1. ロストボーイ
うん、つまんないな。でも画ヅラやフィルムの色味とか空気がザ・80's!という懐かしさでいっぱい。なんかこう締まりのない明るさで景気の良かった時の米国って感じがします。 音楽もだっさいなー。ロック系のを挿入曲に使う映画ってたまにあるけど、作品のテイストを一気に格下げする効果になってるやつしか見たこと無い。 それなりの脚本だけど時代も良かったし予算もついたのでしょう。わりと映像はしっかりしてます。制作陣がやりたいことはちゃんとできたんじゃないのかな。勢いはある。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2025-04-28 23:11:04) |
2. ダイナー(1982)
《ネタバレ》 誰にでも青春の終わりは来る。その時期を延長したくて「責任ある大人」になり切れず、だらだらとつるんでいるのよねこの5人組は。気の置けない生暖かな友人関係がうらやましい。 それぞれ抱える悩みはあるのだけど、あまり深刻にならないのは米国がイケイケだった年代背景だからか、あるいはチャラ男M・ロークのフットワークの軽さのせいか。 個性的な役者を集めてキャラ立ちさせて、描写するペアを変えながら話に化学変化を起こさせる監督の映画作りの巧さ。過剰なノスタルジーを避けてからりとしてるのも好印象でした。 男同士のノリに女は同化できない、という普遍の事実。しみじみと首肯する次第です。嫁になる相手に自分の趣味問題をテストするなんて、エディの結婚生活のこれからには不安しかないけどな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-04-17 23:14:59) |
3. プライベート・ベンジャミン
《ネタバレ》 全編アーミーコメディ路線で行ってほしかった。この映画は二等兵スタイルの、目の大きなゴールディの仏頂面写真がそれはそれは印象的で。観る側はその路線を期待するし、中盤まではゴールディ・ホーンもベンジャミン二等兵として大いに活き活きしているのだけど。 女が自我を確立し表明するのに結婚という装置が必要という発想が、もう古い映画なんだな。 ゴールディ・ホーンだから客を呼べた。もっといい脚本だったら時代を代表するコメディになれたのに。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2025-03-27 23:19:06) |
4. フーズ・ザット・ガール
当時大ブレイク中のマドンナに当て書きしたようなキャラクターと、よくある筋書き。あんまり面白くない。 マドンナは人気絶頂にあるスターの輝きを放ってはいるけれど、やはり女優ではないという感じ。 ヘアスタイルとかファッションとか濃い目のメイクとか、マドンナ単体を売り出す演出で手一杯で話はスカスカだし、マドンナも役を演じているというよりは彼女そのもの。ただのアイドル映画。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2025-03-17 23:19:16) |
5. クロスロード(1986)
《ネタバレ》 中盤まではすごく素敵なロードムービー。口八丁なブルースマンじいちゃんのキャラも良いし、ラルフ・マッチオの青臭い一生懸命さで理想を追い求める姿も良い。女の子との別れは大切で必要な経験値。 しみじみと滋味あふれるブルースの調べも心地よく、日銭を演奏で稼ぎながら過去を辿る二人の歩みには没入できるものがありました。 この映画の評価が割れるのは、やはり後半の突然のファンタジー描写がそれまでの空気感と全然違っちゃってるからでしょうね。 出発点の「悪魔との取引」がそもそもリアル味の薄い話しではあるのですが。制作陣もこれでイケるのか半信半疑だったりして。 劇中曲がブルース一本で来てたのに、対決シーンはロックだったりクラシックだったりしてんのにも「これでいいの?合ってる?」と思ったなあ。やっぱりちょっと他の展開はなかったのかしら。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2025-03-11 23:11:49) |
6. 童年往事/時の流れ
《ネタバレ》 ごく普通の一家の、どこにでもある日々を140分間見せ切る映像の力。50年代の台湾は家屋や舗装されてない道路や木の電信柱など、一昔前の日本を見ているようで懐かしさで胸がいっぱい。シャツと短パンで駆ける男の子(というかガキ笑)の生命力のまぶしさ。 時代的に政治が激動している最中だから、大人たちは穏やかではなかったでしょう。でも少年アハの目に映る日々は少年期から思春期にかけての、自身の生活圏のあれやこれや。教師に反抗したり恋心を抱いたり、小さいグループ間のけんかといった普遍的な青春なのでした。 父と母を順に亡くしてしまう悲劇も感情過多にならない描写で淡々としています。十代のアハには推し量ることが難しかったのであろう長女の胸の内も、どうにかして映画の中にもっと落とし込めていればお話に深みを持たせられたのでは。 お祖母ちゃんの存在が良いですよね。孫を可愛がり、大陸に帰りたがっていたお祖母ちゃん。道に迷ったら近所の人が送り届けてくれるあたり、当時の人付き合いの距離感の近さを感じます。 寝てんのか死んじゃってんのかわかんないって、まるでコントのようだけどいやあ昔ってこういうことあったんですよ。 お祖母ちゃん、せっせと作っていた神銭向こうに行って使ったかな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-01-07 23:04:09) |
