1. ウィキッド ふたりの魔女
《ネタバレ》 四季の舞台も盛りではなく初演とか再演もあわせれば10回以上見てます。 エルファバに寄せられがちですが、個人的にはグリンダの物語だとずっと思っています。 Wicked というタイトルですが Wicked は 「邪悪なもの」「悪意」という意味で魔女を指すものではないです。 映画の中でも、マダム・モリブルは 「Wicked Witch」 つまり邪悪な魔女が現れたと民衆に訴えます。 では、邪悪って何だろう。 これがこの物語の大きなテーマだと思いながら舞台から見てきました。 私が思うのは 「敵意を持つこと」「悪意を持つこと」「憎むこと」 害を与えることを前提に考え行動することです。 エルファバにはそのひとつも当てはまらない。決してWickedではないはずです。 ではグリンダはどうなのか?自信家で図々しくていやな女です。 でも誰かを傷つけるわけではなく、ただただ世間知らずで私中心なおバカな女の子。 よく言えば天真爛漫。 でも自分が中心なのは当たり前のことで、そりゃそうよね、と生きてきた。 でも、エルファバが私よりもマダムモリブルに大事にされてると気付いて 初めて抱いた敗北感。なんで、なんで私じゃなくてあいつなのっ! そこからちょっとずつグリンダの気持ちが揺らいでいきます。 そして、おそらく順風満帆、なんの不安もなく自信満々に生きてきたグリンダに芽生えていくエルファバへの気持ち。 妬みとか怒りみたいなものが積み重なっていく中、 とうとうエルファバに、醜い帽子をかぶせてみんなの前で恥をさらさせてやろうって思います。 初めて生まれた嫉妬のような感情だったんだと思います。 ボールルームに現れてひとりで踊るエルファバを見てグリンダは後悔する。 エルファバは醜い私の気持ちさえも信じてくれていたんだ。 私は彼女を妬んでいた、ざまあみろと思っていた。 そう Wicked になりかけていたんだと。 でも、彼女はそうじゃない。そんな私も信じてくれてたんだ。 ごめんなさい。醜いのは私だよ。って そう思ったんだと思います。 ポピュラーはとってもキュートでグリンダの魅力爆発の人気曲ですが、 負けず嫌いで自信家のグリンダが、 くっそー、くやしいけど、それでもこっちは負けないからね~、って 微笑みながら強がってる可愛らしい曲なんだと捉えてます。 理由もなく、エルファバに敵意や悪意を抱く大衆のWicked(悪意)に取り囲まれて そっちに巻き込まれそうになりかけてたグリンダは、エルファバの誠意や気持ちに気付いた。 グリンダはWickedにはならなかった。 そして、エルファバみたいに強い自分になりたい。あなたみたいになりたい。 その思いが強くなっていく。あなたは強くて優しくて、揺るがない。 エルフィと心を通わせながら。 でも、お別れを選ぶ。 最後の勇気が生まれなかったから。怖かったから。 続きはPart2で [映画館(字幕)] 10点(2025-04-16 02:45:55) |
2. ザ・クリエイター/創造者
《ネタバレ》 THE MOVIE でした。 細かいアラを探せば映画ですからいろいろ思う人もいるでしょうけども、 シンプルにストーリー・アクション・感情・伏線。 いろいろなところを楽しませてくれて、あっという間に見終わった感想です。 そしてノマドを筆頭に、メカの描写が素晴らしい。 ノマドやUSの装甲車両のハイテク加減に対して、ニューアジアのレトロな機械感。 そこにもきちんとテーマが載っていた気がしました。 ちょこちょこブレードランナーとかスターウオーズといった映画へのオマージュがあるのも わざとらしさがちょっとあるようでないようで面白かったですw 演出・展開・映像。理屈抜きで【THE映画】でした。 [インターネット(字幕)] 9点(2025-04-03 12:18:10) |
3. あんのこと
