81. 東京物語
《ネタバレ》 この映画、若いころに何度か観たが、 小津さんのサイレントやトーキー初期の作品を最近、よく観てて、 それで改めて、本作を見返したら、色々発見があった。 やはり思うのは、小津さんの「一人息子」があっての「東京物語」だろうということ。 「一人息子」のほうは、母親が上京してきて、競争社会の東京に失望を覚えた息子を母親が 𠮟り飛ばす話なのだが、それでも息子には人情があって、それが何よりもの親孝行だという話である。 本作「東京物語」は逆だ。それなりに東京で生活をしている子どもたちの、 いつしか親のことを事務的にこなす子供の変貌ぶりに、父親の笠智衆が落胆する話だ。 「一人息子」とは真逆だ。 この話の続き(京子と父親の話)が「晩春」になるのだろう。 小津さんの中で、映画で描いた家族は、現役時代、ずっと生きていたのだろう。 [DVD(邦画)] 7点(2025-01-26 22:44:15) |
82. ヴェラクルス
《ネタバレ》 舞台が西部ではない西部劇。 二人のカーボーイが、メキシコの内戦に参戦する。 友情も感じつつ、油断ならない関係の二人。 そこに陛下側と革命側のどちらかにつくかのやりとりが交差する。 そしてそれぞれの思惑を持つ女たち。 設定はこれだけである。 あとは、めまぐるしい状況の中で、男たちがどう動くか・・ そういう男の映画である。 珍品の西部劇である。 バー十ランカスターの男臭が、映画を引き締めている。 [DVD(字幕)] 7点(2025-01-21 09:56:20) |
83. 恋愛睡眠のすすめ
《ネタバレ》 ミシェルゴンドリー、好っきだなぁ! 若き天才発明家の恋愛模様。 戀愛にウブなんだけど、なにせ発想が異常! そんな青年を、徐々に受け入れる女性に好感♪ ミュージックビデオ畑からの才能なので、 夢のシーンは、おもちゃ箱ひっくり返したような場面が多く、楽しい。 [DVD(字幕)] 8点(2025-01-19 20:32:40) |
84. チャーリング・クロス街84番地
《ネタバレ》 好みです。 ロンドンの古書店とNYの作家の、本のやり取りを通じて、 いつしか互いにとって大事な存在になっていくという話。 英国文化の気品を感じさせる作風。 フランス映画ともイタリア映画とも違う、 「炎のランナー」にも感じられた気品あふれる映画でした。 人生、ふりかえってみれば、こんなやりとりが、 心に残る時間だったと思うのでしょう・・ ホプキンスが「日の名残り」のような感じのいい初老の人を演じている。 [DVD(字幕)] 8点(2025-01-19 14:29:09) |
85. ミラノの奇蹟
《ネタバレ》 ま、あれだろうな・・ 前作2作が「自転車泥棒」と「ウンベルトD」だもん。 世の中、悲惨だよねっていう映画をいくら撮ったところで、 世の中、一向によくならない。 ならば、いっそ奇蹟でも起きねえかなっという内容。 こんな映画でも観なきゃやりきれねぇ!という叫びでしょ。 [DVD(字幕)] 7点(2025-01-15 23:53:06) |
86. 裁きは終りぬ
《ネタバレ》 ルメットの「十二人の怒れる男」が1957年なので、明らかにこの映画が元ネタと思われる。 陪審員の群像劇で、様々な陪審員の生活が、最後の評決への発言とつながる仕組みだ。 フランスらしく、サロン文化の地であるだけに、軽快なおしゃべりが楽しい。 ただ、7人の陪審員の生活が描かれるので、ちょっとごちゃごちゃしてくる。 しかし、この時代に、この良作がすでに撮られてたことは驚きで、 映画の成熟は、映写機の出現から、かなり早い時期に到達していたと思われる。 映画文化に法廷ドラマというジャンルを作り出した、映画黎明期の作品。 [DVD(字幕)] 7点(2025-01-13 19:53:31) |
87. ツィゴイネルワイゼン
《ネタバレ》 自分らの世代には、夢中になったルパン三世の映画監督として、鈴木清順の名は刻まれた。 それがこんな大監督だったとは・・ 互いの妻を交換しようとか、昨日女を死なせてきたとか、 とかく無茶苦茶な男を、原田芳雄が怪演している。 そこに芸者と、もう一人そっくりの女が出てきて、この二人の女が この男の連れ合いになる。まるでヒッチコックの「めまい」を観ているかのような 不思議な感覚に襲われる。これが着物の美しさと波長が合い、 幽玄の美を醸し出す。 楠田道代の美しさも、ここに花をそえる。 大谷直子の地味な美しさが、後半、効いてくる。 あの世とこの世の間の、女性の美しさは、地味な女しか醸し出せないものかもしれない。 思ったより、目が離せなくて、あっという間の2時間20分だった。 傑作! [DVD(邦画)] 9点(2025-01-12 21:19:14) |
