1. 黒の報告書
《ネタバレ》 ポールニューマンの「評決」の日本版。 でもこっちの方が、20年早い。 敏腕弁護士により、正義派検察官が敗れる話。 「俺もまだまだ人間を信じすぎていかんいかん。」 宇津井健の最後の一言が重い。 [ビデオ(邦画)] 7点(2025-05-11 00:24:45)★《新規》★ |
2. 黒い画集 第二話 寒流
《ネタバレ》 これは寒い! 無茶苦茶、ケンカを売った相手が強すぎたという話。 そもそも不倫がいけないのであって、主人公にそう全面的に同情できないが、 相手を闇の世界にまで巻き込んで復讐しようとして、簡単にひっくり返されるとこは、 庶民の道理が通用する世界ではないのだから、もう痛々しくて・・ 松本清張の社会派サスペンスは、アメリカの社会派映画と違って、 かならず不倫が出てくるが、それでもこの一本は噛み応えがあった。 「黒い画集」シリーズは、どれも面白いが、一番ぞっとしたのは、 本作だった。 [DVD(邦画)] 8点(2025-04-20 01:16:18)(良:1票) |
3. 黒い画集 ある遭難
《ネタバレ》 山岳映画は少ない。 何よりロケそのものが命懸けだからだろう。 平成になり、カメラマン木村大作の監督した「剣岳」も、 山に登るシーン全部が、現地撮影ではなかった気がした。 ハイテク装備でも、山岳映画は、難しいようだ。 黒澤さんの「夢」でも、山で撮影した部分は少しだった。 なのに、昭和のこの映画の、完璧な山岳映画はどうだ!? まったく、面白い映画のためなら、こんな無茶な撮影までやってのけるから、凄い! 内容もよく出来ており、ラスト近くでサスペンスの意味が分かる仕掛けは、お見事! アガサ・クリスティの小説を読んでるような、最後にどんでん返しがあるのでは、とドキドキしながら鑑賞! やるね♪松本清張♪でも、やっぱり、この作品も不倫がらみだった(笑) [DVD(邦画)] 7点(2025-04-19 00:13:08) |
4. 黒い画集 あるサラリーマンの証言
《ネタバレ》 松本清張サスペンスは、不倫がらみが多いね~ 北九州から東京に行き、あの大都会でうごめくサラリーマンを この映画みたいな人たちに思えてたんだろうなぁ・・ 知人の冤罪騒ぎからの不倫をごまかすための嘘が、ドンドン大ごとになり、 等々、自分の人殺し疑惑にまで発展していくサスペンスは、 ジャズの流れる白黒映画ってこともあって、「死刑台のエレベーター」を思い出した。 教訓・・分相応に人生、身を固めましょう、ってか!(笑) [DVD(邦画)] 8点(2025-04-17 01:11:12) |
5. オーソン・ウェルズのフォルスタッフ
《ネタバレ》 映像革命の「市民ケーン」、長回しの「黒い罠」。 鬼才オーソンウェルズは、令和の人たちは、どれくらい知っているだろう? 彼がシェイクスピアに傾倒していたのは、観ていないが、「オセロ」「マクベス」を 映画化したくらいの傾倒ぶりみたいだ。 シェイクスピア大好き黒澤明にも、大きな影響与えたのではないだろうか? 本作は英仏百年戦争時代の歴史劇「ヘンリー4世」の魅力的な脇役フォルスタッフを主役にした映画。 とにかくキャラが濃い。オーソンウェルズ自身が。すごく! こんな人にこんなすごい映画が撮れちゃうの?て思ってしまう。 余談だが、本作は日本では室町時代のころのお話。 ここまで建築物がすごいのが西欧だったというのは、やはり恐ろしい歴史的事実。 [DVD(字幕)] 9点(2025-04-05 16:47:48) |
6. 素晴らしい風船旅行
《ネタバレ》 これは、素晴らしい! 本当にこのシャシンを実現させたフランス人に驚嘆します。 まるで絵本のような世界を、映像で魅せます。 宮崎駿監督、この映画にかなりインスピレーションをもらったでしょう! この映画を観てて、彼のアニメを思い出しました。 80分の尺ながら、ハラハラドキドキする展開もあり、 素晴らしい映像にメリハリをつけてます! 今ならドローンで、できるかな? [ビデオ(字幕)] 8点(2025-03-26 23:32:55) |
