161. 旅愁(1950)
知名度の割に作品数が少なかった、ハリウッド随一の憂愁美人ジョーン・フォンティン三大名作の一つ。(他は「レベッカ」「忘れじの面影」)アメリカの女優にありがちな、押しつけがましさを一切感じさせない、清く澄んだ湖のような深みのある底光り的美貌の持ち主でしたね。アメリカ渡米直後のヒッチコックが、2本連続で彼女を起用した気持ちがよくわかります。サスペンスにぴったり合う繊細な雰囲気の女優さんなんて、アメリカじゃなかなか希少価値だったろうし。この作品自体は、イタリア名所旧跡観光を兼ねた、あくまで口当たりの良い上品な大人にのラブロマンスという域を出ない気がしないでもない。でもリタ・ヘイワースの「ギルダ」などと同様、観ているうちに、全盛期のジョーンの美しさにおハナシなんかどうだってよくなってくる、スターの輝きで魅せる映画だと思います。相手役の淡泊系ジョセフ・コットンもカッコいい。96歳という長寿で昨日他界されたとの事。お姉さんのオリヴィア・デ・ハヴィランドとの、長年にわたる確執は結局生前に解消されたんでしょうか・・・?心安らかに、天に召されたであろうことを心から願います。 [DVD(字幕)] 8点(2013-12-16 21:56:50) |
162. 愛染かつら 総集編
よく比較される、戦後のメロドラマ「君の名は」での、ただただ流されっぱなしの受動的ヒロイン岸恵子より、実は戦前のこの「愛染かつら」のヒロイン田中絹代の方が、ずっと自立心旺盛な能動的女性像を先取りしていたことにまずびっくりしました。自己主張をしている割に、あまり生意気そうな感じに見えないのは、田中絹代という女優さんが、あまりに小柄で頼りない風情ゆえ、観客に「守ってあげたい」願望をそそられていたせいかと思われる。 [インターネット(字幕)] 6点(2013-12-14 23:47:51) |
163. マイ・ブラザー(2009)
《ネタバレ》 「ディアハンター」でのロシアンルーレットシーンに比するような、小心者の自分には正直シンドイ場面もあったんですが「戦争後遺症」ものとしてはなかなか良く出来ていると思います。若手実力派3人がいづれも適役適演。両親や子供たちも含めた各々の感情の揺れ動きが実に巧みに描かれていました。僕くらいのトウの立った年代だと、ジェイクとトビーなんて、ほぼ同年代くらいじゃないかと思ってたんですが、実年齢もトビーの方がずっと上だったんですね・・・。トビーがいつまでも童顔だから、その辺がなんだかもやもやとしてる(笑) [地上波(吹替)] 8点(2013-12-14 23:27:57) |
164. くちづけ(1955)
《ネタバレ》 石坂洋次郎の原作短編『霧の中の少女』は、ずっと以前学生時代に読んでました。だから今回は、大のご贔屓女優高峰秀子の挿話よりも、第二話が一番観たかった。イメージ通りの出来栄えにもう大満足です。長女役司葉子ももちろん適役だけれども、次女役の中原ひとみのクリクリした大きな瞳の輝きと、東北ズーズー弁(?)を自由自在に使いこなす愛らしさに、もう終始メロメロ(笑)時代劇メインの東映所属だった中原さんが、こういった形で他社の現代劇にどんどん起用されていたら代表作にもっと恵まれていたのでは・・・と、この映画での生き生きしている彼女を見ると惜しまれる。田舎のこまもの屋さんにあんな美しい姉妹がいるわけがない!などと、映画の夢を壊すようなことを考えては絶対にいけません(8点)第一話は、ラストの川原での長いシークエンスが全くの蛇足。主役お二人の演技も生硬すぎ。キャンパスで、笠智衆教授に挨拶したところで終わっていたら、もっとすっきり纏まった印象だったかも。