641. スイート・チャリティ
《ネタバレ》 もともとシャーリー・マクレーンがブロードウェイのミュージカル女優出身だった事は知ってましたが、映画の中でその才能を発揮している作品はそれほどないのでは?自分がこれまで観た限りではワイルダー監督「あなただけ今晩は」のワンシーンくらい。これは彼女のミュージカルタレントとしての実力が遺憾なく発揮された秀作です。シャーリーほど「マスカラが落ちつつも泣きながら笑う」っていう芝居が巧い女優はちょっと他を探してもいないんじゃないかなあ・・・。衣装担当「イーディス・ヘッド」ってクレジットが出るだけで、何やらこれは良い映画なんじゃないかって期待してしまうのは自分だけでしょうか?ヒッチコック作品のエレガントなヒロイン達しかり、この映画のシャーリーしかり、ヒロインが衣装によってより輝きを増していますね。この映画の中でイーディス女史の匠の技を再認識したのは、シャーリーが結婚を破棄されるシーン。ここでの彼女はホントに趣味の悪い花柄の服を着てるんです。彼女との結婚にちょっと嫌気が差していた彼の心を後押ししたのは、この趣味の悪い衣装だった事は間違いないと思います。(追記)↓小菊さんはもうひとつの「ハッピーエンド」エンディング支持ですかあ。自分はどっちかって言われたら現バージョンのがいいかなあ・・・。だってあの男は許すべからざる事をシャーリーに言ってしまったような気がするんで。基本的に悪い男じゃないと思うんですけどね・・・。レストランでプロポーズするシーンなんかなかなか勇敢で感動したし。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-07 11:54:26)(良:1票) |
642. ベオウルフ/呪われし勇者
《ネタバレ》 これ褒め言葉です。なかなか馬鹿馬鹿しくて面白かった。CG映画の先駆者ロバート・ゼメキス監督作品だけあって、馬鹿馬鹿しさにもより念が入って年季も入っていると思います。宣伝では今年公開の話題作『300』が引き合いに出されているけど、こっちは主役マッチョヒーローの「ナルシシズム」がより高くなっているのが一番大きな違い。部下の生死なんかどうでも良く、自分さえ良ければいいという開き直り方がこの種の映画の主役としては如何なものかとは思うが、結局は因果応報という形で災厄が自らに降りかかってくるので観客の溜飲は下がるはず。特にクライマックスの戦闘シーン、最新CGと手造り感溢れる登場人物の動きの融合は、何だかセシル・B・デミル監督の『サムソンとデリラ』を昔観た時のワクワク感と似てる。主演作目白押しのアンジーは撮影期間数日程度か?でもこのチョイ役を彼女が演った事で、映画全体の印象がよりゴージャズになったのは確か。 [映画館(字幕)] 6点(2007-12-02 10:59:45) |
643. ディセンバー・ボーイズ
《ネタバレ》 少年たちののひと夏の成長物語という事で、どうしてもこの種の最早バイブル的作品「スタンド・バイ・ミー」と比較されてしまう事は致し方ないけれど、これ単体としてみれば素直な仕上がりの佳作だと思います。なんといってもこの作品の最大のウリは、ハリー・ポッターならぬラドクリフ君の童貞喪失シーンでしょう。あまりの緊張(期待?)のせいか、何気に前半のシーンで乳首が勃ってたりするのも、遠い親戚の叔父さん的目線で見守ってあげれば微笑ましかったりもする・・・。オーストラリアが舞台という事で、クリスマスが真夏になるという季節設定も一味違っていて面白い。ラドクリフ君と主役のしたたかチビ眼鏡君以外の、あと二人の少年のキャラ肉付けがいまひとつなのが残念。その点「スタンド・バイ・ミー」がいかに飛び抜けて良い出来だったかを自分は再認識させられましたね。ハエがブンブンと登場人物の顔に止まりまくっているのもリアルで良い。 [映画館(字幕)] 6点(2007-12-01 15:10:42) |
644. 悪魔が来りて笛を吹く(1979)
