841. M:i:III
《ネタバレ》 悪役に巧い役者を持ってくれば映画全体が面白くなるという方程式の、正に王道をゆくハリウッド娯楽大作の成功例。およそ得体の知れない風貌を生かしたフィリップ・シーモア・ホフマンが実に良い。組織内部に真の悪人がいるっていうパターンには、正直言ってま~たかいってゲンナリしたけど・・・まあいいでしょ。次回はロケ地日本?で汐留あたりのビル群使って、トムに大いに跳ね回ってもらいたいです。 [映画館(字幕)] 7点(2006-07-29 10:53:47) |
842. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 このヒロインをなにがなんでも、不幸のドン底に突き落とさなければ映画自体成立しないと言わんばかりの、作者の独善的開き直りっぷりがすごく不快です。「母性愛」って自分自身が犠牲にならない限りは発揮出来ないものなの?おぬし、テーマを描く為の手法を明らかに勘違いしてるぞなもし! [映画館(字幕)] 2点(2006-07-28 17:22:37)(良:1票) |
843. ユナイテッド93
《ネタバレ》 面白かった!とか、手に汗握るとかいう単純な言葉でくくる事は到底出来ない重い映画では有ります。セミドキュメンタリータッチの切れ先鋭い演出、ノンスターの強みがこれほど存分に効果を発揮した映画は近年稀かと。あくまで仮定に基づいての「あの時間の」機内の状況ではあるけれど、短時間にこれだけの反撃が出来たとしても決しておかしくないと、観客に納得させてしまう力技的描き方に脱帽です。テロリストたちを極めて客観的に描いていたのも印象的。ラストカットも過剰にセンチメンタルに陥る事を極力避けていたように思えます。もちろん何度も見返したくなるような種類の映画ではないけれど、21世紀初頭どんな形であれ、この事件を目撃し立ち会った人間ならば、記憶の片隅には残さなければならない映画だと思いましたね。衝撃を受けたという点では本年度NO1! [試写会(字幕)] 8点(2006-07-28 11:23:38) |
844. パリで一緒に
とりとめがなく全体的に盛りあがりもなく、コメディなのに演出にもセンスが欠けている、つまらなくはないけど正直あまり語る事がない映画。出演作品の選定にとりわけ慎重だったオードリーが、何でこの映画をチョイスしたのか非常に理解に苦しみます。名作「サブリナ」のホールデンとの再共演に興味を惹かれたのかなあ・・・?勢い一番印象に残ってしまうのは、エンドクレジットで流れる「ミス・ヘプバーン香水担当 ジバンシー」という、大雑把な作品なのに何故かそこだけ細心な表記だったりする。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-07-24 10:54:29)(良:1票) |
845. バンドレロ!
《ネタバレ》 この監督の作品って、ブルック・シールズ主演の大凡作「サハラ」しか観た事がなくって、巷での「ジョン・フォードの直弟子」とかいう評価については、一体コイツのどこがやねんっ!って今までずっと思ってました。でも全盛期のこの正統派ウエスタンを観るとショットの鮮やかなつなぎ、大西部の風景の捉えかたにフォードの弟子としての片鱗をうかがい知る事が出来ます。珍しくも半悪人役、ジェイムズ・スチュアートは言わずもがな、ディーン・マーチンも大好きな役者なので(全然似てないこのお二人が兄弟という信じられない設定!)面白く最後まで観る事が出来ました。特に汗に手を握るような緊迫したシーンもないけれど、追う者追われる者それぞれが「パンドレロ」という先住民に付け狙われるという設定はまあまあイケます。↓へちょちょさんもおっしゃってますがラスト、バンドレロの退散の仕方があまりにあっけなさ過ぎるのが不満なのと、ジョージ・ケネディ扮する保安官に対する保安官助手青年の態度に、尊敬以上の微妙な感情が見え隠れしていたのが自分には何か印象深かったです。特に秀作でもないけれど、ウエスタン好きならそれなりに楽しめるはず。 [DVD(字幕)] 6点(2006-07-21 13:56:38) |
846. 先生のお気に入り
