ができませんでした。現実の厳しさを残した、ありきたりなメデタシメデタシな結末にしなかった点も評価できます。かえすがえすも、あのチョコパイの件がなあ・・・(←いい加減シツコイ)副題の「心がつなぐストーリー」。なんでもっと言いやすく「心をつなぐストーリー」にしなかったのかと思ったけど、映画を観たら納得。確かにこれは赤ん坊とヘルプ、黒人同士の、そして白人と黒人との「心」がつないでいくストーリーなんですよね。うん、この邦題も久々のヒット。 [映画館(字幕)] 7点(2012-04-04 23:05:59)(良:2票) |
223. バス停留所
《ネタバレ》 名だたる役者を輩出したアクターズスタジオで演技を修業し直した、マリリンの復帰第一作との事。アクターズスタジオ「以前」と「以降」とでは、マリリンは全く別の女優になってしまったと思います。自分が好きなのはもちろん「以前」の時代。「紳士は金髪がお好き」とか「百万長者と結婚する方法」あたりのライン。演技なんかわざわざ習得しなくたって、カメラの前に立つだけでオーラが輝く「稀代の天然コメディエンヌ」、それこそがマリリンのマリリンたる存在意義だったのに。僕はこの映画の彼女にはなぜか殆ど魅力を感じない。終わり近くレストランのカウンターに凭れて「ボオオオオォォ・・・・・(←主役の単細胞ジコチュー男の名前)」と、甘い囁き声で発するシーンは良かったけど・・・。現在公開中の「マリリン7日間の恋」はこの作品の次作「王子と踊子」での、撮影中にこんな事があったかもしれない的な裏話。マリリンに興味がある方なら観ても損はないと思います。 [地上波(字幕)] 5点(2012-04-02 22:51:13)(良:1票) |
224. マリリン 7日間の恋
《ネタバレ》 私くらいの年代の方なら、昔よく深夜のコマーシャルで、明らかにマリリンのイミテーションとおぼしき風体の出稼ぎ外人さんが「聚○よ~♪」と、おエロ気ポーズをキメていたのがご記憶にあるのではないかと。あのCMの影響か自分の中では、マリリンの物まねイコールひたすら「安っぽい」っていう観念が、意識の中に刷りこまれていました。アメリカではあのCMは流れてなかったでしょうから(←当たり前だろ)マリリンに扮する=安いっていうイメージは、おそらく本国においてはそれほどないんでしょうね。もちろん当代きっての演技派若手女優、ミシェル・ウイリアムズが演じただけあって、この映画でのマリリンは決して安っぽくはありません。「何か」に頼らなければもはや自己を保つことができず、でも「スター」として大衆に愛されたいという矛盾に満ちたマリリンの哀しい性は、特にスッピン時の彼女の演技でよく伝わってきました。この映画で描かれた内容が真実かどうかは別として、「王子と踊子」(5点)は、最盛期のマリリンの映画としては凡作だったと思います。ビリー・ワイルダー監督の自伝等でも「アクターズ・スタジオ以降の」マリリンの度を越した遅刻癖やら酷い躁鬱症、病的なまでのストラスバーグ氏への依存症は語り尽くされていたので、こういう事があってもおかしくないだろうなあという気持ちで自分は観てました。エピソードにも、特にこれというサプライズはなし。ミシェル、ケネス・プラナー(巧演!)ジュデイ・デンチと、半ば実力派俳優の顔ぶれの魅力で愉しめる映画だと思います。「グッド・シェパード」にも出てたけど、どうも僕はコリンを演じた役者さんが苦手。ここでも、所詮金持ちのお坊ちゃんが、束の間の自分探しの道楽に映画製作に関わりたかったようにしか見えなかったなあ・・・。彼女の人生とキャリアをスポイルしたのは一体何だったんでしょう?死後50年経ってもその答えはいまだに誰にも見つけられない・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2012-04-01 21:42:27)(良:2票) |
