121. 偽れる盛装
溝口「祇園囃子」(8点)と双璧を成す戦後の京都祇園お茶屋を題材とした秀作。京マチ子主演の映画は結構観ているが、ヒロインとして最も光り輝いているのはこの映画だと思います。彼女の前では、零落して金を無心に来る元彼も、グズグズグズグズして一向に煮え切らない妹とその恋人のエピソードも、単なる刺身のツマみたいな存在。辛うじて対抗できたのは敵役お茶屋の女将村田知栄子くらいか。ラスト、舞台衣装姿で京阪の踏切まで必死に走って逃げる名シーン、実際撮影時京マチ子はその時ロケ車に追突されてふくらはぎに怪我を負っていた由。あの鬼気迫る表情や動きは、結果的に足の痛みの賜物だったらしいです。彼女のそんな女優魂こそが、この映画を単なる面白い風俗描写映画という位置から、確実にワンランクアップさせていると自分は思います。 [DVD(邦画)] 8点(2021-01-07 09:07:25)(良:1票) |
122. 獣人
《ネタバレ》 ジャン・ギャバン、こんな若い頃でも貫録というか、オーラが有り過ぎてすでにブルーカラーの一介の労働者には見えないんですよね。その貫録から言って、もはやこの時期でも鉄道会社の重役クラスで十分通用する面構え。でもメチャクチャかっこいい。それぞれの登場人物のキャラクターが皆どこか破綻しているというか、共感するには程遠い設定のため、結果的に鉄路をひた走る、機関車の描写が映画が終わっても一番記憶に残ります。終始被害者面したヒロインをもっと悪女に仕立てた方が、映画としての纏まりが良くなったような気がします。ヒロインの立ち位置が中途半端なせいか、ギャバンが突然発作的に獣人化するクライマックスの描写が生きてこない。 [DVD(字幕)] 7点(2021-01-07 08:44:52) |
123. あなたが寝てる間に・・・
《ネタバレ》 ストーリー、演出、シナリオ、旬の役者と、素材全てがプラスの方向に噛み合って優れた化学反応を起こしたロマンチックコメディの秀作。それまでずっと、主役二番手あたりの、都合のいいヒロインの相手役に甘んじてたビル・プルマン氏が初めてヒロインを射止めるヒーロー役に昇格した記念すべき作品。サンドラの意思が強そうな男顔の魅力もここでは巧く引き出されていましたね。え~、でも、これもう25年前の作品なんだ・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2020-01-18 22:45:51) |
124. 逃亡者(1993)
公開当時、主役のハリソンが助演のトミー・リー・ジョーンズに喰われたって評が圧倒的に出回ってました。ハリソンの大ファンだった自分は、んなこたあない!絶対ハリソンの方がカッコイイ!トミーは役得だっただけ!って友人達に弁護しまくってました。懐かしい。十代や二十代の頃、おっさんになったらケーリー・グラントやハリソンみたいに絶対なるんだって、真剣に思ってたひたすらバカだった自分・・・。やっぱり、上手く粋に年を重ねるにはそもそもの下地と、キンブル医師みたいなある程度の頭脳と金銭的な余裕がないとね←今になって一体何を。 [映画館(字幕)] 8点(2020-01-15 08:25:46) |
125. 男はつらいよ お帰り 寅さん
《ネタバレ》 まず、最初にお断りしておきます。48作目「寅次郎紅の花」(9点)でも書いていますが、僕は元気のない寅さんはあんまり見たくないっていう主義の人間なので、41作目の「ぼくの伯父さん」から、47作目「拝啓車寅次郎様」までの、寅さん自身の恋物語より満男のエピソードが幅を利かせるようになったらしいシリーズ晩期の作品群、自分は未見です。従って満男君と泉ちゃんの初恋の顛末についてとか、全くの白紙状態でこの新作を観ました。晩期の作品群に思い入れがあるのとないのとでは、この作品の評価はおそらく違ってくるかと思います。