1. 潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ
《ネタバレ》 ああ、良いですねえ。名優お二方の滋味あふれる演技にはシビれちゃうな。デュヴァルは年齢を経てもダンディだし、リチャード・ハリスのはっちゃけぶりも尊敬しちゃう。そうそう、S・マクレーンの“ぶっきらぼうだけど根は優しい人”な感じも絶品。 現役世代にはほぼ出会わなかったであろう爺ちゃん二人。生活圏も趣味も教養も違い過ぎるもの。年取っていい具合に枯れて、「相手との会わないトコ」をいちいちあげつらって戦うエネルギーが減ってこそ成り立つ友情関係なのかな(まあ一回大ゲンカはするんだけど)。こんな風に人と出会える人生って良いなあ。 潮風がいつも吹き渡るようなロケーションや、夜空に打ち上がった花火がこぼれ落ちるそのキラキラを背景にしたデュヴァルの横顔など、強い印象を残す美しいシーンがいっぱい。 若いサンドラ・ブロックも話を邪魔していないし、作品のニュアンスを掬い取った邦題も絶妙。 良いなあ大好きな映画です。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2025-07-16 23:48:33) |
2. クラッシュ(1996)
《ネタバレ》 交通事故フェチてか。もうフェチが高じて人間が壊れてるじゃん。まず怪我人介護やろ人として(怒)。 変態の施行を延々と見せられ、引きはしたけど衝撃は受けない。ラストのあの結果、奥さんが死んでしまったとこまでちゃんと描いた方が変態を突き詰めた極北としてテーマがよりハッキリするのでは? なんだかなー 出演陣も脚本を読んだうえでの承諾なんだよね?個人的には久々のロザンナ・アークエットをこんな作品で見つけたのがショック大きい。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2025-07-10 23:00:05) |
3. マイケル
《ネタバレ》 マイケルって天使はトラボルタを当て書きしてる?と思うほど、トラボルタがどハマり。天使マイケルのキャラクターを細部まできっちりと詰めた制作の仕事がみごと。 たいていの人が抱くエンジェル像をばーんとひっくり返すような、その見た目。ビール腹を揺すりながら登場のその巨体。雑なつくりの羽根。清潔とは何キロも遠い風貌だけど体臭は焼きたてのパンの香り。砂糖と女性が大好き。愛が大切でビートルズを好み、人間が作り上げたその時代の“最上のもの”に興味大あり。そしてすんごくモテる。 これだけしっかりとキャラを練り上げれば、お話も面白く付いてくる。トラボルタですもん、ダンスシーンももちろん一級品。 “潤んだ子犬の目”なんですよねトラボルタがまた。「コイツは本物なのか?」という疑問を早い段階で放棄したタブロイド紙記者の三人も、観客もマイケルの子犬の目にやられちゃってるんですな。 シカゴからアイオワへの大きな風景も印象的でロードムービーとしても楽しいマイケルと一緒の旅でした。 W・ハートとアンディの恋バナに今ひとつ興味が湧かないのと、個人的には生命を蘇らせることまではしないでほしかった。(マイケルも管轄外だって言ってたじゃん)気になったのはそのくらい。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-06-19 23:36:50) |
4. シングルス(1992)
《ネタバレ》 92年か!や、なんだかあの頃の空気感が懐かしい。住んだことないアメリカだけど。 駆け引きに振り回されたり、深読みしたりの独身あるあるエピソードがセンス良く脚色されてて可笑しい。 この頃って「リアルな」とか「赤裸々な」ドラマがちょっとしたムーブメントでしたよね。 ケータイが無いから電話。それも留守電。コミュニケーションのスピードが今よりずっと遅くて、だから男も女も考える時間が取れた。今は創作のドラマも昔より展開が早くなっているから、脚本家もそのあたり苦労しているのだろうなあ。 90年代初頭のアメリカ。今と比べるとずっと明るくて豊かで呑気なことにしみじみしました。メイン出演者が白人ばかりというのもちょっと古さを感じるけれど。 “ビデオデート”なる商売があったんだね。出演陣のなかでも「やり過ぎ」担当のデビーの奮闘ぶりには笑いました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-06-14 23:19:53) |