88. アイアンクロー
《ネタバレ》 鉄の爪・・小学生時代、流行ったなぁ。この人だったんだね。 フリッツ・フォン・エリック・・う~ん、プロレスのことはよく知らないので、 今回、この親子のことを初めて知りました。 プロレス映画といえば、「カリフォルニアドールズ」「レスラー」などあるが、 こんな悲劇ドラマのプロレス映画も初めてです。 スパルタな父親が怖い。最初の息子を失った心の穴を埋めるべく、生まれてくる子たちを 次々プロレススパルタ教育していくのでしょうか? スパルタ親父の映画と言えば、「WAIVES/ウエィブス」があるが、 そっちの映画には、喪失と再生と、再生まで描かれてた。 本作の「アイアンクロー」は、最後、残ったケヴィンが、孫に囲まれて幸せになったと、チラッと 描かれるだけ。 悲劇のあとには、たっぷり時間をかけて「再生」を描いて欲しかった。 鑑賞後、心がすさんだヨ・・(トホホ) [DVD(字幕)] 7点(2025-01-03 18:57:01) |
89. パスト ライブス/再会
《ネタバレ》 新年早々、最高の映画を観た~♪ 韓国ドラマの国の男性だもん。 あれぐらいのハートの射止め方はするよね~ 運命の女性が、都会の肥やしになってしまう! その時、男(男の子)は!!! 最高のラブストーリーです。 [DVD(字幕)] 10点(2025-01-01 23:37:50) |
90. ショート・ターム
《ネタバレ》 愛すべき佳作。 学校に訳アリで通えない子たちの施設での話。 面倒見る青年たちも訳アリばかり・・ 本当に「普通」とは何かを考えさせられる。 み~んな訳ありで、それでも子どもは生まれてくる。 [DVD(字幕)] 8点(2024-12-31 18:32:54) |
91. マッドマックス:フュリオサ
《ネタバレ》 これってマッドマックス5作目になるの? スピンオフ? マッドマックス・ザ・ウエイストランドってのが、5作目なんじゃないのかな・・ まだ期待していいのかな?ミラー監督? [DVD(字幕)] 9点(2024-12-30 00:50:25) |
92. ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
《ネタバレ》 今年のクリスマス映画は、これ! ワインの勉強のために「サイドウェイ」観ようかと思ってたけど、 同じ監督が、クリスマス映画を撮ったというので、こちらを観ました。 クリスマスの日に、親元に帰れず、寄宿学校で、教授と一緒に過ごすという話。 偏屈物の教授と、賢すぎる問題児が、徐々に心を開いていく過程が、なんとも良い。 そして、実は、一番闇を抱えてる少年だったということが分かるんだね。 人間として、人生の師として、教授がアドバイスを贈るところは、泣きました(笑) 一見いい人だが頭の固いレストランのウエィトレスや校長が、なんとも憎らしく思える。 偏屈先生が、人間味ある結末になってしまうのだね。 是非、大著をものにして、ハーバードの同僚を見返してほしい。 全世界の恩師と言える人たちに投げキッスを送りたくなったクリスマスの夜だった。 [DVD(字幕)] 8点(2024-12-25 22:16:10)(良:1票) |
93. フェラーリ
《ネタバレ》 ミッレミリアを映画化したのは、はじめてなんじゃない?「ラブバッグ」なんてありましたが、モンテカルロとは違うのですね。 公道レースは、凄く迫力がある。 事故の場面は凄惨でしたが・・ イタリアのこの歴史ある公道レースをアメリカでやってのけたのが、「キャノンボール」シリーズなんだね。 破産してでも、レースに勝つ車をつくる、ってのが凄いデス。 フォードやフィアットなどと資本提携の話が来る時、 フェラーリの名言 「(フォードなどは)売るために走るが、フェラーリは走るために売る」 エンジニア魂、ここに極まれり♪ フェラーリの下半身事情が細かく描かれてるのが、ほかのレース映画とは一味違う。 [DVD(字幕)] 7点(2024-12-22 23:49:43) |
94. 浮草
