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約50年も昔の映画でありながら、けっこう今日の社会環境と似ているなと。まずインフレが進行中とのこと、それから大資本が登場して合理的に事業を展開しているとのこと。いずれも昔ながらの零細事業には大打撃で、廃業・転職に追い込まれるのもやむなしかなと。これって今のインフレやAIだのDXだのと同じでしょう。それからサラリーマンでも転勤で転居なんてのは茶飯事。つまらないことを言えば、個々人の小さな別れや悲しみの集合体として、社会の大きな進歩があるということで。
しかし個人の感情として、そう合理的に割り切れないのも事実。起伏の少ない作品ではありますが、最終版に岸辺でひっそり廃船が燃やされているシーンはけっこうショッキングでした。それを遠くから見つめる主人公夫妻の心中たるや、察するにあまりあります。 ついでながら面白かった点が2つ。おそらく地元住民がエキストラ等で多数参加しているようでしたが、そういう人に混じると、いかにも田舎の肉体労働者風の井川比佐志でさえ都会のひよっ子に見えてしまう不思議。顔に刻まれたシワの数が違うというか、土着パワーのようなものを感じました。 それからもう1つ、当時は「寅さん」全盛期だったはず。その主要メンバーが役割や関係性を変えてごっそり出演していることに、観客は違和感を覚えなったんだろうか。まあ劇団が演目を変えたようなもの、と思えばいいのかな。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2025-06-20 03:09:49)《新規》
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