961. ドニー・ダーコ
ジェイク扮するドニー・ダーコが時折浮かべる上目遣いの薄ら笑いに、「サイコ」(1960)のラストシーンのノーマン・ベイツが何度も重なって映りました。この映画を観る限りじゃ第二のアンソニー・パーキンスっていう方向選択もあったような気もするけど、そっちに行っちゃわなくて良かった良かった。神経脆弱なドニーにすっかり感情移入してしまったゆえ、オーラスのオーラスでドニーがようやくみせてくれた無防備な笑顔がたまらなく痛ましかったです。巧いなあ、ジェイクって! [DVD(字幕)] 7点(2006-02-17 13:56:27) |
962. Mr.&Mrs. スミス
《ネタバレ》 まず最初にスターありきの映画。主演のお二人がどんなファッションで、どんなスタイルで殺し屋を演じたら画面にパッとした華やかさが出るか、細心の注意が払われてますね。ここまでスター至上主義が徹底してる映画って最近なかったんでかなりの好感触。ただ邸宅が爆破された後、それまでのテンポが途端にガクっと落ちてしまうのが残念。カーチェイスあたりで収拾つけてさっさと終わらせちゃったほうが良かったと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2006-02-17 11:29:24) |
963. 忠臣蔵 花の巻・雪の巻(1962)
東映の「忠臣蔵」三部作の方が断然面白いです。キャストの豪華さという点では甲乙つけがたいけど会社のカラーの関係か、自分には東映時代劇の「お祭り的派手なにぎにぎしさ」もほうが楽しくて好みです。加山雄三の浅野内匠頭がまずミスキャスト。吉良にいじめ抜かれても可哀想だなあって感じにあまり見えません。家臣よりも美人の奥方(司葉子)のほうにこの世の未練がありそうだったし。大川橋蔵や中村錦之介のほうが観客の被虐趣味(?)に訴えてより適役だったと思います。三橋達也の堀部安兵衛も地味。三船敏郎出演の意義がイマイチよくわからなかったので役を交換しても良かったのかも。沢村貞子の吉良夫人は出て来ると場面を総てさらって巧かったです。つい東映作品のの比較になってしまいましたが、「忠臣蔵もの」ジャンルは好きなので大映作品も今度観たいと思ってます。 [DVD(字幕)] 5点(2006-02-13 12:40:21)(良:1票) |
964. ブロークバック・マウンテン
《ネタバレ》 最初「ラッキーストライク」や「マールボロ」か何かのコマーシャルみたいなオープニングシーンだなあって思いました。カウボーイハットを目深に被った、昔ながらのいでたちをした西部男二人の味も素っ気もない出会い。自分は自然にこの長いスパンの物語の中に引き込まれていきました。日本でも武士の時代「衆道」が公然と認められていたように、アメリカ西部開拓史時代にあっても、男同士の関係はこれまで描かれてなかっただけで確実に存在していた事実だと思います。それをごくごく真っ当に、二人のズルズルした腐れ縁をありきたりの男女の関係のごとく描いたのがこの作品の優れた点ですね。60年代初頭から80年代に至る時代描写や寂れつつある西部の風物を捉えたカメラも良し!ただ気になったを二点。ブロークバック・マウンテンで意外に早く二人が結ばれてしまった事、衝動的だったとはいえもう少しある種の葛藤があった方が、後々まで続く二人の離れられない愛憎関係が生かされたんじゃないかって思います。あと男同士の性愛描写にどうしても拒絶反応を示す方の偏見を払拭するまでには、残念ながら至っていないのかなっていうのが自分の所見です。最後にヒース、ジェイク(←でも後半のチョビ髭は似合わないぞ)ミシェル、アン・リー監督、オスカー最多部門ノミネーションおめでとうございます!字幕スーパーなしでアメリカ本国で観たんで再度じっくり鑑賞したいと思ってます。日本では当たらない種類の映画だと思うので、公開時、ただ「彼らの奥さんがカワイソー」っていうだけの意見が大勢を占めるようにならない事を祈りつつ・・・。 [映画館(字幕)] 9点(2006-02-11 11:30:28) |
965. B型の彼氏
《ネタバレ》 久々にスクリーンに思わず靴でも投げつけたくような映画を観てしまいましたよぉ・・・。おそらく作り手はコメディのつもりらしいんだけど全然笑えない。優香か相田翔子のニセモノみたいなヒロインにも全く魅力ナシ、彼女の従妹だがなんだかの坂井真紀似の同居人がたれる血液型のうんちくも従来のモノから何の新解釈もナシ。誉めるトコがまるでない恐るべき時間のムダ使い映画。こういうのを観てしまうと「猟奇的な彼女」あたりが世界的名作に思えてしまうなぁ。そろそろ韓国映画も何でも輸入すりゃそれなりに当たるだろう的発想から脱却すべき時期にきていると思うぞ。 [映画館(字幕)] 1点(2006-02-10 11:21:57) |