5. ストーリー・オブ・ラブ
《ネタバレ》 いやー、洋の東西問わず夫婦って似たようなカタチをたどるものなんだねえ。 愛情って形を変えてゆくモノですから。ましてや恋心など一時期脳から出るアドレナリンの作用ですから有効期限は人生と比べると短い短い。 ミシェルとウィリスのカップルもほんとよくケンカする些細なことで。まあそこは脚本ありきで口論のための会話に感じる展開も多々あるけど。現実も火種は実に小さいことだったりするから「夫婦あるある」として大いにわかるわかる、となりますね。 酸いも甘いもひっくるめて一緒に過ごしてきた時間を丸ごと大きな優しい目線で捉えるロブ・ライナーはさすがだし、涙でぐしゃぐしゃになりながらのラストシーンのミシェルにはついついもらい泣きです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-06-02 11:56:15) |
6. 推定無罪
《ネタバレ》 殺された美人検事補事件の謎解きと、彼女と不倫関係にあった同僚検事の冤罪を主張する法廷ドラマと、ストーリーの骨格は二本立て。良く出来てる脚本と思います。 冤罪と書いたけれど、や、実のところH・フォードは真犯人なのか?との疑念を抱きながらの鑑賞となり、週刊誌的な下世話な興味を大いに掻き立てられる内容でした。面白かったですが。 なるほど観終わってみれば勝者ハリソン検事の失ったものってなんと多いことか。家庭は言うに及ばず、不倫相手は死んでしまうし信頼を寄せてた上司のまさかの裏切りにも遭うし。息子のためにこの先も怨念妻と暮らさなくてはならないとは新たな地獄の幕開け。不倫ていいことないよ、という教訓話ですかね。違うか。 軽いノリの娯楽作ではあるけど、どんな感情なのか今ひとつ伝わらないH・フォードの能面演技とラストの女房の長口上によるネタ明かしは洗練されてなくて頂けない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2025-05-29 11:27:00) |
7. 奇跡の海
《ネタバレ》 わたしはキリスト教徒ではないので作品の解釈にあたって欧米の人たちとは温度差があるのかもしれない。なんたってカンヌでグランプリ獲ってるんだから。 なんとなくは分かりますよ。ベスのしたことはキリスト教の神が求める「自己犠牲」ってやつでしょ?キアヌ・リーヴスが出てた「コンスタンティン」でやってた。 ベスは神の求めに応じて殉教したのに、現世の教会幹部らはまったくその意を汲まないあたり、痛烈な教会批判にも感じるけれど。 でもこの監督の作品を観てもこちらは救われた気持ちにならないんですよ。深い愛って素晴らしいな、ヤン良かったねえ、と手放しで喜べるはずもない。 なんでこんな物語をこしらえるのですかと監督に聞きたい。なぜいつも女がいたぶられる筋書きにするのですか。神への奉仕として自己犠牲を行うのは男性神父でも良いのではないですか。デンマーク映画にありましたよマッツ・ミケルセン主演の。 身を犠牲にしたのはベスが自ら望んだこと。であるならせめて報われた思いを得るのが監督としての優しさではないですか。なぜ「全部間違ってたわ」とベスに言わせるのですか。絶望しながら死なせたのはなぜですか。彼女に鐘の音は聞こえないじゃないですか。 「奇跡の音」を聞いたのは油田の労働者たちでなく。教会のクソ爺たちであるべきだとも思う。1カットでいいからその画が欲しかった。 こんな鬼畜な監督の要求に応えたエミリー・ワトソンが凄まじい。点数は全部彼女に。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-05-27 23:27:07) |
8. 恋人までの距離(ディスタンス)