主題歌がもう最高です!ドリスに例のハスキーヴォイスで「♪ティ~チャ~ズ・ペット、アイワナビー、ティ~チャーズ ペット~♪」って歌われちゃったら、僕みたいに従順なM男なら否応なくドリス講師様のペットになるしかないでしょう!「荒馬と女」ではもう老いがカラダ全体から滲み出てた感の有るゲーブル氏ですが、この映画じゃまだ「キング」の呼称に相応しくキビキビした動きを見せてくれていて頼もしい限り。意外なコメディセンスにもびっくり。 [DVD(字幕)] 8点(2006-07-17 11:19:22) |
847. イン・ザ・ベッドルーム
《ネタバレ》 とにかくこれは暗い映画です。この映画と「ミスティック・リバー」「息子の部屋」「ムーンライトマイル」「衝動殺人・息子よ」「オール・アバウト・マイ・マザー」を連チャンで見れば、愛児を他人に理不尽に殺された後残された家族が立ち直るまでの葛藤、そこに至るまでのアプローチの方法が映画作家やお国柄によって、色々と違いが出てて非常に興味深いかと思います。私自身は世評に反して評価がやたら低い「ムーンライトマイル」が好きなんですけど・・・。 [映画館(字幕)] 5点(2006-07-17 10:38:19) |
848. パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
《ネタバレ》 あ~あ、これすっげー楽しみにしてたんだけどなあ(ためいき)・・・。途中で飽きちゃいました・・・。だって長すぎんだもん。イカだかタコだかのこけ脅し的怪物軍団も、デップ=スパロウ船長と握手するくだりまでは、気味悪い造形にゾクゾクしたけど、最後の方になると食傷気味で、もう出てこなくていいよって感じでした。危難を逃れる→一同ほっと一安心→タコ集団の逆襲という、知恵のないパターンの繰り返しにもてんで工夫がなくうんざり。海洋物らしい爽快感も殆ど感じられず、観終わった後残ったのはひたすら徒労感のみ。既に製作が進められているという第三作の宣伝の為とはいえこのエンディングは、この作品こそを期待して待ってたファンを舐めてるとしか思えません。この出来じゃあ多分もう次の続編は期待出来ないなあ・・・。同じ手をかつて使って大成功を収めた「BTTF」シリーズがいかに観客の側に立って作られていたかが再確認出来た次第。オーランド君は前作より若干貫禄が付いてきたかも。 [映画館(字幕)] 4点(2006-07-15 15:13:14)(良:1票) |
849. 新幹線大爆破(1975)
健さんが演じると、この手の犯罪者ですら何かいわく有りげな過去を背負った立派な人格者に見えてくるから不思議。にしても、健さん以外の共犯者若干二名が間抜けすぎで興醒めです。という事は、結局は彼らを統括してる健さんに問題有りという事になるのかもしれないけど・・・。ヒロシの過去やら、山本圭との出逢いやら、回想シーンに無駄が多すぎてせっかくガーンと盛り上がりそうな、新幹線内のパニック描写の流れを堰き止めているような気がしてなりません。志穂美悦子や多岐川裕美の扱いなんて最近の「イン・トゥ・ザ・サン」栗山千明並みに酷い。予告編じゃあ台詞があるちゃんとした役どころのように思わせておいて実は・・・っていうのが、昔から豪華キャストが呼び物の超大作を売る為の映画会社のやり方なんですね。 [DVD(邦画)] 6点(2006-07-14 17:25:20) |
850. 巴里の空の下セーヌは流れる
《ネタバレ》 これすっごい昔にNHK教育テレビで観ました。途中、ずっとヒロインだと思って観てた女性(「泥棒成金」で怪盗猫を演じたブリジット・オーベール嬢)が殺されちゃうんですよ、確か。別にサスペンス映画でもスリラーでもなく、スケッチ風のオムニバス的淡々とした展開だったんで、非常にその事だけが突出した印象で残ってしまってる映画です。主題歌(アコーディオンか何かの演奏→)「♪何たら~かんたら~ファファファン、パリ~フ~ン♪」(←これじゃ意味不明)もいかにも「巴里」の映画らしくて好き。仔細有りげな「巴里は今眠っている・・・」から始まるエスプリ溢るる(?)ナレーションも効果的だった記憶有り。なんだかんだ言って結構覚えてるモンですね。 [地上波(字幕)] 6点(2006-07-14 14:14:18) |
851. ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
うんうん、これは至極まっとうな仕上がりの伝記映画だと思いますね。好きなシーン、結構有りました。特に刑務所ライブの後、深夜の移動バスの中で寝惚けたジューンにしつっこいくらいに迫りまくるプロポーズシーンが良かったです。ホアキンのトボけた味がうまく生かされてました。多分脚本上の問題だと思うけど、ソリが合わない父親はともかく、主人公が成長してから母親が時たま画面に現れるだけの「ただいるだけのひと」になってしまって、何の性格も与えられていない人物なのが観ていて自分には不可解でした。これは彼のバンドのメンバーについても同じ事が言えるんですが・・・。一番身近にいた人物だけに、もう少し描きこんでもらいたかったかなあ。特に友情なんかも育まれないままただ時が流れていった風にも見えるし。ジョニーみたいな人物と組むなら大なり小なりの軋轢はあったはずだと思うんですけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2006-07-14 13:21:52)(良:2票) |
852. ディープ・ブルー(1999)
昨日の「日曜洋画劇場」にて鑑賞。主人公の吹き替えが小杉十郎太さん、しかもブレンダという名前の女性も出てる!いまや希少数かと思われるかつての「ビバヒル」ファンにとっては、粋な声優さんのキャスティングかなと。んで肝心の映画ですが、これたぶん映画館で観てたら今やってる「ポセイドン」より、もしかしたら面白かったんじゃないかと思われるほどの、水とサメの迫力恐怖映像がてんこ盛りでした。ディラン「ブレンダ~!!」カンバーーック、ビバヒルメンバー一同!(出世魚ヒラリー・スワンク除く) [地上波(吹替)] 6点(2006-07-10 10:19:36)(笑:3票) |
853. 2番目のキス
《ネタバレ》 この兄弟の過去作品「メリー」や「ローズマリー」なんかと比較すると、アクや毒気が抜けてしまっていて、何か裏が有るんじゃないかと勘繰ってしまう位フツーに面白いラブコメに仕上がってました。でも自分は彼らの底意が見え透いていた上記ニ作品より、この映画の方が好きです。ただあんまり引っ掛かってくる部分がないと言うか、あらゆる意味で無難なコメディ。アメリカの男っていうのは、野球帽かぶると何故かサマになる ヤツが多くてマジうらやましい。ドリューも問題なく好演。ただクライマックスのグラウンドでの彼女の突飛な行動は、どう考えてもブーイングの嵐のはずと思ったんだけど、場内大喝采だったのにはビックリ仰天。アメリカ人ってスタジアムにいる時だけは意外と懐が深いのか??? [映画館(字幕)] 6点(2006-07-09 10:19:29) |
854. 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋
この映画のいしだあゆみって、枯山水のお庭の隅のジメジメした所に生えてる白くて美しい隠生植物みたいな雰囲気なんですよ。ひょろひょろとはかなげなのに実は毒を含んでる、みたいな。他作品じゃ類をみないタイプのマドンナという事で非常に印象深いです。ロケーションも、丹後あたりの入り組んだ入り江の家屋の情景が美しかった。でも・・・、数あるシリーズ他作品と比べて好きかって聞かれると・・・実はそうでもないというのが自分の意見。吉永小百合=歌子マドンナ同様、寅さんが言葉につまって黙りこくってしまうのをみてるのが、多分自分には辛いんだと思います。鎌倉あじさい寺での満男を含んだやり取りとかも、何かもどかしくてスカッとしない。異色作として鮮明に記憶には残るけど、あまり観返したくはない作品のひとつ。 [DVD(邦画)] 7点(2006-07-08 13:00:38)(良:1票) |
855. ゲド戦記