後年の半生を寅次郎に生き寅次郎に殉じた、偉大なる役者渥美清さんを失ったこの令和の世に、「男はつらいよ」の新作をこしらえるっていったら「ハイビスカスの花・特別編」的なお茶の濁し方や、過去の名シーンを絡めつつ、今のさくらや満男の日常を描く作り方をするしかないのかなあと、観る前から思ってたけど・・・。実際その通りだったけど・・・、う~ん・・・でも、やっぱりツラいなあ、淋しいなあ・・・この作り方は。「AI寅さん」みたいな登場のさせかたじゃないのはまだ良かったけど。今のニッポンに何が足りないかっていうと、寅さんの男気が足りない!って常々思っている自分ですが、この新作を観た事で却ってますます寅さんロスに陥ってしまいそうです。寅さんについて語っているみんなの会話が「過去形」じゃないって事は、物語の中では寅さんはまだ元気に日本のどこかで、テキヤ稼業で旅回りしているっていう設定なんですよね?だったらそれを生かしてもう少し違ったストーリー展開に出来たのでは?もちろん姿を実際に画面上見せる事は出来ないけれど、本当に何十年ぶりかに、寅さんが柴又に戻ってくるっていう、毎度毎度のお約束をオハナシの前提に据えた方がまだ良かったのでは?その上で、今回のエピソードを絡めたひと悶着があって、最後は全員で(おいちゃんやおばちゃんタコ社長御前様も登場させて)とらやの店先でタイトル通りに(以下シナリオ風→)一同、出迎える「(笑顔で)お帰り!寅さん!!」さくら「お帰りなさい、お兄ちゃん!」寅さん「よお、さくら!!おいちゃんおばちゃんヒロシも達者か?どうしたい、満男!深刻そうな顔して。ははあ、お前、また恋の悩みだな。結構結構、結構毛だらけ猫灰だらけってか!ははははは!」寅さんの満面の笑みに、澄んだ冬の青い空が重なって・・・。それがジ・エンドのラストカット。こんなカラッとした陽気なラストであってほしかった。最後までずっとウジウジメソメソしてるなんて、断じて寅さん映画らしくない!!寅さんが好きで好きで大好きだからこそ、僕は敢えてこの新作はこの評価にさせていただきます。 [映画館(邦画)] 5点(2020-01-13 09:57:48)(良:3票) |
126. 恋愛準決勝戦
「上流社会」(6点)と同じく、この作品の目玉ナンバーも「ザッツ・エンターテイメント」シリーズに殆ど収録されていて、今回追体験という形で鑑賞したせいか感銘度は意外に薄かったです。例の、部屋中をダンスしながら回転していくトリックシーン、ガキの頃、ドリフのコントやら「ザ・ベストテン」なんかで模倣されているのを先に観てしまっているので、手品で先に種明かしをされた気持ちとでも言ったらいいか。逆の順序で観てたとしたらもっと評価は違っていたはず。つい先日鑑賞した「踊る海賊」より、ミュージカルとしての洗練度という意味では格段にUPはしているんですが、意外にこの作品には、僕のココロにズキュンと響くナンバーが少なかった。せめて、アステアの相手役がシド・チャリシーあたりだったらなあ・・・と、つい、ないものねだりをしてしまう自分。 [DVD(字幕)] 6点(2018-11-14 22:29:51) |
127. セールスマンの死(1951)
これもジュネス企画さんが出しているDVDシリーズからの鑑賞。有名な舞台劇として昔から名前だけは聞き覚えがあった、アーサー・ミラー原作「セールスマンの死」。まさか、まさか、こんなオハナシだったとは!!邦画の秀作「Wの悲劇」(10点)の中でも、「翔ちゃん、どうだった?ブロードウェイのセールスマンの死は?」「どうしてトニー賞取れなかったのかしらね~?」って台詞に出てきたり、欧米の舞台ではおそらく何回も上演されている著名な、さぞかし面白い舞台劇なんだろうな~とずっと今まで信じこんでいました。だから余計この内容に驚愕したのかも。決して「面白い!」と、諸手を挙げて万人にお勧めできる映画ではありません。モノクロだし、キャストも地味さを極めています。のちに「真昼の決闘」を手掛ける、気骨ある製作者スタンリー・クレイマーだからこそできた映画。