581. 女王エリザベス
同監督前年の「ロビンフッドの冒険」と同じく、鮮やかなテクニカラーがとにかく美しい!全編老けメイクのエリザベス女王=ベティ・デイヴィスの神経症的ノイローゼ演技が見もの。指先にまで細心の注意を払い、ちょっと演じすぎ?とも思えなくもない大熱演ぶり。やたらとお付きの家来を下げさせ、エセックス卿=二枚目エロール・フリン氏とイチャイチャしている場面ばかりが印象に残る。ダテ喰う虫も好き好きとはいえこのエセックス卿が、脇にオリヴィア・デ・ハヴィランドという美女がいるにも関わらず、妄執の権化エリザベス女王にご執心なのが私には解せず。やはり女王との英国共同統治という権力への野望が彼の審美眼を狂わせてしまったのかな・・・?スコットランドとの戦争スペクタル場面もちょっと物足りない。 [DVD(字幕)] 6点(2008-04-05 11:47:43) |
582. 古都(1963)
最初に市川=山口百恵リメイク版を観てしまっていた分、どうしても比較論になってしまいます。原作の雰囲気、古都京都の情緒、画面の厚み、どれを取ってもこの中村登=岩下志麻版の方が勝っていると思います。京都フェチ人間にはこれはホントにたまらない映画。時折NHK教育みたいなナレーションが入ってくるのだけは不粋だが、これは外国人向けに解り易い解説を施すためか?でも自分は沈んだ画調の山口百恵リメイク版も好きなんですよね・・・。別に百恵のファンって訳でもなかったけれど、この芯の強いヒロインには合ってました。リメイクのダメなトコは、三浦友和の出番を増やしたいがためにいらん人物を創作してしまった事。オリジナルの長門裕之の役をちょっとふくらませれば良かっただけなのに・・・。採点が同点なのは「鬼畜」レビューでも書いたけど、私は昔から志麻が怖いから。もう一番最初に観た時から怖い役だったので、これはもうどうしようもないトラウマ。今さらこの清純可憐なヒロインを見せられても、志麻が演じるからには何か絶対裏があるんじゃないか?双生児を入れ替えて(←「悪霊島」かいっ!)ドロドロのお家乗っ取りを企んで、志麻が暴れ回る展開になるんじゃないか?とつい変な邪推をしながら観てしまったせい。 [DVD(邦画)] 7点(2008-04-04 11:17:19)(笑:1票) |
583. 王様と私(1956)
《ネタバレ》 デボラ・カーの歌声は「マイ・フェア・レディ」のオードリーや「ウエストサイド物語」のナタリー・ウッドと同じくマーニ・ニクソンという方の吹替え、でも台詞から歌に変わる時の違和感が全くないのに驚かされました。声の質がホントに良く似てるんです。それより何より、このデボラ・カーの英国女性らしい仕草のひとつひとつ、物腰の淑やかさに自分は魅了されてしまいました。ああ・・・、歩くと衣づれの音がする、あのまふまふしたふわっとドレスの裾に頭ごと埋もれてみてえなあ・・・。この王様役はやっぱりユル・ブリンナー氏以外には考えられない。「エトセトラ~エトセトラ~エトセトラ!」っていう小気味良い台詞回しがしばらく耳から離れそうにもない。鍛え上げた腹筋使って台詞を言っているような感じ。オハナシ自体も今となっては古典的だし、ミュージカルとしても古風なんだけれど主役お二人の比類なき魅力、佳曲が多い事もあって楽しめました。タイの風俗等、おそらく相当間違いがありそうな描写が散見されるけれど、日本を含めハリウッド映画のアジア認識は当時いい加減だっだのはわかっているのであえて目くじらは立てません。ラストはアンナを引き留める為の王様の小芝居かと思って観ていたので、ホントに亡くなってしまったのにはびっくり。 [DVD(字幕)] 7点(2008-03-31 11:26:22)(良:1票) |
584. デッド・サイレンス(2007)