225. センター・オブ・ジ・アース(ブレンダン・フレイザー主演)
《ネタバレ》 「インディ」シリーズや「ジュラシック・パーク」やら、その手のアドベンチャー映画の名シーンをいいとこどりして3Dにして再版しちゃいましたっていう映画ですね。あまりにあからさまな、ある意味素直(?)で堂々たるパクリっぷりなので、逆に微笑ましくも感じられ腹も立ちません。春休み中の子供たちは、夕べはさぞかし大喜びしたんじゃないかと。絶対生還出来るっていう保証さえあれば(←人生すっかり守りに入ってしまってるヤツの思考)このアトラクション参加してみてえなあ・・・。あ、でもそれじゃスリルがなくなるかぁ・・・。よく見ると、役者もあんまりカラダ張ってないよね(笑)久しぶりに地上波放映の映画を観ましたが、バラエティ番組と同様に、今や映画もコマーシャルの前の映像を再度繰り返し流して放映時間を水増しするようになってたんですねぇ・・・おやおや。平面2D版鑑賞のためこの点数止まりで。 [地上波(吹替)] 5点(2012-03-26 14:24:29) |
226. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
《ネタバレ》 結論から先に言わせて頂くと、これは近年のメリル・ストリープという女優の主演作の中で、最も気合いがかかった、傑出した演技を見せている映画だと思います。去年の末、たまたまこの映画の公式HPで予告編を観た際に、「おおっ!これはっ!」と、ガツンと強烈に「くるもの」があったので、速攻当サイトに作品登録させて頂きました。好き嫌いは別として、今さら彼女の演技の上手さに関して異論を唱える方はいないと思うんですが、この映画の予告編からは、上手さを超える「何か」を自分は感じたんです。最近の「ダウト」や「ジュリー&ジュリア」など、どれも相変わらず巧いなあと感心しつつも、それ以上の何かプラスαはなかった。さてさて、20年ぶり3度目の満を持してのオスカーゲット、キャンペーンでの来日、公開に向けガンガン盛り上がってきました~♪、そして公開初日、仕事の後でレイトショーに駆け付け、鑑賞してきました。いやいや、期待以上!!映画自体、まさに「メリル・ストリープ一色」に塗り潰されているかのような、圧倒的な存在感とパワー。上映後、スクリーンの彼女に向け花束を投げ、「はは~~っ」とひれ伏したくなる衝動に駆られたくらい(笑)メリルの演技ばかりがどうしても話題になってしまいがちですが、過去と現在、現実と幻を行きつ戻りつ、英国初の女性首相サッチャー氏の人生を、主観客観を交えた演出もなかなか噛みごたえあり。自分自身、あるいは肉親の「老い」を、普段身近に感じて生活している(であろう)アラフォーの方にお勧め。政治色は意外に希薄なので、まだまだご存命サッチャー氏の強い政治理念等、深い部分までは知らなくとも十分理解できるはず。ところで、予告で観て気になっていた「紳士諸君(ジェントルマンズ)!参りましょう!」のシーンがなかったのはどうしてなんだろーか?? 私は、メリル自身のキャリア最高の神演技は、「ソフィーの選択」でのソフィー役だとずっと思ってきましたが、あれを越えられないまでも、演技的には同等水準のこの作品でめでたくオスカーを獲得した事、心から祝福したい気持ちでいっぱいです。これからもまだまだ進化し続けるであろう彼女を、一ファンとして見守り続けていきたいですね。メリル・ストリープに関する感想が大半になってしまいましたが、主演女優の魅力で語る映画っていうのも当然あるわけで。この作品もそのひとつだと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2012-03-17 00:40:50)(良:2票) |
227. あゝ野麦峠