7. ひなぎく
《ネタバレ》 ひどい映画。 だが、共産主義の国が、自由とはなに?と問うた映画と思えば、意味がある。 自由になれば、あんなこと、こんなこと、出来て楽しいな?あれ?あれ?え?これで幸せなの? そんなラスト。 「自由」についての考察が足りないといえば、そうなのだが、制作されたのは、1966年。 この2年後に、チェコでは、「プラハの春」事件が起きる。 民主化への波が来るのだが、ソ連によって、あっという間に潰される。 今の時代には、あまりにもいろんな考えがアップデートされておらず、 何も知らずにみると、不快なだけの映画。 ただ、あくまでも、これはイチ男の意見です。 追伸)その後、この映画について書籍にて調べました。 チェコでは、1989年までの社会主義時代、すべての映画が国家予算で創られており、 この映画の食べ物を粗末にするシーンなど、国会で是か非か真面目に議論されたらしいです。 しかし、労働者には受けが良かったらしく、作家のミラン・クンデラも擁護して、 1968年のプラハの春を準備したと言われているそうです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2025-03-22 00:02:06) |
8. 秋日和
《ネタバレ》 いやぁ、小津さんの巧さは、本当に凄い! 可能な限り、登場人物を少なくして、その中でうまく片付けてる。 本当に見事! 小津さんのこういう手さばきは、「浮草物語」が一番と思ってたけど、本作もお見事! 「晩春」と対をなしてる。父と娘、本作では母と娘。 母と息子と言えば「一人息子」、父と息子と言えば「父ありき」。 家族の全パターンを、ぐるりと小津さんが料理してくれた。 実に旨いお酒だなぁ・・ [DVD(邦画)] 8点(2025-03-19 00:00:29) |
9. 青春残酷物語
《ネタバレ》 学生運動のなか、何が正しいか分からなくなった時代。 どうあがいても、現状は変わらない。 そんな若者の焦りが、痛々しい結末になる。 アメリカ映画では、「追憶」に当たるのかなぁ バーブラストライザンドと、桑野みゆき。この二人の違いが、 アメリカ人女性と日本人女性の違いと言えるのか・・ 何かそんなこと考えた・・ 桑野みゆきは可哀そうとしか言えない。 でも久我美子にも、妹と恋人の生き方を見て、昔の恋人に会いに行かせるところが大島渚らしい。 やらしいんだね。 [ビデオ(邦画)] 7点(2025-03-17 23:47:20) |
10. 暗殺(1964)
《ネタバレ》 篠田正浩監督への辛口コメントが多いのは、期待が大きすぎたためであろう。 「乾いた花」で描いた賭博場の緊張感を、時代劇に持ち込んだらどうなるか? それがまさに本作であった。 そして、その凄まじい出来栄えに当時の映画界は息を呑んだろう。 白黒の緊張感を、武士の殺し合いに応用した本作は、まれにみる時代劇となった。 時は、幕末。幕府と朝廷の間に緊張感の生まれた、あの複雑な時代である。 日本を分裂させるかのように混乱させた黒船。 そこから桜田門外の変、公武合体へとつながる流れの中で 有名な新選組の出番のちょい前、尊王攘夷の志を持つ清河八郎への暗殺が描かれている。 監督の奥さんとなる岩下志麻も出ている。 監督にとって、転換期の作品と言える。 のちの時代劇に、平安時代や近松へのアプローチを見せ、天才新人の名に恥じぬ仕事を していながら、それでも観客は、この緊張感を描いた映画を欲したのだろう。 令和の今、これだけの仕事をする人がいたというのは、驚きでしかないが、 ファンというものは、もっともっと凄いものを、と欲しがるものらしい。 それか、岩下志麻に持ってかれた才能を惜しんだか・・(笑) [ビデオ(邦画)] 8点(2025-03-15 21:48:20) |
11. 乾いた花