(6点)真打ちとも言うべき、成瀬監督の第三話が演出といい、話しの運びといい、役者の使い方といい、最も手慣れた熟練の巧みの技を感じさせるが、何となく大作「浮雲」のあとの息抜きといった趣があり、それほど自分は興が乗らなかった。ラストの八千草薫の見返りに(まさにこれがホントの見返り美人!)場内を埋め尽くした熟年諸氏の方々から「ほおっ!!」という感嘆音が響きました。やっぱり八千草さんはこの年代の方々には特別な存在なんだなあと、改めての認識。幸せな気分で場内を後にしました(7点)好みの順番で言うと、断然第二話→第三話→ぐっと落ちて第一話。一番印象に残ったのはやっぱり中原ひとみ。平均してこの点数です。(←フィルムセンター「よみがえる日本映画東宝編」にて鑑賞) [映画館(邦画)] 7点(2013-11-30 09:29:24)(良:1票) |
165. 42~世界を変えた男~
《ネタバレ》 懐かしのメジャーリーガーの名前を挙げろと問われても、ルー・ゲーリック、ディマジオ、ベーブ・ルースくらいしか思い浮かばない、野球にはイマイチ疎い自分のような人間が鑑賞しても、十分感動できるヒューマンドラマの秀作だと思います。いやあ、久しぶりに映画らしい、伝記映画としても非常にオーソドックスな作りの映画を観ました。大満足です!まず、脇の人物たちのキャラクターまで、こと細かく肉付けした脚本が◎、ガッチリ腰の座った抑制された演出もいい、役者もいい、音楽のチョイスもいい、時代色をうまく出した撮影や衣装も素晴らしい。登場人物たちの「その後」を紹介していく、エンディングの処理も自分好み。中でも、主役ジャッキー・ロビンソンに扮したチャドウィック君の面構えと、彼自身が持つ真摯な魅力が決定打。5年前の「インディ」以来久々の再会、少年時代からのファン、ハリソンの老け込み具合は、この映画の為の役作りと信じたい・・・。いや、まだジジイになるには早いぞ、ハリソン!!アメリカ映画って、野球を描いた作品に傑作が数多いけれど、新たな秀作がここに仲間入りしました。アメリカで人種差別が色濃く残っていた地域は、第二次大戦後当時でもディープサウスの周辺だけなのかと思ってた私が浅はかでしたね。一番感動したシーン、シンシナティ戦での背番号1と42との俯瞰ツーショット。あと、車の中での専属記者さんとのやり取りも良かった。この映画、↓牛若丸さんがレビューされてる通り、ホント、ところどころに感動ポイントが散りばめられてるんですよ。是非、この作品、映画館の大画面で観て下さい。 [映画館(字幕)] 9点(2013-11-02 00:12:19)(良:1票) |
166. Mr.ディーズ
アダム・サンドラ―のアフレコ、中川家関西弁での吹き替えバージョンにて鑑賞。中川家兄弟コントでのしゃべくり方ではなく、徹底してまるで抑揚のないセリフ回しにより、この映画の面白さも半減したんじゃないかと思われる。ここはプロの声優さんにやってもらいたかった。何ゆえに中川家なのか理解不能。どこかで観たようなストーリーだと思ったら、これキャプラ監督「オペラ・ハット」のリメイクだっだんですね。例の事件後、キャリア下降線を辿っていた時期にしては奇跡的に美しさを保っていたウィノナはともかく、残念ながらクーパーとサンドラーでは役者の格が違いすぎます。字幕版での鑑賞をお勧め。 [地上波(吹替)] 5点(2013-10-03 22:20:17) |
167. オン・ザ・ロード(2012)