骨太な力作。「青春の門」の織江役と並んで、若き日の大竹しのぶの、いかにも純朴無垢な一面が、一番自然に引き出されている映画だと思います。ここに出てくる男どもは、しのぶ兄チイチイ氏以外、み~んなエゴイストで嫌なヤツばっかりで同じ男ながらアタマに来ますね。この頃活躍していた若手女優さんたちって、皆さん一様に体型系に女工の格好が似合いますね~。今、この映画をリメイクしても、おそらく何の説得力がないだろうって思われるのは、ニッポン女性の体型がここ30年で飛躍的に成長を遂げたせいかと。地井さんのご回復を心からお祈りしています! [地上波(邦画)] 7点(2012-03-14 13:05:56)(良:1票) |
228. オーバー・ザ・トップ
「ロッキー」「ランボー」以来の、日本でのスタローン神話が通用してた後期の映画だと思います。確かにこの時期あたりまでは「スタローン主演」というだけで、どんな映画でもかなりのビッグヒットを記録していたような記憶が。特に田舎では。内容自体は、ホント素直な作りでストレートな親子の絆感動もの。スライ版「チャンプ」。こっちが高校生になって物事を何でも斜に構えて観るようになったせいか、強烈にこっちに迫ってくる感銘は薄かった。逆に今の年齢で改めて観た方がうるうる感動するかもなあ・・・。 「ロッキー」の第一作、ファイナルを除けばスライの映画では一番出来がいいって言うのは褒め過ぎ?(笑) [映画館(字幕)] 7点(2012-03-10 11:01:25) |
229. 早春(1956)
馴れっていうのは本当に怖いもので、何本か見ているうちに小津監督作品の本流っていうのは、豪華スター共演による「適度にユーモラスな笑いとペーソスを交えた適齢期の娘とその親父の物語」っていう固定観念がいつのまにやら私の中では出来上がっていたようです。その一つの完成型が「彼岸花」(10点)であったわけで。さてさて、この作品は倦怠期を迎えたサラリーマン夫婦の危機を描いています。戦後の小津監督のフィルモグラフィーの中では、明らかに傍流に当たるのかと思われますが、不倫という小津映画にしてはあるまじき事件が描かれていながらも、例によって例のごとくのこの監督のタッチゆえ、ドロドロした様子などほとんど微塵も感じられません。不思議。これがいわゆる小津芸術マジックなんでしょうか?↓どなたかも書かれていますがこの題材で成瀬監督ならどのように料理したのか想像してみると、より楽しいのかもしれません。主役三人それぞれがご自分の魅力を十分発揮していると思います。淡島さんのお母さん役の浦辺粂子さんが少ない出番ながらもやっぱり上手い。本日、淡島さんの訃報に接しました。この映画で夫の浮気に心揺らす女から、「夫婦善哉」(8点)でのひたすらダメ男に尽くす女、時代劇でも現代劇でもコメディでも、どんな役でもこなせる芸域の広い素敵な大人の女優さんでした。数年前「大停電の夜に」(7点)を観たとき、まだまだお元気に頑張って欲しいなあと思ったんですが・・・。残念です。またひとり昭和の偉大な名女優の方が逝かれました。ご冥福心よりお祈り致します。一ファンより。森繁さんはきっとあちらで、笑って出迎えているんでしょうね・・・。 [DVD(邦画)] 7点(2012-02-16 22:40:30)(良:2票) |
230. 殺意の香り
ほんっと可もなく不可もない、なんとも古めかしい精神分析ネタサスペンス。心理分析医と謎のブロンド美女っていうお膳立てはヒッチコック作品を連想させられるんですが・・・。「クレイマー~」でオスカーゲット直後のロバート・ベントン監督、上昇気流に乗ってたメリル・ストリープの再タッグを期待した観客にはこの程度の出来では不満だったはず。「クレーマー~」が当時の世相に鋭く切り込み、映画界に新しい風を呼び込んだ作品だっただけに、一層古めかしく感じたのかもしれません。80年代前半よくテレビに出てた「当世いい女風」を気取ってた女性タレントさんが、皆さんこの映画でのメリルのヘアスタイルでしたね。松岡きっことか藤真利子とか。彼女たちを見かけるたんびに、この映画のメリルが重なって映りました。メリルはこの作品では特に馬渕晴子さんに似てる。 [映画館(字幕)] 5点(2012-02-15 11:13:45) |