《ネタバレ》 ホラー映画に殆ど免疫のない、ごくごく善良な観客の自分はこの映画を「遊園地のお化け屋敷的アトラクション」ムービーとして大いに楽しみました。序盤から感じていたちょっとした違和感は、ラストのオチまで観てようやく納得。「ソウ」の監督が何もしないまま終わる訳はないと期待していたので、しっかり騙されてしまった事も素直に嬉しかったりする。不気味な腹話術人形をモーテルの部屋までも持っていくくせに、うっかり葬儀屋に置き忘れる主人公の青年、不思議。終始何故か単独行動を貫いてわざわざ危険な目に遭いに行くヒゲ面刑事さん、このヒトの行動も不思議。素朴な疑問点をホラー映画好きの友人にぶつけてみたところ、ホラー映画ではそういう些細な点は見逃してあげた方が楽しめるだよと優しく諭されてしまいました。ふ~む・・・。1200円で最新の恐怖アトラクションを体験出来たと思えば、これは値段相応だと思います。大昔のユニヴァーサル映画の会社のマークがタイトルバックに出てきた時、ああ、これは古典的な怪奇映画のセンを狙ってるんだなっていう予想だけは当たりました。 [映画館(字幕)] 6点(2008-03-30 10:13:59) |
585. ブラックサイト
《ネタバレ》 観終わって全身汗びっしょりっす!!ハラハラドキドキするのは保証しますが、神経的心理的にヤな方向性でのハラハラドキドキなんですよね、これが。似た傾向の作品として引き合いに出されている「羊たちの沈黙」は、自分はブラウン管での鑑賞だったんでそれほどとも思わなかったけど、これはかなりのグロさ。猟奇的殺人サスペンス+非常に今日的なインターネット犯罪ジャンルとしてはなかなかの出来。つい最近も某香港スターのエロ画像ネット流出事件も発生して話題になったし。ダイアン・レイン演じる、FBI捜査官、一児の母両方の責務を背負う責任感がやたら強い女性の、常に疲労感が全身に漂っている感じも良いです。それにしても相棒の男性刑事の方は役立たずな事この上ないなあ・・・。もう男の助けなんか必要ないみたいですね、この手の強靭な女性には。人間の好奇心に蓋をする事はそうたやすい事ではないと思う。登山家が「そこに山があるから登る」のと同じ事で、「そこにあるからつい見たくなってしまう」人間の脆弱な欲望を鋭く衝いた、単なる猟奇サスペンスには終わらせない問題提起作。6点か7点か迷ったけど色々考えさせられたんで7点。 [試写会(字幕)] 7点(2008-03-29 10:57:45)(良:1票) |
586. エル・ドラド(1966)
これはもう完全な「リオ・ブラボー」(10点)の姉妹編というか焼き直しですね。前作のアル中ディーン・マーティン→ロバート・ミッチャム、若手リッキー・ネルソン→ジェームズ・カーン、ご老体ウォルター・スタンピー爺・ブレナン→ひげ面のじっちゃんに変更しただけ。人物配置や状況設定が本当によく似てる。ラストが意外にあっけなく片付くのも同じ。確信犯としか思えないな~、これはもう(笑)全編に豪快でしかも巧まざるユーモアが漂っていて、これはこれで楽しい。つうかジョン・フォードでも、なかなかこういう味わいまでは出せかったような。ホークス監督お得意の男臭さ全開の痛快娯楽ウエスタン。ただこちらには名曲「ライフルと愛馬」「皆殺しの歌」に変わるような唄がないのが残念。ジョン・ウェインの指示を仰いでさえいれば、物騒な酒場や大西部で巻き起こるどんな難局だって乗り越えられそうな感じがしますね。とにかく渋くて安定感抜群でカッコイイ!彼の着ているシャツが荒くれ西部男にしちゃやけに洒落てると思ったら、衣装担当がイーデス・ヘッド女史でした・・・なるほど。 [DVD(字幕)] 8点(2008-03-28 11:09:09) |
587. 催眠
自分が観た数少ないジャパニーズホラーもの。確かこれ、菅野美穂が、「♪ケケケケ・・・・」と不気味に笑いながら病院の廊下を空中浮遊する映画ですよね。菅野美穂ってドラマじゃ当り役がたくさんあるのに、映画だとホント役に恵まれてないなあ・・・。好きな女優さんなだけに残念です。キャスト表見ると結構な豪華キャストだったんだ・・・、でもまるで印象にないや。 [映画館(邦画)] 3点(2008-03-24 11:35:40) |
588. ひばり・チエミの弥次喜多道中