《ネタバレ》 いや~どうなんだろう? 「浮草物語」を最初に観て、面白いストーリーだと感激したのだが・・ 思うに、京マチ子と中村鴈治郎じゃ生臭くて、主人公の身勝手さが強く鼻に残るようになっている。 思うに、サイレントって、喜劇が主だよね。 だから、この「浮草」のストーリーも人間喜劇扱いだと、ラストもそれほどイヤらしくなくなるのだね。 あと、本作は子役が活きてないのも、その理由か・・ 小津さんも、この話、好きだったんだろうね。 だから、2度も創っている。 京マチ子が嫌らしい女と可愛い女が両立してるキャラを巧く演じている。 良作♪ [ビデオ(邦画)] 8点(2024-12-21 01:00:07) |
95. 他人の顔
《ネタバレ》 安部公房と勅使河原監督のタッグ、いいよなぁ。 この世界を自分なりにのみこんで、その後に、世界に実験または装置をしかけて、 そこから人間、とくに現代人の孤独を浮き彫りにしていくという、世界へのアプローチがいい。 「砂の女」では砂地獄に作られた家であり、本作でいえば顔を変えることができるという技術であったり・・ 自分の顔にコンプレックスを抱いてる男が、顔を手に入れた後、 やってみたかったこととは? そこに何とも言えぬ現代の哀しさが出てる。 もう一組、顔に傷のある女性も出てくるが、 こちらはテーマのために作られた設定のようで、未消化だった。 面白い!良作! 豆情報・・診察室のデザインは、建築家の巨匠磯崎新によるものらしい。 [映画館(邦画)] 8点(2024-12-19 22:27:53) |
96. 僕らのミライへ逆回転
《ネタバレ》 ミシェルゴンドリー、いいよな~。 レンタルビデオ版「ニューシネマパラダイス」みたいな・・ お目当ての映画がないので、それを真似た映画をつくっちゃうっていうレンタルビデオ屋の話。 もう映画愛、満載でさ、「ドライビングミスデイジー」とか「ゴーストバスターズ」とか ないから、作っちゃおうていう発想がさ、もう最高なわけで・・ そこに何で客の行列ができるかな~(笑)ってところが、アメリカなわけで・・ ヤンキーが真っ先に面白いよっていってくるとこなんか最高でさ・・ いや~、この話で店員は、ジャックブラック以外いないっしょ! 最高! [DVD(字幕)] 8点(2024-12-17 22:36:02) |
97. 白鯨
《ネタバレ》 神をも恐れぬ西洋人らしい映画。 神々しい白鯨をしとめようなんて、あまりにも恐ろしい・・ でも今は近代的な捕鯨船の前では、モビーディックもやられたかもなぁ・・ 捕鯨反対運動は、地球環境問題とも根っこが似てて、人間のやり過ぎに対する抗議なんだろうなぁ・・ アクションシーンが少なく、話が引き締まってて、面白い。 「老人と海」とは違う展開なんだね。 やはり古典は観ないと・・ 勉強になる。 [DVD(字幕)] 7点(2024-12-16 00:41:23) |
98. デトロイト
《ネタバレ》 「ドゥザライトシングス」の続きを観ているような感じを受けた。 今は、パワハラで訴えたりしてるニュースも見かけるが、 バブル破裂後の職場のいじめを思い出した。 職人さんのいびりは、これに感じが似てた。 (人手不足の今は、こんなことないと思いますが・・) あの警官を見てると、当時の職人さんの顔がダブった(笑) まぁでも、差別主義者の黒人への仕打ちは、いったんタガが外れると、 ここまでエスカレートするのか・・ ラストが、苦虫つぶしたような、嫌~な結末。 面白くない話ですが、実話だもんね、うわ~~~(悲) [DVD(字幕)] 7点(2024-12-14 21:19:21) |
99. ドクター・モローの島
《ネタバレ》 ジュラシックパークの元ネタみたいな・・ ラストの動物と、半人間の闘いがすごい。 死者が出ちゃうよ~ 面白い映画のためなら、こんな危険なアクションもする、ってことでしょうか(汗) 最後、主人公の男性は、注射の効果が切れて、人間に戻ったって解釈で良いのかな? [DVD(邦画)] 7点(2024-12-13 00:54:58) |
100. 砂の女
《ネタバレ》 面白い! 最初は、男と女の寓話かと思ってた。 確かにそうなのだが、人生ってこんなもんじゃね?みたいなラストがいい。 岸田今日子が、実にはまり役。 なんというか、あんなひどい環境で、女として生きてる感が出てて、巧い。 ただ、今までの死んでいった男たちとは、子ども出来なかったのかな? 今までの男たちの末路が知りたい。 [映画館(邦画)] 10点(2024-12-11 20:29:24) |