《ネタバレ》 石原慎太郎原作。 「狂った果実」同様、独特の女性像。 加賀まりこの存在感がすごい。 花札賭博のシーンの緊張感は、「麻雀放浪記」を思い出した。 遠景からのショットを入れずに、白黒画面で、登場人物の顔を写し出して、 緊張感を醸し出す。 後の篠田監督作品は、時代劇が多いせいか、 世界観を出すために、遠景からのショットが多く、 本作は、彼の若い頃の才気走った演出が面白い。 [ビデオ(邦画)] 7点(2025-03-15 01:09:32) |
12. 網走番外地(1965)
《ネタバレ》 何という傑作!面白い! 全然、飽きさせることなく、見事に魅せる。 でもシリーズ化?こんなにいいラストなのに、どうつながる? 性根の腐った腐れ縁の相方に、最後の高倉健の気づきに泣ける。 泣かない奴はいないんじゃないかな・・ ちなみに、よく似た話の「暴力脱獄」が、あとから創られたことに、 日本の方が先を行ってたことに驚き! ただし、手錠でつながれたままの脱走は、「手錠のままの脱獄」のアイデアの方が先です(汗) [DVD(邦画)] 10点(2025-02-21 23:20:12) |
13. 博奕打ち 総長賭博
《ネタバレ》 無駄のない展開で、あっという間に映画が終わる。 悪役が、本当に分かりやすいのも、この映画を面白くしている。 筋を通す、それは大事だが、その落とし前にお命頂戴が、令和の今では、受け入れられない話だが、 でもそれ以外は、整理された話に驚きます。 いや、でも最後はこうなるんだろうな、って分かりやすい分野の映画だから、 ここまで整理されてるのかな・・ 話作りの際、現代の会社組織の人間関係にも、使える展開じゃないかな、この映画。 アクションで興味深かったのは、若山富三郎が座頭市みたいに現れるシーンが良かった。 [DVD(邦画)] 7点(2025-02-18 21:02:46) |
14. 不良少年(1961)
《ネタバレ》 この年、黒澤監督の「用心棒」が上映された。 しかし、キネマ旬報ベストワンに輝いたのは、本作である。 ドキュメタリー畑からの殴り込みだった。 久里浜少年院での生活を描いている。 戦争で父を亡くし、母とも連絡取れず。 就職したものの長くは続かず、ぶらぶらしているところを補導されたのだ。 戦後間もないころ、こんな少年は多かったと思われる。 映画も、本当に非行歴のある少年を使っているという。 鑑賞後、少年のまっすぐな瞳に、 いい大人になっていてほしいと思わずにはいられない。 そんな世の中であってほしいとも思う。 [DVD(邦画)] 7点(2025-02-07 22:44:03) |
15. 他人の顔
《ネタバレ》 安部公房と勅使河原監督のタッグ、いいよなぁ。 この世界を自分なりにのみこんで、その後に、世界に実験または装置をしかけて、 そこから人間、とくに現代人の孤独を浮き彫りにしていくという、世界へのアプローチがいい。 「砂の女」では砂地獄に作られた家であり、本作でいえば顔を変えることができるという技術であったり・・ 自分の顔にコンプレックスを抱いてる男が、顔を手に入れた後、 やってみたかったこととは? そこに何とも言えぬ現代の哀しさが出てる。 もう一組、顔に傷のある女性も出てくるが、 こちらはテーマのために作られた設定のようで、未消化だった。 面白い!良作! 豆情報・・診察室のデザインは、建築家の巨匠磯崎新によるものらしい。 [映画館(邦画)] 8点(2024-12-19 22:27:53) |
16. 砂の女
《ネタバレ》 面白い! 最初は、男と女の寓話かと思ってた。 確かにそうなのだが、人生ってこんなもんじゃね?みたいなラストがいい。 岸田今日子が、実にはまり役。 なんというか、あんなひどい環境で、女として生きてる感が出てて、巧い。 ただ、今までの死んでいった男たちとは、子ども出来なかったのかな? 今までの男たちの末路が知りたい。 [映画館(邦画)] 10点(2024-12-11 20:29:24) |
17. ハタリ!
