Menu
 > 作品
 > ワ行
 > 私の少女
 > onomichiさんのレビュー
私の少女 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 私の少女
製作国
上映時間119分
劇場公開日 2015-05-01
ジャンルドラマ,サスペンス
レビュー情報
《ネタバレ》 ペ・ドゥナの姿。確かにずっと観ていられる。冒頭、道端の少女をじっと見つめる。夜、テーブルで一人酒を飲む。私たちはペ・ドゥナの姿、その表情を追いながら、彼女の中の何かを観ている。

彼女はソウルのエリート警視であったが、普通とは違う性的嗜好を問題視され、未来を閉ざされるように、田舎の警察署に左遷される。自らの嗜好を悪と見なされ、それを抑圧するしかない鬱屈した感情の中で生きている。毎晩、眠りにつく為に酒を飲む。

そこに現れた少女ドヒ(キム・セロン)。少女は家族や同級生から虐待され、現実逃避から妄想的な振る舞いを見せる。彼女は少女を保護する。少女に対する母性に似た感情に身を任せることで、自らの傷を癒す。それは優しさに餓えていた少女との共依存の関係となる。

その関係も途中で破綻しバラバラとなりかけるが、最後には収まる。但し、その場所は、既成の物語と明らかに違うのである。

「私の少女」とはどういうことだろうか?(この映画の原題は「도희야」(ドヒ)、英語題"A Girl at My Door"、邦題「私の少女」。珍しく邦題が最も作品の意図を象徴していると感じる)
現代人は、自らの人生を回収し安心できるような既成の物語を失っており、伝統的な精神分析で解釈し癒すことができない、つまり物語によって内面化され得ない「新しい傷」を負っている。

ペ・ドゥナ演じる警視も「新しい傷」を負って田舎の地に赴任してきた人物である。「新しい傷」を克服するのは「新しい物語」しかない。それが「私の少女という物語」であり、物語の可能性という、この映画の真の主題なのだと私は思っている。
onomichiさん [インターネット(字幕)] 9点(2025-06-08 21:23:12)
その他情報
作品のレビュー数 5件
作品の平均点 7.40点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
5120.00%
6120.00%
7120.00%
800.00%
9120.00%
10120.00%
作品の標準偏差 1.85
このレビューの偏差値 54.65
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
私の少女のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS