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ジャングル・フィーバー のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ジャングル・フィーバー
製作国
上映時間132分
ジャンルドラマ
レビュー情報
ヘヴィなテーマをトボけた調子で描いたあたりがいかにもスパイク・リー、という感じで私は好き。黒人同士でも「あんたは色が濃い」「薄い」とか、意外に部外者からはわからない軋轢みたいなものがあったり。タブーとされて封印されているレイシズムを敢えて真正面から捉えるというのは黒人監督にしか許されないみたいな部分が現実にある以上、こういう映画が出て来るというのは日本人からはちょっと想像しづらい衝撃だったと思う。スポーツや音楽で成功した黒人が絶対に語ろうとしないことを、スパイク・リーはきちんと語ろうとしている。成功した黒人としてウェズリー・スナイプスが封印しようとしている「過去」として登場するサミュエル・L・ジャクソン&ホール・ベリーが象徴するものは、黒人社会が抱える圧倒的な現実。アナベラ・シオラの女友達を通して監督が言わせる「黒人だけはやめたほうがいいわ」、表向きは撤廃された人種差別が現実には表面に出て来ない意識として定着している現実、そういうものを敢えてヒステリックな告発の形を取らずにコミカルにクールな視点で描いたこの映画が、アメリカ社会に向けて訴えていることの重みは大きい。ヒステリックに声高に訴えようとすればいくらでもできることを、シニカルにこういった作品で世に出して来るスパイク・リーにはかつてのウディ・アレンを思わせるものがある。アメリカ社会において今なお共存の道を模索し続ける黒人たちの声にならない声が聞こえて来る秀作。
anemoneさん 9点(2004-01-03 13:14:11)
その他情報
作品のレビュー数 12件
作品の平均点 6.92点
作品の点数分布
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6325.00%
7541.67%
818.33%
9216.67%
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作品の標準偏差 1.32
このレビューの偏差値 61.95
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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