《ネタバレ》 これは凄く攻めた脚本。男女の会話だけで一日分の時間を見せるのだから。あまりに何も起こらずしゃべってばかりの展開にたじろいだ。エリック・ロメールだってもう少し事件は起きた。でも観られた。なんだかんだ引き付けられたのは、E・ホークとJ・デルピー両者の役者の力とウィーンの美麗な街並みのおかげ。 そもそも知らんカップルのデートの様子など大方の人間が興味ないでしょう。個人的に恋愛モノで刺さる作品少ないし。でもイーサン演じるジェシーのアメリカンな熱の上げっぷりがリアルで微笑ましく、ジュリー・デルピーがもうとても綺麗で。立ち姿からきらっと輝く彼女は眼福でしたので、とりあえずこの二人に付き合うか、という気持ちにさせられました。 二人とも中途半端に大人な年齢なのですね。十代のように頭に熱がバーッと上がって恋愛まっしぐらにもなれないし、人生の苦い展開をちょっとずつ経験してもいるので今この時の感情に今後を委ねるふんぎりもつかない。 二人揃って相手の気持ちを量りつつ時間は過ぎて、さあどうするのとなった時にはお話は終幕。“その後”を観客に引き渡した粋なエンディングでした。観る者が100人いれば100通りのその後がありそう。 映像が大変キレイです。二人がたどったコースをもう一度振り返る数ショットも余韻があってハイセンスなのですが、そんな場面にあっても「公園に空き瓶とグラスを残していくなや」と思っちゃったワタシはやっぱり恋愛映画に向いてないのかも。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-04-06 18:47:27) |
9. ベートーベン
犬映画って当たりますよね。犬可愛いもん。 セントバーナードって大きいなあ。知ってたけど冒頭の子犬が数秒で巨犬になってるのに一番笑った。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2025-02-26 23:04:41) |
10. ラヴィ・ド・ボエーム
《ネタバレ》 まったくもってお金がないんですよねカウリスマキの登場人物らは。もういつでも。 中年男が揃いもそろって赤貧洗うが如し。なのに悲壮感が今ひとつないの。まず売れないだろう小説や曲や絵を創ってその日を生きて。でもどういうわけかパトロン(カモ)が現れたりしてしのげちゃう、このゆるさ。 ラストまでこのユルさが続くのかなと思ったけどそうではなかったです。人生は切ない。切ないなりに希望を持たせることも多いカウリスマキだけど本作はビターな方に舵を切っておりますね。 それにしても優しい三人の男たち。自分も持たざる者なのに他者に分け与えることができる人たち。稼げなくて勤労意欲も少なめでしょーもないんだけど、彼らの優しさや友情力はちょっと圧倒的でした。金はなくとも愛はある。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2025-01-12 23:35:53) |
11. コントラクト・キラー
《ネタバレ》 人生どこで転機が訪れるかわからないものだなあ。 死のうとしてたのに。仕事もお金も、何よりこの主人公には生きる希望が無くて。 なのに、特に何もしていないのに、ふっと心に気力の灯がともる。モノクロだった彼の生活に色を伴った彼女が現れたから。 かくして依頼したはずの自身への殺し屋からは逃げ続け、病を患っているというその殺し屋へ見舞いの言葉すら口をつくまでに彼の心は回復を見せるのだった。 けれんみとかドラマチックとかいう言葉をどこかに置き忘れているカウリスマキ作品群の中でもとりわけ淡々としている本作。イギリスに住むフランス男の情操が、暗いんだけどユーモアを帯びているのがいかにも同監督ぽい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-11-10 23:48:56) |
12. プッシャー(1997)
《ネタバレ》 粗暴で下品なチンピラ二人のだらしない会話が延々続いて、しかも手ブレ気味の画に辟易した序盤。中盤以降はバイオレンス描写も加わり、さらにげんなりしたまま終幕は突然やってきた。 映画作品て題材が暗かったり暴力環境であったりしても、なにかしらのロマンなりけれんみなりな魅力があってこそなんじゃないのかな。この作品、誰ーれにも同情できないし、主人公は自業自得の結果どん詰まりの煮凝り人生へと落ちてゆく。なぜそんな頭の良くない行動を取るのかしら。砂糖をドラッグと偽ったところで数秒後に張り倒されるだけじゃんか。 哀れと思うには乱暴者すぎるし、あー嫌なもの観たなあという気持ちにしかなんない。 観客としてはマッツ・ミケルセンを観に来てるので、早めの退場にもがっかり。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-10-04 11:41:30) |