231. 新Mr.BOO!アヒルの警備保障
映画館で唯一観た「MR BOO!」映画。田舎じゃ「ブッシュマン」と同時上映。当時「ブッシュマン」も社会現象みたいな形でブームになっていて、色気に目覚める前の中学生のガキどもにとっちゃ、映画館という場所自体が「ミラクル暗闇ワンダーランド」的超絶ワクワク二本立てでした。確か字幕で観たはずなんですが・・・やっぱりこのシリーズはマイケル・ホイ=日本語吹き替え広川太一郎氏ありきのコメディだったんだなあと。彼の「~してみたりなんかしちゃったりして」とかいう、バカバカしい独特アドリブアテレコ芸は、別の作品のレビューでもどなたか書かれてましたが、「無形文化財」くらいの価値は絶対ある!っていう意見に私も同感です。だって30年以上経った今でも、この台詞キーボードに打ち込んでるだけでも、彼のアノ口調が耳にありありと蘇ってくるんですよ。これって正直スゴイ事じゃないすか?(笑)このシリーズ、土曜日のゴールデン洋画劇場で放映されるっていう一週間くらい前から、もうクラスの連中大盛り上がりだったなあ・・・みんな無邪気でバカだったよなあと、懐かしくなりますね。 [映画館(字幕)] 7点(2012-02-05 13:50:16) |
232. おいしい結婚
小津映画によく出て来る(「秋日和」「彼岸花」とか)小料理屋さんでやたら飲んじゃあ食っちゃあして、だべる事しか能がない何の仕事してるかわからんけど、それなりに社会的地位やお金もありそうな中年男たちっていましたよねえ。んで、彼らの憧れの年増未亡人ヒロインが原節子だったりする・・・。この映画はそれを平成風にリメイクし直したような映画だと思いました。ハイ、もちろん精一杯の褒め言葉です・・・(汗)やたら理由もなくチヤホヤされまくる原節子のポジションが、当時好感度女優ナンバーワンで押しも押されぬ国民的女優だった三田佳子。巧く作ればそれなりの映画になったような気がするんですが・・・。中年男グループも含め、なんだが皆さん幼児性丸出しで、ゲンナリしてしまった記憶が。おかげでお目当てだった斉藤&唐沢の若手カップルの印象が極めて薄くなる結果に。森田監督のフィルモグラフィーの中ではこれは凡作の一つだと思います。 [映画館(邦画)] 4点(2012-02-04 18:45:15) |
233. 逃亡地帯(1966)
《ネタバレ》 「フィールド・オブ・ドリームス」「マディソン郡の橋」「ピクニック」とか観ると「ああ、アメリカの田舎もなかなかのどかでええなあ、こーゆートコで一週間くらいのんびりしてみてえ」って思うんだけど・・・。「悪魔のいけにえ」やこの映画を思い出すたんびにそれとは真逆の気持ちになるんですよね。こんな辺鄙な場所に行ったら何されるかわかんないつうような(←単細胞なヤツ)キャストがやたら豪華だけど、田舎に住む人間たちの偏狭な集団心理の恐怖みたいなものを描きたかったのか、極めて後味が悪い結末も含め喰い足りない箇所が多すぎる。悪名高いテレビ東京午後のロードショーバージョンで観たので、かなりカットされてたのかもしれません。若かりし頃のジェーン・フォンダが生き生きしてるのが救い。 [地上波(吹替)] 5点(2012-01-31 00:00:16)(良:1票) |
234. ビッグ
《ネタバレ》 僕にとってのトム・ハンクスという役者さんは「スプラッシュ」から「めぐり逢えたら」までのスター。今ではすっかりハリウッドの重鎮っぽくなってしまいましたが・・・。特にこの時期、この映画でのトムの最大瞬発力、軽妙浮薄を絵に描いたようなコメディアンっぷりは、将来絶対ジャック・レモンの正当な後継者になるに違いない!!って踏んでたんですが・・・。子供のアタマのまんま体だけオトナになるなんて、結構誰でも浮かぶようなアイデア。このワンアイデアから万人にわかりやすく、しかも抜群に面白い娯楽作品に仕上げるっていうのは並の力量じゃ出来ない事だと思います。ああ・・・この頃のトムの笑顔にもう一度会いたいなあ・・・。 [映画館(字幕)] 8点(2012-01-26 11:31:31)(笑:1票) |