「女王蜂」とこの作品に限っては絶対テレビ版古谷一行のがキャスト、演出ともに出来はずっと上ですね。横溝原作の中では一番自分にとって愛着があるものだけに、この出来は大いに不満。西田敏行にこの時点で金田一を演じさせたのは大きなミス。ホントに身をよじらせながら「ナンコウさんよぉ~あんたが犯人じゃねえのかよお~」なんて言い出しかねないような雰囲気だったなあ・・・。ちなみにテレビ版の新宮利彦役は長門裕之でしたが。 [地上波(邦画)] 3点(2007-11-30 13:33:03) |
645. 決断の3時10分
《ネタバレ》 まず冒頭に流れるフランキー・レインの主題歌に痺れ、雄大な西部の風景を生かす構図を計算した画面設定に唸り、(特に男を出迎えそして見送る女の画が素晴らしい)後半からのホテル一室内での、息詰まる男二人の微妙な心理の駆け引きにハラハラドキドキ、ラストこうくるかあ!っていう意外な展開にすこぶる感心、慈雨と夫の無事を喜ぶ馬上の妻の表情に思いっきり感動してしまいました。「時間的制限」があるウエスタンという事で、なんとなく「真昼の決闘」のフォローワー的作品として企画されたような匂いはするんですが、自分はこっちのが断然面白かった。決して男前ではない二人の中年男を演じる、ふてぶてしいグレン・フォード、ギリギリまで追い詰められた実直な農夫ヴァン・ヘフリンそれぞれに魅力的。他の作品のレビューでも書いたけれど、デルマー・デイヴィス監督はもっと再評価されるべき!これはウエスタンファンなら必見の秀作。 [DVD(字幕)] 9点(2007-11-30 11:20:15)(良:1票) |
646. 黒い十人の女
《ネタバレ》 「疑惑」「白いドレスの女」「しとやかな獣」とか、古今東西悪女映画って自分大好きなジャンルなんです。美女がホントに美しい瞬間っていうのは、何か悪企みを思いつき、一人ほくそ笑む瞬間だと自分は思ってます。岸恵子と山本富士子という、タイプのまるで違うニッポンが誇る天下の美女お二人が、船越英二をどうやって殺すか計画してるシーンなんか私にとっては正にツボ、蛇の生殺し悶絶どうにでもして下さい状態(←アブナイ)映画からテレビに娯楽の中心が移りつつある時期の製作という事で、中盤に当時のテレビ番組収録状況が延々と映されるのは、もちろん興味深くはあったけれど、全体の中でさほど意味のないシーンなのでちょっと浮いてたかも。ラスト、自動車事故の炎が立ち上るシーン、私は「黒い十人の女」たちのドス黒い情念が燃えさかったモンタージュと解釈したんですが・・・あれ・・・?違うの?髪型とか衣装とかも凝っていてビジュアル的にも堪能しました。サイケ?な若き日の中村玉緒嬢が特にキュート。 [DVD(邦画)] 7点(2007-11-24 11:02:13) |
647. 着信アリ
ジャパニーズホラーに殆ど免疫がない自分にとっては、この程度の出来でも充分怖かったんですが・・・。ツンデレヒロイン、柴咲コウのたぐいまれなる「眼ぢから」によって支えられた一編。これを観ても特に続編を観たいと思わせる吸引力には欠ける。実際観てないし。 [映画館(邦画)] 5点(2007-11-23 16:54:43) |
648. 木更津キャッツアイ 日本シリーズ
「ダウンタウンヒーローズ」の時点で既に無理があった、美礼先生=薬師丸ひろ子のセーラー服姿を画面に出してしまった暴挙だけで5点マイナスです。まったくもって可笑しくも楽しくもなく、逆に背筋が若干寒くなるパロディ(のつもり?)とはこの事。作ってる人も出演者も、み~んな楽しそうにお仕事してんなあって思われるのは微笑ましいけど、それを観客が楽しめるかどうかはまた別。題材そのものが金曜夜10時の連続ドラマ向けとしか思えないんだけどなあ・・・。木更津も今はブームも去って、また元の静かな町に戻ってるんでしょうねえ。 [映画館(邦画)] 4点(2007-11-19 12:37:13) |
649. 活きる
観ている間中ずっと自分が考えていた事、「生きる」と「活きる」の違いって一体何だろう・・・?字をくっつければ「生活」になる。中国語ではもしかしたらこの二つ、たいして意味は違わないのかしれないが、日本語だと微妙に異なるような気がする。「活きる」は日々の生活を精一杯過ごす事、「生きる」は人生のゴール「死」に向かって歩んでいく、もっと広範囲な意味として自分は解釈した。この映画に出てくる登場人物は、誰もが「生」も「活」も「喜び」も「悲しみ」も全て思う存分享受する、ひたむきな人ばかり。彼らがまっとうな人間だとしたら、今の私など毎日毎日、ただ『息をしてるだけ』のケチな存在でしかないのが歯がゆい!!ホンマ情けない!!!映画の内容には殆ど触れられなくて申し訳ないけれど、これが自分のこの作品を観て思ったこと。 [DVD(字幕)] 8点(2007-11-17 11:06:52)(良:2票) |