何かの書籍で、美空ひばり主演映画は沢島忠監督とのコンビがベストっていうのを読んでいたので、これずっと見るの楽しみにしてました。同時期の東宝製作、「ジャンケン娘」を初めとする「三人娘」一連の現代ものミュージカルより、こちらの時代劇の方がお二人ともずっとイキイキして見えます。アイドルと呼ぶには二人ともお顔がご立派なので、ズラの似合う事似合う事(笑)ここにもし超小顔の雪村いづみが入ったら、やっぱりバランス的に悪くなっちゃうような感じ。全盛期の東映時代劇ってなんかホントに「お祭り的にぎにぎしさ」に満ちてますよね。映画を作ってるほうもひたすら楽しんでいて、観ている側にもその愉しさがストレートに伝わってくるような。映画ファンにとっては幸福な時代の娯楽作品。 [DVD(邦画)] 7点(2008-03-23 10:22:04) |
589. マイ・ブルーベリー・ナイツ
《ネタバレ》 この監督の映画から、スタイリッシュな映像美と、大いに見栄えのする美男美女スターたちの顔を除いたら、一体全体何が残るんだろう?という疑問と苦言を呈したくなる一篇。恋愛の切なさなんかち~っとも感じられないし、ストーリーもごくありふれていてつまらない。初主演ノラ・ジョーンズも最初登場してきた辺りはともかく、まだ一本の作品を背負えるほどの魅力があるわけでもない。皆さんお待たせ~♪と言わんばかりに、やっと後半登場してくる、ナタリー・ポートマンの相変わらずの奇妙で特異な存在感にだけは惹かれるものが。中身はなくとも雰囲気重視の観客向けかも。お洒落な業界人の方とかが集まるショットバーで映像流しっぱなしにしておくのが一番相応しいような作品だなあ・・・。ジュード・ロウは汗や粉で汚れててもやっぱりイケメンさんやね。 [映画館(字幕)] 4点(2008-03-22 15:10:56) |
590. 有名になる方法教えます
「ボーン・イエスタディ」に続く、ジュディ・ホリデイ&ジョージ・キューカー監督コンビの日本未公開秀作コメディ。これもなんで輸入されなかったのか不思議なくらい良く出来た映画。「ボーン~」よりオハナシが数等面白く、職人キューカー監督の演出もこの作品の方がより冴えているような気がします。しかも大好きなジャック・レモンのデビュー作!後の数々のビリー・ワイルダー作品でみせてくれた、軽妙洒脱演技の萌芽がこのデビュー作からも充分過ぎるほど伺えます。50年代のハリウッド映画って、表面上は結婚するまで関係を結ばないっていう厳しい倫理規定があったので、それが一歩間違えれば共感が得られそうにない自己中ヒロインを、良い方向にギリギリの所で救ってるんですよね。ただ素朴に「有名になりたい!」って願うだけの可愛いイノセントな女の子に見えてしまう。このブロンド美人の役って20世紀フォックス製作なら、マリリン・モンローにも演じられそうだけれど、このジュディ・ホリデイは頭でちゃんと計算したコメディ演技を披露していると思います。マリリンだと天然系のおバカさん演技になっちゃいそう。アパート階段でのレモンとのやり取りは特に出色。古き良き時代の都会派コメディ映画がお好きな方、そしてジャック・レモンが好きな人には特にお勧めっす! [DVD(字幕)] 8点(2008-03-21 12:01:59) |
591. 東京のえくぼ
後に東宝で「社長シリーズ」や「世界大戦争」を撮る事になる松林宗恵監督のデビュー作。どちらかと言えば舞台女優としての評価が高い、丹阿弥谷津子唯一の映画主演作。スリと間違えたのが自分が採用された会社の社長(上原謙)だった事で巻き起こる騒動。ハリウッド映画でなら、スクリューボールコメディとかで使えそうなオハナシ(主演はシャーリー・マクレーン&ディーン・マーティンあたり?)です。形骸化した存在だった社長が、ヒロインと関わる事で次第に人間性を取り戻していくっていう展開は◎。騒動にはなっても「大」騒動になるまでには至らない、あくまで日本映画的おっとりした喜劇になっているのは構わないが、もっと羽目外して面白く作れても良い設定なのになあ・・・。「特別出演」とわざわざクレジットに出している高峰秀子は本筋には絡まない、ヒロインの旧友婦人警官役。フランス留学から帰国して間もない頃だったのか、制服がはちきれんばかりのムチムチぶり。こんな健康的にふっくらしてた高峰秀子なんか見た事ない(笑)小柄な丹阿弥嬢のトランジスタ・グラマー(←死語)ぶりとも合わせ、ふっくら女性フェチ(?)にはたまらん映画かと。当時の東京のあちこちの風景が見られるのも一興。 [DVD(邦画)] 6点(2008-03-17 11:08:25) |
