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ラスト、コーション のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ラスト、コーション
製作国中,米,台湾,香
上映時間158分
劇場公開日 2008-02-02
ジャンルドラマ,サスペンス,戦争もの,ロマンス,小説の映画化,スパイもの
レビュー情報
《ネタバレ》 さすがに上海の賑わいの再現は金がかかっており、『スパイ・ゾルゲ』とは雲泥の差、こういうところでケチると、映画の空気全体がその時代になりきれない、悔しいけど負けている。ヒロインの上目づかいが印象的。はにかんでいるようで、警戒しているようで、親日政権に取り入り麻雀に閉じ籠もっている上流階級をじっと観察している目でもある。けっきょく映画のサスペンスは、彼女の内心がどうなっているのかに絞られていく。この映画はレジスタンス映画なのか、メロドラマなのか、それはただただ彼女の内心にかかっている。それを観客に読み取らせまいとしている目つきのようでもある。「みな私を恐れている、あなただけが恐れない」と男に思わせる目つき、先の見込みのなくなりつつある状況で男が溺れていく隠れ家のようなヒロイン、その両者のドン詰まり感・切迫感が、首を締め上げたかと思うと一つの肉塊になったりする、すさまじいベッドシーンに凝縮する。ヒロインは、自分を徹底的に道具とし、レジスタンスに忠誠を誓ったつもりでいて、最後の土壇場で道具ではない声を発してしまった。だから情に脆い女は闘士になれぬ、ということになるのだろうか、道具に徹し切れなかったことは弱さなのだろうか。男はとりあえず救われたが、殺されるより深いダメージに傷ついただろう、しかも政権の崩壊はすぐそこに迫っている。レジスタンス映画とメロドラマが一つの肉塊のように絡み合って、完全に一体となっている。
なんのかんのさん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-29 12:21:06)(良:2票)
その他情報
作品のレビュー数 52件
作品の平均点 7.19点
作品の点数分布
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411.92%
535.77%
61325.00%
71325.00%
81426.92%
9611.54%
1023.85%
作品の標準偏差 1.30
このレビューの偏差値 48.86
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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