650. ゾディアック(2007)
《ネタバレ》 実際に起こった未解決事件の顛末、観終えた後のカタルシスが殆ど感じられないという点で、韓国映画の「殺人の追憶」を想起させられます。当時のアメリカ警察の、管轄外同士の連携がうまくいってない状態での、原始的且つまどろっこしい捜査方法が解決を遅らせたのではないかという視点も似てる。ただこっちは展開自体が淡白なせいか、映画そのものはジェイクがようやく重い腰を上げるまでの、全体の3分の2までが面白くない。ジェイクがバツイチ子持ち、新聞社のイラスト担当という面白い設定が謎解決に生かされるのかと思いきやそうでもない。やたらとものものしく表示される時刻や日時が、事件の内容とは無関係と思われる出来事も入っているので、もしやこれは何かの伏線ではっっ?と構えてみてるこっちとしてはおあずけを喰わされたまんま、焦らしに焦らされた挙句、最後は事件そのものも何かもうど~でも良くなってくる。これを最初っからもう一回観ろと言われても辛いので、ご贔屓ジェイクの最新作だけど残念ながら点数は低めにさせて頂きます。『神出鬼没怪人ゾディィィアァァァッックッ!!!~さんざん振り回された人びと編』(←特に意味なし) [DVD(字幕)] 5点(2007-11-16 11:29:51) |
651. 22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語
《ネタバレ》 大林監督のようなもはやベテランの域になってもまだなお、「映画製作において何事か為さざらん」という意欲が一向に衰えず、新作に漲っているのはすごい事だと思う。ただその意欲が時たまとんでもない方向に傾いてしまうのが、昔っからのこの監督のご愛敬。私は昔、この伊勢正三の名曲が効果的に使われた、北海道が舞台のドラマの秀作、『昨日、悲別で』(倉本聰脚本)を観ていたので、映画化されると聞き曲調に合わせよりノスタルジー溢れる作品になるとばかり思ってました。ところが開けてびっくり、なんとホラー調とは!!恐れ入りました・・・。まだまだ僕は大林監督という人を真に理解してないのかもしれません。暗~い画調と内容はともかく、自分がこの作品を観て一番気になったのは、現在と過去それぞれの、ダブルヒロインの魅力の乏しさ。過去ヒロインは鈍重、現在ヒロインはヘンな髪型のおかげでまともにお顔さえ拝めない始末。新人発掘ヒロインを輝かす事については右に出る者がいないはずのこの監督としては、初歩的不手際としか思えない。たとえば「さびしんぼう」にあった名場面自転車チェーン外れとほぼ同趣向のシーン、このヒロインに当時の富田靖子ほどの魅力があったら!!と暗闇で地団駄を踏んでしまったほど。残念ながら失敗作というより、これは「大怪作」という評価にさせて頂きます。無機質無感情な芝居にひたすら徹した主役の筧利夫は好演。<結論>ヒロインが輝かない大林映画は映画自体も輝かず、これ鉄則なり! [映画館(邦画)] 4点(2007-11-12 14:06:09)(良:1票) |
652. フレンチ・コネクション
確か初見はフジテレビの「ゴールデン洋画劇場」。最早語り草になっている迫力の高架線下カーチェイスに度肝を抜かれ、しばし呆然となった。何度も再見しそのたんびに驚かされるけど、オハナシの方はさっぱり記憶に残らない。へえ~麻薬捜査とか関係してたんだ、この映画って・・・ふ~ん。やばい、全然覚えてないや(↑しかも上記あらすじ参照)ハックマンのキャラ立ちと、前出カーチェイスがこの映画の総て。でも何も考えないで観られるこういう映画が昔から大好きだったなあ・・・。 [地上波(吹替)] 7点(2007-11-11 12:08:57) |
653. 道頓堀川
