1. 花とアリス殺人事件
《ネタバレ》 快作だ。実写のような動きのアニメだが、アニメだから可能なアクロバティックなシーンがけっこうあるし、無礼すれすれの軽口のやりとりもアニメだからこそ見事にハマっている。 [DVD(邦画)] 8点(2025-07-17 23:13:09)★《新規》★ |
2. ラスト・ワルツ
《ネタバレ》 最初はドイツの映画館で観た。1979年に、もう大昔。ザ。バンドの曲のファンだったが、メンバーのことは、今回DVDで初めて確認した。ドラムスのヴォーカルがいい!クラプトンのところ最高。で、やがてシンミリしてしまうね、終わりは。 [DVD(字幕)] 8点(2025-07-17 23:03:47)★《新規》★ |
3. ザ・コミットメンツ
《ネタバレ》 たしかイタリアのシエナの野外映画祭で見たのだが(記憶が定かではない笑)、あれは1992年の夏。今見直すと、ドラマが一応あって、音楽がやはりいい。本格的な音楽ものを見直したくなってきた、『ラスト・ワルツ』とか。 [DVD(字幕)] 7点(2025-07-16 23:26:01)★《更新》★ |
4. 運命じゃない人
《ネタバレ》 人同士が、通常は意識しないが、ほんとうはこんなに絡んでいるのかもしれない(少なくとも可能性の上では)、というところが深い。つまりこれが昂じて物象化すなわち経済関係が人の関係を超えて一人歩きする事態なのである。そういえば、反社も経営のモンダイがキツくて、という話題がこの作品内に印象的な位置を占めている。 [DVD(邦画)] 9点(2025-07-16 16:09:33)《新規》 |
5. 秋立ちぬ
《ネタバレ》 母親乙羽信子を出奔させてしまうとは、大胆な。ひたすら湿っぽい筋となるところを、喧嘩に強い主役少年という強力な設定で、優しいオジサン藤原釜足と明るく頼もしい夏木陽介や元気な少女を「風通し」存在として配置している。これら成瀬的「風通し」は、ジメジメしたリアリズムを断固拒絶する。ヤルセナキオは自分の似姿をスクリーンに反復することはない。 [DVD(字幕)] 7点(2025-07-15 21:30:09)《更新》 |
6. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 ピカソが似ていて笑ってしまう。贅沢な真夜中の夢。何もしないレア・セドゥでおわるのがなんとももったいない。 [DVD(字幕)] 6点(2025-07-14 21:40:19)《新規》 |
7. 旅立ちの時
《ネタバレ》 さすがシドニー・ルメット、メリハリのあるシーンの連続で、嘘っぽさというのが微塵もない。名作だ。あの時代の政治運動的なことについて一つ復習できたのは、ふたことめに言われた「ブルジョワ的」「プチプル的」とかの非難は容易に各人から「個人」の輪郭を奪う掛け声になってしまったということ。長男のことを最後の最後でやっと「自由」にするあの父親はすでに似てはいけないものに似ていたのだ、独裁者。 [DVD(字幕)] 9点(2025-07-13 22:29:07)《更新》 |
8. その土曜日、7時58分
《ネタバレ》 自分からの視点では些細な踏み出しにすぎないはずが結果的に大惨事に繋がっていってしまうのを「想定外」と決め込むのではなく、不愉快でもきちんと事前の「想定」に組み入れることを、こういう映画はいつも徹底的に教えている。 [DVD(字幕)] 8点(2025-07-13 13:31:31)《新規》 |
9. 私の少女
《ネタバレ》 陰気な話なのでシンドイが、ペ・ドゥナは絶妙に抑制気味の魅力ある演技。彼女をずっと見ていたい感じ。このかっこいい高身長のレズビアンカップルが世の雑音を悠々と見下ろすかたちを映像表現として見届けたいものだ。 [DVD(字幕)] 7点(2025-07-12 21:59:29)《更新》 |
10. ラストマイル
《ネタバレ》 岡田が満島に「あなたは誰?」と問い詰めるところが最高。作品の前提を根元的に問うこと、この存在論的な問いは、フィクションの枠外にも向かって配役はどういう関係で決まったのだろう、という問いにもなる。ところで、よく見かける俳優たちの顔だけが多くて見ていてちょっと疲れた。内容としては、働き(働かせ)すぎは、結局ろくなことにならないということだなあ、この映画。 [DVD(邦画)] 6点(2025-07-11 21:42:33)《更新》 |
11. バーン・アフター・リーディング
《ネタバレ》 死体の処理はなかなかたいへんなものだろうが、国家がらみ、CIAがらみだと、実にスムーズに台詞のやり取りで「片付け」られて「観客の目に触れない」。コーエン兄弟の、人間関係の物象化を見据えるブラックなユーモアが冴えている。「物象化」の土台は、いうまでもなく人の関係が金銭のそれに覆われ破壊されていることで、ブラピとフランシス・マクドーマンドが国を売って一攫千金を企むのはその最も分かりやすい部分に過ぎない。とにかく愛という真面目な直接性は嘲笑されてしまう。 [DVD(字幕)] 9点(2025-07-11 14:17:38)《更新》 |