13. マッチ工場の少女
《ネタバレ》 労働者三部作のラストはシリーズ中最も虐げられてる弱者が主人公。びっくりしたことに、今作で監督怒りでキレてる。いつもの鷹揚さはどこへやら、こういう発露の仕方もするんだなあカウリスマキは。 イリスの日々、しんどそうだもんなあ。若い女の子とは思えないほどに彼女から”はつらつさ”を感じない。カウリスマキキャラそのものの彼女は口数少なく、地味で感情は時折り流れる流行曲の歌詞で代弁されている。 給料はもちろん安い。それすら母と継父に取り上げられ自分の自由にならない。イリスの周囲の人間は彼女のお金も労働力も愛情すら搾取しておいて彼女に敬意を払わない。 いいように使われてぞんざいにあしらわれてきた者は暗い怒りを凝縮させて、ついには逆襲に出る。わたしは正直スカッとしましたよ。 弱者をなめんな。敬意を払え。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-09-09 22:37:35) |
14. さまよう魂たち
《ネタバレ》 脚本のこなれた上手さとマイケルの醸すとっつき易さ。観てて楽しい。 出てくる人物が幽霊含めてアクが強めでにぎにぎしくコミカルパートを盛り上げ、話の核心たる過去の殺人事件ではその真相で客を驚かせる。 シリアスな中にまぶすユーモアも絶妙。妻が死んだ夫に問うて曰く「私のお金をどこにやったの」には笑った。 並みの脚本なら持て余しそうなキテレツFBI捜査官をもそれなりに話の中に収めたのには感心すらしてしまった。 設定も構成もよく練られたハリウッドらしい脚本能力を感じる一本であります。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-08-15 22:32:04) |
15. ロスト・チルドレン
《ネタバレ》 濃密に完成された世界に魅せられてしまった。実はジュネ監督の「アメリ」も「デリカテッセン」も肌に合わなかったので全く期待しないでの鑑賞だったのですが。 なんて毒々しいまでに甘いんだろう。描きこまれた絵本をパラパラとめくるのに近い心持ちでした。輝くリンゴ。海の緑色。女の子の赤いスカート。金糸銀糸で織り込まれた大ボスのジャケット。暗いけれど艶がかってるような、あの画面はどうやって撮るのだろう。 クリーチャーと言った方が近い大人たちと、対比をなすように天使のように美しい子供たち。 気色悪くて魅惑的で映画酔いしそうです。好きな人とそうでない派に二分される作品でありましょう。 だいたいね、向こうのオモチャってそもそも可愛くないというか。冒頭から登場の近衛兵の人形、あの顔怖いなあ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-07-01 22:34:36) |
16. ブラッド・シンプル ザ・スリラー
《ネタバレ》 疑心暗鬼になる人の心を扱うことはコーエン監督の十八番。デビュー作からこうなんだ。 皆さん「信じるべき者」を見誤って悲劇に突き進む。うーん不条理だ。話が終了したあの後も女は自分が撃った男を見て「これ誰?」となるし、バーテンは店のオーナーが生きていると思っているんだね。コーエンイズムな不条理を感じるなあ。 コーエン映画って淡々と残酷なことするので肝冷やしちゃうんだよ。生き埋めしかりナイフ突き立てしかり。 個人的には画ヅラの所々が不潔ぽいのがしんどかった。アメリカの古い建物の洗面台てのがわたしは苦手でして。今作のも汚かったなあ。私立探偵のおっさんの脂ぎった顔にハエがとまるのもキツかったす。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-05-11 23:36:57) |
17. ゴールデンボーイ(1998)
