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生きる のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 生きる
製作国
上映時間143分
劇場公開日 1952-10-09
ジャンルドラマ,モノクロ映画
レビュー情報
前半一人称、後半三人称、という仕組みは、たとえば死の直前を目撃した警察官が「とても楽しそうでした」というところで生きてくる。動き回る前半、室内ドラマの後半という対比は、後に引っ繰り返されて『天国と地獄』になるわけだ。黒澤作品で初めて主人公が死ぬ、ということでも重要な映画だし、立派な出来のフィルムだが、社会批評性の濃さが今となるとちょっともたれる。たしかに今でも社会はこのように、いや、もっと悪化してシステムに組み込まれているだろうし、助役が自分の名誉にしそれを下っ端がおだてるあたりの痛烈さは見事なんだけど、この映画で一番普遍性を持ち続けているところは、案外「初老の男の若い娘への傾斜」の部分かも知れない。その切実さと気味悪さがじっくりと迫るのだ。後に『どですかでん』でも養女にいたずらする父さんが出てくるが、ストイックな黒澤さんのなかにあるドロッとしたものを垣間見てしまったような感じがある。小田切は聖女的なものではない、主人公に再生の一言をハッピーバースディの歌をバックに投げるが、あとはもう登場しない。あの二人がもうしばらく付き合い続けたらどうなったか、という興味が少し残る。帽子がパリッとし、ラストで公園の土にまみれる、という小道具の使い方。ドンチャン騒ぎのあと老人の歌声が聞こえてくる不気味な感じ、ああいうとこはうまいなあ。
なんのかんのさん [映画館(邦画)] 8点(2009-11-18 12:04:54)
その他情報
作品のレビュー数 249件
作品の平均点 8.02点
作品の点数分布
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6176.83%
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106224.90%
作品の標準偏差 1.79
このレビューの偏差値 49.95
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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