《ネタバレ》 大好きな映画だった「セントラル・ステーション」「モーターサイクル・ダイアリーズ」を撮った監督の、ロードムーヴィー最新作という事で観ました。前二作品より、ずっと若い世代を扱った作品とのことで、もしやもしや、高校生の時にリアルタイムで観た、自分の生涯ナンバーワンロードムーヴィー「ファンダンゴ」(文句なしの10点満点!!)を超える作品に出会えるんじゃないかっていう、淡い淡い期待を込め映画館へ・・・。ガーーーーーーーーーン!!!!思ってたのと全ッ然違ってた(笑)ショックデカい・・・。いや、こういう予想って、今までも当たったためしがないから別にいいんですが。ジャンキーでセックスマニア(←これはまあ許す)しかも、超自分本位な奴らしか登場してこない、最初からラストまで、アメリカ国内のみならず、メキシコまでわざわざ行っても、高等遊民を気取っているかのような主人公のココロの成長もたいして見られないという(少なくとも僕にはそう思えた)一風変わったロードムーヴィーでした。こいつら、いつか絶対天罰が下るわ~と思いながら観てたら、赤痢に罹ったくらい。あんなんじゃ甘いなあ・・・。まあ、そういう自伝原作のエピソードなら文句は言えんけど。わざと、登場人物たちに、観客が感情移入するのを拒んでいるかのような、開き直りっぷりを途中から感じました。そこからが逆に面白かった。第二次大戦後直後から、1950年代初頭にかけての物語でありながら、時代色があまり出ていないような気がしましたね。特に女の子のファッションとか。時たま街頭テレビで映るニュース映像で、辛うじて説明を済ませていたような感じ。それを外したら、この2013年でも充分通用するような雰囲気。でも、たった4年くらいの物語なんですよね、これ。ミスキャストとまでは言わないけど、主人公が惹かれるようなカリスマ性がイマイチ薄い悪童ディーン君にせよ、まだ二十代半ばくらいのはず。まだまだやり直しは出来る年齢。以上、主人公たちにはてんで共感出来んかったけど、この監督の作品らしく、風景は素晴らしかったのでこの点数。 [映画館(字幕)] 6点(2013-10-03 11:52:20) |
168. 西銀座駅前
ビリー・ワイルダーの「七年目の浮気」の日本版リメイク?とおぼしき、恐妻家中年男の妄想炸裂映画in西銀座駅地下。フランク永井氏のナビゲーター付き。後半からのボート漂流場面あたりから、絶対夢オチになるのかと思いきやそうはならなかったのは私の読みが甘かったせい。それなりに面白かったんだけど、当時の西銀座地上風景がもっと観たかったかなあ。 [インターネット(字幕)] 6点(2013-08-28 23:07:27) |
169. ナイト&デイ
《ネタバレ》 私も↓のどなたかが書かれている通り、7点以外はありえない映画だと思います。「MR&MRSスミス」なんかと同じく、トムクル&キャメロン二人のスターの魅力ですべてを強引に押し切ってしまっている、ある意味志の高い映画。 [地上波(吹替)] 7点(2013-08-26 21:48:04) |
170. 七つの顔
《ネタバレ》 小学校の頃読んだ、明智小五郎と小林少年シリーズの実写映画版といった趣。ああいうの好きだった方には特にお勧め。展開もキビキビしているし、クライマックスはカーチェイスのおまけつき。シリーズ化されたと聞いてますがうなづけます。こりゃ当時さぞかし受けたでしょう、土曜ワイド劇場で観た、天知茂版の「美女」シリーズも悪くなかったけれど、街並みやら怪しい洋館とか、セットやロケーションでは最早まかないきれない当時の混沌とした雰囲気が伝わってきて嬉しくなってきました。敗戦後しばらく時代劇が作れなかった時代の副産物スリラーと言ってしまえばそれまでだけど、ヒーロー千恵蔵氏も気分良さげに演じているし、これ、演じる側としても楽しかったんじゃないかなあと。 [DVD(邦画)] 7点(2013-08-26 21:39:39) |
171. あにいもうと(1953)