7. サン・スーシの女
《ネタバレ》 突然の大使射殺事件から紐解かれてゆく男の過去。導入部こそわくわくしましたが、お話はわりとよく聞くナチス絡みの復讐譚でした。平凡と言ってもいいくらい。 義母への思慕が今ひとつ伝わってこない。成長してのち義母そっくりの嫁をもらうほどの思い入れがあったようにはあまり見えない。少年の心に深く残るトラウマ級の事件だったはずですよねエルザの殺害は。マックスの目から見る世界に触れなさすぎに感じる。 一方、エルザの夫への思いは綿々と描きつけるのですよね。いや、主役はロミー・シュナイダーなんだからそうなるよと言われればそれまでだけど。 大女優の遺作という色が付いてしまったため、ロミーの私生活と合わせて鑑賞されてしまう運命となった作品です。ロミー本人のコンディションも良くなかったのでは。わたしには三人もの男が夢中になるほどの魅力をエルザには感じなかった。ロミー・シュナイダーの代表作は少なくとも本作ではないはず。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-12-14 11:49:51) |
8. 誰かに見られてる
《ネタバレ》 御大R・スコットといえど慣れないことをするもんじゃないですなあ。リドリー・スコット味を感じるのはクレア邸の豪勢な内装くらいなもので、全体像は「三流ラブサスペンス」といったところ。 展開も演出も凡庸でこれといって見どころ無し。 犯人の立ち回りが話に都合よすぎる。刑事の家族を人質に取ってどうなるというのだ。 途方もなくヘタレな男を演ってるトム・べレンジャーが全然かっこ良くない。ミミ・ロジャースのスタイルだけ良かった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2024-11-15 23:29:29) |
9. ザ・フォッグ(1980)
《ネタバレ》 舞台がカーペンターらしからぬリアルな海沿いの街なんですね。小さくてちょっと田舎で皆顔を見知っていたり、教会が地域の拠点だったり。住民挙げての〇周年イベント規模の絶妙な「中くらい感」が、街の印象を決定付けます。 ちょっと寂しめの地方の街。そこに変な霧が漂ってきて怖いことが起こる。街も人も平凡な佇まいなだけに、白い霧が確実に迫ってくるという気持ち悪さはなかなかの臨場感でした。 人々に連絡する手段が地方のミニFMというのも、もどかしくて良いです。 80年代にありがちな「血にまみれた死体」を映さずにいるのも好感します。見えない方が怖い、ということを分かっているカーペンターさすがです。もっとも霧の中に鉤爪人型が現れるのにはちょっとがっくり来ちゃったりもするのですが。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-08-19 23:57:47) |
10. ゴースト・ハンターズ
《ネタバレ》 や、ちょっと待ってくれ。80年代てこんなチープやったっけ?うそだCGだってもう少し頑張れたはず。この脱力系の安っぽさはやっぱカーペンター御大の独自のセンスによるものだろうな。 作り物感丸出しのセットはともかくも(いつものことだし)、CG演出には手を出さない方が良かった。あのTVアニメみたいなバリバリって電気描写は一体。 虚無僧笠みたいの被ったいで立ちや、アイイイッという気合といい「中国人」への西洋人の見方を知りました。日本人の描かれ方もたいがいだったけど。いや、でも西洋人のカート・ラッセルだってけっこうひどい目にあってる。タンクトップの妙なキャラ絵が気になって仕方ない。女性陣のファッションも絶妙にダサい。特に記者の彼女。 時空を超越した規模の冥界(?)への入り口をネオン管で縁取るのもやめた方が。格安バーじゃないんだから。 ストーリーなんかもうどうでも良くなってツッコミ疲れしたところにエンドロールで流れるは監督自前の歌声ではありませんか。とどめ刺された。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2024-08-01 23:23:20) |
11. クリスティーン