当時のアメリカ映画の基準でも、こんな娯楽性のない「老いた1人のセールスマンが自滅していく姿」を捉えた映画、ヒットしなかったと思います。若い時の自分が観てたら、多分この陰々滅滅とした暗い展開に、途中で鑑賞を放棄してたジャンルの映画。主人公に全面的な共感は出来ないものの、自分が50歳を過ぎた今、現実があまりに辛すぎるから、楽しかった過去への逃避や妄想に走らざるを得ない気持ちは良く理解出来る。出来るけど、そうなってしまったのは自業自得だろうとも思える。F・マーチといえば「我等の生涯の最良の年」や「必死の逃亡者」で、「理想的なアメリカの父親」を演じてた俳優さん。ここではそのイメージを見事に逆手に取って、ブツブツ独り言を呟きながら駅や街中を徘徊する、一歩間違えたら病院行きのダメダメ親父を演じています。この父親役は演技派の俳優であれば、一度は演じてみたくなる役どころなはず、と思ったらリメイクはダスティン・ホフマンが演っているんですね。イメージぴったり。機会があればレビューでも評価の高いこのリメイク版も是非観てみたい。 [DVD(字幕)] 7点(2018-11-12 21:24:40) |
128. ハリーとトント
《ネタバレ》 僕は基本的に老齢世代のロードムービーには特に点が甘いです。80年代の「バウンティフルへの旅」、最近だと「ネブラスカ」も大好きな映画でした。ビル・コンティの心地良いBGMに乗せられ、極寒のNYから陽光のカリフォルニアまでの長距離ドライブ。ハリー氏とトント君に同乗させてもらい、一緒に道中寄り道しながら愉しませて頂きました。通常ロードムービーだと、出発した場所に最後は戻ってくるっていうのが定番だけど、これはNYを出発してカリフォルニアへ行ったっきりでオーラスになるんですね。ほんの短い場面での登場ながら、エレン・バースティンはやっぱり強い印象を刻みこませる良い女優さんだなあと。僕も先日めでたく?「人生50年」の区切りの歳を迎え、これからの後半生どう生きていくかを考える時期になりました。そんな時にこの作品に出会えて良かったと思います。いや、別にお手本にしたいとかいうような登場人物はいなかったんですが、だってハリー氏はどこか自己中な部分もあるしね。世の中ってホントいろんな人がいるんだなあ、と。奥さんに先立たれたとはいえ、このハリー氏、かなり恵まれた環境の老後人生ですよね、いろいろと羨ましい。 [DVD(字幕)] 8点(2018-11-09 23:53:39) |
129. ウェディング・バンケット
《ネタバレ》 うん!ホントに良く出来た映画ですね~、これは。僕は、同監督「ブロークバック・マウンテン」(9点)も高評価していますが、それ以上にこれは良く出来た作品だと思います。まず同じアジア圏の主人公だけあって、より感情移入がしやすかった。人が人を思いやる為についた「優しい嘘」、その嘘をどんどん積み重ねていくたんびに、それぞれの心理の綾が複雑に絡みあって、やがて互いに互いを認め合い心地よいラストシーンへと収束していく・・・。個々のキャラクターも成長も巧みに描かれているし、それぞれの職業も巧く本筋に絡むように設定されて、優れた脚本のお手本のような映画だと思います。最初画面に出てきた時「いかにもゲイ」っぽかったサイモン君、優しすぎでしょ。一見、無機質無感情な主人公が彼に惹かれた理由も何となくわかる。バンケットレストランの支配人さんと主人公の親父さんとの何気ないやり取りとか、サイモン君と親父さんが河を眺めながら語り合うシーンとか、この監督の、一瞬だけ「韻」を踏むような一呼吸入れる演出もいいです。まるで本編に何度か出て来る、部屋に飾った掛け軸の楷書の文字みたいでした。親父さんが実は英語が理解できてたっていうのは読めてましたけど。でもこういうシチュエーションでのカミングアウトって、ゲイにとっては理想形じゃないですか? [DVD(字幕)] 9点(2018-11-08 22:54:13) |
130. 青春かけおち篇