《ネタバレ》 東宝作品のイメージが非常に強い成瀬監督が大映で撮った2作品のうちのひとつ。傑作「稲妻」には及ばないまでも、この作品もなかなかの秀作だと思います。平成の、今年のこの猛暑の中、この時期に鑑賞するのにぴったりの映画でした。昭和20年代のニッポンの真夏の風景が、丁寧に丁寧に描かれています。「あにいもうと」というよりも「あねいもうと」というタイトルでも良かったんじゃないかと思うくらいに、家族の中での唯一のしっかり者、傍観者でもある、次女久我美子の微妙な感情の揺れ動きが、最も巧みに点出されていました。これは「稲妻」だと高峰秀子のポジションの役ですね。私の中ではインテリやくざのイメージが強かった森雅之という役者さんが、こういう荒っぽいホワイトカラー的な役どころで観るのはなんだか凄く新鮮でした。が、でもやっぱりミスキャストかな(笑)京マチ子は適役。浦辺粂子も言わずもがなの好演。かき氷、ラムネ、子供たちの川遊び、歓声、うちわ、よく冷えたスイカ、手ぬぐいで拭う流れる汗、日傘・・・ひとつひとつの夏の小道具が映画にアクセントを与えています。鑑賞しながらこの時代は「熱中症」なんて言葉はなかったんだなあとしみじみと。 [DVD(邦画)] 8点(2013-08-26 21:28:46)(良:2票) |
172. 31年目の夫婦げんか
《ネタバレ》 自分、これまで結構映画の本数はかなりこなしてきたつもりですが、この作品は「画面を観ていてその場にいたたまれなくなった時間が一番長かった映画」間違いなくナンバーワンに認定したいと思います!シルバー世代にだって、セックスやスキンシップは必要だってことはよ~くわかります。でもねでもね、それをここまであけすけに、あからさまに描く必要ってありますか?ないでしょ!!なんなんだろう・・・高校生の時に「愛と追憶の日々」で、親世代のベッドシーン(シャーリー・マクレーン&ジャック・ニコルソン)を観た時に感じた、あのなんとも言えない、全身がムズ痒くなる感覚が久々に蘇ってきましたよ・・・。メリルにせよトミー・リー・ジョーンズにせよ、役者の格としては一流どころを揃えておきながら、この内容、ちょっとばかり引いてしまったどころではなく、上映中ずっと引き潮に流され漂流してしまった気分です。お二人とも脚本をチョイスするセンスにはひときわ長けている役者さんだとずっと思ってたのに。いや~これはホントに残念。いや、メリルに関しては、以前「恋するベーカリー」に主演した際、きっとこういうテーマがお好きなんだろうなあ~っていう萌芽はすでにありましたがね。もっともっと、上品な大人のコメディが観たかったなあ・・・。映画の出来としては4点くらいだと思うけど、このサイトの主旨に沿って採点するとなると・・・、まあこの点数ですね。 [映画館(字幕)] 2点(2013-08-01 22:23:30)(良:1票) |
173. ローマでアモーレ
《ネタバレ》 ここ数年欧州のメジャー都市を又にかけ、以前にも増して精力的に映画を撮り続けているアレン先生の最新作。自分としては、秀作パリ(9点)はもちろん別格として、バルセロナ<ロンドン≦今回のローマという評価でしょうか・・・。前作のパリでは、タイムトラベルを何の奇もてらわず、ストーリーの中へ巧みに融けこませてましたが、今回も風光明媚な観光地ローマ滞在中の、何組かのカップルや家族の恋愛エピソードを、何の奇もてらわず、時系列などまるで無視して(笑)縦横無尽に引き延ばしたり、自由自在に圧縮させたりして楽しませてくれます。全編ニヤニヤと笑いながら鑑賞させて頂きました。ただ、ロベルト・ベニーニ氏のエピソード、有名人であることの風刺にしては浅過ぎるし、ここだけ何だかとってつけたような印象なので、思いきってバッサリ切ってしまった方が映画としてはスッキリまとまったんじゃないかなあと。それぞれのエピソードが、いつかは微妙に交錯してくる展開になるのかな~と思いきや、最後まで一向にそうならないのは、計算づくだとわかってはいても少々肩すかし。今が旬の若手から、アレン映画常連のベテランまで、主役級クラスの役者の使い方が相変わらず贅沢。練られたセリフの巧さも相変わらず。おしまいのほうで「東京」って単語が出てきたので、まさかいよいよ次回作の舞台は!?な~んて、ついつい期待してしまいます(笑)アレン先生は「英国王のスピーチ」は、あまりお気に召さなかったのかな? [映画館(字幕)] 7点(2013-06-13 23:34:21)(笑:1票) |
