161. イメージの本
2022年9月13日、91歳の生涯を閉じたゴダールの遺作。 彼の初期作品を数本見た程度であるが、本作を見れば初期作品が如何に映画としての原型も、 エンタメ性も残っているのかよく分かる。 商業映画から決別し、映画の新たな可能性を模索しているのは確かだろう。 新撮が含まれているとはいえ、既存の記録映画と劇映画のコラージュに難解で哲学的なナレーションが重なる。 映画という概念を解体して、再構築した結果、仙人にならないと理解できない代物になってしまった。 普通の人が見たら映画ではなく、ただの睡眠導入剤だ。 10回見ようが、100回見ようが、きっとゴダールが見た真理には辿り着けないし、 この時間を別のことに使った方が有意義だろう。 哲学的に考え抜いた先にあるのが厭世であり、病苦による尊厳死だとしたら虚しい。 ただ、それも彼の選択である。 [インターネット(字幕)] 1点(2023-04-27 23:56:04) |
162. オテサーネク 妄想の子供
《ネタバレ》 2時間強とやや長めだが、切株の人形に命が宿ったあたりからジェットコースタームービーの如く引き込まれた。 シュヴァンクマイエル監督の映画を幾分見ていたのもあり、比較的分かりやすくエンタメ寄り。 ご丁寧にも元ネタの民話を説明してくれる。 「食べることは相手の命を奪うこと」。 そのグロテスクさを否応なしに突き付け、子供ができない夫婦のエゴイストぶりと重なる。 嘘を付き続けて、ますます引き返せなくて、増えていく犠牲者たち。 夫婦の秘密を知った隣人の少女はそれを分かっていながら、オテサーネクとの絆を選ぶ。 秘密を持つことにワクワクしながらも自身の所有物として見ている感じの子供の残酷さが際立つシーンだ。 短編『地下室の怪』(1983)のセルフオマージュ感あり。 キャベツ畑を荒らされた管理人の老婆が民話通りオテサーネク討伐を仄めかして映画は終わるが、 そう問屋は卸さない気がする。 期待通りの気色悪さ、堪能させて頂きました。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-04-27 23:32:42) |
163. ピーターラビット2 バーナバスの誘惑
《ネタバレ》 意外とレビュー数が少なすぎて驚いた。 前作の仁義なき戦いに比べると過激さは控えめ。 自分の立ち位置に悩む悪童・ピーターが かつての天敵・トーマスと街の悪党ウサギ・バーナバスのどちらを選ぶのか。 本編でもディケンズが取り上げられていたけど、『オリバー・ツイスト』を下敷きにしているね。 オリジナルの世界観を尊重せず、金のためなら原作破壊も厭わないメディアへの風刺は、 ポリコレだらけのディズニーに向けてだろうか。 並行的に展開されるそのパートを本筋へと合流させつつも、 風刺先のメディアが企画したスパイアクションみたいなことをバンバンやっちゃっているし。 製作者自身がそれに陥ってしまっているのは自虐なのか、ただ鈍感なだけなのか。 「安易に人を信じるな」という道徳的な教訓に行きつき、ピーターたちは本来の場所に帰るわけだが、 全体を俯瞰してみれば方向性が定まらず、別にピーター・ラビットでなくても成立してしまう。 つまらなくはないが、メタ発言していたように無理に続編にしなくても良かった。 [地上波(字幕)] 5点(2023-04-16 10:37:55) |
164. 最後にして最初の人類
《ネタバレ》 評価しづらい… 『ラ・ジュテ』と『人類遺産』がミックスしたような映画だった。 いや、映画というより、打ち棄てられた旧共産圏のモニュメントを背景にした朗読劇、現代アートの類。 20億年後の未来人が視聴者に語り掛ける形式で、これからの宇宙と人類の終焉を語っていく。 助けても欲しいと言いながらも、自らの運命を悟って自己完結しているあたり、 哲学的に考えた末の結論だろうか、現代人との価値観の剥離を感じる。 英語が聞き取れること前提であり、字幕についていくことで手一杯ならば、 視覚と音楽に身を委ねる没入感とは程遠い。 映画でしかできない相乗効果とは思えず、ラジオで流しても問題ないような気がする。 [インターネット(字幕)] 4点(2023-04-15 00:17:09) |