《ネタバレ》 クルマが人を襲うって設定からして荒唐無稽ながら、けっこう見せます。なんか狂い方が腹が座っているといいますか、あ、コイツは全く話が通じないという怖さがあります。それがクリスティーンとアーニーの二人(?)がかりで狂気を加速させるものだから、怖さが二乗されるのです。(計算間違ってるかも) 古い髪形や幼稚すぎるいじめっ子らの造形など80年代の野暮ったさ全開。けど、その古臭い環境の中、まるでトランスフォーマーのごとく自らの形を再生してしまうアメ車という画ヅラが妙にハマってちょっとした中毒性をはらみます。カルト作品として生き残っているのも納得です。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-07-30 22:56:38) |
12. 真夜中の虹
《ネタバレ》 勤め先の炭鉱は閉鎖、父親は自殺するわ出てきた都会で強盗に遭うわ、仕事は見つからないトコロに情状を一切酌量してくれない司法によって牢屋にぶち込まれるわ。 こう書き出すと目も当てられないほどに悲惨な主人公の境遇なのに、なぜこんなにユルくて悲壮感ゼロなのでしょう。 不運は呼んでもないのに来る。けれど幸運も「ちょっと気が向いたので」的にやってくるんですなカウリスマキワールドは。 “こんなことがありました”と、ぼそっとエピソードを差しはさんですぐ画面が切り替わる独特のリズム。会話より行間を汲んでコミュニケートする寡黙な人物たち。全部がザ・カウリスマキと呼びたくなる唯一無二の空間。 なんもかもパッとしないのよ。のっけから譲り受けたコンバーチブルの幌は北欧の冬だっていうのに閉じない(!)し。子持ちの彼女と3人でドライブしに出かけた先の海辺も岩場ばっかりの岸に波が愛想無く打ちつけるような映えないロケーション。音楽も絶妙にダサい。 だけどもね。収監された先で出会う妙な先輩マッティ・ペロンパーはもちろんのこと、外でも本を手放さない連れ子の男の子も愛さずにいられない。 人生の上手く行かなさも野暮ったさも何もかもが近しく親密に感じられる、好きすぎる一本。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2024-07-18 18:44:46) |
13. パラダイスの夕暮れ
サエないなー。役者もサエないし(北欧は美男美女ばかりとのイメージが覆る)話も地味だし音楽までイカサナイ。 なぜにあんなに表情筋を使わないのやら。寒すぎて(体感のほう)固まりがちなのか、日照時間が少ないと笑えなくなってしまうのか。 男も女も欧米映画の十分の一ほどのエネルギー量で恋愛してる。興味深いなあ。 観る側に緊張を強いないし、羨望ももたらさないし説教もされない。ただただゆるめの共感に心をゆだねるこの安らぎ。これぞカウリスマキ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-06-22 22:26:12) |
14. レディホーク
《ネタバレ》 中世ファンタジーを形作るうえでの美術は立派だし、映像がくっきりとキレイ。騎士と令嬢のお二方も美々しくハマっている。変に芝居がかった終盤の司教との対決は、護衛やギャラリーののんびり具合がちっともリアリティが無いのだけどそこはまあ「中世劇」としての様式であると思って観れば悪くはないです。 だけども80年代のダサい演出がどうにも感性を逆なでします。オープニングの後光を背負った鷹がコントみたいだし、多くの方が指摘済みの音楽センスが致命的。石塔も衣装も中世してるのに、突如ジャカジャーン、と80'sロックミュージックが流れるのでは雰囲気台無し。ついでにM・ブロデリックのつるんと呑気なアメリカン・フェイスも中世ヨーロッパ顔ではない。 物語の骨格は切ないダーク・ファンタジーでいい線行ってるので刺さる人には刺さるでしょう。わたしは今いちでしたが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-28 16:22:48) |
15. ゼイリブ
《ネタバレ》 いやあ~~けんか長い。せっかく「資本主義社会のひずみを皮肉る社会派作品」的なインテリっぽい方向に持ってったのに。後々この映画を思い出すに「サングラスをかけろかけないで延々殴り合うヘンな映画」としか。そのへんてこぶりがカーペンターをしてカーペンターたらしめる評価に繋がってるというのも興味深いなあ。 [ビデオ(字幕)] 5点(2024-04-22 23:34:40)(良:1票) |
16. ニューヨーク1997
マンガの二次元キャラをそのまんま三次元に(無理やり)造型したかのようなカート・ラッセル。チープなセット。予算が少なかろうが、やりたいことをやるカーペンターらしさが炸裂。 少年漫画の良いアホっぽさを臆することなく画面にはっちゃけさせたのが本作で、何を思ったかその世界観をより突き詰めた(暴走させた)のが96年版、ということでよろしいですかね。 ああ、痛恨なことに先に「エスケープ・フロム・LA」を観ちゃったのですよだいぶ前に。オリジナルにたどり着くまで時間かかっちゃった。なのでまた「エスケープ~」を観なくては、の今ここ。カーペンターの世界に人生の一部を確実に割いている気がする。どうなんだこれは。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-03-28 23:03:06) |
17. 日曜日が待ち遠しい!