174. 本日休診
先日惜しくも亡くなられましたが、この映画は若き日の三國連太郎さんの怪優っぷりを堪能する映画です。当時のイケメン代表格、鶴田浩二、佐田啓二お二人とも、この三國氏のどうにもこうにも枠に収まらないハチャメチャな悪達者ぶりに、影がまるで薄くなってしまっています。特に良い意味でアクのない端正な二枚目の佐田氏なんぞ、えっ、どこに出てたっけ?ってなくらい、まるで存在感ナシ。上記お二人のみならず、名バイブレイヤーの男優さん含め、居並ぶお綺麗な女優さんの存在までも、あの独特なマスクと濃ゆい演技で映画をかっさらってしまった感があります。いやあ、恐るべき役者さんだったんですねぇ・・・。ちなみに、自分が三國さんを意識したのは、これも先日亡くなられた夏八木勲さんと同じで、角川映画の、健さんを恫喝するシーンが怖い「野性の証明」や、太っちょ=「セーラー服と機関銃」あたりからでした。角川映画って当時ずいぶん叩かれてたけど、良い役者起用してたんだよなあ・・・。自分が小中学生の頃活躍していた役者がホントどんどん亡くなられていくっていうのは・・・やっぱなんか寂しいもんですよね。 [DVD(邦画)] 7点(2013-06-01 19:41:58) |
175. モネ・ゲーム
《ネタバレ》 自分は未見ですが、若き日のシャーリー・マクレーンとマイケル・ケインが出てた「泥棒貴族」のリメイクとの事。モネの名画が絡むドロボー映画つう事で、イメージ的にはオードリーの「おしゃれ泥棒」(8点)みたいな洒落た楽しい映画だったら嬉しいな~てことで、公開初日ワクワクしながら劇場へ。コリン・ファースもキャメロンも、僕の大好きなご贔屓役者。コーエン兄弟の脚本と二人の魅力で、映画の出来が一プラス一が三くらいになってる、小品コメディを期待してました。冒頭のアニメーションはまず秀逸です。本編開始。なんだろう・・・リメイクって事もあり、クラシックな味も狙っていたのかもしれないけど、何もかもが新味もなく、やたら「アナログ」な作品でした。そもそも大富豪が名画の贋作調査を自分のお抱え鑑定人、たった二人だけにやらせるっていうのも無理な設定だし。ドロボー映画に最も肝心なセキュリティシステム突破に、なぜかラ○オ○を出してくるあたり、全く納得できません。「おしゃれ泥棒」の美術館の方が、まだセキュリティ管理がちゃんとなされていたような。でも、それ以上に僕が一番ガックリしたのは「ブラックレイン」や「ラストサムライ」以後でも、アメリカ映画が平然と出してくる、一向に変わり映えしない紋切り型「ニッポン人」のキャラ設定。「仕掛け」のひとつだったとしても、50年前の「ティファニーで朝食を」のミスター・ユニヨシ氏と比べても50歩100歩。これがイライラして引っ掛かるのでマイナス一。出てくるたんびに笑えたのは、高級ホテルサヴォイの、フロント担当ホテルマンおっちゃん二人組。このお二人、お顔の造形がとにかく傑作。堅物コリンとキャメロンの相性はまずまず。キャメロン、いい加減手遅れになる前に路線シフト変更した方がいいと思うぞ。 [映画館(字幕)] 6点(2013-05-17 22:41:22)(良:1票) |
176. 愛、アムール