165. プーと大人になった僕
《ネタバレ》 ネタ切れのディズニーらしい実写化というより、『不思議の国のアリス』みたいな後日談的立ち位置が強い。 子供時代の記憶が遠くに追いやられ、家族との時間も持てず、仕事に追われるクリストファー・ロビンの物語。 再会したプーたちとの哲学的で空気の読めない言動にイライラさせられるのは、 「現実はそう甘くないし、責任とか身動きできないことで雁字搦めになっている」自分自身であることに気付く。 誰だって楽になりたいし、何もしたくないのは分かるけど、どうにもならないときもある。 大人になったクリストファー・ロビンはどうやって折り合いをつけるのか。 …というドラマは希薄で、イマジナリーフレンドのイメージが強かったプー達は現実の存在として描かれる。 そこから力技で問題解決、妻と娘も100エーカーの森にご招待というディズニーらしい強引な大団円。 「子供心を取り戻そう」「ワーク・ライフ・バランスは大事」というメッセージは分かるが、 それ以上の何かが感じられないあたりに限界が見える。 CG技術の進歩と中盤のユアン・マクレガーの一人芝居に+1点。 [地上波(字幕)] 5点(2023-04-08 14:10:43)(良:1票) |
166. ザ・ホエール
《ネタバレ》 窮屈なアパートと272キロの肥満体に押し込められた孤独な魂。 全編9割が室内で展開され、4:3の画面比率が閉塞感を強調する。 彼のもとを訪れる宣教師の青年、理解者の看護師、絶縁状態で素行不良の娘は、 彼を救おうとしながら、呆れて突き放しながら、虚飾の皮を剥ぎ、魂を剝き出しにさせる。 聖書で、信仰で魂が救われることはなく、逆に不幸になってしまった登場人物たち。 肥満体をピザ配達員に晒してしまい拒絶されたことから、彼は暴食でさらなる破滅へ突き進む。 同性の恋人を選んだ身勝手さ、恋人の死をきっかけに変貌した救いようのないおぞましく醜い姿、 それでも本当の姿で、本音で誰かを救いたいという深い切望と信念。 オンライン講座でもついに痛々しい姿を晒し、退路を断った彼は、 自分の足で『白鯨』のエッセイを読む娘のもとへ一歩ずつ踏み出す。 「語り手は自らの暗い物語を先送りする」。 悔いを残さない最期にするために、自分自身に、娘に、後悔だらけの過去に本気で向き合うために。 そして"エイハブ船長"だった娘は"白鯨"の父に赦しを与える。 薄暗い室内が際立たせる、光り溢れるシーンはあまりに神々しかった。 ブレンダン・フレイザーは『ハムナプトラ』シリーズのアクションスターで有名だが、 セクハラ被害、離婚、鬱病、引きこもり、過食症で追い詰められた経緯があり、その経験が本作に活かされている。 まさにこの映画で演じるために今があったのではないか。 ダーレン・アロノフスキーらしい難解でホラー映画さながらのスリリングな演出も健在で、 感情移入を超越し、心をかき乱された怒涛の2時間だった。 [映画館(字幕)] 8点(2023-04-08 00:25:37)(良:1票) |
167. ファイナル・デスティネーション
運命を乗り越えた7人に仕掛ける、死へのピタゴラスイッチのやりすぎ感に死神の焦りが感じられて良い。 普通に見るだけなら面白い映画だが、明日トラックに轢かれそうなリアルな恐さが初代にはあった気がする。 [地上波(吹替)] 5点(2023-03-31 23:58:24) |
168. ダイ・ハード
ワンシチュエーションもので孤軍奮闘、小ネタも伏線回収も華麗に決めていくアクション映画の佳作。 絶対無敵でもなく、愚痴も弱音も吐きまくるマクレーン刑事の人間味、 対する紳士的で冷酷無比なテロリストの高純度なキャラクター性が完成度を高めている。 [地上波(字幕)] 7点(2023-03-31 23:53:47) |
169. スイス・アーミー・マン
《ネタバレ》 物語の8割は二人芝居で占め、それも死体に下ネタという奇妙な作りなのに心に残る。 何もできない死体から徐々に生を取り戻していく難役を演じたダニエル・ラドクリフと、 過去のトラウマから逃げ続けていたポール・ダノの二人の曲者俳優が作品の強度を支えている。 メニーという死体が何者なのかは最後まで分からない。 虚実を入れつつも、ハンクの抑圧された自己を投影したイマジナリーフレンドかもしれないし、 森の中の一連のオブジェが現実に向き合おうとする通過儀礼にも思えた。 現実ではただの頭のイカれた変態にしか見えないハンクには厳しい現実が待ち構えている。 それでもメニーに別れを告げた彼はこのどうしようもない世界と折り合いをつけていく意思を感じた。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-03-31 23:43:39) |
170. トップガン マーヴェリック
前作については思い入れはなく、期待もしていなかった。 確かに本作の完成度は高く、本物志向のアクションとスケールの大きさで、 往年のハリウッド映画の王道がコロナ禍の映画館に観客を呼び戻した意味で貢献度は大きい。 最高の続編を作ろうとしたトム・クルーズをはじめとする制作チームの執念と情熱を感じた。 でも、"足りない"。 映画館の大画面や大音響で体験しなければ本作の真価が発揮されないのは分かっている。 それよりも見せ方や物語が枠に嵌りすぎて息苦しさも感じてしまうのだ。 もう少し意表を突いた演出や展開があっても良かったのではないか。 その年の最高の映画として、アカデミー作品賞に推す人が大勢いるのは分かるし、 取れなかったことに対して不満が少なくないのも分かる。 いつの時代もたとえ新鮮味がないものであっても、 誰にも分かりやすく安心して楽しめる映画を求めている観客が圧倒的に多いのだから。 私はその観客の一人にはなれなかった。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-03-24 23:37:19)(良:2票) |
171. エクストリーム・ジョブ
《ネタバレ》 期待しすぎたかな。 前半までがピークでちょっと長く感じてしまった。 かつての香港映画でお馴染みのおバカな警察コメディを彷彿とさせながらも、 リアルで痛そうな暴力描写は韓国らしい。 チキン屋が予想以上に繁盛しちゃって、本筋から脱線しかける展開はなんとも可笑しいが、 後半はチキンに絡む要素が少なくなって寂しい限り。 まあチキン屋で不祥事が発覚して、チェーン化でさらなる問題が発生しちゃったから、 ラストで警察辞めてチキン屋やると少しは期待していた自分が悪い。 (高い失業率の韓国では敷居の低い飲食店で食い扶持を稼ぐしかない笑えない事情がある)。 序盤で犯罪者に盗られそうになった車を奪還するオバさんの件が一番笑えた。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-03-21 21:57:40) |
172. ペパーミント・キャンディー
《ネタバレ》 「あの頃に戻りたい」。 もう時は戻らないのに。 消えることのない後悔の中、数日前でも、数週間前でも、数年前でも同じことを言っているのだろう。 初恋の娘がくれたハッカ飴と決まったレールを走り続ける列車をキーワードに、 自殺するまでの男の20年を、アルバムを最後から捲るように遡っていく。 彼の人生には初恋の女性の幻影を常に追い求めていたように感じる。 だったら、除隊後に彼女への想いを打ち明け、成就すべきなのに。 もし、罪のない女子高生を誤って撃たなかったら… 「その手で幸せにする権利は自分にはあるのか?」と己を偽り、彼女を遠ざけ、 それでも空疎さを埋めるために他の女と寝ても、金と名誉を追い求めても一向に満たされなかった。 最終章(20年前)の幸福な時間が冒頭(現代)の悲壮さをより際立たせる。 兵役時、踏みつけにされたハッカ飴が、 当時の軍事国家によって矯正された優しい男の人格とリンクする。 後の『オアシス』で知的障害者を演じたソル・ギョングの振れ幅の大きい演技力の高さに感嘆する。 ハッピーでもバッドでもない独特の余韻に、イ・チャンドンの他の作品をもっと見てみたくなった。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-03-18 00:38:27) |
173. ディック・ロングはなぜ死んだのか?
