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美しき諍い女 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 美しき諍い女
製作国仏,スイス
上映時間237分
ジャンルドラマ,小説の映画化,エロティック
レビュー情報
優れた芸術作品が生まれる過程が実際にこの映画のような流れだとは思わない。リアリティを感じない。  まず、画家の人物造型に胡散臭さを感じてしまった。例えば「銀河が始まる前の混沌、それを君に見たいんだ!」という言葉には失笑してしまう。芝居がかったことを言い、大げさに苦悩するのだが、こんなことを言うのは理屈ばかり先行する三文画家だと思う。コメディ作品の画家を風刺する場面ならこんな台詞があってもよいが、大真面目に才能ある画家を描きたかったのだとしたら、類型的で安直なイメージだという他ない。  そして予想通り、四時間かけたあげく完成した作品は見せてくれない。あれほど期待を煽ってしまえば、本当に絵画史に残るような傑作を見せないと観客は納得してくれないだろうから当然だ。マンガの中に登場する「素晴らしい絵画」がしょぼくて読者に嘲笑されるのと同じで、仕方のない流れである。だが仕方ないとわかっていても、やはりこの映画は絵空ごとだったと白けずにはいられなかった。私は絵が好きで、よく美術館にも行くが、この映画に出てきたような被写体の内面を露にして、モデルを苦悩させるような絵が実在するとはどうしても思えないのだ。絵が登場しなかったことについて何かしら深い意味を読み取ることもできるのだろうが、ただ単にそんな絵を見せる自体が不可能だったのだと思う。  もしも創造の過程を描きたいのなら、実際の画家に密着してドキュメンタリーを撮ればいい。沈黙の中に絵筆の滑る音だけが響く場面は確かに心地よかった。でもこれは安っぽい嘘っぱちだ。いくら映像や演出でリアリティを求めたとしても、現実には遠く及ばない。
no oneさん [DVD(字幕)] 6点(2005-12-15 15:53:20)
その他情報
作品のレビュー数 33件
作品の平均点 5.06点
作品の点数分布
013.03%
100.00%
2412.12%
3412.12%
4412.12%
5515.15%
6618.18%
7412.12%
839.09%
926.06%
1000.00%
作品の標準偏差 2.21
このレビューの偏差値 51.92
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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