2781. ブラック・レイン
当時の通勤途中で見かけたあの場所、この場所。スクリーンの中では妖しい魅力に溢れる光景で誇らしく思ったものでした。悪役好きの自分にとって松田優作の狂気に満ちた演技も日本男優ここにあり、と誇らしく思います。ラストシーンの百貨店の包装紙と健さんの表情は忘れられません。自分の思い出の作品です。 8点(2004-10-14 00:11:21) |
2782. サンセット大通り
初めて観ました。ノーマの老いを受け入れられない姿は強烈な印象ですが、自分にはマックスの存在が圧倒的でした。ノーマに仕える姿は執事としての忠実さを超えたものを感じましたが、最初のご亭主だったとは・・・自分の想像をはるかに超えるものでした。無償の愛というのでしょうか。ラストシーンの、マックスの別れを覚悟したような眼差しは胸が痛くなり、最後の晴れ姿を見届けてあげるから悔いなく精一杯演じよ、という思いがこめられたような「アクション」 この一言には胸が一杯になりました。心に残る作品です。 8点(2004-10-07 08:31:19) |
2783. イザベル・アジャーニの惑い
男にぶらさがる女、見返りを求める女。そんな女にウンザリしながらも哀れみから情けをかける男。こんな関係はどちらかが覚悟を決めてスパッと思いを断ち切らないと、長引けば長引く程お互いが傷つき不幸になるだけですね。この作品では女にそれを求めるのは無理なので、男がするべきでしたね。イザベル・アジャーニはこういう役どころを演じたら天下一品です。 8点(2004-10-05 22:34:11)(良:1票) |
2784. スクールウォーズ HERO
ドラマ「スクールウォーズ」に熱中した自分にとっては、懐かしさを感じる作品でした。山上役の照英は違和感無く良かったと思います。彼の「俺は、スター選手だった事をはなにかけて、皆を心の何処かで見下していた。その事を皆は気づいていた」という台詞が心に残りました。 7点(2004-10-03 00:07:24) |
2785. レボリューション・めぐり逢い
子供が成人するまでは親としてあらん限り力を尽くし、独立して巣立っていくときは笑顔で見送る。パチーノ親子の絆の強さは胸に響いてきました。パチーノとナスターシャ・キンスキー、パチーノとドナルド・サザーランドの絡みは物足りませんでした。アメリカとは独立戦争当時から身勝手な理屈を振りかざす国だったように感じました。 6点(2004-10-01 00:40:34) |
2786. 針の眼
《ネタバレ》 任務を遂行するために邪魔者はためらい無く削除するヘンリーが、指を切り落とされながらもルーシーを傷つける事無く死んでいったのは彼女を愛していたからでしょうか。ルーシーはデイビッドに愛されなく、淋しい心を癒されたくヘンリーに惹かれていったのでしょうが、デイビッドの亡骸にすがる様子や、ヘンリーにとどめをさした姿から、愛した人はデイビッドだったのですね。荒涼とした風景が三人の心模様を浮き彫りにさせているように感じました。ドナルド・サザーランドが時折見せる笑顔が、何とも物悲しかったです。 7点(2004-09-29 23:10:08)(良:1票) |
2787. 仁義
当時はアラン・ドロンを観るだけで幸せでした。今観てみるとドロンよりイブ・モンタンのほうに魅力を感じました。宝石店襲撃シーンに見られるように、寡黙な男達は渋いと言えば渋いのですが、彼らの心の内が感じられなく、淡々とした映像を淡々と観た様で物足りませんでした。 5点(2004-09-22 06:47:59) |
2788. ディープ・ブルー(2003)
自分はドキュメンタリー大好き、海が大好きです。「誰も見たことの無い世界を見せてあげよう」に物凄く期待しました。スクリーンに身を委ね、日常の世界を何もかも忘れ、ひと時を神秘の海中をゆらめく気分に浸りたかったので映画館へ出かけたのですが。見た事のある映像がありましたし、ビデオなら音が消せますが、やかまし過ぎる音楽には辟易しました。時間とお金をかけた甲斐がなかったのは無念でした。 3点(2004-09-19 00:23:44) |