12. めし
《ネタバレ》 成瀬の引き戸。妻が実家に帰ってしまった夫のところに女性客たち、その際の引き戸の機能が大切で、ドアと違って引き戸は閉まっていても開いている、つまり密封空間を作らないこの引き戸もあってか、女性客との「まちがい」は起こらない。成瀬のドアというのも、特に戦前のモダニズム時代には多いのだが、戦後のこの大復活の作品で、成瀬的引き戸の機能が見出されたのである。 [ビデオ(邦画)] 10点(2025-07-10 14:09:36)《更新》 |
13. ゴーン・ガール
《ネタバレ》 行方不明の妻を探す映画が同時に探される映画(夫の本性も暴き出されてゆく)となる。探す映画は探される、この構造は基本的。さて、この高学歴の女性がこの作品世界の成り行きをどこまでも手中に納めているというハナシはオーバーな感じ。 [DVD(字幕)] 6点(2025-07-09 23:29:04)《更新》 |
14. グッバイガール
《ネタバレ》 子役の擦れ方が飛び抜けて良い。台詞が面白い。ビリー・ワイルダーとかを研究したのだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2025-07-08 21:23:54) |
15. ザッツ・エンタテインメント
《ネタバレ》 なぜペアで並んで同じ踊りをする必要があるのだろう。組んで踊れば肩なめの180度ラインショットみたいなものだが、二人並んで同じ踊りは言わば小津的な等方向見交わし(180度ライン越え)にも匹敵し、その並んだ二人の「合致」が特別に気持ちいいからである。特にアステアとエレノア・パウエル。アステアとケリー。それにしてもMGMでは誰もが踊る、クラーク・ゲーブルでも、というのが面白い。 [DVD(字幕)] 8点(2025-07-07 04:52:03) |
16. ギルダ
《ネタバレ》 ハッピーエンドなのには驚く。リタ・へイワースの俳優としての存在感は立派なものなのに、脚本が良くないというか、彼女はあくまで囲われ者に過ぎず、矜持があるフィルム・ノワールの女として底無しの深淵へいざなう形になっていない。運命の女、フィルム・ノワールの女は、男の夢の産物ありながら、男が身を滅ぼすしかないほどに対等以上の「現実の」存在なのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2025-07-05 21:49:46) |
17. カバーガール
《ネタバレ》 リタ・ヘイワースが大活躍。テーマは深い。カバーガールは顔だけだがリタは踊れる、というのがキモなのだ。つまり映画スターは圧倒的にまず「顔」の演技なのだが、足で、ダンスで、と職域は広がる。ところで、「シンデレラが灰を探しに古巣に戻る」という台詞が、この作品の筋を極めて巧く言い当てている。シンデレラとは「灰かぶり」な細民のこと。 [DVD(字幕)] 8点(2025-07-04 23:24:05) |
18. ワイルド・アット・ハート
《ネタバレ》 映画商品ということに悪態つきまくる映画というか、汚い、グロい。コーエン兄弟のようなブラックなユーモアが滲み出るタイプなのだろうか、それにしても完成度は低い。あれはイザベラ・ロッセリーニだったのか、あとから気が付いた。「ブルー・ベルベット』は良かったな。 [DVD(字幕)] 5点(2025-07-04 08:57:47) |
19. ウォーターボーイズ
《ネタバレ》 この作り込み方は満点だろう。主演の妻夫木をフツーに設定して、脇役たちに特色をあたえる。とくに玉木が好感度の点でおいしい役柄だ。人間の行動をわざと物理的な作用反作用(ほんらい低級な大衆心理)に貶めて、その大衆化現象(他人志向の集団心理はほんらい深刻な問題だ)をおおらかに愉しむこと。なんといっても良いのは問答無用に弾ける若さ。徹底的に視覚(見る見られる)をテーマにしているのがまさに映画の映画であって、憧れで眞鍋を見る黒い(逆説的な)ゴーグルの男子学生たちのシーンなど、よくできている。映画の中の「見る見られる」を観客が見るというより、もう観客自体が映画の中に入っている感じ、見事にハメられている。 [DVD(邦画)] 10点(2025-07-02 22:16:35) |
20. がんばっていきまっしょい(1998)
《ネタバレ》 類似品はいっぱいあるジャンルで、これは意外な名作だ。ピンク映画を生業にしていた監督が、男の好色的な視線を徹底的にオフにしてこの溌剌たる「女性映画」(と呼んでいいだろう)を撮ったのは、凄いことだと思う。主役はこの女子ボート部だけではない、美しい伊与の海もである。シネスコではなくヴィスタサイズ画面が横にも奥にも広い感じで、横の動きはボートの気持ちの良い運動に、奥への広がりは美しい海の光景に、開かれている!つまり、このヴィスタサイズは、ボート部の「がんばり」を美しい海ごと抱き抱えるスタイルなのである。 [DVD(邦画)] 9点(2025-07-02 13:43:44) |