592. こちらブルームーン探偵社<TVM>
うわっ!これ懐かしい・・・ここに登録されてたんだ。でもこれって映画だったっけ・・・?なんて議論はさておき、洒落ててメッチャ好きだったなあ・・・。NHKで放映された時、第一回目はビデオに録画して何回も繰り返し観た記憶が。まだエラクなる前の、前髪が残ってたブルース・ウィルスと、クールビューティブロンド美人シビル・シェパードの掛け合い漫才みたいなやり取りがやたら楽しかった。何かこの二人は犬猿の仲だっていうのをその後「ロードショー」とかのゴシップ記事で読んだような。実際はどうだったんでしょうね・・・?毎回息ぴったりなコンビに見えたんですが。ラストはヒッチコック映画のクライマックスを彷彿とさせるような、ビル高所でのハラハラドキドキ場面があったっけ。このシリーズDVDになってるなら是非再見観たいっす! [地上波(吹替)] 7点(2008-03-16 10:08:44) |
593. 稲妻(1952)
「人間が愚痴を言う事の美徳」を礼賛した成瀬巳喜男監督の傑作。とにかくまあ全編「ずるずるべったり」(←この言葉好き)の登場人物が、互いに互いの愚痴を言い合うシーンの連続。極言すればこの映画にはそれしかないと言っ切ってしまってもいい(笑)それなのに面白くてたまらない、不思議。成瀬監督には大風呂敷を広げた題材よりも、狭くて息苦しくなるほどの下町地縁の中、欠点だらけのぐうたら人間がグズグズグズグズ蠢いているオハナシの方が絶対向いていると思います。四人の子供が四人とも違う父親から生まれたっていう林芙美子原作の設定もよく考えたら凄い。性格がてんでバラバラな兄弟一人一人の人物像もくっきりと浮かび上がっています。この母親にしてこの子供たちありっていうのを観客になるほどと納得させる、母親役の浦辺粂子がやっぱり巧いですね。小沢栄太郎のイヤラシサも絶品。唯一人、この世界から何とか抜け出して自活しようとする聡明な末娘役、高峰秀子の醒めた視線と立ち姿、そして時折見せる笑顔のなんと美しい事!この映画が私にとっての成瀬映画ベストワン。世評、評論家筋では「浮雲」が彼のベストワークという評価ですが、自分はあまりにいろいろな文献を読んだ後で観てしまった為か、それほどとは思えず。 [映画館(邦画)] 10点(2008-03-15 10:48:41)(良:1票) |
594. ハリウッドランド
《ネタバレ》 50年代ハリウッド映画界、及び創生期テレビ界の裏話ものとしては出色の出来。いつもは図体ばかりデカくて大味さが目立つベン・アフレック氏が、この悲運なスーパーマン役者とキャラクターが見事一致。本来なら頼もしいはずの広く大きな背中に大いなる哀愁を漂わせ、これは彼にとっては一世一代の名演なのでは?と思わせてくれる。特撮?に失敗しガックリと肩を落とした大きな背中を、真後ろから映したショットが全編の中では最も印象的。やはり役者は自分の丈に合った役どころに恵まれないとイカンって事やね。個人的には名作「地上より永遠に」(9点)の試写会の模様とかも出てきて、一層興味をそそられた。モンゴメリー・クリフトのそっくりさんとか安易に出してこなかったんで一安心。有閑夫人の老け役に堂々挑戦したダイアン・レインも好演。ダイアンは良い感じで年を重ねてるなあ・・・。スーパーマン役者の死の謎を探る、実質主役の私立探偵役エイドリアン・ブロディ氏はここでは何でか精彩があまりない。おそらく彼自身の抱えている問題と、スーパーマン役者の苦悩とを真相が明らかになるにつれリンクさせていく展開を狙っていたんだろうけど、アフレック=スーパーマン側に今回は完全に喰われてしまった感じ。 [映画館(字幕)] 7点(2008-03-14 11:02:23) |