《ネタバレ》 うぅぅぅぅぅ~ん・・・・、初めっからおしまいまで、めっちゃシンドイ映画だったなあ・・・、これ。老夫婦の愛の究極の選択は?っていう予告や、チラシ通りの内容の作品でした。逆に多分こーなるだろうなーって予想していた内容から、一歩も踏み出さない展開にこちらが驚いてしまったくらい。実は、今若干の距離で離れて暮らしている自分の両親が、この作品の老夫婦の状況設定と非常に酷似しています。だからか余計やりきれなかった。若い頃からさぞかしこのご夫婦、仲睦まじかったんだろうなあっていう雰囲気が、会話や相手に対する態度の端々からよく伝わってきました。でも、あまりにプライドが高すぎたんじゃないのかな?って思っちゃったんですよね、このお二人。だって劇中で観る限りでは、心を許した友人とか一人もいなかったようだし。ずっとずっと二人だけの世界の中で暮らしてきたんだろうなあ・・・。よくコマーシャルで、「介護は一人で抱えこまないで!」って言ってるのをよく見るけど、実際その通りだと思います。地域のデイケアサービスセンターなんかを上手く利用したら、入院はさせないって約束だったかもしれないけど、この二人にとっても、また別の解決方があったのでは?財産はありそうな感じだったし。フランスって国は、実はそういう保障があまり充実してないんでしょうか?奥さん役のエマ二エル・リヴァだけが本年度の演技賞等を賑わしたけど、僕はひたすら辛抱役の旦那さん、ジャン=ルイ・トランティニャンの方がより強く印象に残りました。この監督、ワンカットの最後の「留め」がやたら長いですね。カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作って、なんでか自分とは相性がそれほどよろしくない(笑)結論、歳を取ったら潔くいらんプライドは捨てましょう! [映画館(字幕)] 5点(2013-03-17 23:23:34)(良:1票) |
177. テッド
《ネタバレ》 最近自分、アメリカ映画の「主人公」の初歩設定であるキャラ付けが、どういう方向に向かおうとしてるのかわからず混乱してきてます。たまたま観た新作が、どれも主人公もしくはヒロインがココロを病んでいる作品ばかりだったせいもあるんですが・・・。「世界にひとつのプレイブック」「フライト」そしてこの映画。この映画のジョン君は特に病んでいるって訳ではないけれど。なんだか、映画の主人公になるキャラクター必須条件として、フツーに日常生活でコカインやドラッグをやっているのが「たしなみ」みたいな感じで描かれているのがすごく気になるんです。シリアスな内容の映画や脇役ならともかく、この作品みたいな罪のないラブコメの主人公がそういう設定にされてるって、何だかものすごく危険な傾向じゃないですか?年齢層限定ヲタクネタや、下ネタ、意訳が多過ぎる(流石に星一徹はやり過ぎ)なんて事は、たいして気にもならなかったけど、これはある意味無邪気に楽しめるファンタジーだけに、余計に引っ掛かってきちゃうんですよね・・・。この映画を観ながらそんな事を考えてた俺もココロが病んできてるんでしょうか?これからのアメリカ映画って、ドラッグをやらない人間=清廉高潔でつまらない人間、だから映画の主役には絶対なれない、なんて風潮にだけは間違ってもならない事を祈るばかり。大円団な結末なだけに、これからも雷兄弟ジョンとテッドはカウチに座ってDVD観ながら、ハイテンションになれるおクスリを嫁そっちのけでやり続けるんでしょうね、きっと。せいぜい体を労わって末永くお幸せに! [映画館(字幕)] 2点(2013-03-02 23:22:58) |
178. フライト