2789. 恐怖の岬
リメイク版は何度か観ていますが、こちらは初めて観ました。弁護士一家は上品でリメイク版の濃い三人に比べてずっと良かったです。デ・ニーロが見せるあからさまな狂気より、ロバート・ミッチャムのふてぶてしい面構えの中に見える狂気の方に怖さを感じました。川の中での肉弾戦は観ていて物凄く力が入りました。 7点(2004-09-17 00:37:07)(良:1票) |
2790. マルサの女
伊丹監督作品の中でこの作品が私にとって最高です。知恵と度胸の板倉亮子への憧れと、査察部の面々の一丸となっての仕事振りを観た時の羨ましさは、当時も今も変わりありません。受けて立つ権藤との攻防は手に汗握りました。この作品を作り上げた方々の一丸となっての仕事振りにも敬意を表します。 [映画館(邦画)] 10点(2004-09-13 00:58:02)(良:1票) |
2791. 少林寺木人拳
当時、ジャッキー・チェンの3本立てを観て、この作品だけ記憶に残っていました。その後、数多くの彼の作品を観ましたが、この作品が最高です。師を敬い、人間離れした修行に一途に励む姿。「何故、殺したんだ」と搾り出すように叫び、師に立ち向かう姿。「小僧強くなったな」と迎え撃つ師。バックに流れる「ミラクルガイ」に、そして、若きジャッキーの面持に切なさを一層かき立てられてしまいます。 [映画館(字幕)] 8点(2004-09-08 00:46:18) |
2792. クルージング
ゲイの皆さんが集う酒場のシーンは、「人生いろいろ」と感じました。何度観てもラストが理解できません。 3点(2004-09-01 00:56:05) |
2793. フリック・ストーリー
《ネタバレ》 実在したらしい稀代の殺人鬼エミール・ビュイッソンを演じるトランティニャン。自分の中で最高のトランティニャンです。視線で人を殺せる事が出来る様な凄み、躊躇するという事を知らない冷酷無比な所業と、その際の能面の様な表情はエミールそのもののように感じて、底冷えのする怖さでした。一方で、ピアノに聴き入る姿は人間の血が僅かながらも通っているようで奥深さを感じました。したたかで理詰めにエミールを追ってゆくロジェを演じるアラン・ドロンの抑えた演技も良かったです。レストランでの逮捕までの一連のシーンは、ピリピリした空気で脈拍が早まり耐えられない程の緊張感でした。 2022年6月17日没 合掌 [ビデオ(字幕)] 8点(2004-08-28 01:24:52)(良:2票) |
2794. 素直な悪女
男なら誰でもいいのかと聞かれて、女もよと答えたのには、ジュリエットならやりかねんなぁと笑ってしまいました。まだ子供なんだから、分別も理性も見境も知性も教養も気品も無く、楽なこと、遊ぶ事、セックスする事にしか脳が働かなくてもおかしくないのでしょう。ただ、子供のくせに美貌と肉体美とふてぶてしさは人並み以上なので男どもはヨロメクのでしょうか。ジュリエットがビンタを四連発くらっていましたが、自分は三兄弟とエリックに「いいかげん、目を覚ませよ」とビンタしてやりたい心境でした。最後のほうの踊りまくっているジュリエットをご覧になった当時の殿方はよろめいておられたのでしょうか。全編に亘ってあほらしと思いながらも分別あるエリック役のクルト・ユルゲンスと純情なミシェル役の若きトランティニャンのお陰で最後まで観賞できました。 6点(2004-08-27 00:12:40) |
2795. 暗殺の森