235. おかしな二人
《ネタバレ》 「それほどおかしくもない二人」でした。とにかく華!華!!華が足りない~!!!中盤から双子の姉妹とか顔は出しているけど、たいして魅力的ってわけでもないし。ジャック・レモンって、チャーミングな女優さんが脇にいてこそ、彼の個性がより際立つ男優さんなんですよね。(「媚薬」「アパ鍵」「お熱いのがお好き」「海の荒くれ」等しかり)ケーリー・グラントとほぼ同じカテゴリーの男優さんと言ったらいいか。確か師匠のビリー・ワイルダー監督が、「ジャックは目も覚めるような美人が前を通り過ぎた後、もう一度ちゃんと観ようと視線を向ける眼の演技が天下一品!」って発言を残していたような。むつけき男同士二人の台詞のやり取りを室内のみで一時間半以上持たせるのは、やっぱり難しいって事かなあ・・・と。当時だったらジェーン・フォンダとか、最高に相性の良いシャーリー・マクレーンが出てたらもっと楽しい映画になったかもしれません。結局僕は美人がわらわら出てくる映画が本質的に好きなのかもしれません・・・(汗) [DVD(字幕)] 6点(2012-01-18 13:33:46) |
236. シャレード'79
本家オードリー「シャレード」(8点)レビューした際には、まだこの作品は未登録で「このタイトルだけは汚してほしくなかったなあ・・・」って書いた記憶があります。本家との類似点はただ一つ「ヒロインの旦那が殺された」っていう発端のエピソードのみ。公開当時は「チャリ・エン」効果で飛ぶ鳥を落とす勢いだったファラー姐さん。「ロードショー」の表紙やグラビアでも、量多めのブロンドの金髪をなびかせ(片山さつき女史のヘアスタイルを想起されよ)大口あけて白い歯を剥き出しにしたガハハ笑いのドヤ顔が今でも脳裏に浮かびます。海外では原題に引っ掛け「誰が彼女の才能を殺したのか?」っていう非常に的確な批評があったようですね。お守り役のジェフ・ブリッジスもこの映画ではまるで魅力なし。ファラー亡き後、今からでも遅くはないから由緒ある「シャレード」の冠を外して原題に近いタイトルに修正してあげるのが、映画界では不遇だったファラー姐さんに対するせめてもの供養なんじゃないんですかねえ・・・。 [地上波(吹替)] 4点(2012-01-15 11:11:34) |
237. 秀子の車掌さん
『【秀子の】車掌さん』というタイトルからして、これは当時少女スターとして大人気だった高峰秀子のアイドル人気を当て込んでの製作だったことは想像に難くない。アイドルとしてのデコちゃんの魅力を生かしつつ、映画としても見ごたえがある作品に仕上げたのは成瀬監督の職人的手腕の賜物だと思う。戦後の数年間、絶不調だった成瀬監督は『稲妻』(10点)で奇跡の復活を遂げ、そこからまた第二の黄金期をスタートさせるわけだが、バスガイドをしている賢い末娘役に高峰秀子を起用したのは、戦前こしらえたこの映画での新米車掌役の彼女のイメージがよほど強かったからじゃなのかとも推測される。それにしてもこの映画のデコちゃんは本当にメッチャ可愛い。可愛い、可愛いと言っているうちに映画が終わってしまうほど可愛い(←アブナイ奴)自伝等にも書かれているが、背後にいろいろな重荷を背負っていたなんて画面からは微塵も感じられないほど嫌味のない愛くるしさをふりまいている。何かの作品のレビューの繰り返しになってしまうが、AKB軍団が幅を利かせているこの平成の世でも、もし彼女が現れたら、何の迷いもなく俺は大ファンになってしまうと思う。このレビュー未登録ではあるが『秀子の応援団長』という映画も、機会があれば観てみたい。ちなみにユーチューブで「煌めく星座」で検索すると、この映画の主題歌を唄う、在りし日の、まだまだお元気な頃の灰田勝彦氏と高峰秀子さんの動画が拝見出来ます。 [ビデオ(邦画)] 9点(2012-01-08 09:26:36)(良:1票) |