595. うた魂♪
《ネタバレ》 ガレッジセールのゴリを高校生役にキャスティングするという暴挙?に出た以上、(←しかも回想シーンでちゃっかり中学生役までやってる!)超ぶっとんだ展開にならなくちゃマズイ映画でしょうこれは。演出が意外に真っ当で、画面がイマイチ弾まないのはどういうわけか?本編中流れる数々の愛唱歌と、キャストの魅力に支えられた一篇。薬師丸ひろ子の何十年かぶりに聞いた、変わらぬ澄んだ歌声には思わず郷愁さえも憶えてしまう始末。大ファンだった頃のココロの古傷がやたらとチクチクうずきまくりです。クライマックスの合唱コンクールで地元一般高校生たちが出てくるけど、実際はああいう地味な子たちの集団なんだろうな~合唱部所属部員なんて(←偏見)・・・と、途中急に夢から醒めて冷静になってみたりなんかする。夏帆みたいなコがいるガッコなら通ってみたかった・・・。彼女は「天然コケッコー」から順調に伸びているようで期待度大。この種のジャンルでは、もう何番目か忘れてしまうほどの「煎じ残し」だけど、素直な作りなので許します。音楽が持つ力っていうのはやっぱりすごいよね。 [試写会(邦画)] 6点(2008-03-10 11:30:46) |
596. ひばり・チエミ・いづみ 三人よれば
「大当たり三色娘」以来7年ぶりの三人娘共演作。正確には第一作「ジャンケン娘」の続篇。年月は経てもこのシリーズが持つ、伸び伸びした明るく健全な雰囲気は全く変わらないのが嬉しい。残念ながらお三人の演技的な上達は殆ど見られない。その代わり、レビュー場面等での三人三様の天才的なエンターテイナーとしての実力はかなり成熟してきたように見受けられる。元々歌手なんだから当たり前か。いづみの相手役、ファンファン岡田真澄氏がアヤしくいい味出していて好演。健康優良児的で頑丈そうな江利チエミが、この中で一番先に早世されたなんて、このシリーズ全般を見る限りじゃ信じられないですねえ・・・。自分は彼女が活躍していた時期をリアルタイムでは全く知らないんですが、今でも時たまテレビで放映している彼女の追悼特集なんかを見ると、本当に万人に愛されるサザエさん的キャラクターだったんだなあ・・・としんみりしてしまいます。それだけに唯一人まだ現役で活躍中の雪村いづみさんには、いつまでもお元気でこの三人娘の思い出を語り続けて頂きたいと切に願う。 [DVD(邦画)] 6点(2008-03-09 10:54:26) |
597. アニー(1982)
これ確か忘れもしない、自分が映画ファンになった1982年の冬に、あの「E・T」と公開がぶつかったんだよなあ・・・。この年のお正月映画は「アニー」「E・T」「ランボー」「地中海殺人事件」かって事で話題作が目白押し。結果はスピルバーグ「E・T」の圧勝。自分の周りでも「アニー」観に行ったっていうヤツはいなかったような。自分で登録しておきながら、オッサン世代になった今頃になって鑑賞してのレビュー。非常に古風なミュージカル、ストーリーは日曜夜7時半「カルピス名作子供劇場」の枠でやりそうな「キャンディ・キャンディ」みたいなオハナシ。つうかアニーとキャンディってキャラが相当被る。確かアニメのキャンディには孤児院にアニーっていう金持ちの家にもらわれていった友達がいなかったか?ああ・・・なんだかややこしくなってきた(←自分でややこしくしてるだけ)孤児だけど、明るく元気一杯のそばかすだらけのアニー。女秘書が数いる孤児の中から赤毛のアニーを選んだ理由もよくわからないし、偏屈な金亡者大富豪アルバート・フィニー氏がいともたやすくアニーに懐柔されてしまうくだりもなんだか物足りない。「トゥモロー」は名曲なんだけどね・・・。今大人がこれを観て、満足出来るかどうかは別問題。「シリアル・ママ」の老女殺人シーンで、この映画のオープニングシーンを使った、ジョン・ウォーターズ氏は相当な悪意の持ち主と見た。監督がジョン・ヒューストンっていうのも畑違いのような。 [DVD(字幕)] 5点(2008-03-08 10:40:33) |