《ネタバレ》 初めて観る作品で三日続けて三回観ました。普通に生きたい、皆と一緒でありたいと願うマルチェロですが、体制に、権力の中に身を置き、傍観者として自分の意志を持たず、日々流されていくのが普通なんでしょうか。保身のために、友、恩人、愛する人を裏切り見殺しにする生き方を大なり小なり誰もがしていると監督は言いたいのでしょうか。生気の失せた妻の姿、トラウマの源が生きていた事に驚愕するマルチェロの姿は、こんな生き方は普通ではないが、この生き方しかできないというどうしようもないやりきれなさを感じました。そして、この作品のワンシーンの何処をとっても絵画として観賞できるハッとする美しさ、全編に漂う妖艶さ、役にピタリとはまるトランティニャン。一回目より二回目、二回目より三回目と観れば観るほど惹きこまれました。映画は芸術でもある事を実感させてもらいました。 10点(2004-08-21 00:02:37)(良:1票) |
2796. 大いなる幻影(1937)
初めて観ました。ピエール・フレネーとエリッヒ・フォン・シュトロハイムの素晴らしさにジャン・ギャバンがかすんで見えました。生き方の美しさ、潔さ、強靭な精神に武士道に通じる騎士道を見せられて、思わず背筋が伸びてしまいました。国を愛するために人を愛する事を犠牲にさせる戦争の愚かさ、やり切れなさを痛感させられる作品です。 10点(2004-08-20 01:13:50)(良:1票) |
2797. 恋人よ帰れ!わが胸に
無茶苦茶な邦題は別として、見応えのある素晴らしい作品でした。優しさや思いやりなど一銭の得にもならん、生きるのには不必要が信条のようなウイリーの、知恵を働かせ、絶対に引き下がる事無く何が何でも目的を果たそうとするえげつなさと、果たせなくても決して反省もせず落ち込みもしないド厚かましさは、何故か憎めない所があったせいか少し羨ましく感じました。人を疑う事を知らぬような、お人好しで純真な好青年ジャクソン。この両極端な二人が強烈なればこそ、どちらにもなりきれず、ご都合主義的に心が揺れ動くハリーの情けなさ、やるせなさが際立っていました。ジャック・レモンとビリー・ワイルダー監督の真骨頂を見せてもらいました。 9点(2004-08-14 01:08:34) |
2798. 眼には眼を
砂漠の中を彷徨い歩く医師が抱いているであろう死ぬかもしれないという恐怖感を想像すると、見ていて怖くて怖くて仕方なかったです。男が妻を連れて病院へ向かう心中も同じものだったのでしょう。「同じ思いをあじあわせてやりたい」 悲しみ憎しみが人を復讐へと駆り立てるのでしょうが、ラストの男の哄笑、砂漠の光景はこれ以上ない程救いがなく、舞台は灼熱地獄ですが、男の決して融けることのない凍りつくような心中に息を呑む思いがします。男は本望なのでしょうが、虚しさが消えない恐ろしい作品でした。 【2014.7.13追記】レンタル店で発見し再見。 「井戸に水があるとは言ってない」ボルタクの物腰の冷静沈着さに誰にも止める事が出来ない意志が見て取れ、やはり虚しさに支配される作品でした。 [DVD(字幕)] 10点(2004-08-05 07:12:26)(良:1票) |
2799. シー・オブ・ラブ
惚れた彼女が犯人か否か、適度にハラハラさせてもらった、そこそこのストーリーでした。エレン・バーキンは伸びた前髪の如く見ていてイライラうっとおしくて苦手ですが、パチーノが一緒でしたので何とか我慢することが出来ました。こういうリラックスしたパチーノの演技は見るほうもリラックス出来ました。ジョン・グッドマンいい味出していました。 7点(2004-08-01 17:18:54) |
2800. 外科室
永年に亘って人知れず何度となく彼の名を口にしていたのでしょうね。うわごとで口にしてしまうのを恐れる心中は理解できます。二人の外科室でのわずかなやりとりに万感の想いがこめられているように感じました。 互いに家族を持ち幸せに暮らしながら、二人だけの世界を持ち生きてゆく、という選択は出来なかったのでしょうか。 7点(2004-07-31 23:55:35) |