238. ゴースト/もういちど抱きしめたい
《ネタバレ》 もとのオリジナル(8点←単純に好きな映画だった)をカルピスの原液だとしたら、それを十倍か百倍くらいに希釈したような薄っぺらい味つけのリメイク。こういう映画に絶対的に必要な、ロマンチックな雰囲気醸成がまずもって不足しているのがダメでしょ。中野か吉祥寺かどっかのアーケード街での大立ち回りシーンなんか特に興醒め。別に変なトコで新味なんて出さなくてもいいから、男女の生死を逆転させずオリジナル通りでも、な~んの不都合もなかったような気がするんですがねぇ・・・。一体、コレどんな観客層を狙って製作されたんでしょう?韓流イケメン氏目当ての女性層?だったらやっぱ彼を死なせる側にしたほうが、その手の女性層に受けなかったか?もう20年も前の映画だからって事で、昨今のリメイクブームに単に乗っかっちゃっただけ?だったらオリジナルを凌駕するようなエピソードなり、こっちが思わずおおっとくるような泣ける名シーンでも作らないと。ミタ菜々子は正面からはともかく、横顔のショットの映りがイマイチ。もう少しカメラワーク工夫してキレイに撮ってあげてもよかったのに。 [地上波(邦画)] 4点(2011-12-24 11:27:47) |
239. (ハル)(1996)
《ネタバレ》 森田監督の突然の訃報にただただ驚いています。80年代初頭に台頭してきた若手監督の中でも森田監督の存在感は特に際立っていましたね。私は凡作「メイン・テーマ」で監督の名前を知ったクチですが(汗)メールという次世代的(?)機能がまだまだ目新しかった頃の当時の様子が非常に巧く捉えられていました。逢いたいけど逢えない、もどかしさみたいな感情が主役二人のごく繊細な日常的演技から充分伝わってきました。フカっちゃんも内野聖陽氏も瑞々しかったなぁ・・・。そっか、ずっ~と長いこと若い若いと思っていた森田監督も、実はもう還暦を迎えられてたんですね・・・。こっちも年を喰うわけです。森田監督作品では「家族ゲーム」「阿修羅のごとく」、そしてこの作品が私の中でのベストスリーです。ご冥福お祈りいたします。 [映画館(邦画)] 7点(2011-12-21 17:15:02)(良:2票) |
240. ショーシャンクの空に
幼いころ読んだ「ドラえもん」で、一番インパクトがあったのが(←好きな話というわけではない)「のび太無人島に行く」というお話でした。例によって例のごとく、親と喧嘩したのび太がタケコプターで家出をし、無人島にたどり着くという話。一向に救助は来ず、たった1ページでなんと30年も経過してしまい、髭もじゃのオヤジになったのび太は「あれから30年たった・・・パパやママやドラえもんは、どうしているかなあ・・・。このまま年老いて死んでいくのか・・・」とおいおい泣くんです。この話を読んで以来、自分はもう無邪気に「ドラえもん」の世界に入り込めなくなってしまったんですよ。何か起こっても、あ、のび太は一回大人に成長した少年なんだよな、じゃあ自分で何でも解決できんじゃない?ってつい思ってしまって。たかがマンガの中の話じゃないかと言われればそれまでなんですが(笑)不思議な事に、この映画を一番最初に観た時、何の脈絡もなく真っ先に自分の脳裏に浮かんできたのが、なぜかこの「のび太無人島へ行く」の話なんです。どうしてなんですかね?天国の藤子不二雄先生。(追記)気になって調べてみたらこの話、のび太が無人島にいた期間は10年だったようです・・・。人間の記憶力なんていい加減なものですねぇ・・・。 [ビデオ(字幕)] 8点(2011-12-18 11:40:39) |