598. 無法松の一生(1958)
《ネタバレ》 未見にもかかわらず、何故か観たようなつもりになっていた映画っていうのが自分の中に結構あるんですが、これもそのうちの一本。オリジナル=モノクロ阪妻版は大昔、子供の頃見た記憶があるけど、あまりに昔過ぎてよく覚えてないや(笑)先日観た川島雄三監督「わが町」(8点)で辰巳柳太郎が演じたタアやんと同じく、いまやほぼ絶滅種となった「正しい日本快男児の美徳」標本のような魅力的な男の一代記。画面作りや演出も、非常に厚みがあって丁寧で感心。内務省の介入で肝心なシーンをカットせざるを得なかったという、オリジナル版への稲垣監督の熱き想いが伝わってきます。憧憬の対象、吉岡未亡人が高峰秀子っていうキャストも文句なし。今の感覚だとこの未亡人が都合のいいように松五郎を使っていると感じてしまうのはどうしても無理からぬ事だが、明治時代ならこういう身分の格差はごく自然的なものだったはず。ジレンマに懊悩する三船の無償の献身愛っぷりに、とにかく自分は泣かされました。多分、序盤ちょっとだけ出てきた吉岡大将=芥川比呂志の男っぷりに惚れたせいじゃないかなあ・・・。あの旦那がたいした事のないフツーの亭主だったら、あそこまで未亡人に対してストイックな態度を取らなかったんじゃないかと自分は思うんですよね。それだけに花火の夜、遺影の前でうなだれる、彼の苦悩の大きさが実感として観客にも伝わってくるわけです。「正しい日本映画の美徳」が顕著に現れた秀作として高く評価させて頂きます。 [DVD(邦画)] 9点(2008-03-07 11:30:47)(良:1票) |
599. 華岡青洲の妻
《ネタバレ》 先日観た成瀬の「娘・妻・母」での高峰秀子VS原節子のバトルは、自分としてはかなり消化不足だったので、今回は若尾文子との唯一のバトル作品をチョイス。こりゃ凄いわ・・・全編息をつかせる暇もなく、堪能させてもらいました。両実力派女優二人が、それぞれ受けの芝居、攻めの芝居を攻守交替しつつ、存分に演技合戦を楽しんでいるっていう感じ。このお二人にかかっては流石の青洲=雷蔵氏も影が薄い。初めて息子青洲と寝床を共にする嫁加恵(若尾)を見送る、横たわる母於継(高峰)の嫉妬の視線の怖い事怖い事・・・。基本的にエゴイストなこの息子を間に挟みさえしなければ、この嫁姑二人結構ウマがあったんじゃないかと思わせるところに宿命的な悲劇を感じますね。少女時代からの憧れの人に見込まれた時の歓び、やがて嫁として肩を並べ、追いつき追い越していく女の成長を的確に演じる若尾文子ももちろん申し分ない。後半の「私を、いいえ私を使って!!」と人体実験を雷蔵氏に二人が申し出るシーンがこの映画のクライマックス。その後の於継の慟哭も含め、凄まじい葛藤シーンの連続。ひとつだけ残念だったのは、於継が亡くなるシーンがなく、何故かナレーションだけで済ませてしまった事。これを描かなかったのは片手落ちだったのでは?於継臨終シーンでの加恵との最期のやり取りが観たかった。 [DVD(邦画)] 8点(2008-03-01 11:04:52)(良:1票) |
600. 夜の豹
口八丁手八丁、二枚目気取りのフランク・シナトラが得意の甘い歌声を武器に、居並ぶ美女軍団を骨抜きにしてしまうバックステージものミュージカル映画。古き良き時代の雰囲気が画面から漂ってくるのは良いけれど、こんな調子が良いだけの図々しい男にはてんで共感出来ません。「ギルダ」と「ピクニック」でそれぞれ僕を陶然とさせてくれた美女リタ・ヘイワースとキム・ノヴァク、有閑夫人を演じるリタはこの時期だともうかなり容色が衰え気味、キムは綺麗には綺麗だけどこのヒトってやっぱり芝居が上手くないのが難。細かい感情表現がやたら下手。これオリジナルの舞台キャスト通りの、主役は人なつっこいジ-ン・ケリーの方が多分良かったんじゃないかなあ・・・。 [DVD(邦画)] 5点(2008-02-25 10:56:09) |