966. PROMISE プロミス
《ネタバレ》 何もチェン・カイコー監督が撮らなくてもいいようなマンガチックなアクション映画だなあ、これ。「グリーン・デスティニー」の頃ならまだ新鮮だったかもしれないけど、今となっては何となく色褪せ、古めかしささえ感じてしまう延々と続く剣戟シーンに大あくびの連続。一番魅力的で目立ってたのは真田広之でもチャン・ドンゴンでもなく、細面の悪役イケメンニコラス君だったのは監督の中国人としてのプライド?でもよどみない中国語の台詞をほぼ完璧にマスターしていた役者さんの努力に1点オマケ。初盤の奴隷軍団(+ドンゴン)の爆走シーンは椅子からズリ落ちる程の笑撃! [試写会(字幕)] 5点(2006-02-06 11:34:22) |
967. 男はつらいよ 旅と女と寅次郎
この作品については当時一時引退宣言した都はるみへのはなむけ興行、「男はつらいよ」シリーズ唯一の番外編として観たほうが良いと思います。役者としては素人同然の彼女を、渥美さんが何とかフォローしようとしている男らしい気概が伝わってくるのであまり悪い点数は付けたくありません。庭先で都はるみの即興リサイタルを聞こうとみんな集まってくるシーン、いつも近所で煙たがられてる寅さんが彼らを喜ばせる事が出来てさくらも嬉しかったろうなあ・・・。 [DVD(吹替)] 6点(2006-02-05 11:06:54) |
968. ミュンヘン
《ネタバレ》 とにかく主役に華がなさすぎです。いや別に、自分は実話に基づく地味目のこの題材に何もトム・クルーズやトム・ハンクスを持って来いって言ってるわけじゃないんですけどね。バナ君にはこの長尺を最後まで牽引していくだけの力量が若干不足しているような気がしました。途中、暗殺者メンバーの一人が「彼にはリーダ-としての統率力が欠けている」って批判めいた台詞を言うシーンがあったんですが、言い得て妙だなってつい思ってしまいました。場所から場所への移動がやたらと多いんで、ちょっと気を抜いて見てるとストーリーから取り残されてしまう可能性大。 [映画館(字幕)] 6点(2006-02-05 10:06:01) |
969. 夜の河
↓下のおふたりとほぼ同意見、日本的メロドラマの傑作ですね、これは。キリコ様もおっしゃってますが、画調や色彩設計も特筆されるべきものだと思います。この時期に早々と女性の自立というテーマを、艶やかなストーリーにくるんで堂々と取り上げてる点にも着目したいところ。昔「山本富士子でもトイレに行く」なんていう下品な言葉があったみたいで、というかウチの母親もトイレに行く前、この台詞をのたまうのを何度か聞いた憶えがあります。その頃は山本富士子という女優さんの名前など知らなかったのでフンフンと聞き流してましたが、代表作の「彼岸花」やこの作品での彼女の輝かんばかりの美貌を実際見るにつけ、ウチの母親の厚顔無恥への憤りと共に、この方はトイレになんか絶対行きそうにもなさそうだなあって妙に納得してしまった自分がいました。しっかし、綺麗な人 やなあ・・・。未見だけど「美貌に罪あり」っていう映画はこの方の為にあるような意味深タイトルですね。 [地上波(字幕)] 8点(2006-01-29 15:31:58) |
970. わが谷は緑なりき
モノクロ画面にもかかわらず、色鮮やかな「緑」を感じられる映画。中学の頃の英文訳の テストに最適な素敵な原題です。「ああ!かつて私が住んでいた谷は、なんとまあ美しい緑にあふれていた事だろうか!!」(←意訳すぎて減点) [DVD(字幕)] 7点(2006-01-28 17:21:44)(笑:1票) |
971. 青い山脈(1949)
まさに「明朗青春篇」。前にNHKで祝日の朝、黄金時代の古い日本映画の名作を放映していた事があって、その時観た映画のひとつ。何と前編と後編の合間に当時の予告編が挿入されるという完璧版での放映でした。その頃石坂洋次郎の小説にはまってた時期でもあり、原節子という伝説の女優ともこの映画が出会いだった事もあり、自分にとっては忘れられない映画。全編にわたって、重っ苦しい戦争の呪縛から全てが解放されたかのような楽天的民主主義的軽やかさが伝わってくる作品です。「アマリリス」の調べに乗って原節子と杉葉子がダンスするシーン、事件解決後みんなでサイクリングするシーンが特に好き。確かこの2つのシーンは原作にない映画のオリジナルだったはず。リメイクの吉永小百合版も観たけどこれには遠く及ばない出来。 [地上波(吹替)] 8点(2006-01-28 13:00:56)(良:1票) |
972. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 日記じゃなくても、映ってるフィルムを観れば過去の自分に戻れるって事を主人公はいつ知ったんですかねえ?じゃあスナップ写真とかでも自由自在に戻れたの?後半、あまりに何度も何度も戻りすぎてるなあって思ったんで、「日記がない!→どうしよう!!→過去にはもう戻れない!!!」っていう彼の絶望感や焦燥感をもう少し描きこんだらもうワンランク上の秀作になったのになあ・・・。惜しい!それでもかなりのめり込めたんでこの点数。 [DVD(字幕)] 7点(2006-01-27 15:58:22) |
973. シンデレラマン
《ネタバレ》 愛する妻や子供たちがいるから人生をやり直せる!そんな熱くてまっすぐなメッセージが伝わってくる清々しい映画でした。守るべき確かなものがなにもない今の自分には、この家族のあり方が羨ましくてたまらなかったです。ラッセルの目の下のたるみでさえこの役には効果的。ボクシング映画なのに下手に八百長問題とか絡んでこなかったのも良かったと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2006-01-27 11:46:34) |
974. ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ
《ネタバレ》 「サイコ」の燃えカスみたいな映画。 [DVD(字幕)] 4点(2006-01-27 10:26:46) |
975. レジェンド・オブ・ゾロ
なんかどこかで前観たようなアクションシーンの連続。ああ、多分こういう展開になるんだろうなあって観ていたら、案の定全く予想を裏切らない展開。ある意味安定感抜群の 時代劇。キャサリン姐さんはもう貫禄充分というか、バンデラスもタジタジのボリュームっす! [映画館(字幕)] 6点(2006-01-22 12:10:47) |
976. 博士の愛した数式
《ネタバレ》 真摯な製作態度のもとに作られた良心作には違いないかもしれないけど、なんとも起伏に 欠けるというか、挨拶に困ってしまうようなマジメ映画。ただひとつ言えるとしたら、寺尾聰の演技が作品の出来を上回っているという事くらい。深津絵里はいつもの彼女の枠を越えるほどではない。唯一、映画的に自分が興味を持てたのは未亡人浅丘ルリ子と寺尾との微妙な関係を描いた点だが、それも消化不良で喰い足らず。最近観た「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」(←これも数学者の話だけどこっちのがまだ面白い)と数式の単語がだぶってました。「僕は80分しか記憶が持たない」って言うのを宣伝文句にしてるなら、ふっと記憶が途切れた瞬間みたいなものを映像的に見せるのが普通じゃなのかなあ・・・・? [映画館(吹替)] 5点(2006-01-22 10:45:04) |
977. 断崖
傑作ぞろいのヒッチコック作品の中で自分が乗れなかった数少ない作品のひとつ。若かりし頃とはいえ、どう見たってケイリー・グラントが殺人者にゃ見えないのが一番辛いところ。あと刑事が何回か夫妻の邸宅を訪問するシーン、玄関に飾ってある一枚の絵画を一人がじいっと見つめてるシーンがあって、何かの伏線かって思ったらこれが全く何もなし。あれは一体何だったんだろう・・・?ジョーン・フォンテーンも前作「レベッカ」の方がガラス細工のような繊細さがうまく生かされてたんじゃないかって思います。 [地上波(字幕)] 5点(2006-01-08 15:43:40) |
978. ソウ
う~ん、「CUBE」的な不条理感横溢スリラーを思いっきり期待しちゃった自分がいけなかったんでしょうか。考えに考え抜いた(であろう)オチもアンフェアじゃないすかね、これは。 [DVD(字幕)] 5点(2006-01-08 09:59:07) |
979. ポビーとディンガン
良作。お兄ちゃ~ん、妹思いのええ奴や君は!って思わず肩を叩いてあげたくなる。他の人には見えないものが見えて一騒動っていうのは、どうしても「ハーヴェイ」を連想してしまうんですが、意外にファンタジー色が少ないのは世知辛い現実がこの家族の上に暗い影を落としているせいでしょうか。自分、10月生まれなんですが地味な誕生石、オパール採掘がメインのストーリーになってて個人的にちょっと嬉しかったかな。 [映画館(字幕)] 7点(2006-01-07 11:28:03) |
980. キング・コング(2005)
ジャック・ブラックよ、神の裁きを受けるべきはキングコングじゃなくてお前だ!何もわかってないくせにわかったような台詞を吐いて、この哀切なラブストーリーのエンディングを締めくくるんじゃない!随所に散見されたドラマ部分のしまりのない描写をボルトで キュッと締め上げれば、もっと評価は上がったと思います。自分はオリジナル版もギラーミン版も未見です。 [映画館(字幕)] 7点(2006-01-06 10:54:14) |