僕は学生時代に読んだ宮本輝氏著『青が散る』のおかげで、それまで大嫌いだった大阪弁が大好きになりました。川三部作はじめ、海外を舞台にした作品以外は殆ど読破してます。この作品は大阪ミナミの象徴道頓堀川が舞台、しかも監督が当時絶好調だった深作欣二監督となれば期待するなと言う方が無理。・・・う~ん内容がうっすい・・・しかも原作で描こうとしていた部分と全く違う箇所(真田&松坂のラブシーン)にのみリキ入れて撮っているみたいな感じ。深作監督らしいバイタリティが殆ど感じられません。残念ですね、これは。前出『青が散る』は自分は未見ですが、石黒賢&二谷友里恵でドラマ化された際かなり不評だった由、大好きな『春の夢』が下手に映像化されない事を祈るばかり。つい最近観た「自虐の詩」でもカルーセル麻紀姐さんは大阪下町のおばちゃんを好演してましたが、彼女?には大阪の風景が似合いますね。 [ビデオ(邦画)] 4点(2007-11-10 10:44:23) |
654. まぼろし
《ネタバレ》 「デブラ・ウインガーを探して」でアメリカのある女優さんが、「フランスのシャーロット・ランプリングが羨ましい」的な発言をしていたのを、この映画を観ながら思い出しました。そりゃ彼女たちが羨ましくもなりますよ。若い時に既に「愛の嵐」という代表作を残しつつ、年を重ねたら重ねたでこんな芝居のしどころがある役が回ってくるんですもん。セックスの最中に突然笑い出し、「だって貴方軽いんですもの」っていう台詞が妙にリアル。熟年カップルのベッドシーンって苦手だけど、これはやけにエロチックで綺麗でしたね。先に「スイミングプール」を観ていたので、この監督の、何でもないシーンでも何故かドキドキさせられてしまう、ミステリアスなタッチが好き。賛否両論曖昧模糊拡大解釈可能なラストシーンも私は気に入ったので一点プラス。(追記)さかQさんともっつあれらさんのレビュー拝見して驚きました。私もラストシーン、彼女が何だか「弧を描くように」まぼろしに向かって行ったので砂丘の上を走るとそうなるのか・・・?って不思議に思ったんです。もし彼女があの「まぼろし」を「追い越していった」のなら、かなりラストの解釈が変わってきますよねえ・・・。原題「砂の下」も、もしかしたらこの監督さんはそこに何かを引っ掛けておきたかったかのかも。というわけでネタばれ有り登録もしとこ。 [DVD(字幕)] 7点(2007-11-09 11:26:40) |
655. 世界中がアイ・ラヴ・ユー
拡大解釈すれば同じく、「世界は愛であふれている」テーマに沿った、私の大好きな「ラブ・アクチュアリー」のミュージカル版と言っても差し支えないこの作品。が、どうもここに出てくる登場人物は、み~んなどこか小賢しいいわゆる「大人的打算」が働いていて(ウッディ・アレン作品だから当然だけど)愛する事に真に一途な人間が一人も出てこない。それが今ひとつ、観終えた後心からハッピーな気持ちになれない原因かと思われます。 [DVD(字幕)] 6点(2007-11-02 13:39:00) |
656. TRICK トリック 劇場版2
金曜日の夜、リラックスした状態で視聴するのにぴったりだったこのドラマや「スカイハイ」とか、改めて劇場版にする事になんの意味があるんだろう・・・?しかもテイストや演出の呼吸はドラマの時とまるで変わらないのに。誉める点を挙げるとすれば、いつも犯人を崖の上に追い詰める役柄の片平なぎさを逆にした事くらいか。ホントそれ位なのが情けない。巨根=貧乳コンビのキャラクターにのみ頼ったやり取り、緩すぎるルーズなストーリー展開はドラマ時代からのトリックテイストとして許しましょう。しかし結局おしまいまでシツコク使ってた懐かしギャグのワンフレーズの多用、名脇役生瀬警部と野際母の投げっぱなしのような扱いにはさすがに我慢出来んかった。 [DVD(邦画)] 4点(2007-10-29 10:48:01) |
657. 手紙(2006)