全編にわたって、躁状態のごとく舞台風な誇張コメディ演技をスクリ-ン所狭しと披露する風間&大竹の主役ご両人。つかこうへい氏原作って事で、狙いはわかるけど、デフォルメしすぎのオーバーな舞台演技をスクリーンでずっと見せられ、途中からもう辟易してしまった記憶が。ちょうど同じ時期くらいに公開されていた根岸吉太郎監督「永遠の1/2」、こちらにも大竹しのぶが出演していてごく自然体での演技により好感を持ったのをよく覚えています。芸域が広い女優さんだなあと感心しつつも、この映画を観て以来、彼女のこっち方向のコメディ演技に関しては、ちと僕は若干拒否反応を起こすようになり。 [映画館(邦画)] 5点(2018-11-02 23:38:45) |
131. ハスラー
60年代「ポール・ニューマン時代」到来を予感させる、クールでスタイリッシュな佳作。それ以前50年代の彼はルックス的にも演技的にも、まだ青臭いというかのっぺりしていてそれほど魅力を感じなかったんですが、この作品あたりから俄然アウトロー的ハイブロウな男臭さが漲ってくるんです。そっち系の魅力が頂点に達したのが「暴力脱獄」。結果的に続編「ハスラー2」でオスカーをゲットした訳ですが、その後最後にアカデミー主演男優賞にノミネートされた「ノーバディーズ・フール」。ここでのレビュー数も多くないので、メジャーな作品とは言えませんが「ハスラー」「暴力脱獄」の主人公が、もし老齢まで長らえたらこんな風に年を重ねたんじゃないのなあ・・・なんて、想像できそうな滋味溢れる名演を見せてくれてます。この映画や、60年代の作品群で彼のファンになられた方はご一見を!映画とは全く関係ない話ですが、昔「ポール・ニューマン監修のサラダドレッシング」っていうのが販売されていました。自分が大学時代、吉祥寺某高級スーパーで初めてバイトを経験した時、一番最初に棚出ししたのが、彼独特の、あの眩しそうに目を細めた満面の笑みがラベルに貼られていたこのドレッシングだったんです。・・・あれ、一度は買って試食してみるべきだったかなあと、今でも後悔してます。オチも何もない、つまらない思い出与太話でレビューを締めくくり大変申し訳ありません! [地上波(吹替)] 7点(2018-10-31 23:45:33) |
132. 上海から来た女
《ネタバレ》 悪女が男を破滅させる「ファム・ファタール」ものジャンルでは、B・ワイルダー監督作「深夜の告白」が一番の傑作と自分は思っています。そのレベルには及ばないものの、この作品も、ちょいとつつけば穴だらけのストーリーの脆弱さを除けばかなりの出来だと思います。当時リタ・ヘイワースの旦那だったウェルズ氏が、いかに彼女をキレイに画面に映えるように魅せるか、シーンごとに変わる衣装、カメラワーク含め涙ぐましい結晶の跡が伺えます。ホント、この時期のリタは全身パン粉ではたいたような美しさ(←誉めてます)まるでTPOをわきまえない、時には場違いとも思えるおキレイな衣装の数々は一見の価値あり。評価を上げたのは、やはり映画史的にも有名な、クライマックスの「クレイジーハウス」での銃撃場面が良かったから。この映画の結末同様、完成後このお二人離別してしまったようですが、何となくラストのウェルズ氏の表情が「(実生活も含めて)もうお前に振り回される人生は御免だ!!」って言いたげに見えたのは自分の穿ちすぎでしょうか? [DVD(字幕)] 8点(2018-10-30 23:21:47) |
133. 踊る海賊
《ネタバレ》 ジーン・ケリーとジュディ・ガーランドご両人の大ファンとしては、数少ない共演作の中では最もポピュラーな大作という事で、ずっと昔っから観たかった映画です。DVD化してくれたジュネス企画さんに感謝!正直『ザッツ・エンターテイメント』シリーズで、ほとんどこの映画のナンバーは収録されてなかった事から、それほどミュージカル映画としての評価は良くないんじゃないのか・・・と不安に思ってはいたんですが・・・。まあまあ、それなりでした(笑)佳作と呼ぶには今一歩。でもお二人のファンの方なら十分楽しめるはず。