1. 鶴八鶴次郎(1938)
長谷川一夫と山田五十鈴、紛れもない玄人の迫力があります。近頃の学芸会に毛が生えたか生えねぇかって位の素人臭い役者とはワケが違う。芸ごとの世界が持つ緊張感やおごそかさ、艶っぽさ、或いは厳しさが作品全体を覆っていて独特の格調を醸し出しているのがいいッス。路地の映像なんかもとてもしっとりと美しい。ラストの楽屋での鶴次郎の表情、彼を捉えたアングルなんかがまた堪らなく切ない。くーーーーっ!分かるよ、アンタの気持ち。よっく分かっているよ次郎さん!み、みなまで言うねぇ・・。なので、↓【STING大好き】様ご指摘の通り、飲み屋での説明は無い方がより良かったと私も思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-05-23 15:59:01)(良:1票) |
2. スミス都へ行く
《ネタバレ》 題材は固いのに、エンターテイメントとして成り立っているところが素晴らしいです。引用に使えそうな素晴らしい台詞が沢山出て来るのも良い。スミスが「言論の自由」だけを武器にあらゆる妨害工作と闘うシーンは見ている方にも体力を要求しますね。それだけに、疲れ切ったスミスの姿ってのにリアリティがあり、観客も勝利の瞬間を共有する事ができるのではと思うのです。サンダース秘書の「いつまでも皮肉屋じゃつまらない」って台詞が心に残りました。それにしてもこの映画を見て改めて思うけど、アメリカの議会制民主主義にはちゃんと必然性があるんだよな。日本には議会制民主主義って合わないんじゃない? [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-04-27 12:14:12) |
3. 忠臣蔵 天の巻・地の巻
ア~ラ、ぐるぐるの旦那ァ。お一人?そちらに行ってもよござんすか~。逃げちゃイヤ~ン(笑)・・・えー感想はぐるぐるさん↓のおっしゃる通りでして、この映画は映画って言うより忠臣蔵名場面集と言った感じで有名なシーンのみ編集されているみたいですね。あっと言う間に内匠頭は切腹しちゃうし、赤穂浪士も即討ち入りだからなぁ。なので、忠臣蔵特有の悲壮感とかウェットな部分は殆どないです。ただ、ぐるぐるさんもおっしゃっていますが、義太夫の歌と演奏をバックにした歌舞伎風の表現は一瞬にして見ているものを世界に引き込む力があるので、忠臣蔵ファンならその様式美を堪能できると思います。しかし片岡千恵蔵は浅野内匠頭と立花左近、嵐寛は脇坂淡路守と清水一角のひとり二役ってなんで?つーか、誰がだれやら良くわからなかったってのが正直な話しです(笑) 7点(2005-01-24 11:50:31)(良:1票) |
4. 丹下左膳餘話 百萬兩の壺
噂通りセンスあるなぁと思いました。人間模様の中心である壺に対する重心の置き方とか、フリがあってオチがある会話の成り立ち方とか面白いです。あとなんと言っても大河内傳次郎がスゴイ!なんて表情豊かなんだ!片目でモノを見る仕草には息が止まるし、立ち回りや刀を抜く仕草にはドキドキワクワクします。ただ、ひとつひとつのシーンは印象的なんですが、全体の流れは少ししんどかったです。正直なところ。例えば小津安二郎の「生れてはみたけれど(1932)」は現代の感覚で見ても素直に面白いし笑えるしホロっとさせるけど、それに比べるとお勉強してるような気分で見てしまった自分もいました。 7点(2004-09-08 14:25:00) |
5. 駅馬車(1939)
実は先日恥ずかしながら初めてこの映画を見た。で、見終わって拍手してしまった。これぞ映画の良さが全て詰まった映画じゃなかろうか?赤の他人同士なのに運命を共にすることになるワケありの乗客達の人間模様。風景の広大さとガタガタ揺れる駅馬車の重み。心躍る音楽。存在感のある若きスタージョン・ウェインの銃とロマンス。アパッチ襲撃時の迫力とスピード満点のアクション。そして何よりジョン・フォード映画に流れる人間に対する愛情とその存在に対する力強い肯定に胸が熱くなった。大傑作! 10点(2004-03-17 12:42:52)(良:2票) |
6. 暗黒街の弾痕(1937)
つっこみ所は色々あれど「見せる」映画です。えん罪で地獄の一丁目付近まで辿り着こうかという二人が「正義なんて無い!」と思うのは当然。私だって一緒に逃げることを選ぶかも。しかし確かに彼らはもっと別の選択もできたハズ。人生は自らの選択がもたらした自分そのもの。受け入れるしかないでしょうね。 7点(2004-01-13 12:02:49) |
7. 大人の見る絵本 生れてはみたけれど
素晴らしい!1932年?ウソだろ?という感じ。子供達の活き々とした表情や仕草がほほえましくて愛おしくて、サイレントだという事を忘れそう。私の親さえまだ生まれてない時代の映画なのにこんなにも懐かしく、ノスタルジーを感じるのは何故だろう。傑作です。 10点(2003-12-04 13:06:08) |
8. 風と共に去りぬ
長いですかね。私としてはあと1時間位やってもらっても構わない程長さを感じない映画です。こんな映画作りながら戦争してるような国にケンカふっかけたのは日本も無謀ってもんです。それにしても60年前にこういう女性を描くってすごいですよね。スカーレットはたしかに「素直になれよ!」と見ながらイライラしたりするけど、なんか分かる気もしますよ。一番愛してる人は常に手に入らないんですよ。手に入らないから一番なのかな。そう考えると業が深いよなみたいな。それでも「明日は明日の風が吹く」って言う彼女に励まされますね。 10点(2003-11-07 20:24:56)(良:1票) |