《ネタバレ》 小さな嘘が大きな嘘へ、大きな嘘が大きな過ちへ。 先日、オスカー監督になったダニエルズの片割れ、シャイナートによるブラックコメディ。 全編シリアスムードながら、杜撰な証拠隠滅とアリバイ作りで雪だるま式に状況が悪化していくさまが、 コーエン兄弟の『ファーゴ』を思い出す。 友人の死の真相と二人が隠し通そうとしていた秘密──それは馬との獣姦(それも受け側)。 まさにタイトル通りで2005年にあった事故がモチーフだとか。 行きついた究極の快楽と引き換えに、家族が知ったら絶縁されるレベルで主人公は全てを失ってしまう。 この"しょーもなさ"にどこか哀愁を感じてしまうし、それでも人生は続いていく。 誰だって人には言えない秘密はあるし、型に嵌って生きていかないと排除されてしまう社会に対する、 監督の人生訓は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』にも受け継がれている。 相手側が出資を躊躇うくらいの胆力がないとあんな映画は撮れない。 人間には計り知れない可能性がある。 型に嵌りすぎて潰れてしまう前に、時には羽目を外してガス抜きしないと。 もちろん限度はあるけどね(ネット炎上とか)。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-03-16 22:43:12) |
174. オアシス
《ネタバレ》 日本では作れないし、製作から20年経った韓国でも作れない映画だと思う。 知的障害を持つジョンドゥは発達障害も患っていて、 衝動的で空気の読めない言動が当事者にとってリアルに突き刺さるものがある。 しかし、それ以上に脳性麻痺を持つコンジュはさらに過酷な境遇だ。 知能が健常者と同じであっても自分の気持ちを上手く伝えられないもどかしさが切ない。 両者とも家族から煙たがられていて、都合良く利用されている辺り、偏見と無知に満ちた健常者ありきの社会と言える。 その社会と相反するように二人だけの居場所である空想のオアシスが、二人の純粋さを際立たせる。 "障害者"ではなく"女"として見てくれたジョンドゥが当初強姦未遂を起こそうが、 コンジュがどう受け入れるかは彼女が決めることだ。 ただ、コンジュのジョンドゥに対する恋愛感情は本物なのか、ストックホルム症候群に陥っていないか。 その"理解できなさ"が本作の肝である。 ドキュメンタリータッチとファンタジーの境目を無くすことを可能にしたムン・ソリの壮絶な名演に尽きる。 ジョンドゥは誤解が解けないまま服役してしまうが、コンジュはいつまでも彼を待ち続けるのだろう。 健常者とは永遠に距離が縮まらないとしても、二人なりに新生活を始めることを想像させる幕引きだった。 [インターネット(字幕)] 8点(2023-03-10 22:51:57) |
175. エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
《ネタバレ》 何でも、どこでも、いっぺんに。 本題を象徴するが如く、 マルチバース(並行世界の一種)に、下ネタ込みのナンセンスギャグに、カンフーアクションと、 おおよそオスカー好みとは対極の要素ばかりで数年前なら候補にすらならなかっただろう。 圧倒的情報量のカオス状態でそれでも空中分解しなかったのは、 現実パートを担保にしていることが大きい(これが正しい世界線とは限らないが)。 つまり、国税庁で暴れ回る世界線はエヴリンのギリギリの精神状態を表した妄想で、 アルファ世界線もアクションスター世界線も盲目のシンガー世界線もそれに付随していく。 「こんなはずではなかった、こんな未来もあったのでは」という人生の問いかけ。 反対にマルチバースで多くのエヴリンを殺し続けている娘ジョイは、 自分らしく生きることを認められていないようで希死念慮に近い虚無感を抱えている。 エヴリンは頭に溜まったキャッシュを吐き出すように倒れ、現実では店の窓を壊す。 そこからバラバラになりかけた夫と娘と父との関係を見つめ直していく。 どんな自分だって、どんな愛しい相手だって、どんな人生だって肯定していく。 スケールが大きいようでどこかこじんまりしている辺り、 どこにも飛び出せない社会の閉塞感を表しているようだ。 袋小路に迷い込んだ人には響くかもしれない。 アカデミー賞の前哨戦で圧倒しているが非常に奇妙な作風で確実に観る人を選ぶ。 SF映画が一度も作品賞を取れていない現状なので今年も無理だと思うし、受賞が想像できない。 【3/13追記】 なんと作品賞をはじめ、主要部門を総なめしてしまった。 アカデミー賞効果で多くの観客が詰め掛けるが大炎上は必須だろう。 ただ、あまりの突き抜け加減からカルトムービーとして記憶に残るのは間違いない。 [映画館(字幕)] 8点(2023-03-03 22:58:56)(良:2票) |