角度や目張りメイクによっては山田孝之が「博多華丸」に見えてしまうのは私の視力に問題有りなんでしょうか・・・?それはともかく、沢尻エリカ扮するヒロインが私にはよくわからない。原作ではもちろんきちんと描かれてるんであろうと思われるが、映画を観る限りではさっぱりわからない。関西出身の工場に勤務していたはずの純朴そうな彼女が突然ドレスアップして小洒落たバーに現れたり、恋人(吹石一恵)の存在を何故か最初っから知っているような素振りを見せたり、見ず知らずの刑務所に入ってる男に手紙を代筆したり・・・。よくわからない上に正体不明。全てはイケメン山田君に恋焦がれるが故の、恋は盲目状態の行動かと思われるが、その辺の経緯もなんだかよくわからない。もしかしてこういう性格不明の役どころばかりをやらされた結果、今世間をお騒がせしているような態度に出たとしたら、彼女にとっても日本映画界にとっても大変不幸な事だと思います。 [DVD(邦画)] 5点(2007-10-27 14:30:35)(良:1票) |
658. ヘアスプレー(2007)
アメリカの柳原可奈子さんはとにかくポシティブシンキングですね~。最初から最後まで勢いに乗せられて観てしまったという感じ。決してデブ専ではない自分でも、なんの憂いも翳りもなく歌い踊るニッキー嬢はすこぶるチャーミングに映りました。今年春に観た「ママの遺したラブソング」ではすっかり枯れてしまった役柄で少々幻滅したジョン=トラ氏のここでの面目躍如の活躍ぶりに溜飲を下げ、まさかまさかのウォーケン氏までが歌にお付き合いするとは思わなかったので、これは嬉しい誤算。太ってて何が悪いん?女装の何がいかん?肌の色が違って何がおかしい?そのまま、ありのままに生きられればそれでええやんっていう少々ストレート過ぎるメッセージもこの作品なら許せます。ジョン=トラのぽつりと独り言「でも男の気持ちも解るのよっ♪」には大爆笑。 [映画館(字幕)] 7点(2007-10-26 14:06:02) |
659. リトル・ミス・サンシャイン
《ネタバレ》 優れたロードムービーのお手本のような愛すべき佳作。捨てキャラ、不要なシーンすらひとつも見当たらず。何気に買ってたエロ本でさえ後で伏線になっていたり、長男の色弱が判明するシーン(←その前にちゃんと病院で前フリがある)では、あまりの脚本の巧みさに自分は思わず唸ってしまった。それにしても「リトル・ミス・サンシャインコンテスト」って・・・、ネーミングとは裏腹に、何て不健康でジメジメしたコンテストなんだろう。居並ぶ幼女たちが次々と媚を観客に売るトコなんか、なんだか全身がムズムズしてくる。かつて「ジョンベネちゃん事件」をワイドショーで観てた時に感じたモノと同種の、生理的にいやあな感覚、痛々しいというか不健全といおうか。もちろんお腹がちょこっと出た幼児体型のオリーブちゃんだけは別。自分はストレート過ぎる家族団結ものは苦手だけど、こういうちょっと変化球気味で、ピリッとスパイスを効かせた作品は大好きです。登場人物一人一人が抱きしめてあげたい程いとおしい、そんなアメリカ映画って最近なかなかなかったと思います。もしキャストアンサンブル賞とかあったらこの作品にあげたい。 [DVD(字幕)] 8点(2007-10-22 10:46:02)(良:3票) |
660. ゴースト/ニューヨークの幻
「ボディガード」「永遠に美しく」等と共に、プライムタイムに洋画劇場とかでやっていると何回か観たのにもかかわらず、何故かまた腰を落ち着けて見てしまう90年代製作定番映画の一本。素っ頓狂なインチキ霊媒師役ウーピーがいた事で、1+1イコール2の内容が5か6位割増、より愉しく切ないファンタジックな映画になったと思います。吉田栄作が出てたパクリドラマも含め、近年の浅田次郎原作映画化作品とか、いまだに連綿とこの作品から影響を受けたとおぼしきものが散見出来ますね。ショートデミ、かわい。(追記)昨晩テレビでやっていて、また結局腰を落ち着けて最後まで観てしまいました・・・。パトリック・スウェイジ・・・亡くなられたんですよね・・・。この映画が公開された頃は「劇画チックな顔した単なるガタイがいいだけの兄ちゃん」ってイメージしかなかった。そう思いながら観てたら、ラストシーン万感迫るものがあり、不覚にもまた泣いてしまいました(←泣き虫弱虫野郎)ショート・カットが似合ってたデミもすっかりイメージが変わっちゃったし。「生」の輝きが溢れている最盛期にこの作品にめぐり会えたこのお二人は、役者として幸福だと思います。 [地上波(吹替)] 8点(2007-10-21 11:35:17) |