《ネタバレ》 知人に勧められて見たのですが、こんなに苦しい映画は久しぶりでした。 何を描きたくてこの作品を作ったのか色々考えては考え直しで答えは出ていませんが、孤独であることの苦しみがあまりにも辛い。 孤独で生きる意味など見失っていた少女が、人との繋がりが生まれて、守ってくれる人がいるという喜びで輝くような笑顔を見せていたから、また孤独に追い込まれていく様が痛々しくて、中盤で一度、視聴を止めて気持ちを立て直さなければ最後まで見るは難しいくらい苦しかった。また演じている女優さんが、あまりにも自然体に主人公に溶け込んでいて、荒みや喜びや苦しみが直に伝わってくるようで、なおさら観ているのが辛かった。 多くの人に見て、感じ考えて欲しい映画ですので10点でも良いくらいですが、見る人によっては耐えられないと思うところで8点に留めさせていただきます。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-09-24 10:25:53) |
4. THE BATMAN-ザ・バットマン-
《ネタバレ》 長すぎるという意見も多いが、個人的には全く感じないまま終わった。 スーパーマンと戦ったり、スーパーヒーローのバットマンになりつつあったが、本来の陰鬱で重~い原点に回帰したような作品で個人的にはとても好きでした。最後のアサイラムで話しかけるジョーカーであろう存在以外にも、レッドフードやトーマスエリオットらしき映像がチラッと写っていて、それもおっ、と思わせる。もしかしたら、他にも片鱗を見せていたキャラがいたのかも。今度は探しながら見てみよう。キャットウーマンはブルードヘイブンに去って行ったし、いろいろとスピンオフも含め連作化していくんだろうな。 アクションシーンも、圧倒的なガシェットとかに頼らず格闘寄り。ガシェットも古典的な基本装備。 格闘内容もそうですし、孤児院とかサイスバーグラウンジとかの場所の映像も、なんだかゲームに寄せてる気がしました。僕は大好きなので、おっ、と思いながら見ておりましたが。 連作の展開を期待して、今作は9点で。 次作はアサイラムが中心で展開するのか。とても楽しみです。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-09-24 04:24:05) |
5. あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。
《ネタバレ》 この礎の上に今があることを改めて教えてくれる作品。 ちょっと説明不足で雑なところはあるけど、終盤の嬉しそうな嬉しそうな母親の顔。 幸せでいっぱいの母親があふれてました。 当たり前だと過ごしても、幸せっていろんな思いの上になりたってる。 ちょこちょとと、本当の特攻隊員の言葉や仕草が残っているのも悲しい。 女の子のお人形を連れて出撃した人。 特攻の時に怖いといけないからって、自分の方を向けて胸に入れてたんだよね。 優しい人だったんだと思う。 良い映画だったからこそ、特攻隊員たちの気持ちをもっと伝えて欲しかったなぁ [インターネット(字幕)] 8点(2024-08-06 01:20:17) |
6. ニューオーダー
《ネタバレ》 これはなかなかシビアな展開。 軍政財の癒着と腐敗が民衆の嫌悪と怒りが生んだ暴動。 政情は混沌を極めるなか、それでも富裕層としての暮らしは揺らがない。 花嫁になるはずだった女性が巻き込まれていても。 荒唐無稽とは思えない内容。 現代日本で生きている立場では想像すらしないことだが、 今も、近い将来にも、これが現実に起きていることを想像させるに余りある。 誰が何を企んでいるのか混沌としているが、 ただ無垢で正直な人間が犠牲になって成り立つ世界がある事実。 それだけがクッキリと浮かび上がるような気持ちでエンディングを迎えました。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-02-02 20:41:49) |
7. M3GAN ミーガン
《ネタバレ》 ハイテク版チャイルドプレイですかね。 ラストの決着も含め、いろいろ想像でき過ぎて、 あまりハラハラドキドキとはしませんでしたが、まあ安心して見れました。 でも、これって近い未来で本当に起こりえることかも。 テクノロジーが、人の想像や想定を上回ることがないと断言はできない。 数十年前の映画で描かれた未来が、今、現実になっていることは数多くある。 そういう意味では本当に怖い映画なのかも。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-01-11 01:44:41) |
