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《ネタバレ》 地面に散らばる赤い花(植物)に囲まれて立つ少女を俯瞰のカメラが捉えて・・・ってコレ、『宇宙戦争』のシーンを先取りしてる(?)ではないですか。
いや、少女というような年齢でもないのですが、この主役を演じるブライス・ダラス・ハワードの持つ透明感みたいなもの、本当に印象的です。まさかこの女性が後々、恐竜どもを蹴散らすクレア叔母さんになってしまうとは。。。 盲目の役なんですが、映画の中ではあまりそれが強調されておらず、これはもしかすると、個々の挙動だけを見ると、「目が見えない人」の動作としては“不自然”なのかもしれないけれど、そういう意味のリアリティを超えて、このあまり不自由さを強調しない彼女の動作からは、映画としての“自然”な流れを感じます。 ある意味、ここは作り物の世界。箱庭的、とでも言うのか。セットの中で演じられる映画の世界、とも繋がるものがあります。 物語の中ではそれなりに事件が起き波乱もあるとは言え、比較的静かな流れの中、ラストでは突然、真相が明かされ、我々にも価値転換を迫られることになるのですが、その「意外性」ばかりに着目すると、安っぽい受け止め方になっちゃう。ラストでビックリさせるだけのために、殊更、中盤を静かな語り口にしたのか、、、というと、そんなことはなくってむしろシャマラン監督は、オチをつけて最後にすべてを崩さなきゃいけないんだけど、できればそのオチを回避したいと思いながら映画を作ってるんじゃないか。この作品に限らず『シックス・センス』の頃からすでに、そうだったんじゃないか、と思えてきます。 できれば避けたい、からこそ、避けてはいけないラストの価値転換。あるいは価値崩壊。 ラストの意外性が、単なる「実は・・・」という説明ではなく、「あり得ない状況の映像」として示されている点、インパクトがあり、それと同時に、映画の主部で描かれてきた世界の果敢無さみたいなものも浮き彫りとなって、これはなかなかに余韻の残る作品でした。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 8点(2025-06-14 07:25:17)
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