《ネタバレ》 こんな映画を撮っちゃうアメリカ映画の凄さに驚く。 とにかく映画のためなら、ここまでやるという意気込みがすごい。 動物園に連れていくために、サバンナで動物を捕獲する男たち。 現代では、動物愛護団体が黙っていないだろうけど・・ 子どもの時、「野生のエルザ」ってドラマをテレビで見たが、その感じがサバンナ一帯に展開する。 仔象と女性のエピソードがほのぼの。 男と女は別れられるが、動物の愛は一途なのだ。 それがラストの大騒ぎとなり、ラストはさてさて? スピルバーグは「ジュラシックパーク」で、恐竜版「ハタリ!」を創りたかったんじゃないかな? デジャブ感あるなと思ったら、「ジュラシックパーク」だった。 しかし、本作は、CGなんかじゃなくて、本物ですからね!凄いデス。 [DVD(字幕)] 7点(2024-12-09 21:41:58) |
18. レマゲン鉄橋
《ネタバレ》 戦争映画にも、史実ものと作り物の2タイプがありますが、 これは戦時中、実際あった攻防みたいですね。 最初は、ロバートボーンが主役で、前線の橋を爆破前に、味方のドイツ軍を 橋を渡らせようとする話かと思いました。 ところが、目線は連合国側に行き、橋を敵が爆破するのを阻止するとか、いきなり 上司の命令で方針が変わったりして、現場が混乱する様子が描かれます。 この部分が、実話ベースなので、かなり説得力というか迫力ある場面です。 さて、橋はどうなるのか?ってな話であります。 考えさせられたのは、戦争という破壊活動の中で、 高価な人形が壊れたことを気にする役人が出てきたり、 装飾された西洋建築が、ボコボコ破壊される場面がでてきて、 戦争ってそういうもんだよなぁと改めて思ってしまいます。 [DVD(字幕)] 7点(2024-11-09 22:07:49) |
19. 風林火山
《ネタバレ》 日本映画の戦国合戦場面で、一番愛されてるのが川中島。 衣笠の「川中島合戦」(未見)、「戦国自衛隊」そして、この後の長篠では「影武者」。 映画に愛されてる信玄と上杉。 しかし、稲垣監督は主人公を山本勘助にした! この人物、講談の作り上げた人物かと思いきや、 実在してる信玄の書状に「山本菅助」なる名前が・・! 実際に信玄の身近に仕えて、使番(つかいばん)を務める人物であったことが分かってる。 もうね第四次川中島と言えば、山本勘助がやられる合戦。 その前の勝頼とのエピソード、板垣の父と思ってましたの言葉。 もう涙なしでは見られない。 案の定、戦況は不利に・・(涙) この作品を観て、黒澤さん負けず嫌いに火がついたんじゃないかなぁ・・ [DVD(邦画)] 8点(2024-10-06 23:50:12) |
20. 影の軍隊(1969)
《ネタバレ》 レジスタンスの映画。 見どころは、女性しかも母親が戦士になっている点。 むちゃくちゃ優秀なのだが、捕まって子どもを人質に取られると、かくも簡単に落ちてしまう。 この点において、やはり戦いに女性は使えないということかもしれない。 その女性、マチルダの練る作戦は、ものすごく優秀。 リノヴァンチュラが捕まった時に見せた作戦は、凄かった。 そのリノが、前半の主役である。 独特の風貌に似あう戦士ぶり。 しかし、映画は、アクションものではない。 レジスタンスの静かな戦いを描いている。 メルヴィルの作品。再評価の必要性があると思う。 どうでもいいが、手塚治虫のキャラクターにランプという人がいるが、リノヴァンチュラだと思う。 もう一つ、影の軍隊と言えば、我々昭和っ子には、漫画「男組」を思い出させる。 当時のワイルド7はじめ、こういう映画の影響が、漫画に強く出てたと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2024-10-06 01:08:53) |