この映画が製作された40年代後半あたり、まだMGMとしても色々試行錯誤の時期だったんじゃないのかなあ・・・という箇所があちらこちらに。勢いだけはとにかくすごいけれど、どこか雑で隙のあるこの作品あたりから、50年代の洗練されたアーサー・フリード氏製作一連の秀作作品群「雨に唄えば」「バンド・ワゴン」「巴里のアメリカ人」へと昇華到達していったんだなあ・・・と、改めてミュージカル映画史の後付け学習した気分。ジーン・ケリーは、チョビ髭も海賊衣装メイクもそれほど似合わない。逆に、ジュディのコメディ演技のセンスが最も巧く発揮されたのはこの映画なのでは?「雨に唄えば」でも大好きなナンバーだった「道化師になろう!」が、このお二人のデュエットで鑑賞できたのが一番の収穫! [DVD(字幕)] 7点(2018-10-15 21:37:13)(良:2票) |
134. 天国の日々
《ネタバレ》 確かこの映画、ずーっとお蔵入りだったのを、82年のお正月映画「愛と青春の旅立ち」の大ヒットでリチャード・ギアの人気が日本で大ブレイクしたんで、翌年の春に「あのリチャード・ギア幻の未公開作!」ってふれこみで、急遽公開された経緯があったはず。都内でも「シネマスクエアとうきゅう」単館上映、観たいな~って思っても、私が住んでた田舎の映画館で公開されるような種類の映画ではなかったので、結局鑑賞したのはほぼ40年後の本日になってしまいました。うーん、若き日のギアもサム・シェパードもご両人とも、ほれぼれするほどイケメンさんですね~。どちらかと言えばこの映画では、サム・シェパードの方が儲け役かな。当時から「映像の魔術師テレンス・マリック」っていう評価のみ耳に入ってきていたので、実物は一体どんなもんじゃいと思ってたんですが・・・。噂にたがわず素晴らしかったです。麦の穂が一塵の風でざわざわ揺れるシーンだけでも胸騒ぎが。ボーっと見てるだけで90分過ぎていきました。兄妹と偽ってる二人の言動があまりに無防備過ぎるとか、ケチを付けたくなるような箇所もあるけれど、この映像のチカラの前には、オハナシの脆弱さも含め全て許してひれ伏してしまいたくなる・・・そんな映画でした。ヒロインがよくいる美人顔女優さんじゃないのも効果的。 [DVD(字幕)] 8点(2018-10-12 22:42:06)(良:1票) |
135. 青い戦慄
《ネタバレ》 ジュネス企画さんが出してるDVDは、大手の会社とは異なり、クラシック映画ファンが昔っから噂には聞いているけれど、実物をなかなか鑑賞する機会がない的な作品群を数多くリリースしてくださっているので非常に重宝しています。この映画に対する鑑賞前の興味の焦点は、かのレイモンド・チャンドラー氏が脚本に携わってるっていう点のみ。残念ながら期待を下回る出来。スリラーとしても、ハードボイルドとしても、ラヴサスペンスとしても全てが中途半端。演出も、ただのんべんだらりんと撮ってるだけで切れ味不足。見どころはブロンドヒロイン、ヴェロニカ・レイク嬢がシーンごとにとっかえひっかえ着替えて登場する、イーデス・ヘッド女史デザインによる凝った衣装の数々。「シェーン」以外で、アラン・ラッド氏を映画で観るのはこの作品が初めてだけど、端正なマスクはともかく、なで肩で線が細いヒトなんですよね~。んで、やっぱりハリウッド男優にしては極端に背が低い。この人が腕っぷしが強そうにはまず見えないし、かといって悪人連中にも大した魅力がないのがこの手のサスペンスとしては大幅なマイナス。往年のパラマウント調都会的タッチが幾分味わえるのが救いか。 [DVD(字幕)] 6点(2018-10-09 22:55:48) |
136. 櫻の園(1990)