《ネタバレ》 年老いた元ナチとアメリカ人の高校生男子。実に距離のありそうな二人が奇妙な関係性でえぐい心理戦を展開します。手にいやな汗をかきました。この関係は何だろうね。友情とはとうてい呼べない。でも互いに自分の一部を依存しあっているような。 わたしは初めのうち、小僧が年寄りに命令して従わせるのが不快でなんとなくじいさんサイドに寄って鑑賞していたのですが、衝撃のネコエピソードによって監督に超甘な考えを破壊されました。 元収容所副所長ですもんね、十代の子どもなんぞに手玉に取られるタマではなかった。次々と少年より先んじて手を打って出る老獪なこと。只者じゃないそのオーラ、イアン・マッケランの鬼気迫る演技に震えました。 対するブラッド・レンフロも青臭さと若い反骨心で見事に対抗しています。心の奥に性悪説の根っこを抱えているやばい十代。ラストの‶成長”ぶりの鮮やかなどす黒さったら、心胆を寒からしむるに十分すぎました。 主演二人に目を奪われがちだけど、脇のキャスティングもぴったりで話が締まりました。トッドの両親の見るからに凡庸なこと、生活指導教師のとんちんかんな熱血ぶり。皆すごく良い仕事してます。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-03-26 17:56:00) |
18. メイド・イン・アメリカ(1993)
《ネタバレ》 言わんとするテーマは米国普遍の価値観だし、キレイに心地よくまとまっていると思うけど。 でも30年前のコメディは今観るとやはりキビシイ。当時なら笑えたかなあ。笑わせのツボというより全体のノリが感覚としてズレている感じ。 のっけから交通ルールまる無視でチャリを飛ばすウーピーの画が破天荒というより「常識無い人」に思えるし、精子バンクの提供者に押しかける娘にも引く。ましてや黒人じゃないからって当たり散らすウーピーのキャラはもうただの迷惑で、たぶん今なら脚本段階で却下でしょう。 それにねえ、やっぱりウーピー・ゴールドバーグにラブシーンは要らないよ。今作はとりわけ文句ばかりのオバサン役だし、男性が恋に落ちる要素がどっかにありました? [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-03-07 23:07:19) |
19. インサイダー
《ネタバレ》 見応えのあるドラマではあったですけど、ちょっと長すぎでは。たいていこの手の内部告発モノは、会社からの妨害・脅迫にめげずに信念を貫き、法廷での証言シーンがクライマックスとなるのが定番。本作は法廷劇が終了した後にアル・パチーノ扮するバーグマンのジャーナリスト魂炸裂の奮闘劇が第二部として展開するのですが、この後半部があまり観易くありません。一介のTVプロデューサーが人脈を駆使してタバコ会社の個人調査内容に対して反証を用意できたり、新聞社と駆け引きしたりのフィクサーぶりにはちょっと理解がついていきませんでした。 ワイガンドがどの程度の嘘つきだったのかちゃんと描写が無いのにも不満です。 結局タバコ会社の悪辣ぶりはメインテーマじゃなくアル・パチーノが主役だったのでしょうけど、ラッセル・クロウの苦悩場面も多くてポイント絞れてないんじゃないかな。そういや冒頭のイスラム部分も変に力入り過ぎで(その後一切触れもしない・・)バランスが悪いよね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-02-29 23:03:25) |
20. ジェイコブス・ラダー(1990)
《ネタバレ》 ネタバレ! ちょっと前の作品になるんですね。やっぱりある種の映画は封切り当時に観ておく方が吉だなあと思いました。後発作品がもっと洗練されていくので、そっちを先に観てから先発作に触れると「なあんだ」と不当な評価をされがち。 本作も高評価ゆえ期待度が高すぎて「えっ なあんだ」となってしまった。全体の99%が夢でした、とは今では反則にも感じる・・。わたしは真面目に考えながら鑑賞してたんですよ、どこの部分が現実でどこが妄想なのか。あまりに読みを覆してゆくので、これ納得のいくラストになるのかしらと不安になったくらい。 今際の際に脳内にあった軍への不信とか末息子への想いとか、ちょっといいなと思ってた郵便局の娘とかがミックスされたジェイコブス氏の夢を見せられただけかあ。 オチでずっこけはしたけど、つまんなくはなかったですけどね。カルキン君はすごく愛らしいし。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-02-17 23:28:17) |