176. アナザーラウンド
《ネタバレ》 中年の危機に直面した男性教諭4人がかつての輝きを取り戻そうと、 ほろ酔い状態を保てば最良のパフォーマンスが発揮できるという実験に生真面目に挑む可笑しさが滲み出る。 当然ながら酒の量が増え、結果的に家庭や職場に不和を及ぼす事態に陥る。 監督もそれは分かっていたはずで、論理的な実験と言いながら逃げているだけだった男4人の陰影を生々しく映す。 未来溢れる若者と対比して、多くのものを失った経験を持つ男たちはその喪失感と己の弱さに向き合う。 もう失点を取り返せないかもしれない、それも引っ括めて、己の人生も他者も肯定していく。 マッツ・ミケルセンのキレのあるダンスが、人生の眩しさと翳り、喜びと悲苦を全身で表現する。 本作を避けては通れない、象徴すると言っても良いエンディング。 ディカプリオがハリウッドリメイク権を獲得したが、彼のダンスを再現できるのだろうか? [インターネット(字幕)] 6点(2023-02-23 22:31:25) |
177. 別れる決心
《ネタバレ》 殺人事件でしか結ばれない刑事と被疑者が愛の迷路に溺れ、破綻していく。 過激な性描写と暴力描写を封印したパク・チャヌク監督の優雅な語り口とトリッキーな映像手法で、 純情なパク・ヘイルと何を考えているか分からないタン・ウェイの恋の駆け引きを盛り上げる。 殺人事件がきっかけとは言え、彼女が彼に惹かれたのは本心であり、 妻がおり離婚されると分かっていても彼女がいなければ生きている気がしない刑事が彼女の"共犯者"になっていく。 でも、事件を解決させないといけない。 「愛してる」と言ったら、終わり。 ラストでタイトルの『別れる決心』が重く響いている。 全てを失った刑事は彼女を求め、これからも"霧の中"をさまよい続けるのか。 ウォン・カーウァイの『花様年華』に近い余韻と肌触りで何度も咀嚼したい作品だと思った。 [映画館(字幕)] 8点(2023-02-17 23:58:32) |
178. ステルス
《ネタバレ》 悪い意味でアメリカンで脳筋なストーリー。 CGばかりに頼っている場面が多く(別に悪いわけではないが悪目立ちしすぎ)、 ジェイミー・フォックスが男女二人の引き立て役で死ぬような扱いで憐れ。 ストーリーがあまりに薄すぎて、レビューするにも記憶がほとんど残っておらず調べてみると、 北朝鮮なら単純に潰せば良いという、リアルなら国際問題になりかねない凄まじい展開。 公開当時、本国アメリカでも不評だったようだが、単純に映画としてつまらないだけだろうね。 [DVD(字幕)] 2点(2023-02-11 01:29:20) |
179. ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
《ネタバレ》 監督がアルフォンソ・キュアロンに変わったため、少し大人でダークな雰囲気になり、 新たな風を吹かせたことには成功した…かもしれない。 原作は読んでいたため、タイムパラドックスを取り入れた展開が一番面白く見られた。 本作を最後にリアルタイムでハリポタシリーズを見ることを断念しており、 原作が複雑長大化して読む体力が続かなくなったことが以降のシリーズ鑑賞のハードルを上げている気がする。 肩肘張らずにいつか4作目以降も見てみたい。 [映画館(字幕)] 6点(2023-02-11 01:07:50) |
180. トップガン
《ネタバレ》 30数年ぶりの続編で注目を浴びた本作に関して、ほとんど語り尽くされているので言うことはなし。 '80年代のおおらかな空気感と、破天荒な青年が親友の事故死を乗り越えて、 立派なパイロットに成長する王道青春ストーリーはMTVさながらの軽薄さだとしても見れないレベルではないし、 ドッグファイトのクオリティが水準以上なので気楽に見られる。 そう考えれば良くも悪くもこれくらいの点数。 [地上波(字幕)] 5点(2023-02-11 00:52:42) |