8. ベネデッタ
《ネタバレ》 結構、ガツンとやられました。 以前よりエログロと嫌味、皮肉、悪意の塊を作品として成立させる稀有な監督だと思っているのですが、 今回はキリスト教がターゲットで、大丈夫かいなと。 もともとキリスト教系の作品では思うことが多く、 大きなところでは、スコセッシの「最後の誘惑」や「沈黙」なんかも いわゆるキリスト教視感とは異なる内容で物議を醸しだしたりしました。 それら作品にもいろいろ考えさせられた上で、 大丈夫かいなと、今作を不安と期待で視聴。 結論として 信仰や宗教に関わるのが人間であるという生々しさで、 ヴァーホベンの斜に構えた問いかけに圧倒されて見終えました。 ベネデッタがキリストの使途であるような、 ただの妄想や権力にとらわれた女性なのかは明確に描かれず、 でも否定的に振るまっていたフェリシタ前院長は迷うことなく ベネデッタを信じて火に身を投じる姿が印象に残ります。 批判されることが多い監督ですが、信じて観て良かったと思える作品でした。 [インターネット(字幕)] 10点(2023-10-08 21:36:24) |
9. トップガン マーヴェリック
《ネタバレ》 まあ、とにかく華やかな機体達。 主演機体のF18。マルチロール機の魅力爆発でした。 スホーイ57でワクワク。 まさかのハインド登場にはテンションUP。 ホークアイのどデカイ円盤もカッコよかった。 物語はよくあるもので御伽噺感はありますが、 変に前作にとらわれすぎず、でも残しつつ、娯楽映画としてコンパクトにまとめ、 存分に戦闘機たちが躍動していて良かったです。 訓練生に見せつけたF18のトレーニングフライトのシーンは痺れまくりましたよ。 すでに退役したF14は今や骨董品かもしれませんが、 大柄で可変翼で飛ぶ姿は変わることなく魅力的で憧れの機体ですね。 やはりトップガンと言えばF14が浮かびますから。 [映画館(字幕)] 9点(2022-10-08 15:47:32) |
10. ディア・エヴァン・ハンセン
《ネタバレ》 わかったふりをする。理解し共感した体をする。 自分を偽り、相手の望む、好まれる自分になろうとする。 でも巧くいかない。上手に出来ない。思い通りにならない。 本当の自分のことを理解して欲しい。 でも、本当の自分のことなんて、自分以外に分かってもらえるはずはない。 エヴァンがついた「嘘」が、一瞬の竜巻のように周りを巻き込んでいく。 SNSという大きなうねりになって、エヴァン本人も周囲にいる人達をも。 でも、それは偽り。共感も感動も一瞬の流行り病。 一過性のブームが終わり、今度は非難と否定に姿を変えた。 自分だけが不幸で苦しんでいたわけじゃなく、 いろんな人が自分を偽って、胸の中で泣き叫んで、助けを求めている。 どうでもいいと思っているたわけではない。否定していたわけじゃない。 上手に出来なかった。どうして良いか分からなかった。 そんな自分を責めながら生きている。 コナーの両親もエヴァンの母親も我が子を想いながら。 終盤、SNS上で好意的だった人たちの冷ややかな視線を浴びながら、 エヴァンがコナーの好きだと残していた本を読み続け、 コナーが何を思い、求め、愛していたのかを理解しようとします。 その末にたどり着いた、優しくて、ちゃんとした自分を切望するいコナーの歌声。 誰にも届かなかった、コナーの本当の想い、苦しみ、絶望。 エヴァンはSNS上の言い訳に使うことなく、 みんなの前で自分の想いを歌うコナーの姿を知って欲しいと思う人だけに伝えます。 ゾーイがエヴァンを果樹園に招待し、今のあなたとここで初めて出会いたかった、と言ったのも、 出会いのきっかけは言葉の偽りだったけれど、 誰もが抱えている痛みや悲しみを、 今のエヴァンは誰よりも理解している人だと信じたからではないでしょうか。 ベン・パレットの歌声は圧倒的でした。 押しつぶされそうな心の叫びがダイレクトに突き刺さるような、 息を呑んで聞いてしまいます。 [映画館(字幕)] 10点(2021-12-23 13:28:43) |