《ネタバレ》 なにしろジブリ作品って「猫の恩返し」しか観た事のない自分にとっては(←友人にそれは根本的に間違ってるとゆわれました)他の作品と比較してどうかとか、父親の世界観と比べてどうかなんて事は論じられません。アニメとしてフツーに楽しめました。岡田准一、田中裕子、その他の声優陣の方は文句なし、特に相当努力されたとおぼしきアレン=岡田君のキャラクターとの一体化は素晴らしかったです。ただ・・・ゲド役の菅原文太さんが・・・、自分、役者としての文太さんは尊敬してますが、作品に箔をつける為とは思われるけど正直この起用は失敗だったと思います。しゃべるたんびに文太さんのお顔がちらついてちらついて・・・。冒頭アレンが父王を殺した理由について、もっともっと、心理的に複雑な理由やら事情でもあったのかと思いきや「世界全体の均衡が崩れてきてる」とか「自分の中のもう一人の自分が・・・」という内容の台詞には唖然。これじゃ某殺人事件の容疑者が、「自分の中に悪魔が入ってきて云々」と同じ言い分じゃんかとつい鼻白んでしまいましたね。ジブリ作品としてどうか等は他のレビューワーさんにお任せします!! [試写会(邦画)] 6点(2006-07-07 14:42:29) |
856. 誰にでも秘密がある
やっぱり自分は韓国のコメディめかした映画とは肌が合わないです。何だ、コイツらみんなバーカ、バーカ、バーカ・・・と呟いてたら映画終っちゃいましたよ・・・。正体不明男イ・ビョンホンはどっから見ても、やに下がった原田泰三にしか見えん。 [地上波(吹替)] 4点(2006-07-07 10:47:44) |
857. ワン・ツー・スリー/ラブハント作戦
何か自分はこの映画の笑いのツボにあんまり乗り切れませんでしたね。当時の時局におもねたようなストーリー展開、ピリッとした風刺もそれほど効いていない感じ。まるでモンローの真似事をさせられてるような女優さんも、彼女のキャラクターに合っていないようで見ていて痛々しい。ワイルダーにはストーリー的にあまり大風呂敷を広げさせず、男と女が狭い中でガチャガチャワイワイ動いているような映画の方が合っているような気がします。ギャグニー氏の狂躁的マシンガントークにも、自分は最後までは付き合い切れませんでした。大傑作「アパ鍵」と「あな今」に挟まれた小品という評価に留めておきます。 [DVD(字幕)] 5点(2006-07-02 10:34:22) |
858. イレイザー(1996)
ふ~ん、シュワちゃんのアクション映画かあ・・・と何の期待もせず、片手間に観てたけどそれなりに面白かったです。しかしシュワ氏がPCのキーボードをカタカタカタカタ操作してる動作ってらしくないと言うか、逆にPCから操縦されてるみたいやね。 [地上波(吹替)] 5点(2006-07-02 10:04:42) |
859. 西部の王者
バッファロー・ビルの伝記映画としても単純にウエスタンとして観ても非常に優れた出来栄えだと思います。「アニーよ銃をとれ」に出て来る老いたビル氏は、彼の最晩年の姿だったんですねえ。なるほど。鮮やかなテクニカラーが「天然色女優」モーリン・オハラの美貌や衣装の美しさを倍増させてくれてます。自分、ウエスタンの秀作と言われてる映画は結構観ていたつもりだったんですが、突進してくる馬もろとも水しぶきが飛んでくる(カメラレンズに水滴がビシャッと付く)大迫力シーン観たのなんて、この映画が初めてじゃないかなあ・・・。脇役にも先住民役にアンソニー・クインやリンダ・ダーネルを起用していて何気に豪華。青観様、桃太郎様、平均点若干下げてしまって申し訳ありません!レビューからこの映画に対するお二人の愛情が強く伝わってきます。 [DVD(字幕)] 8点(2006-06-30 14:49:42)(良:1票) |
860. ターン/TURN
「時をかける少女」に唯一10点満点付けているワタクシと致しましては、この手のタイムスリップものジャンルはどうしても点が甘くなってしまいます。何で?どうして?っていう理論的屁理屈は、あえてこの映画なら不要でしょう。もうちょいファンタスティック(?)な演出も欲しかったかなあって欲もあるけどまあ及第点。どちらかと言えば淡白な展開と出演者の中、途中から登場してくる北村一輝の濃ゆさが画面に張りを与えてくれてます。倍賞さんの巧さも相変わらず。「自分が飲んだものでもない空き缶をきちんとゴミ箱に捨てる」というヒロインのちょっとした動作が最後までキャラクターとして物語に生かされましたね。 [DVD(邦画)] 7点(2006-06-30 11:50:44) |