「記録…それはいつも儚い。一つの記録は一瞬ののちに破られる運命を自ら持っている。それでも人々は記録に挑む。限りない可能性とロマンをいつも追い続ける。それが人間なのである。次の記録を作るのは、あなたかも知れない!!」毎年毎年、僕は桜の季節になるたんびに、懐かしのテレビ番組「日本びっくり新記録」(←ウチの田舎じゃ日曜日の朝に放送されてた)のこの名ナレーションを思い出すんです。満開の桜も少女たちも咲き誇る時間はあまりにも短く、やがて散り、そして少女たちは大人の女性になっていく・・・。その儚くも貴重な一幅の瞬間を、見事に切り取った映画だと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2018-09-19 23:55:51) |
137. メッセンジャー(1999)
「私をスキーに連れてって」以来の、観客のマーケティングリサーチ?に徹底的にこだわったとか、なんのかんの色々言われていた、一連のホイチョイプロ製作作品群の中ではこれが一番面白かったですね。キャラクターとか内容自体最も地に足が着いた設定で、スキーやマリンスポーツなんかのネタよりも新鮮味があったし。ガキの頃から自分がケッタ(←中部地方だとチャリの事をこう呼ぶ)好きって事も影響してるかも。今見返しても、きっと新たな発見があるんじゃないかなと思います。一連の作品群の中でここでの評価がアタマひとつ抜けている点も納得です。 [DVD(邦画)] 8点(2018-09-19 23:41:28) |
138. さよならをもう一度
この映画、大阪西成区につい数年前まであった「トビタシネマ」、良く言えば昔ながらの映画館、正に閉館間際くらいの時期にたまたまヤボ用で大阪に行ったときに観ました。一体、何ゆえモノクロ格調高めな文芸大作映画を場違いな場末の映画館でリバイバル上映するんだろう?と不可思議でしょうがなかった。陳腐なストーリー云々より、これはバーグマンとモンタン氏、そして人気絶頂期トニパキ君、三大スターの顔合わせを愉しむ映画だと思いました。演出はパリという舞台を生かし、なかなかきめ細やかな情感を漂わせいいムードを醸し出していたと思います。バーグマンは、この時期から、腰のあたり贅肉が若干付き始めていて、多少加齢を感じさせられました。「カサブランカ」や「汚名」の頃の、ひたすらキレイだった時期はもはや遠く、歳を重ね彼女にもいろんな荒波がありましたからね~。映画館を出たあと飛田界隈をちょいとそぞろ歩いたんですが、あべのハルカスのお膝元、ほんの数分のエリアにスゴイ光景が広がっていて、大阪という町の底知れぬ奥深さにたった今しがた観た映画以上に感動してしまいました。あ、どこへも寄り道せずまっすぐホテルに戻りました、はい。 [映画館(字幕)] 7点(2018-09-13 23:58:06) |
139. Mr.BOO!インベーダー作戦
アラフィフの自分が小学生の頃、香港と言えばJ・チェンでもB・リーでもなく、この「MR BOO!」シリーズでした。土曜洋画劇場で、翌週放映されると分かった日にゃクラス中その話題でもちきり、一週間ずっとわくわくしっぱなし。半ドン(←死語)の後、家まで帰る道のりがなんて輝いていた事か。平和な日常がずっと続くと思っていたあの頃・・・。あくまで広川太一郎氏の「・・・してみちゃったりなんかして」のアドリブ吹き替えありきの評価。決してオリジナルでは再見したくない。こういう「少年期の追憶限定高評価」映画があってもいいと思う。 [地上波(吹替)] 8点(2018-09-10 21:37:54) |
140. 銀河伝説クルール
地方の映画館だと「サハラ」と同時上映だったんですよ、この映画。片やブルック・シールズ久々の初アクション映画主演作、片やあの名作「ブリット」のピーター・イエーツ監督初のSF超大作!って映画雑誌なんかで宣伝されてて、わくわくながら映画館に行ったけど・・・観た後はため息しか出なかったなあ・・・。二本立てって、どちらかは絶対面白い映画だっていう思いこみはこのニ作品によって打ち砕かれました。ある程度名のある大監督が不得手なジャンルなのに撮ってしまいました感ありあり。暗い映像と砂漠のシーンだけしか記憶にないです。 [映画館(字幕)] 3点(2018-09-10 21:18:24)(良:1票) |