《ネタバレ》 これ、惜しいです!一躍ヒーローに祭り上げられながらも、自らが招いた行動の後ろめたさに怖気づき、アルコール&ドラッグ中毒の泥沼から抜け出せないデンゼル機長の、乱気流の中をアップダウンしながら進む航空機のごとき感情の揺れ動きが、非常に丁寧に巧みに描かれていると思います。それだけに、オーラス一歩手前の聴聞会での、嘘の供述から一転して罪を認めるに至る瞬間の行動への伏線だけがイマイチ弱く、彼の心理の変化が読みずらくなってしまった。亡くなった恋人(?)だったスチュワーデスとの交流が、単に肉体的なものしか画面上では描かれてなかったせいかと思います。結局は自業自得とはいえ、あの場面で観客を納得させてくれるような、何か奥の一手が欲しかった。ヒロインと初めて会う病院の階段踊り場での、ガン患者さんを交えた煙草のシーンが短いけれど、なぜか強く印象に残りました。久しぶりに実写のゼメキス監督作品を鑑賞しましたが、まだまだキレのある演出力は衰えてないようで嬉しかったです。デンゼル・ワシントンもホントいい感じで役者として熟してきましたね。それにしてもアメリカの航空会社って、国内線とはいえ搭乗前のパイロットの健康状態やらアルコール摂取とか、なーんのチェックもなしで、フリーパスで操縦させてるんですかねえ・・・?冒頭のデンゼル機長のアクロバット的背面操縦力技には実は「おおっ!すげー!」って、びっくり仰天したけど(←単純なヤツ)ノーチェックで操縦させてるって、やっぱ乗る側としては怖いよなあ・・・。クワバラクワバラ。 [映画館(字幕)] 7点(2013-03-02 00:18:54)(良:1票) |
179. 世界にひとつのプレイブック
《ネタバレ》 これは今が旬のスター、ブラッドリー・クーパー君とジェニファー・ローレンス嬢の輝きを観に行く映画ですね。演技4部門含む本年度オスカー主要8部門ノミネート作品!と、殊更に肩肘張って構えて観に行っちゃうと、あまりの軽妙さに拍子抜けしてしまうはず。月並みな役者が演じてたら、まず感情移入そのものがかなり厳しい、アダルトチルドレン的欠点だらけのヒーローとヒロイン。普通はどっちかがダメ人間ならどっちかがしっかり者っていうのが定石だけれど、この映画は二人とも危なっかしいダメ人間っていう設定なのが新機軸。おそらく現実社会で身近にいたら、なかなか受け入れにくいタイプの人間。この不安定なダメダメコンビを、ラストのセクスィーダンス大会でハラハラしつつも応援してあげたくなるような共感水準まで押し上げたのは、やはり主役ご両人の魅力あってこそ。初デートでのレストランのいちいち噛み合わないちぐはぐな会話が特に笑えました。ただこの内容で2時間超えはちょっと長いかなあ・・・。余計な部分をちょっと刈り取って、両親や友達との絆なんかは、もう少しペーソスを込めて描いても良かったように思います。久々のオスカーノミネートの御大デ・ニーロも、意外に見せ場なし。じっくり描くべき部分を、意図的にかなぜかサラッと流してしまっているのがもったいないなあという印象。実は観る前、めっちゃ感動するつもりで臨んだんやけど、残念ながらそこまでではなかった(笑)まあ、相も変わらず甘チャンの自分は、ハッピーエンドの結末が嬉しかったのでこの点数で。 [映画館(字幕)] 7点(2013-02-22 23:58:45) |
180. キャット・ピープル(1982)
《ネタバレ》 オリジナルと同点です。公開当時中学生だった自分は、なかなかこの映画の主演女優「ナスターシャ・キンスキー」の名前が覚えられませんでした。かなり後まで「ナスター・シャキン・シャキン」って言っていたような気がします。彼女はショート・カットよりロングの方がずっと似合ってたような・・・。でもこの作品に関しては、正に猫族そのものともいうべきビジュアルの彼女あってこそのリメイクだったと思います。ラストの檻を通して視線を絡め合う二人のショットが印象的。「好きです!でも愛することは出来ない・・・貴方を食い殺してしまうから・・・」とかいう刺戟的なキャッチコピーでしたね。 [地上波(吹替)] 6点(2013-02-18 22:24:51) |