《ネタバレ》 いやあ・・微妙。はっきり言うとサスペンス部分は設定も演出もポンコツ。人物の相関も分かりづらいし、誰が何の動機で行動してるのか後になって考えてみてもピンと来ない。オマージュだというヒッチコックばりのどきどきは皆無です。 まあ脚本が死んでても雰囲気でなんかいい感じに仕上がる作品もありますよ。本作だってファニー・アルダンとトランティニヤンですからその可能性も多分にあったのに、キャラ付けが失敗しちゃっているのでせっかくの逸材がパアではありませんか。 アルダンの役どころはもっと軽くて若い「探偵ごっこ大好き」なお嬢さんが務めるべき。アルダンでは分別のある大人にしか見えないので、なんでそんな馬鹿な行動をするのか観ててしっくりきませんし、トランティニヤンは単なる粗暴な頭の悪いオヤジ設定しか与えられてません。こんな男にアルダンが惚れるわけない。 つまり話がすっと入ってこないうえ、人物らのやってることはさらに?が付きまくる残念映画なのですがそこはトリュフォー、画は綺麗に撮れています。女性の脚をやけに映すのにはスケベ根性も伺えるけど、アルダンのプロポーションは素晴らしくて眼福ではありました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-03-21 23:07:58) |
18. ライトスタッフ
《ネタバレ》 宇宙開発黎明期のアメリカ。フロンティア・スピリット旺盛な男たちのドラマはガッツに溢れてて元気いっぱい。英雄を求める世間と、それにちゃんと応えようと張り切る飛行士たち。数年時代が下っての月面着陸ミッションを描いた「ファーストマン」では任務が命がけの悲壮感に変換されていて、時代が変わるとずいぶんとテイストが変わるものだなあと思いました。 5~6名ほどのメインキャラクターは各々個性的に描き分けられていて(その奥様も)、競争心や連帯感などが程よい塩梅に散りばめられて観易いドラマに仕上がっています。 ソ連への対抗心丸出しではっちゃきになるホワイトハウス高官らのドタバタは完全に喜劇。ジョンソン副大統領がめちゃくちゃ笑。 一方、NASAとは別のところですでに人類の偉業を成し遂げていた一団がいたのだよ、という二本骨のシナリオにもなっているのですね。 わたしは寡聞にしてチャック・イェーガー氏のことはこの映画で初めて知ることになり、新しい感動を覚えました。華々しい米国のロケット技術、そこに至るまで万人の各地での努力・功績があったことをちゃんと織り込んだ脚本には品格を感じます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-03-15 21:23:05) |
19. ファミリービジネス
レビュワーの皆さんの言ってる総合評価のまんまな感想です。即ちコメディとしてもドラマとしても出来が良くない。もっさりしていて笑わせどころも緊迫するとこもキレが悪いので、話がダラついたまま盛り上がらず終わってしまった。 名監督と名優たちを取り揃えてこの出来とは、責任は一体どこにあるのでしょうか。マシュー・ブロデリックは置いておくとしてもコネリーもホフマンも芝居としては良い仕事をしているので手抜きとは思えないし。下手な脚本を監督に押し付けた映画会社が悪いのか? [CS・衛星(字幕)] 4点(2024-02-14 23:12:10) |
20. スペースボール
この頃のアメリカン・コメディって、一時も気を抜かずにずーっと馬鹿やってるんだよね。一場面一場面がもれなくツッコミ待ちなの。よくこんなに思いつくなあ。体力あるなあ。 賢い(ズルい)ことに元ネタありきのパロディなので笑いの賞味期限がわりかし長い。今でもちょいちょい笑える。ヘルメットのバランスが間違ってるとどうしてあんなに可笑しいんだろうね? [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-01-23 23:57:05) |